2 4 _ ýVž−Ñy ÿ%ma

小学校
1.単元
第6学年
国語科学習指導案
心に響く生き方にふれ 自分の生き方や命を見つめ直そう
~「海の命」(光村図書)及び
立松和平
いのちシリーズ~
2.目標
・登場人物の生き方や考え方に関心をもち、自分の生き方を見つめ直そうとする。
(国語への関心・意欲・態度)
・登場人物の相互関係や心情をとらえ、自分の考えを広げたり深めたりすることができる。
(読むこと エオ)
・目的に合わせた物語の構成を理解することができる。
(伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
イ(キ))
3.指導にあたって
(1)児童について
児童は、1学期に物語文「カレーライス」で登場人物の相互関係をつかむ学習を行っている。そし
て、今回行う学習のテーマ「生き方」に関連して「やまなし/イーハトーブの夢」で他の作品と重ね
ながらテーマにふれ、それらについて紹介する言語活動を行った。第5学年の「百年後のふるさとを
守る」でも自分が選んだ伝記から生き方ヒントを見つけながら読む活動を経験している。しかし、ま
だ登場人物の相互関係から変化する心情をとらえられているとはいえない。また、並行読書として、
シリーズ本を読む機会を設けたが、作者と自分の考えを重ねながら考えを深めるために読むまでに至
っていない。
「感情」
「生き物はつながりの中に」では、自分の「生きるということ」を、学習のゴー
ルで詩または文章で書き残している。しかし、それらはあくまでも自分の「命」「生きる」であり、
他の生き物の命に目を向けられない児童、また、その感じ取り方が浅い児童が多いと予想される。そ
こで、並行読書で「海の命」を含めたいのちシリーズを読み、それぞれの作品が伝えるメッセージを
受け止め、その上で自分の生き方を見つめ直していけるようにしていきたい。
(2)単元について
・付けたい力
登場人物の相互関係から強く自分の心に響くことが何なのかを考えて読み、自分
の考えを深める力
・言語活動
生き方や命をテーマとする読書座談会
本単元では第5学年及び第6学年の「C読むこと」の指導事項「エ
登場人物の相互関係や心情、
場面についての描写をとらえ、優れた叙述について自分の考えをまとめること」に重点を置きながら、
「オ 本や文章を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりすること」を併せ
て指導する。本単元を貫く言語活動として「生き方や命をテーマとする読書座談会」を位置付けた。
ここで位置付ける読書座談会は、読んだ作品の解釈や感想などを複数で話し合い、叙述について率直
に感じた疑問に対して考えを述べ合ったり、多様な解釈に気付いたりすることを通して、テーマにつ
いて考えを深めていく活動である。心に響く生き方に目を向けて作品を読み、その解釈の共通点や相
違点を話し合うことで、
「生き方」や「命」という抽象的なテーマに対しても深く考えることができ
る。このことから、本単元でねらう「登場人物の相互関係から強く心に響くことは何なのかを考えて
読み、自分の考えを深める力」を実現するのにふさわしい言語活動であると考えた。
・教材について
教材文「海の命」は、登場人物「太一」の少年期から始まり、青年期・壮年になるまでの生涯が描
かれている。それぞれの場面を貫いて描かれているものは、一人の少年の父親や師である与吉じいさ
たちが生きた海に寄せる熱い思いであり、父の死を乗り越え父をしのぐ漁師を目指した姿である。ま
た、関連図書として扱ういのちシリーズは、心情や情景の表現が多く様々な「命」が描かれている。
例えば「山のいのち」では、生きるために別の命を奪うおじいちゃんと清一との関係を通して自然と
共存する命が描かれている。また「牧場のいのち」ではマライヤという雌牛を通して主人公みるくの
