第2章 機械の強度と材料 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う ★荷重が加わっても壊れない形状・寸法にする 2.1 材料強度の基礎知識 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 荷重の形式 応力 材料の性質 材料の強さ 許容応力と安全率 機械の破損と設計 静的荷重を受ける部材の構造 ★材料強度を考えた設計 どのような荷重 が加わるか? 強度設計の考え方(応力) 運動してい るときの荷 重は? 静的荷重が設計の基本 どのような材 料を使うか? 材料の知識(性質,強度) 壊れなくするため の寸法・形状 は? 実験用魚ロボットの例・・・ 破損の原因(応力集中な ど) (1) 荷重の形式 どの部材に,どのような形式の荷重が加わるかを 適切に判断することが重要! (2) 応力 引張り応力の場合 応力:外力による物体の変形に 対抗して物体内に生じる内力。単 位面積当たりの力で表す。 力 応力= 断面積 σ= F A [N/m2 ]重要! (2) 応力 圧縮応力の場合 せん断応力の場合 τ= σ= F [N/m2 A ] F [N/m2 A ] 課題① 右図に示すように,一辺 10mm,長さ200mmの鉄 鋼製角柱に質量20kgの おもりをぶらさげる。角柱 の断面における引張り応 力σを求めなさい。鉄鋼 の密度を8000kg/m3とす る。 課題① ●角柱の質量 ●荷重 ●応力 ★機械設計において,なぜ応力が重要なのか? 通常の機械材料では,基準となる応力(単位面積当たりの力) が与えられている。 基準となる応力:例えば,材料が破断する応力,機能を失う応力 それぞれの部品が,許される応力を超えないように,部品の材 質・形状・寸法を決定しなければいけない。 許される応力:機械を安全に使用できる応力 (3) 材料の性質 引張り荷重の場合 ひずみ:外力によって物体 が変形したとき,元の長さに 対する伸びの割合。 ひずみ= ε= 伸び 元の長さ ⊿L L 重要! * 荷重方向のひずみを「縦ひずみ」という。 (3) 材料の性質 応力とひずみの関係 フックの法則:ある範囲にお いて,応力とひずみは比例 する。 E= σ ε 縦弾性係数(ヤング率) 重要! * 荷重方向のひずみを「縦ひずみ」という。 (4) 材料の強さ 破断するときの強さ 引張り強さ 強度を表す 重要な指標 ただし,炭素鋼の場 合は降伏点(耐力) が重要! ★伸びる材料と伸びない材料 アルミ合金や鋳鉄 は,伸びずに破断 引張り強さが重 要! 課題② 機械設計において,材料の弾性限度(力を取り 除くと元の長さに戻る限界)が重要である。その 理由を説明しなさい。 課題② 機械設計において,材料の弾性限度(力を取り 除くと元の長さに戻る限界)が重要である。その 理由を説明しなさい。 ●部品が変形してしまうと,機械が正しく機能し ない。 (5) 許容応力と安全率 設計上,許容できる 最大応力 許容応力 許容応力=基準の強さ/安全率 重要! ★ワイヤロープの安全率 安全率は,材料強度のばらつきや荷重の見積もり誤差などの 不確定な要因を考慮 課題③ 安全率を大きくした際の利点と問題点,小さくし た場合の利点と問題点をまとめなさい。 (6) 機械の破損と設計 どの部材(部品)が壊れやすいかを判断することが重 要! ①応力集中 部品に溝,穴,段違 いなどがある場合 局部的に高い応力 →応力集中 ★応力集中を小さくする形状 急激な形状変化を与えないこと! ②繰り返し荷重 荷重の有無や強弱が 繰り返される場合 小さい荷重でも破損 することがある 材料の強度や性質につ いての検討が必要 ③クリープ 高温・長時間の荷重 永久ひずみの増大 教科書p.13 ★高温環境下での引張り強さ 温度上昇による急激な強度低下に注意! ④座屈 細長い棒の圧縮荷重 横方向にたわむ 教科書p.14 ★座屈を考えた機械構造 細い棒には,圧縮より引張り荷重がよい! ★座屈を考えた機械構造 立ち上がる動作を補助する車いす ★座屈を考えた機械構造 アクチュエータの取付を考える。 ★座屈を考えた機械構造 (a)は座屈の危険がある。 ★座屈を考えた機械構造 一次試作 改良モデル 試作した介助用車いすの駆動モデル (7) 静的荷重を受ける部材の構造 板材を組み合 わせて台を作る 課題④ 上図(b)と(c)では,どちらの構造が強度的に優れてい るか。その理由を説明しなさい。 ★強度計算について •極限状態で使う機械 •最適化 •危険を伴う機械 適切かつ十分な強 度計算が重要? •軽負荷 •簡単な構造 適切な構造を考えること が重要? ★強度設計の難しさ ①許容応力(安全率)を設計者自身が決める。 ②機械部品は単純な形状ではない。 ③複数の機械部品が組み合わされて使用される。 荷重の形式を見極めるのが難しいことがある。 ④運動しているときの荷重を正確に見積もるのは難しい。 ⑤強すぎる機械部品は,重量化・高コスト化につながる。 ⑥材料強度は,使用条件で変わってくる。 使用温度,繰り返し荷重・・・。 課題⑤ (a) 機械の強度と安全性の観点から,現在の自 動車の問題点を考えなさい。 (b) 機械の安全性と利便性を踏まえて,新しい 陸上交通システムを考えなさい。 * イメージ図と文章で説明すること。
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