9月(No.90) - 東京都学童保育連絡協議会

No.90
2008年9月発行 頒価30円
東京都学童保育連絡協議会
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大阪から“まじょりん”がやってきた!
第37回 東京の学童保育研究集会
子も 親も 安心
今こそ やっぱり学童保育!
2008年7月13日(日)
、都立南葛飾高校にて、第37回都研集会開催されました。
全体会は、土佐いく子の記念講演でした。2008年3月まで、
大阪の小学校で教員を続けられていた土佐先生。現在は専門員と
して小学校へ勤務、子どもたちから“まじょりん”という愛称で
呼ばれているそうです。大学の非常勤講師としても活躍中の土佐
先生。
『大阪も暑いけど、東京も暑いね。
』と話されながら、教員
生活の中で出会った子どもたちの様子を、語ってくださいました。
『明日に生きる子どもたちを信じて』
~子どもたちの心の声が聞こえますか~
今、子どもたちは・・
講師:土佐いく子先生
学校は・・
今、先生は忙しすぎて、問題を抱える子どもとじっくり向きあうことができない。退職前に4年生の担
任をした。3、4年生は大きく飛躍する育ちの節目の学年でもある。この時期に言葉の力をつけることは、
子どもたちの学力や自立にとって大変大きな役割を果たす。子どもたちの作った川柳を『まじょレター(学
級通信)
』に載せている。子どもの思い、家庭の様子、他の保護者からの反響などもある。
子どもたちの心の声に耳を傾けて
子どもたちの本当の姿が非常に見えにくく、見えたときは事件であったり、自殺、他殺であったりする。
それまで子どもたちは多くのSOSを出してきたと思う。しかし、大人たちは高い期待を持って、疲れた
子どもに甘えるな!と言ってきた。そうだね、と共感してもらえない子どもたちは、ほんとのことを言わ
ず、心に蓋をしてしまう。でも出さずにおれない子どもたちは非常に歪んだ形でサインを送ってくる。
7年前に1年生の担任をしたが、クラスは大変で1学期はフラフラでした。
「僕なんか産まれて来んかっ
たら良かったんや」と言う子がいる。7歳にして人を信じられない子がいる。今、さまざまな事件を起こ
している青年たちと同じ叫びではないか。学校を人のぬくもりのあるところにしたい。
秋葉原での事件の翌日、大学生たちに聞くと、多くの学生が許せないと憤っていたが、その青年(犯人)
の気持ちがわかる気がすると書いていた。
親からの「あなたは大事な人なんだよ」という思いは届いているだろうか。親たちは自分の愛情は届い
ているとかなりの人が答えているが、しかし自分たちは愛されていないと思っている子どもとの格差がす
ごい。子どもへの思いをもっと言葉にしてていねいに届けていかないといけないと思う。
-1-
6年生を担任した時、心に残る修学旅行にしてやりたいとの親の提案
があり、親の思いを手紙にして旅行先の子どもたちに届けた。前日には
忙しい親からも全世帯から手紙が届いた。子どもたちに手渡すとまだ読
んでもいないのに胸に抱いて泣いている女の子、もらい泣きする子がい
た。今の子どもたちがこれほどの思いで受け止めてくれたことは思って
もみなかった。親子だから通じ合っていると思わないで、大事なことを
伝え合うことが大切だと思う。
一方で、勉強もよくできて、大人たちの言うこともよく聞く、よい子がとても増えた。でもこのよい子
が心配です。失敗するのがイヤ、一番になれないから、大人たちの評価が気になって仕方がない。学校で
良い子する、家で良い子する、ところが学童保育でめちゃくちゃする。指導員は大変だろうが、ストレス
解消場所、本当の姿が出せる場所なのです。学童保育が悪い、指導が悪いのではないか、と言わず、本当
の姿が出せている、学童保育が助けてくれているからうちの子は生きていると感謝してほしい。
今、子どもたちが自立し、一人の人間として生きていけるために、そして点を取るための学力ではなく、
生きていける豊かな学力をつけるためには「人間づき合い」
「言葉」「生活を作ること」が大事です。
人づき合い
大人たちの人づき合いも地域の中から消えていき、職場でも家族の中でも気遣いをし、本当の自分を出
せなくて付き合いがうまくいかない。この人間関係が反映されるように、一番弱い子どもたちの人づき合
いもしんどくなっている。いじめ、ひきこもり、自分の苛立ちを他者への攻撃にしてしまう、気遣いにす
ごく疲れている。あるお寺の門前に「わが子が人間づき合いのできるようにするのが親の子育て」とあっ