周りの生と死が描かれており、生き方や命を多面的にとらえて考えるのに適した教材である。
(3)研究主題に迫るために
・重点1 単元構成の工夫
第一次では、図書館司書によるブックトークでいのちシリーズを紹介する。導入で、児童が1学期
の学習で自分なりに創り上げた「命」の概念を覆すような「命」と出合わせることで、これからの学
習でもう一度「命」について考えるという必要感を与え、主体的に取り組めるようにする。また、複
数の教師で行うモデル読書座談会をビデオで見せ、ゴールのイメージをもちやすくする。第二次では、
教材文の中から一人一人が「心に響くところ」や「気になるところ」をとらえ、その理由を中心に話
し合うことで登場人物の相互関係や心情を読み、
「命」や「生き方」を考える視点を学ぶ。第三次で
は、シリーズの中から選んだ作品を教材文と同じ視点で読み、自分の考えを広げたり深めたりする
ために、選んだ作品ごとのグループで座談会を行う。
・重点2 伝え合うための指導の工夫
第一次で児童に見せた「生き方」というテーマをもとに教師が行った読書座談会のモデルが、児童
の行う読書座談会への気持ちを高めてくれるだろう。自然と「生き方」に目を向けた読みを行うこと
ができ「自分の心に一番響く」を想像して読み深めることができると考える。さらに、使用するワー
クシートに「自分の心に一番響く」言葉はもちろん、その言葉から感じられる思いや疑問などを書い
た付箋を貼りかえることで、児童が考えを整理するのに役立つ。考えをまとめたワークシートを持っ
て読書座談会に臨む。その時のグループも予め児童が目を向けた人物ごとのグループにすることで、
一定の共通理解を得ることができ座談会にまとまりがでる。第二次での読書座談会は第三次で行うい
のちシリーズを使って行うものの練習ととらえることができ、第三次で行う読書座談会につながると
考える。単元を通して「心に響く」をキーワードに、考えたことを付箋に書きとめていく。そして、
関連図書は単元を通して教室に置き、授業中や休み時間に読み進められるようにすることで、読みが
より深まると考える。単元を通して全文掲示、既習掲示を活用し、読書座談会に向けて学習が進んで
いるという意識をもたせる。
次
4.指導計画(総時数8時間)
第一次(2時間)
主な学習活動と児童の意識の流れ
主な指導○ と 評価□
①②「命」「生き方」についての自分の考えを深める読書座談会をする学習の見通しを
もつ。
・いのちシリーズのブックトークを聞いてみよう。
・こんな命もあるんだな。こわいな。
・でも、必要なことなのかな。
並
・少し今までの考え方と違う気がするぞ。
<自分の考えを見つめ直すためにどのように学習を進めればいいか>
行
・「命」「生き方」を見つめ直すために並行読書でいのちシリーズを読んでみ
よう。
読
・考えを読書座談会で交流しながら読み深めるよ。
・気になる言葉、「命」や「心動かされる生き方」を感じる言葉に付箋を貼 書
○命に対する1学期の自分の考えと比べ
ることができるように、1学期に書い
た「生きるということ」の詩や作文を
用意する。
○学習の見通しをもつために、
教師が既習の物語から心に響
く生き方を取り上げて行う読
書座談会のビデオを見せる。
関ブックトークを通して「生き方」や
「命」を見つめ直すために座談会への
見通しをもとうとしている。
(発言、ノ
ート)
りながら読んでいこう。
命や生き方について、いのちシリーズを読み自分の考えを深めた
り、自分を見つめ直したりしながら学習するよ。
第二次(4時間)
③
読書座談会をするために、自分の心に響くところとその
理由を考えて「海の命」を読み、ミニ座談会をする。
本時
<自分の心に一番強く響くところとその理由を考えよう>
・太一が海全体の命を守るために、クエをおとうだと思
うことにして、うつのをやめたところ。追い求めてきた夢
