セラミックス 第7回目 6月 1日(火) 担当教員:永山 勝久 表1.2 金属,プラスチックス,セラミックスの比較 呼 称 金 属 材 料 原子間結合 金 属 金属結合 共有結合 非金属・ 有 プラスチック ファンデルワールス結 機物 合 イオン結合 非金属・ 無 セラミックス 機物・ 固体 共有結合 表1.3 金属とセラミックスの物性比較例 物性 材料 アルミニウム Al アルミナ セラミックス A l2O 3 金属 融点 [℃] 電気比抵抗 モース硬度 [Ωcm ] 660 2.8×10-8 3以下 2,030 1014以上 9 日本 ニュ-セラミックス (新しいセラミックス) ファインセラミックス (微細緻密・精密なセラミックス) アメリカ High Technology Ceramics (高い技術を有するセラミックス) Advanced Ceramics (先端技術のセラミックス) ↓ 高度な技術を取入れた先端素材・応用産業 [:図1.2,表1.4参照] ∴ニュ-セラミックス製品 ・・・知識集約的製品(高付加価値,省エネルギ-的製品) [:図1.3参照] 図1.2 我が国のニュ-セラミックス の用途別市場規模 表1.4 ニュ-セラミックスの機能・材料・応用製品 機能大分類 熱的機能 機械的性質 生物・ 化学的 機能 電気・ 電子的 機能 光学的機能 原子力関連 機能 機 能 酸化物セラミックス 非酸化物セラミックス 応用製品例 A l2O 3 SiC ,Si3N 4 耐熱性 耐熱構造材 ZrO 2,SiO 2 断熱性 C 各種断熱材 伝熱性 B eO SiC (+ B eO ) 基板 A l O 硬質・ 耐磨性 SiC メカニカル・ シール・ リング 2 3 A l2O 3 切削性 TiC ,TiN 切削工具 B 4C ,ダイヤモンド 研磨性 ― 砥石,研磨材 A l2O 3,アパタイト 生体適合性 ― 人工骨 坦体性 コーディライト ― 触媒担体 A l2O 3 B N ,TiB 2,Si3N 4 耐食性 耐食部品 A l2O 3 絶縁性 SiC (+ B eO ) IC 基板,パッケージ ZrO 2 SiC ,M oSi2 導電性 抵抗発熱体 ZrO 2,B aTiO 3 誘電性 ― コンデンサ イオン伝導性 ZrO 2,β-A l2O 3 ― 酸素センサ,電池 SnO 2,ZnO -B i2O 3 半導性 SIC ガス・ センサ,バリスタ 圧電性 P ZT,ZnO ― 着火素子,発振子 (Zn, M n)Fe O 磁性 ― 磁心,記憶素子 2 4 Y 2O 3 蛍光性 ― 蛍光体 A l2O 3 透光性 ― N aランプ 偏光性 P LZT ― 偏光素子 SiO 2 導光性 ― 光ファイバ UO 2 原子炉材 UC 核燃料 減速材 B eO C 減速材 B 4C 制御材 ― 制御材 図1.3 ニュ-セラミックスの応用製品例 セラミックスの種類と用途 (-代表的なセラミックス材料-) セラミックス材料の大分類:(1)酸化物系セラミックス (2)非酸化物系セラミックス 1. 酸化物系セラミックス 代表的な材料(金属酸化物を原料としたもの) :Al2O3(アルミナ),ZrO2(ジルコニア),MgO(マグネシア), BeO(ベリリア),ThO2(トリア),UO2(ウラニア)・・・ 核燃料 アルミナAl2O3 ①Alの酸化物を精製・調整し焼結したもの ②電気絶縁性,耐熱性,耐食性に優れる ③電子材料の基板として多用される(IC基板、ICパッケージ) ④耐摩耗性を利用した軸受け,シャフト ⑤化学的安定性,生体組織適合性を利用した人工骨, 人工歯,人工関節などの生体材料 ⑥軽量性とダイヤモンドに次ぐ高硬度 ⑦成形・加工の容易さ(マシナブル・セラミックス) 図 アルミナ製品 ジルコニアZrO2 Mg,Ca,希土類金属等活性金属 ①耐熱性と耐食性に優れる(→溶融金属,ガスなどに反応しない) ②純物質状態では高温での結晶変態に伴う破壊を誘発するため、 安定化剤(酸化カルシウム)を添加して焼結し、安定化ジルコニア として高温発熱体等に利用 (→酸素イオン伝導体→固体電解質:「燃料電池」) ③キュービックジルコニアCZは光の屈折率が2.17と天然ダイヤモンド の2.47に近いためダイヤモンドの代用品として用いられている 図 ジルコニア耐熱材料 図 Cubic ZrO2 他の代表的な酸化物系セラミックス 耐高温、高強度 (a) マグネシアMgO ジェット機用窓ガラス ①透過性セラミックスの代表的材料 (→高圧ナトリウム灯用発光管に利用) ②熱膨張率が大きく、Pt,Niや希土類金属用 の溶融用ルツボとして多用 (b) ベリリアBeO :熱伝導率に優れかつ絶縁性が良好であるため IC回路の放熱板に利用(ただし金属Beとともに 毒性がある) (c) チタニアTiO2 (cf.修正液、修正テープ、白色塗料) :硬度,引張り強さが顕著に大きい (d) チタン酸バリウム BaTiO3 :チタニア(TiO2)を炭酸バリウムと反応させて焼結したもの で、誘電率*)が大きく、コンデンサ材料の代表的材料として多用 電磁気学の基礎 *)誘電体・・・電圧を付加した時には定常電流は流れないが、 電荷を蓄積することのできる材料[:コンデンサ] 誘電率:ε(比例定数)・・・D=εE 電束密度:D(・・・誘電体により形成されたコンデンサの単位 面積当りに蓄積される電荷量) 電界:E[V/m] 図 セラミックコンデンサ(・・・電子製品、IT産業に不可欠) 2. 非酸化物系セラミックス 代表的な材料(人工的に合成した新しい無機物を原料をとしたもの) :Si3N4(窒化ケイ素),SiC(炭化ケイ素),BN(窒化ホウ素), ZrC(炭化ジルコニウム),C(ダイヤモンド),炭素繊維 ・・・フラーレンC60 カーボンナノチューブ 代表的な特性:共有結合が支配的であるため、高温強度・脆性に優れる 物質中最も強い化学結合 セラミックス最大の弱点 (a) 窒化ケイ素Si3N4 高温での変形が金属とは異なり小さい 金属と同等 ①熱膨張率が小さく、かつ熱伝導率が大きいため、熱衝撃に強い ②高温強度は1473Kで約700MPa以上を示すため、 各種耐熱材料以外に高温用機械部品材としの応用が期待 (:切削工具,ガスタ-ビンの回転軸など ・・・cf.Niタ-ビン用基耐熱合金:1366K-300MPa (ジェット機のタービンブレード ・・・金属の2倍以上) の代表材料) セラミックス高温高強度材料の代表的物質 「セラミックスエンジン材料」 (b) 炭化ケイ素SiC ①伝熱性に優れるため、高性能IC基板に利用 ②硬度が大きい ③Si3N4同様耐熱材料として期待 ④抵抗発熱体(通電により材料自体が高抵抗に起因して 発熱し高温になるもの)→セラミックスファンヒーター 溶解用ヒーター ⑤焼結性が悪い (c) 窒化ホウ素BN ①六方晶,立方晶の2つの結晶構造を有する ②実用型としてcBN(Cubic Boron Nitride)が多用される ・・・ダイヤモンドに次ぐ硬度を有する 高温下において切削工具材料として期待 →セラミックス機械構造用材料 ③cBNの製造法・・・h(Hexagonal)BNを2273K-5000気圧 の高温・高圧下で焼結 *h-BN・・・半導体SiへのB添加(拡散)材料 活性金属溶融用ルツボ
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