た。学校でもちょっと触れただけでもすぐ喧嘩になる。どうしてこんなにトラブルが多いのだろうと悩ん
でいる。自分が大切な存在である、愛されていると思えない子、自分が嫌いだという子にもトラブルが多
い。勉強がわからない、学校がつまらない、塾に追われている子にも多い、荒れている。家庭で学校で怒
られたり、叱られたりすることで、子どもたちは非常にイライラしたり、淋しくなったり、不安になった
りすることが多くなっている。また、ものを考えたり、自分の感情をコントロールする言葉の弱い子がす
ぐキレてしまう。生体のリズムである朝早く起きて、夜はぐっすり眠るという生活ができておらず、体も
脳もイライラしている子どもたちが増えている。
学校でも家庭でも学童保育でも子どもたちに人付き合いの仕方を助けてやることが大人たちに求められ
ている。けんかの仲直りをさせるより、
「どうしたの?」と聞いてやりたい。小さいことが発端だが、
「そ
うだったのー」と双方に聞いてほしい。その奥に寂しさやいら立ちをたくさん抱えている。お互いの事情
をそれぞれが理解し、思いやることで、自分たちで解決する力を育ててあげたいと思っている。学童保育
の宝でもある理屈抜きに体を思いっきりぶつけあって仲間たちと遊び込む、時間を忘れて夢中で遊び込む
場を作ってやることが改めて大事な課題になってきているのではないか。
(親ができることとして)子どもの話を聞いてやっていることで、愛されている子どもはトラブルを起こ
しても解決がうまくいく。愛されている子はトゲが出ていない。親にできることは愛情を届けること。
言葉
作文教育を大切にしながら教師をしてきたが、ここにきて、言葉が大事になってきた。なぜ言葉が子ど
もの自立や学力のカギを握っているのか、人間は言葉でものを考えるからです。子どもは先生の話を聞き、
本を読み、言葉で考える。当然、学力にも人間形成にも大きく関わってくる。言葉で認識し、言葉でコミ
ュニケーションするから、人間づき合いのカギを握っている。そして言葉で自分をコントロールする。キ
レる子どもが自分の言葉を持って自分でものを考えるようになると、ずいぶん落ち着いてくる。何で自分
はイラついているのだろうか、と考えられる。
人間が言葉を獲得するとはどういうことなのか?子どもたちが言葉を持つために大人たちはどうすれば
いいのか?子どもは言葉を覚え、その言葉で自分の見たこと、感じたことを表現し、大人に話しかけなが
-2-
ら、コミュニケーションをとっていく。その時、大人が話を聞いてくれる、共感してくれると子どもは満
足する。話を聞いてもらって心が満たされた子は、この人にまた話したいな、聞いてもらいたいなと思う。
共感してくれるよい聞き手がいることは子どもの世界を変えていく。最近、ベラベラよくしゃべるが、こ
ちらの言葉が届いていない子が増えてきている。大人にやさしい言葉をかけてもらっていない、うなずき
共感しながら話を聞いてもらっていないからではないか、と思う。
やさしい声でやさしい言葉をかけてやることで、子どもに安心や喜び、生きる意欲を届けてやることが
できる。大人たちのかける言葉で子どもたちは、がっかりしたり、悲しくなったり、淋しくなったり、イ
ライラしたり、不安になったりする。子どもの話を、目を見てうなずきながら共感して聴いてやる。
子どもは言葉をたくさん知っているが、その言葉の中に人間の心や感性が宿っているだろうか、自分の
体験をくぐって獲得した言葉だろうかと、子育てに関わる私たちが子どもたちの言葉を聞き直してみる必
要がある。
「ムカつく、気色悪い、死ね」という子どもと向き合い、なんで?とその言葉にある状況を話さ
せている。長崎で事件を起こしてしまった女子は、たくさんの詩や小説を書き、すごい言葉を知っていた
が、その言葉の中にどれだけ人間の感性が宿っていたのかな、と思う。子どもの言葉、話に大人が共感し
てくれるよい聴き手になることが、生きた言葉を育てていく。
ある講演会で、母親が子どもと話そうとするが、話してくれないとこぼす。それは引き出そうとするか
ら子どもはしんどい。逆に母親が自分のことを話せばいい。子どもはきっとこっちを向く。学校でもヘタ
な授業をしているとそうです。
「先生なぁ、昨日、こんなことがあったんよー」というと、
「先生、どうし
たん?」とみんな、こっちを向く。子どもは大人が今、何に悲しんだり、喜んだりしながら生きているか
知りたい。大人たちが語りかけることで、子どもたちも心を開いてくる。
生活者に育てたい
学校から帰ると、すぐ勉強を教えてくれる母親がいる。私は、学校で顔の洗い方、お尻の拭き方、雑巾
