糖類(炭水化物): Cm(H2O)n ● ーOH基が多い: 多価アルコール ● 三大栄養素: 糖類、タンパク質、脂肪 ● ブドウ糖 ⇒ デンプン、セルロ-ス、脂肪、タンパク質等 光エネルギー、葉緑素 光合成: n CO2 + n H2O n O2+ (CH2O)n 例: 6 CO2 + 6 H2O 6 O2 + C6H12O6 ● 植物: 生産者(光合成で糖類を合成) ● 動物: 消費者(植物の合成物で生存) 1 糖の分類 ● 単糖類: 加水分解されない糖類 ● 二糖類: 2分子の単糖類(アルコール)が、 エ-テル結合で結合; 脱水縮合反応 (R-OH + HO-R’ ⇒ R-O-R’ +H2O) ( ● オリゴ糖: 二糖類と多糖類の中間の大きさ) ● 多糖類: 10個以上の単糖類が結合 ●大部分の糖類: デンプンとセルロ-スの形で植物体内 ● 胃に止まる時間: 糖類 < タンパク質 < 脂肪 ⇒ 糖類は消化・吸収が速い 2 糖類の分布 3 栄養素のエネルギー ● 糖類: 4 kcal/g グリコーゲンとして貯蔵(人体内に350 g) ● タンパク質: 4 kcal/g (貯蔵できない) ● 脂肪: 9 kcal/g (高効率のエネルギー貯蔵形態) ● 脂肪: 貯蔵量に限界がない ⇒ エネルギーの過剰摂取 ⇒ 肥満(脂肪量の増加) ● 三大栄養素は体内で相互変換 4 ブドウ糖(グルコース)の異性体 シス型 トランス型 シス型 トランス型 デンプン セルロース ●甘味: ショ糖の 70%程度; 風味良好 ●ヒトの基本的なエネルギ-源(脳はブドウ糖だけを使う) ●ブドウ糖 ⇔ グリコ-ゲン(肝臓、筋肉内) 5 血糖 ● 血糖: 血液中のブドウ糖(0.1 %) ● 血糖濃度:グリコーゲンの分解(肝臓)で上昇 グリコーゲンの合成で低下 ⇒ ほぼ一定 ● 食欲: 血糖濃度が高い 血糖濃度が低い ⇒ ⇒ 満腹中枢が活性化 食欲中枢が活性化 ● 食事の直後: 血糖値上昇 ● 糖類以外のもの ● 空腹感: ⇒ ⇒ ⇒ 食欲低下 ⇒ 食欲亢進 満腹感の発生 ブドウ糖に変わる ⇒ 満腹感 胃が空だから発生するのではない 6 糖類の甘味度 (低温で甘味が強い) (低温で多い) 7 冷やした果物はおいしい? ● 甘味: β型果糖(低温で多い)> α型果糖(高温で多い) ● ブドウ、リンゴ、スイカ: 果糖が多く、冷やすと甘い ● バナナ、オレンジ: ショ糖が甘味主成分 ⇒ 冷やしても甘くならない ● 味覚は低温で鈍感 ⇒ 冷たい飲物には、温かい飲物よりも、 多量の甘味剤が必要 8 異性化糖(ブドウ糖果糖液糖) ● ジュースや清涼飲料水の甘味剤 ● 製法 酵素 酵素 デンプン ⇒ ブドウ糖 ⇒ 異性化糖 (果糖とブドウ糖の1:1混合物) ● ①ショ糖より甘い、②安価、③蜂蜜の風味、④液状 ⇒ 業務用甘味剤 ⇒ 砂糖価格が原料の作柄によって変動しにくい 9 ショ糖(1) ● 白砂糖、氷砂糖: ほぼ純粋なショ糖 (小腸で)加水分解 ● ショ糖(スクロース) ⇒ ブドウ糖 + 果糖 ● 防腐作用 (自由水 ⇒ 結合水) ● 微生物は結合水中で繁殖しにくい ● 消化・吸収が速い ⇒ 血糖値を急速に上げる ⇒疲労回復と満腹感発生 ● デンプンよりも脂肪に変わりやすい ← 果糖の性質 ● 虫歯の原因 10 ショ糖(2) ● 煮物の味付けの順序 (酒) ⇒ サ(砂糖) ⇒ シ(塩) ⇒ ス(酢) ⇒ セ(醤油(せうゆ)) ⇒ ソ(味噌: 加熱で風味を失う) ● 時間を空けてゆっくり加える ● ショ糖: タンパク質の変性を抑制 ● 生体膜の半透性 ⇒ 食塩が先だと、細胞が脱水 ⇒ 煮物の材料が、脱水で縮み固化 ● 食塩: タンパク質の変性(凝固)を促進 ● 卵白は、食塩( 0.3%)を除くと、100℃でも凝固せず ● 酢: タンパク質の変性促進; 酢締め(しめ鯖); 牛乳の腐敗 ⇒ 生成した酸で凝固 ● サシス: 材料を固くする ⇒ 後の添加物(砂糖等)が染み込みにくい 11 乳糖 ● 乳糖 加水分解 ⇒ ブドウ糖 + ガラクトース ●母乳に 6-7% (牛乳に 4-5%): 