全中理鳥取大会報告

平成18年度道中理冬季研修会
「全中理 鳥取大会 報告」
札幌市立札苗北中学校
伊藤 直
第53回全中理鳥取大会
平成18年8月3日(木),4日(金)
大会主題
「自然から学び、豊かな心を育てる理科教育」
日程
会場:米子コンベンションセンタ-
大会主題
「自然から学び、豊かな心を育てる理科教育」
子どもたちを取りまく状況
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直接的な自然体験の減少・・・・・自然を親しいものと感じられない
中学校理科の目標
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
主体的・意欲的に自然を調べようとする態度を育てることを喚起
科学的な見方・考え方を養うことを提起
鳥取県
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『人と自然の共生』をテ-マとした環境立県・・・・・鳥取砂丘、大山
等の豊かな自然
自然体験を通して、科学的に調べる能力、科学的な見方・考え方、
自然を愛する気持ち、豊かな個性を育めるように・・・・・
「豊かな自然を生かした授業の創造」を目指して
文部科学省講演
「今後の理科教育の方向性について」
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
文部科学省初等中等教育局 教科調査官
国立教育政策研究所 教育課程調査官
清原 洋一 先生
概要
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
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PISA2003やTIMSS2003の国際調査、平成15年度小中学校教育
課程実施状況調査をもとに中央教育審議会中間整理から考える。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の審議経過
報告より一部抜粋して、教育内容等の改善の方向の議論を紹介。
2006年1~2月に実施された「特定の課題に関する調査」の紹介。
文部科学省講演
清原 洋一 先生
TIMSS2003調査結果

理科・・・・世界「第6位」(中2の4900人、46か国/地域)
「理科の勉強は楽しい」59%・・・・・国際平均77%を下回る
「理科は得意な教科だ」49%・・・・・国際平均54%を下回る
PISA2003調査結果

理科・・・・世界「第2位」(15歳の6000人、40か国/地域)
「読解力」・・・OECD平均と同程度
「科学的リテラシ-」・・・1位グル-プ/フィンランド、日本、香港、韓国
「問題解決力(今回から実施) 」 ・・・ 1位グル-プ/韓国、香港、
フィンランド、日本
文部科学省講演
清原 洋一 先生
教育内容等の改善の方向
(1) 人間力の向上を図る教育内容の改善
①基本的な考え方
ア 言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりの重視
イ 確かな学力の育成
講演資料 12p
ウ 子どもの社会的自立の推進
エ 社会の変化への対応
②具体的な教育内容の改善の方向
1) 国家・社会の形成者としての資質の育成等
2) 国語力、理数教育、外国語教育の改善
ア 国語力の育成
講演資料 13p
イ 理数教育の改善
○知識・技能の定着 ○思考力・表現力等の育成
○学習意欲・学習習慣
ウ 外国語教育の改善
3) 総合的な学習の時間などの改善
(2) 教育課程の枠組みの改善
文部科学省講演
清原 洋一 先生
平成17年度特定の課題に対する調査 小中学校理科
「特定の課題に関する調査」は、教育課程の基準の普段の見直し等の
ために、継続的に行われる全国的・総合的な調査の中に位置付けられ
るものであり、教育課程実施状況調査や研究指定校による調査の枠組
では把握が難しい内容を調査するものである。
調査A:中2 3000人、映像による調査
(1冊子1単位時間)
調査B:中2 300人、観察・実験を重視した調査
(2冊子1単位時間)
◇出題のねらい(能力・スキル)
① 問題を見出し、その問題を解決するための観察や実験の
方法を考察する能力
② 観察・実験の結果やデ-タに基づいて考察する能力
③ 観察や実験に関する技能・表現の能力
文部科学省講演
清原 洋一 先生
【出題のねらい】
冷たい飲み物の入ったコップの表面には、空気中の水蒸気が結露する現象が
見られる。この現象から疑問点や問題を見いだす能力を調べる。
さらに、この現象がコップ内の水がしみ出てきたのではないことを説明するため
の実験方法と実験結果の予想を考えさせることにより、現象を科学的に調べたり、
論理的に説明したりするための能力を調べる。
また、日常生活の中で、類似の現象を考えさせることにより、日常生活を科学的
に考察する能力を調べる。
5分科会の研究主題
第1分科会 (教育課程)

自然とのかかわりの中から、自ら考え自ら学ぶ意欲を育てる教育課程
第2分科会 (学習指導)