の絞り方を教えている、何かおかしい。家庭教育とは何だろうか。睡眠のリズムが崩れている子もとても
多い。おいしい朝食を食べないと、ぐっすり寝ないと脳は活躍しない。元気で賢い子になってほしい。子
どもたちが家族の中で当てにされる、あなたがいるから家が回っているな、学童保育の中で子どもたちに
役割がある、リーダーがいて、という体験をさせてやることが今、とても大切だと思っている。
集会のテーマにもある「子も親も安心
いまこそ やっぱり学童保育!」と私も思う。こんな時代にあ
って学童保育が、子どもたちに安全と安心を届ける場になってきた。
2つ目、学校で、家でいい子して、学童保育で本当の自分を出せるとい
う自分の居場所になっている。大変だがそんな子どもたちに付き合ってい
ただきたい。
3つ目、人間づき合いが大変になってきた今、学童保育の中で揉みくち
ゃになりながら、人間づき合いの加減を学び合ってほしい。
4つ目、今、親たちがバラバラになっている。そんな中で、学童保育
は親たちの輪を作ってくれている、大きな財産です。子育てに悩んだ時、困った時に聞いてもらう親同士
の関係を、作っていくことがとても大事です。親の人間づき合いを広げ、子育ての輪を広げてくれるとい
うことは学童保育の大切な伝統です。だからこそ、学童保育には人が集まるのです。大事にしたいですね。
~参加者の感想から~
土佐先生のお話しをお聞きしてかんじたことは、
「ことばって大事だなぁ~」
「伝えるって大切なことだ
なぁ~」ということでした。口からことばを発するだけではなく、先生が紹介してくださった学級だより
の文字(文章)からもことばの大切さをかんじました。土佐先生が普段やられているこどもたちとのやり
とりって私にもできるなぁ~って思いました。子どもたちの小さなつぶやき小さなチャレンジにも目も耳
も心も全集中でそれをみてあげたい、かんじたいと思えた・・・
とってもいい気づきのチャンスを、今日お話しを聞いていただきました。
-3-
交流しながら学べる分科会
~参加者の感想から~
午後は、9分科会12教室に分かれての分科会。学童保育や子育てについて、
各地域の報告・発言から、活発な学習・交流がすすめられました。
第1分科会
ようこそ学童保育へ
あらためて、学童保育の大切
さ、指導員さんの保育に傾ける情
熱を思い知りました。子ども達
は、小さな胸に沢山の気持ちを抱
えて、大人への関わりを求め、自
分の居場所を確かめているのだ
とわかり、大人は心にゆとりをも
って子どもの声に耳を傾ける姿
勢が必要であると思いました。自
分の学童クラブのことをふり返
ると、もっともっと、父母と指導
員との伝え合い、父母同士の交流
が必要であるなと思いました。い
ろんな事を気づかせて頂きあり
がとうございます。
第2分科会
学童保育の子どもたち
父母会として、父母会活動、
行事の対応に追われるだけでな
く、指導員と一緒になって学童
保育を運営していく共催者とし
て、
“子ども中心”の視点を忘れ
ずに、より一層、普段の学童で
の子どもたちの生活をより良く
するために何ができるか、とい
うことを一緒に考える時間をも
っともっと持ちたいと感じまし
た。
第4分科会
父母会って?たいへん!楽しい♪
父母会活動4年目でいつも悩んでいるのが、父母会は
このまま存続できるのか?ということ…。皆の意識の違い
が大きく、どうやって訴えていけばいいのか…、出席され
た方々も皆同じ悩みがあったり、成功している父母会の
話を聞けてされた方々も皆同じ悩みがあったり、成功して
いる父母会の話を聞けてがんばる気力になりました。他
の区ではお父さん達の活躍を聞き、我々もどうやってお
父さん方を引き
入れるか考えな
くてはと思い ま
す。地道に 人と
接 す るこ とで 大
切さを伝えて生
きた い と思い ま
す。
-4-
第3分科会
ともに育つ学童保育の生活
第2分科会
学童保育の子どもたち
指導員、保護者という双方の交
流会がとてもよかったです。なかな
か他の現場や色々な障がいのある
子の親御さんとそれぞれの立場か
らの発言を耳にする機会が初めて
でしたので参考になる部分、考えた
事、反省点、自信になった部分と多
方面から身体全体で感じられまし
た。特に印象に残った事が、「違い
をどのくらい受け入れられるか?」
「大人になったとき社会であたり前
のルールを身につけさせる、“社会
に関われる能力を身につけさせる
か”」子に関わる人の役割、なんだ
と思いました。型にはめる事は良く
ないけれども微妙なさじかげんが必
要ですが…。本当、子ども・親・指導
員と“力を合わせて”一緒にがんば
りましょう!