だったのにどうしてかな。
・ミニ座談会で話し合ったら、違うところにも心に響くとこ
ろが見つかったよ。
「もちろん太一は生涯だれにも話さなかった。」という言葉が心に響い
た。なぜ話さなかったか理由ははっきりしないけど、何となく自慢し
ないところがかっこいいと思ったから。座談会で理由が分かるかな。
④読書座談会をするために、「海の命」で登場人物の相互
関係をつかむ。
<自分の心に一番強く響く生き方は、だれのどんな影響によ
るものかを読もう>
・おとうの勇ましい生き方
・与吉じいさの「千びきに一ぴきでいいんだ。
」という言葉
太一がクエをうつのをやめたのは「海のめぐみだからな
並
行
○心に響く「命」「生き方」に目
を向けることができるように
自由に書き込んだり考えを整
理したりできる付箋を用意す
る。
読叙述をもとに登場人物の相互
関係を読んでいる。
(ワークシート・発言)
伝目的に合わせた物語の構成を
理解している。 (ワークシート)
読
書
○叙述をもとに、登場人物の相
互関係を考えられるように、
付箋を貼りかえることができ
るワークシートを準備する。
読叙述をもとに心に響くところ
とその理由を考えている。
(ワークシート・発言)
あ。
」から分かるおとうの謙虚な生き方に影響されている
のかなあ。
⑤自分の心に一番強く響くことを想像して「海の命」の読書
座談会をする。
<生き方や命について自分の考えを深めよう>
・クエのような大魚から小さな魚までを全て含んだ海全体の
命かな。
・亡くなった人も生き続けてつながっている命かな。
「海の命」の同じところに心が響いた友達と話すと、何となくしか分か
らなかった理由が少し分かってきた。他の作品での命はどうなのかな。
○心に響く「命」「生き方」に目
を向けることができるように
自由に書き込むことができ考
えを整理するための付箋を用
意する。
読「海の命」で深めた自分の考
えを友達に伝えている。
(ワークシート・発言)
第三次(3時間)
⑥選んだ作品の読書座談会をするために、関連図書を一人で読
み、登場人物の相互関係をとらえ、話し合いたいことを準備
する。
<自分の心に一番強く響く生き方や気になるところと、その理由
を考えよう>
(例)
「木のいのち」
・
「木が生きている」と信じていた母の考えを受け継ぎ、木に励ま
されて瞳がたくましく生きていこうとした姿が心に響いたよ。
(例)
「田んぼのいのち」
・賢治さんの謙虚な生き方。五十回目でも、いつも一年生の気持
ちという心構えに感心するから。
○心に響く「命」「生き方」に目
を向けることができるように
自由に書き込むことができ考
えを整理するための付箋を用
意する。
読座談会を開くために「命とは
何か」を考えながら読んでい
る。
(ワークシート)
座談会に向けて自分の考えがもてたね。心に一番強く響く生
き方と気になるところ、そしてその理由を座談会で交流する
よ。
⑦自分の心に一番強く響くことを想像して、選んだ作品の読書
座談会をする。
<自分の心に一番強く響く生き方や題名から「命とは何か」を考
えよう>
・作品によってかなり違うみたいだ。困ったな。
・共感できる考えがあったから少しはっきりしてきた。
・また分からないことが増えたような気がする。
・他の作品でも座談会をしてもっと考えたいよ。
○多様な意見を取り入れること
ができるように自分の気付か
なかった考えについてメモす
るように伝える。
読選んだ作品にふれて深めた自
分の考えを友達に伝えてい
る。 (発言・ワークシート)
座談会をすることで考えが深まった部分とますます分からな
くなってきた部分が出てきたぞ。気になった作品を再読してみ
よう。
⑧「命」
「生き方」について、まだ分からないことを考えるために、 ○単元をふり返り、付いた力を
自覚できるように、学習によ
気になる作品を読み、学習をふり返る。