乳児のエネルギー源 ← 乳児はデンプンを消化できない ●乳糖不耐症: 牛乳で下痢や腹痛 ← 乳糖分解酵素の分泌減少(ネアンデルタール人も) ●対策: 少量ずつ飲む; 飲み続ける ⇒ 腸内で乳糖醗酵性細菌が増加 ●チーズ、ヨーグルト: 乳糖が分解されている 12 多糖類 ● 貯蔵多糖類 : エネルギ-源; デンプン、グリコ-ゲン ● 構造多糖類: 生体の構造を維持; セルロ-ス ● デンプン: α- ブドウ糖が脱水縮合; ラセン状 ● グリコ-ゲン: 動物デンプン; 体内に約350g ● 過剰の糖類 ⇒ 脂肪 ●脂肪: 貯蔵量に限界がない、重量当りのエネルギーが 大きい ⇒ 肥満=脂肪量の増加 13 デンプンとセルロースの構造 シス型 デンプン トランス型 β-1,4 結合 ラセン状 アミラーゼ で加水分解 セルラーゼで 加水分解 セルロース 直鎖状 14 セルロース ● セルロース: 構造多糖類; 繊維状(木綿、麻); 親水性が高い( -OH基が多い) ● セルラーゼをもつ生物: カタツムリ、ナメクジ、微生 物 ⇒ セルロ-スをブドウ糖に分解 ● 草食動物(セルラ-ゼがない) : 第一胃(中性)の微生物が栄養源 ● シロアリ: 腸にセルラ-ゼを分泌する微生物 15 デンプン類の構造 アミロース: 直鎖状 硬い(結晶性) アミロペクチン: 枝分かれ 粘る 16 おいしい米 ● アミロ-ス: 熱に安定; 炊くと粘りが少なく硬くて ポロポロ。インディカ米に多い(タイ米; 30%) ● モチ米: アミロ-ス 10%、アミロペクチン 90%。 よく粘る。 ● アミロ-ス含有率 17%でおいしい。 ● 米のタンパク質: 栄養的には優秀。 含量が少ない方がおいしい(軟らかくて粘る) 17 ご飯の味 ● 生デンプン( β-デンプン): 結晶部分(消化されにくい) + 非結晶部分 ● 生デンプン +水 を95℃以上に加熱 ⇒ 糊化デンプン( α-デンプン); 結晶構造なし ● デンプンの加熱調理: β-デンプン ⇒ α-デンプン ● α-デンプン: 消化が容易 ⇒ おいしい、栄養価も高い ● デンプンの老化: α-デンプンを放置 ⇒ 部分的な結晶化( βデンプン) ⇒ まずい ● 炊きたてのご飯: α-デンプンだけ ⇒ おいしい ● 老化: 75 ℃以上、 -20℃以下では進みにくい ⇒ 炊きたてを冷 凍 ⇒ 冷蔵庫保存よりおいしい ● 老化デンプンを加熱 ⇒ αデンプンへ; パンのトースト ● 乾燥状態のαデンプンは安定 18 デンプンの糊化(α化)と老化 結晶部 分あり 結晶部 分なし αーデンプン 結晶部 分あり 老化には水分が必要: 乾燥状態のインスタントラー メン、 せんべいなどは、 α-デンプンのまま 19 石焼きイモはなぜ甘いか ●アミラ-ゼ: 50℃で高活性、 80-85℃で高活性の2種類 ●石焼きイモ: ゆっくり均一に加熱; β-デンプン ⇒ α-デンプン ⇒ 麦芽糖など (柔らかく甘い) ●イモは、大きい切れの方が甘い 理由: アミラ-ゼが熱で失活するまでに加水分解 ⇒ 麦芽糖などが多い ●電子レンジで急速に焼いたイモ: 麦芽糖が少ない ⇒ 甘味が少なくサッパリした感じ 20 酒類の作り方 (1) 発酵酒 ブドウ糖類 酵母 ⇒ アルコール (2) 糖化発酵酒 デンプン 酵母 ⇒ブドウ糖 ⇒ アルコール ● 加水分解酵素: 麦芽(ビール)、 コウジカビ(清酒) 21 糖鎖の機能 ● 糖類: 植物の構成要素; 動物の栄養素; 動物の構成要素(糖タンパク質など) ● ABO式血液型 赤血球の表面のタンパク質に ● A型: N-アセチルガラクトサミン ● B型: ガラクトース(両者とも糖類) ● AB型: 上記の2種類の糖鎖がある ● O型: どちらもない ● 母親と胎児で血液型が違ったらどうなるか 22 生体膜の流動モザイクモデル レシチン 23 細胞膜の断面図 糖鎖 細胞膜 タンパク質 24 細胞表面の糖鎖 糖鎖で他者を識別 25 26
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