第1回家計班 これからの 日本の経済的成長は

第1回家計班
これからの日本の経済成長は
可能であるか
Kasahara Kouhei
Sugawara Shouta
Shimane Kaori
全体の流れ
所得格差:各経済主体の構造・行動の変化によるもの
↓
各経済主体別に分けて考察
※所得格差があることによって経済成長を妨げてし
まう可能性は、まったくないのであろうか?
労働人口の減少・貯蓄の減少
↓
労働生産性・技術進歩の必要
↓
所得の差が拡大
↓
子供への教育費への影響
↓
学力の低下
↓
日本の技術進歩に携わっている人々の能力に影響
↓
結論
問題提起:人口も資本量も減少傾向にあり、
所得格差も拡大する現在、
日本の経済成長は可能であるか。
結論:低所得者の増加により、教育の質が低
下し、技術進歩さえも妨げてしまうため、経済
成長の阻害要因となる可能性がある。
第一章 持続的成長の可能性
成長論による分析
成長論導入の意義
• 現在日本では、少子高齢化、貯蓄率の低
下が進んでおり、近年では日本経済の成
長が鈍化している。このような状況下で、
今後の成長は見込めるのか?
この章ではこの疑問に応えるべく、成長論
の一般的なモデル、ソロー・モデルを用い
て考察していくことにする。
ソロー・モデルとは?
• 貯蓄、人口成長、技術進歩が時間を通じ
て経済の産出と成長にどのような影響を与
えるのかを示す。
貯蓄率の推移(平成18年版経済財政白書より)
年齢階層別人口の推移(社会保障人口問題研究所より)
グラフの説明
• 実効労働者・・・労働者数Lに労働の効率
性Eを考慮した労働力。
• 臨界的投資・・・労働者1人当たり資本ス
トックを一定に保つのに必要な投資量。
• 資本ストックの定常状態・・・投資と臨界的
投資が丁度釣り合う資本ストックの水準を
言う。
ソローモデルにおける成長
実効労働
者1単位
当たり投
資、臨界
的投資
図 技術進歩とソローの成長モデル
臨界的投資(δ+n+g)k
投資sf(k)
O
定常状態
k*
実効労働者1単位当たり資本(k)
技術進歩を伴うソローモデルに
おける定常状態の成長率
変数
記号
定常状態の成長率
実効労働者1単位当たり
資本
k=K/(E×L)
0
実効労働者1単位当たり
産出
y=Y/(E×L)=f(k)
0
労働者1人当たり産出
Y/L=y×E
g
総産出
Y=y×(E×L)
n+g
第一章まとめ
• 高い貯蓄率は、定常状態に到達するまで
の間に限り、高い成長率をもたらす。
• 経済が定常状態に入ると、労働者1人当
たり産出の成長率は、技術進歩のみに依
存する。
⇩
ソローモデルによれば、技術進歩のみが生
活水準の持続的な上昇を説明できるので
ある。
第二章
所得格差拡大の要因
雇用形態別賃金の推移
正規雇用
非正規雇用
単位(万
人)
単位(万
人)
正規雇用の所得割合
800
800
700
700
600
600
500
500
400
300
平成14年
平成15年
400
300
平成16年
200
100
非正規雇用の所得割合
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
200
平成17年
平成18年
100
平成18年
0
0
出所:厚生労働省
「労働力調査」
500
年齢別でみた雇用形態別賃金
(現金給与)
450
400
単位(千円)
350
300
250
正規雇用
非正規雇用
200
150
100
50
0
18~19
20~24
25~29
30~34
35~39
40~44
年齢
45~49
50~54
55~59
60~64
出所:厚生労働省 「平成18年賃金構造基本
統計調査」
2006年
2004年
2002年
2000年
1998年
1996年
1994年
1992年
1990年
1988年
1986年
1984年
0%
出所:労働
力調査
完全失業率(年平均)
(2001)
(2000)
(1999)
(1998)
(1997)
出所:労働
力調査
(2006)
(2005)
(2004)
(2003)
(2002)
10%
(1996)
20%
(1995)
正規雇用
(1994)
40%
(1993)
50%
(1992)
雇用形態割合
(1991)
70%
(1990)
100%
(1989)
非正規雇用の割合と失業率
完全失業率(年平均)
6.00
90%
80%
5.00
4.00
60%
3.00
非正規雇用
2.00
30%
1.00
0.00
非正規雇用から正規雇用へ
• 3割の企業はフリーター経験をマイナス評価、
6割は評価に影響しないと答える(平成16年
雇用管理調査)
• 採用した中途採用者の年齢をみると、管理職
では「50~54歳」が28.1%、事務職、現業職
では「25~29歳」が43.0%、技術・研究職で
は「30~34歳」が最も多く35.9%となってい
る。
非正規雇用から正規雇用になる条
件
• 事務職・現業職は20代の若者を望む
• 技術職は30代の専門職経験・知識を求め
られる
• 技術経験をせずに20代を過ごすと再就職
が難しい
第二章の結論
• 非正規雇用者は比較的低所得である
• 非正規雇用者は技術的知識・経験を得る
ことが難しい
第3章 現在の教育状況と今後
3-1 学生数の変化
3-2 教育費の変化
3-3 今後の展望
学校数推移
校数(校)
6,000
5,000
4,000
高等学校
短期大学
大学
3,000
2,000
1,000
05
04
03
02
01
00
20
99
98
97
96
95
94
93
92
91
90
89
88
87
86
85
0
西暦(年)
出所:文部科学省
在学者数推移
学生数(人)
6,000,000
高等学校
高等専門学校
短期大学
5,000,000
大 学
専修学校
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
0
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
年(西暦)
出所:文部科学省
教育費比率
%
4.000
3.900
3.800
3.700
3.600
3.500
3.400
3.300
教育費比率
3.200
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
年
出所:文部科学省
正答率(%)
学力検査正答率
平成8年度
平成13年度
70
60
50
40
30
20
10
0
国語
世界史 日本史
地理
数学
物理
化学
生物
英語
科目
出所:ベネッセ
学校数の増加による大学の学生獲得競争
↓
教育の大衆化により学力が低くても入学可能
↓
大学への進学人数増加
しかし、学習塾などの補助教育費減少
↓
学生の学力の低下
↓
将来の日本の担い手である人々の学力低下は
経済にどのような影響を与えるのか?
TFP成長率(%)
0.1
産業別全要素生産性推移
電気・電子・機械製品
自動車
精密機器
0.08
0.06
0.04
0.02
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
0
-0.02
-0.04
-0.06
-0.08
-0.1
西暦(年)
出所:JIPデータベース2006
問題提起:人口も資本量も減少傾向にあり、
所得格差も拡大する現在、
日本の経済成長は可能であるか。
結論:低所得者の増加により、教育の質が低
下し、技術進歩さえも妨げてしまうため、経済
成長の阻害要因となる可能性がある。
参考文献
• 橘木俊詔「日本の経済格差」 1998 岩波新書
• 下野恵子「資産格差の経済分析」 1991 名古屋
大学出版会
• 小野俊夫「現代経済学の展開」 1992 学文社
• N・グレゴリー・マンキュー「マクロ経済学Ⅱ」2004
東洋経済
• 「平成18年版経済財政白書」内閣府
参考ホームページ
•
•
•
•
•
•
総務省統計局 http://www.stat.go.jp/
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
文部科学省 http://www.mext.go.jp/
ベネッセ学力推移調査
社会保障人口問題研究所 http://www.ipss.go.jp/
JIPデータベース2006