第3章 情報とその伝達

第5章 まとめ
コンピュータの基本構造
• ノイマンの遺産(教科書p.186)
「今日、私たちが使っているコンピュータの基本構造は
1940年代にほぼ完成したと言っても間違いではありま
せん。
2進数の形に直したデータやプログラムをメモリに読
み込み、それらをブール代数に基づく論理回路で逐
次処理する‥‥‥世界中で使われているコンピュー
タのほとんどは、今から半世紀以上も前のアイデアに
基づいて動いているわけです。」
• PC(Personal Computer)
=マイクロ・プロセッサ(CPUの回路を一つのチップに載
せたVLSI(超大規模集積回路))によって小型化され
た現代のコンピュータ
アルゴリズム
• コンピュータは私たちのように考えてはいません。
• コンピュータは私たちのように数えてはいません。
• コンピュータは私たちのように判断してはいません。
(副読本「まえがき」p.3)
アルゴリズム(1/2)
• コンピュータは命令を逐次的に(一個ずつ)
処理する
– プログラムカウンターは一個しかないので
• コンピュータが処理できるアルゴリズムは連
続・条件・繰り返しの3つに限られる
– プログラムカウンターで順番を制御しているの
で
• コンピュータはアルゴリズム(機械的操作)
を高速に実行する道具
コンピュータの速さ
• MIPS(Million Instructions Per Second)
– 1秒間に何百万回の命令が実行できるか
– ピーク性能の指標で実用上はずっと遅くなる
• FLOPS(Floating Point Number Operating
Per Second)
– 1秒間に何回浮動小数点の演算ができるか
MIPS
プロセッサ
Intel 8080
Motorola 68000
クロック数
MIPS
0.64
販売年
1974
1
8MHz
1979
Intel 486DX
54
66MHz
1992
PowerPC 600s (G2)
35
33MHz
1994
ARM 7500FE
35.9
40MHz
1996
PowerPC G3
525
233MHz
1997
ARM10
400
300MHz
1998
80
50MHz
1999
Pentium 4 EE
9726
3.2GHz
2003
ARM Cortex A8
2000
1.0GHz
2005
AMD Athlon 64
8400
2.8GHz
2005
Xbox 360
11500
3.2GHz
2005
AMD Athlon 64 Dual Core
18500
2.2GHz
2005
Zilog eZ80
Play Station 3 Cell Core
21800
3.2GHz
2006
(データはWikipediaより)
1MHz=106Hz
1GHz=109Hz
(注)クロック数
とは、とりあえず、
メトロノームの
速さと思えばよ
い
FLOPS
• ゲーム機
–
–
–
–
–
–
–
ドリームキャスト: 1.4GFLOPS
Xbox: 1.5GFLOPS
プレイステーション2: 6.2GFLOPS
プレイステーションポータブル: 2.6GFLOPS
ゲームキューブ: 10.5GFLOPS
Xbox 360: 1TFLOPS (予定・システム全体)
プレイステーション3: 2TFLOPS (予定・システム全体)
• スーパーコンピュータ
–
–
–
–
–
–
ENIAC: 300FLOPS
CRAY-1: 160MFLOPS
地球シミュレータ: 35.86TFLOPS
TSUBAME: 47.38TFLOPS
GRAPE-6: 48TFLOPS
Blue Gene/L: 280.6TFLOPS
1MFLOPS=106FLOPS
1GFLOPS=109FLOPS
1TFLOPS=1012FLOPS
(データはWikipediaより)
前回の質問1
1.
2.
3.
4.
$i=0;
while($i>=0){
$i=$i+1;
};
このプログラムを実行するとどうなる
か?
前回の質問1
同じ働きをするプログラムを(Perlでなく)
C言語で書いてみました
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
main(){
int i,j;
i=0;
while(i>=0)
{
j=i;
i=i+1;
};
printf("%d %d \n", j,i);
}
前回の質問2
1.
2.
print "Hi! Taro!\n";
print "Hi! Hanako!\n";
\nがないとどうなるか?
アルゴリズム(2/2)
• 人間が行う思考を模倣していない
– 世間で「人工知能」と言われているものは知能としてはす
べてにせもの
– 人工知能のためには、あいまいさ・不確実性(コンピュー
タのアルゴリズムにない要素)を取り込む必要がある
実際、パターン認識では、あいまいさを定量化してその量をコン
ピュータで計算させ結果を予想する
– 従って、人工知能が実現したとしても、.答えが大抵あっ
ているが時々まちがっているようなものになる(つまり人
間味がある!)
– また、人間のように学習が必要になるかもしれない
実際、パターン認識では、あいまいさの程度を学習させる
– 以上のような人工知能は、例えできたとしても、使いもの
になるのか?という疑問も生じる
「戦争がコンピュータを作った」か?
講義の目的
「パソコンは習うより慣れろ、だ。」と唱える人がいる。本当だろ
うか?
確かに、最近のパソコンの画面にはアイコンが並び、メタ
ファー(隠喩)に基づく直感的な操作が売り物になっている。
しかし、パソコンの操作の体系は仮の約束事でしかなく、突き
詰めていくと論理的に矛盾していることがある。また、その
約束事も数年で陳腐化してしまうのが常で、ディスプレイに
表示された世界を学ぶことをコンピュータの勉強だと思って
いると、コンピュータに対する苦手意識を消すことが永遠に
できない。
そこで、本講義では、コンピュータの本当の姿を理解すること
を目指す。実際、コンピュータに関しては、本物の知識は1
0‐20年後も役立つものとなっている。
講義計画
第1章 計算機械からコンピュータへ(2)
第2章 論理回路とオートマトン(4)
§1
§2
§3
§4
10進数から2進数へ
論理代数(Boole代数)
論理回路
オートマトン
第3章 情報の符号化とその伝達(4)
§1
§2
§3
§4
§5
§6
情報の符号化
情報源の符号化
クラフトーマクミランの不等式(数学的に少し難解)
情報量とエントロピー(§3に次いで難解)
情報の伝達
符号理論と暗号
講義計画
第4章 ソフトウェアとプログラミング(2)
§1 プログラム内蔵方式
§2 アルゴリズムとプログラムカウンタ
§3 基本ソフトと応用ソフト
教科書
P.219まで終了
最後に一言
• 文系学部のみなさんへ
– 数理モデルについて
• 資格(基本情報技術者・初級シスアド等)を考
えているみなさんへ
– 暗記科目にしないための教科書
• 「コンピュータ解体新書」(清水・菅田,サイエンス社)
• 「計算機科学入門」(L.ゴールドシュレーガー・A.リス
ター, 近代科学社)
• 「計算機科学の基礎」(八村広三, 近代科学社)