自然に対する関心を高め、科学的に調べる力を育てる学習指導
第3分科会 (観察・実験)

身近な自然の事物・事象から、主体的に学び取る力を育てる観察・実験
第4分科会 (環境教育)

自然に親しみ、豊かな心を育てる環境教育
第5分科会 (学習評価)

自然に対し主体的に探究する力を育て、学ぶ意欲をはぐくむ学習評価
第1分科会
(教育課程)
釧路市立桜が丘中学校 田中 陽一 先生
中学校理科「天気とその変化」における授業改善
~釧路の霧(移流霧)簡易発生装置(イリュ-ジョン)の開発~

研究のねらい
・学習単元の中心としての霧を理解させる
・北海道釧路の霧の特異性を生かす
・マイナスイメ-ジである霧の発想転換をさせる

研究の方法・内容
・「移流霧」簡易発生装置の製作と授業実践
・ペットボトル「放射霧」簡易消滅装置の製作と授業実践
第1分科会
(教育課程)
釧路市立桜が丘中学校 田中 陽一 先生

研究の成果と課題
・生徒の変容が「Q-分類簡便法」(北海道教育大学附属釧路中で開発)
で確認された。
・日常の自然現象を実験室で再現し、霧の発生消滅条件のキ-ワ-ド
である気温の意識付けに成功した。
・今後、釧路の自然を大テ-マにした授業作りや環境教育の視点で考え
ていきたい。
・他教科との関連から、クロスカリキュラム作りや総合的な学習の時間の
活用を考えていきたい。
第3分科会
(観察・実験)
旭川市立広陵中学校 上原 丈典 先生
補充的・発展的学習における観察・実験の工夫
~第2学年「動物の世界」・「天気とその変化」の実践から~

研究のねらい
・再構成した単元の終末に効果的な補充的・発展的な学習を設定し、
生徒の思いに応える学習を展開する。
・課題選択能力や問題解決力をつけ、日常生活に生かそうとする
科学的態度を身に付けさせる。

研究の方法・内容
・「動物の世界」で、観察学習での体験を基にする生徒の興味・関心を取り
入れた観察・実験
・「天気とその変化」で、生徒自ら設定した単元を通しての課題を基にした実験
第3分科会
(観察・実験)
旭川市立広陵中学校 上原 丈典 先生

研究の成果と課題
・地域の施設や人材を有効に活用したり、動物を直接観察したことにより、
生徒の興味・関心を高めることができた。
・さまざまなモデルを活用することで、とらえにくい現象のイメ-ジをつかみ
やすくなった。
・グル-プで自分の考えを交流することで、生徒の思考の変化や高まりが
見られた。
・生徒の理解度にあった観察・実験を用意する必要がある。
・T・Tや外部講師を活用し、きめ細かな指導ができたが、事前打ち合わせを
綿密に行う必要がある。
・補充的・発展的学習の課題を設定する上で、教師と生徒の思いをどのよう
に融合していくか、さらに研究が必要である。
第5分科会
(学習評価)
札幌市立発寒中学校 渋谷 啓一 先生
科学的素養を育む学習評価
~能力要素の明確化と自己評価を取り入れた探究過程の工夫~

研究のねらい
・科学的素養を育むことを重点に、自然に対して主体的に探究する力を育てる。
・科学的素養の育成に必要な能力要素の明確化とそれに対する評価のあり方
を探る。

研究の方法・内容
・3種類の必要な要素にまとめ、単元の指導計画に生かす評価計画を作成し
た。具体的には ①科学的な知識・概念、原理・原則を理解するための能力要
素
②科学的に事象を追究し、解決するための能力要素
③自然とのよりよい共生の関係を志向するための能力要素
第5分科会
(学習評価)
札幌市立発寒中学校 渋谷 啓一 先生

研究の方法と内容
・授業を構築するときに、「自然とのかかわり」、「他の学び手とのかかわり」、
「自己の学びの振り返り」を意識させる場面を繰り返し設定し評価すること
で科学的素養を育む。

研究の成果と課題
・能力要素を明確にし、単元の評価計画を立てることで、科学的素養を教師が
常に意識して授業を行えた。
・「学習の記録」への記述内容に教師が目を通したり、自分の記録を振り返る
ことで、生徒が自分自身の変容を見取ることができた。
・各単元で設定した能力要素が科学的素養を形成するものとして妥当なものか
を検討する必要がある。
・「学習の記録」を柱とした学びの見取り方を継続研究する必要がある。