みんなで取り組む生活習慣病対策 糖尿病

(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室 坂根直樹室長考案)
し 神経の
糖尿病神経障害
神経が傷つき手足がしびれたり、痛みを感じなくなる
め 目の
糖尿病網膜症
目の網膜の血管がもろくなり、最悪は失明する
じ 腎臓の
糖尿病腎症
腎臓の血管がもろくなり、尿が作れなくなって人工透析が必要に
え
そ
え 壊疽
血管と神経がもろくなり、足指などが膿んでただれ、切断の原因に
の 脳卒中
脳の血管が詰まったり破れたりして、麻痺などの
後遺症を招く
き 虚血性心疾患
糖尿病の多くは、糖尿病になりやすい
体質(遺伝的素因)に、食べすぎ・運
動不足・ストレスといった生活習慣(環
境因子)が加わって発症します。これだ
けポピュラーな病気ですから、誰しも遺
伝的素因を多少は持っていると考えてお
いたほうがよいでしょう。
発症の引き金を引いてしまわないよ
う、右のチェックを参考に、生活習慣を
見直してみましょう。
特定健診ではこの
項目をチェック
糖尿病に関しては、特定健診の
下の3つの項目に注目してくださ
い。正常の範囲内であっても、数
値が徐々に高くなっていないか、
チェックしておきましょう。
●空腹時血糖
保健指導判定値 100mg/dL
受診勧奨判定値 126mg/dL
空腹時の血液中のブドウ糖の量を測定
します。この値が高い人は糖尿病のお
それがあります。
心臓の血管が詰まり、命に関わる発作を招く
3
糖尿病を予防するには 活 習 慣 病 対策
高血糖の状態が長く続くと、全身の血管や神経が傷ついてさまざま
な合併症を引き起こします。糖尿病の3大合併症は「しめじ」
、その他
の合併症は「えのき」のキーワードで覚えましょう。
み ん な で 取 り 組 む生
インスリン
重症化するとどうなるの?
2
糖尿病
細胞
細胞
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなる病気です。健康な
人の場合、食後に増えた血液中のブドウ糖は「インスリン」というホル
モンによって体内に取り込まれ、エネルギー源となります。糖尿病にな
ると、インスリンの量が少
健康な人
糖尿病
なかったり効きが悪かった
ブドウ糖
ブドウ糖
りして、血液中のブドウ糖
が体内に取り込まれず、血
インスリン
糖値が高いままとなります。
初期はとくに症状はあり
ませんが、徐々に血管や神
血管
血管
経が傷つき、さまざまな合
インスリンの分泌・作用が
インスリンの分泌・作用が
併症を引き起こすのが糖尿 十分でブドウ糖が細胞に取
不十分でブドウ糖が細胞に
取り込まれにくい。
り込まれてエネルギー源に。
病のこわいところです。
わが国には、糖尿病の有病者が約950万人、予備群が約1100万人も
いると推計されています。
「美食家がなる病気」
「糖尿病家系の人がかかる」
といった思い込みは捨てて、誰もがかかる可能性があるこの病気について、
正しい知識をもちましょう。 ※ここでは2型糖尿病について説明しています。
1 糖尿病ってどういう病気?
● HbA1c(NGSP 値)
糖尿病を招きやすい
生活習慣チェック
□ 食事時間が不規則
□ 脂っこいものをよ
く食べる
□ お酒をたくさん飲
む
□ 甘いものをよく食
べる
□ 野菜や海藻類を
あまり食べない
□ 運動不足である
□ ストレスがたまっ
ている
□ ゆっくり休めてい
ない
― 10 ―
保健指導判定値 5.6%
受診勧奨判定値 6.5%
過去1~2カ月間の血糖の状態を知る
ことができる血液検査です。この値が
高い人は糖尿病のおそれがあります。
●尿糖
基準値 陰性(-)
尿に糖が含まれているかを検査します。
陽性(+)の場合は糖尿病のおそれが
あります。