行列・行列式

ガウスの消去法は
係数行列を 上三角行列にする方法
*
*
*
*

a 11 a 12 a 13 b 1 
 a11 a12 a13 b1 

 
*
*
* 
a
a
a
b

0
a
a
b
21
22
23
2
22
23
2



*
* 
a
  0
a
a
b
0
a
b
31
33
3
33
3
 31

ガウスジョルダン法は
係数行列を 単位行列にする方法
*

1 0 0 b1
 a11 a12 a13 b1 

 
* 
a
a
a
b

0
1
0
b
21
22
23
2
2



a
  0 0 1 b* 
a
a
b
31
33
3
3
 31

連立方程式
Ax = b
の解は,
A-1 A x = A-1b
Ix = A-1b
x = A-1b
のようにして求めることができる.
ガウスジョルダン法は,この操作を機械的に
行うものである.
ピボット要素
(軸要素)
a11で割る
次のピボット
要素
 a11

a
 21


 an1
a12
a1n
a22
a2 n
an 2
ann
 1 a12(1)

(1)
0
a
22



(1)
0
a
n2

a1n (1)
a2 n (1)
ann (1)
b1 

b2 


bn 
b1(1) 
(1) 
b2 


(1) 
bn 
1

0
0
次のピボット
要素

0


0

0 a13(2)
1 a23(2)
a14 (2)
a24(2)
a1n (2)
a2 n (2)
0 a33(2)
a34 (2)
a3n (2)
0 a43(2)
a44(2)
a4 n (2)
0 an 3(2)
an 4 (2)
ann (2)
1 0

0 1


0 0
0 b1( n ) 
(n) 
0 b2 
=x


(n) 
1 bn 
b1(2) 
(2) 
b2 
b3(2) 

(2)
b4 


bn (2) 
例題4
3.4.6
不定および不能方程式
P117~
つぎの連立方程式
x1  x2  x3  0


2 x1  5 x2  2 x3  0
 7 x  7 x  x  0
1
2
3

の場合には,
3


1 0 7 0
 1 1 1 0 1 1 1 0 

4

 
 


2
5
2
0

0
7
4
0

0
1
0

 
 

7
 7 7 1 0   0 14 8 0  


 

 0 0 0 0 


となり,最後の式がなくなる.変数が3
つで、方程式が2つになる。このよう
な方程式は「不定」であるという.
ここで,x3=cとおくと
3

x

0

x


c
1
2

7

4
0  x  x   c
1
2

7
3
4
 x1   c, x2   c, x3  c
7
7
一方,つぎの連立方程式
x1  x2  x3  1


2 x1  5 x2  2 x3  2 の場合には,
 7 x  7 x  x  3
1
2
3

 1 1 1 1 1 1 1

 
 2 5 2 2    0 7 4
 7 7 1 3   0 14 8

 
0  x1  0  x2  0  x3  2
3

1 0 7
1 
4
 
4  0 1

7

10  
 0 0 0

3
7

4
7

2


ということは有り得ない(右辺≠左辺)ので,
このような方程式は「不能」であるという.
つまり、連立方程式の解は
① 1意解をもつ場合
② 不定の場合
③ 不能の場合
の3パターンに分けられる。
3.4.7 固有値・固有ベクトル
P119
n次正方行列Aとある数λ に対して,n次列ベクト
ルx についての方程式,Ax = λx,すなわち
(A - λI)x = 0
(27)
を満たすようなベクトルxと数λ が存在するとき
λを行列Aの固有値,x を固有値λ に属する固有ベク
トルと呼ぶ.
式(27)が自明解以外の解を持つための必要十分
条件は
|A - λI| = 0
(28)
である.式(28)は,n次多項式であり,これを
固有多項式(または特性方程式)と呼ぶ.
 1 1/ 2 
例題4 A= 
 の固有値と固有ベクトルを求めよ.
1/ 2 1 
1   1/ 2
0
特性方程式は,
1/ 2 1  
(A - λI)x = 0
すなわち,(1-λ)2-(1/2)2=0
(1-λ+1/2)(1-λ-1/2)=0
ゆえに,固有値はλ1 = 3/2, λ2 = 1/2であり,式(27)に代入してでき
る次の連立方程式(不定)
 x1 x2
 2  2  0

 x1  x2  0
 2 2





x1 x2
 0
2 2
x1 x2
 0
2 2
を解いて,λ1 に属する固有ベクトルおよびλ2 に属する固有ベクトルは,
それぞれ
 1
u1  c1   c1  0
 1
 1
u2  c2   c2  0
 1
備考:ベクトルに行列をかけると,新しいベクトルを生じる.
例題の行列Aについて示すと
 x   1 1/ 2  x   x  y / 2 
   
   

y
1/
2
1
y
x
/
2

y
  
  

となる.多くの点でその写った先の点を矢印で結んだ線を描くと図
のようになる.この図を見るとy=xとy=-xの方向に引っ張りと圧縮が
みられることがわかる.
y=x
y=-x
この図を見るとy=xとy=-xの方向に引っ張りと圧縮がみられるこ
とがわかる.そして,この2つの直線上では
 x   1 1/ 2  x  3  x   x  1  x 
A   
     , A     
 x  1/ 2 1  x  2  x    x  2   x 
となる.このように,
2次元空間の図形的な
イメージから,行列A
の作用として各点の方
向(固有ベクトル)と伸
縮率(固有値)がわかる.