る変容を見える化する。
<命や生き方を見つめ直して気付いたことをふり返ろう>
・今は存在しないけど、過去や未来につながっているものも全て
関いのちシリーズでの読書座談
命に入ると気付いた。
会を通して気になった作品を
・命も生き方もとても奥が深くて答えが出ないものなのかもしれ
選んで読もうとしている。
ない。初めはこんなに難しいとは思わなかった。
(行動観察)
・生きている限りずっと考え続けていかなくてはならないと気付
いた。これからも考えながら生きていくよ。
・みんなと座談会をしたら、いろいろな考えが聞けて自分の考え
が変わったよ。
今まで思っていたより「生き方」や「命」は奥が深いんだね。
だからこそ、これからもちゃんと向き合って考えていかなく
てはいけないね。
5.本時の学習(3/9時)
(1)本時のねらい
海の命で自分の心に響く理由を叙述を手がかりにして、分かったこと、分から
なかったことをはっきりさせて読むことができる。
(読むこと)
(2)準備
いのちシリーズ「海の命」他6冊、ワークシート、付箋、板書用の拡大した本文
(3)本時の展開
学習活動
1.読書座談会を
するために本時
の課題をつか
む。
時間
5
2.ワークシート
で考えを整理す
る。
10
3.グループに分
かれてミニ読書
座談会を行う。
10
4.分かったこと、
分からなかった
ことを確認す
る。
5
5.まとめをする。 5
教師の働きかけ○と 児童の意識の流れ・
○座談会のために「海の命」で自分の心に一番強
く響くところとその理由についてミニ読書座
談会を開いてみるよ。
<自分の心に一番強く響くところとその理由を考えよ
う>
○ワークシートに自分の心に一番強く響いた自
分の考えを整理しよう。
・与吉じいさから太一に言った言葉だな。「千び
きに一ぴきでいいんだ」という海の恵みに感謝
する姿がすばらしいよ。
・おとうから太一に言った「海のめぐみだからな
あ」という言葉と大物をしとめても自慢しない
とか不漁でも少しも変わらない生き方がかっ
こいいよ。
○違う人物を選んだグループに分かれて読書座
談会をしてみよう。
・そういう考え方もあるんだね。常に大物を狙っ
て自慢しないおとうの生き方はやっぱりかっ
こいいよ。
・与吉じいさの生き方について「千匹に一匹をつ
ればずっとこの海で生きていけるよ」に将来を
考えるじいさの姿を見ることができたよ。
○他のグループの様子を交流して、分かったこ
と、分からなかったことを確認しよう。
・太一が最後に「おとう、ここにおられたのです
か。また、会いに来ますから。」にはどんな意
味があるのかな。
・〇○さんの海に対する深い愛情を感じることが
できたよ。
座談会でいろいろな考えが聞けたので、自分
の一番心に響く生き方の理由が明らかになっ
たよ。
6.読みたい作品、 10
気になる作品を
読み、ふり返り
をする。
・自分の心に一番強く響くという視点でいのちシ
リーズを読んでみるよ。
視点をもって読むと読みが深いものになるし、
「命」や「生き方」について考える手立てにな
るね。いのちシリーズで私の生き方を見つめ直
指導○と評価□(方法)
○読書座談会をするた
めにミニ座談会を開
く場を設定する。
○自分の考えを整理す
るために付箋とワー
クシートを用意す
る。
○可能ならば複数の部
分や時間、人間関係
に着目できるように
呼びかける。
○選ぶ対象が違うグル
ープを予め調査して
グループ分けを行っ
ておく。
○分からないことも出
していくように指示
する。
読自分の心に一番響く
ところとその理由を
叙述から選んでい
る。
(ワークシート・発言)
●具体的な叙述に着目
させ気になる理由を
自分の言葉で言わせ
てみる。
○シリーズ作品を読む
際にぶれずに読むこ
とができるように
「心に響く生き方や
命」というテーマを
確認する。
すよ。
(●到達できなかった子への支援)