第5分科会 講座 東京の学童保育はいま…
今 まで 漠然 と
し かわ かっ て い
なかった学童保
育と全児童対
策、細かく今日
聞い てやっ と は
っ きり自分で 把
握できた気がす
る。とともに、最
後の交流会の中で、各区、色んな方の実情や思い、考
えを聞いていく中で、そこまで内容・質が違うものか、そ
れはこのままではまずい、という思いが自分としてはっ
きり出てきました。もっと色々調べて勉強していきたいと
思います。
第5分科会 交流①
第5分科会 交流②
第5分科会 交流③
全児童対策事業と学童保育
様々な運営形態の学童保育
待機児童問題と学童保育
これから導入になるので、既に
始まっているところの実践や課
題などを聞けて興味深かったで
す。どこも大変そうで心配になっ
た部分もありましたが。連携とい
う姿勢で、何ができるのか、いろ
いろ考えさせられました。学童保
育を担う役割、保育の質は守って
いきたいと改めて思いました。
第6分科会
連絡協議会の役割って?
学童保育に子どもを安心し預
けていた私ですが、その為には、
多くの父母の方の活動、OBの父
母に支えられている事を知りま
した。現役パパ、ママは、今日の
目の前のことでいっぱいいっぱ
いですが、ふと足を止めて、長い
先のことも考えるためにも、協議
会に、一人でも多くの人が参加
し、活動しつづけられるようにし
なければと感じました。
初めて参加させていただきました。
他区の方のお話しを伺えて、色々な
学童保育の形態があり、区によって
も 違いがあ るので勉強になりまし
た。NPO法人は、時間もお金もない
ので、若い先生への教育のフォロー
アップができないので、若い先生が
長続きできない。お給料が低けれ
ばモチベーションも下がる。
他区の学童保育の大規模化に
よる苦労や対処法を聞き、学童
保育の本来の姿について、改め
て考えさせられました。親が安心
で、子どもが安全で、他者とのコミ
ュニケーションを通じ、人間的に
成長できるところだと思います。
第8分科会 子育てを語ろう
第7分科会
学童保育を巣立ったら
他の 学童保育に 通って 父兄か
ら 、4 年生に なっ た ら 「はじけ るよ
ー!」と聞かされていたので、どん
な感じなのか気楽にきてみました
が、お金、ケータイ、カギ、子どもに
持たせるものについて、改めて、考
える時期にきているのだなと感じま
した。学童保育を卒所してからも、
児童館と併設なので、遊びに行った
りしてほしいです。経験豊富な方が
いらっしゃって、ためになりました。
我が家の子どもだけでなく、
分科会に参加した保護者が同じ
ような悩みを持っていることで
安心しました。子どもとの時間
を取れない場合、交換日記をし
てお互いの気持ちを知ることや
少ない時間であっても、子ども
と一緒に料理をしたりして親子
の時間の大切さを知りました。
先生、地域の人、保護者の方々
に自分自身の存在、子どものこ
とを知ってもらい、自分ひとり
でなく、周囲の人々と一緒に子
育てをしていけたらいいのでは
ないかと思いました。
第9分科会 やっぱり!学童保育
お誘いをいただき、川崎から参加させてもらいました。学童保育が全児童
施策にのみこまれないよう学童保育の文化は他のものにはかえられない価
値があります。一体化や連携の名の下に学童保育のもつ固有の文化が消さ
れてしまわぬよう、今の学童っ子が親になり子どもを学童保育にいれたとき、
みんなで「やっぱり学童保育!」と笑顔で言えるようがんばりたいです。みなさ
んのお話がきけてよかったです。ありがとうございました。
-5-
子どもたちのがんばりに感動!~全体会
アトラクションから~
○汗も暑さも気にせず、けん玉に集中してリズムに合わせて発表する
子どもたち。その姿にくぎづけになり、ことらも暑さを忘れ笑顔で
見入ってしまいました。がんばる姿よかったです。
○恥ずかしながら私の学童保育では剣玉遊びができないこと、そして
私自身も剣玉はできないので、あの大舞台で堂々と技をくり出す姿
に感動しました。
○子ども達も、今日発表できるのをとても楽しみにしていました、そのために“上手にケン玉できる
ようになろう”とがんばっている子どもたちはたくさんいました。このような経験が出来るという
のは、とても喜ばしいことです。なかなか舞台に上がってやる経験はないのではと思うので、この
ような機会をつくって下さりありがとうございました。
葛飾に忍者見参!(小学生)
少人数でゆったりと…
保育室から
午前は剣作り・手裏剣の練習など修行の数々。午後
は試練の旅へ出発。旅を終えて免許皆伝、立派な忍
者が次々と誕生しました。
(幼児)
おえかき、折り紙、ブロック等
じっくりと室内遊び。午後の水遊
び、よい気分転換ができました。
第38回都研集会は台東区で開催します。
2009年、台東で会いましょう!!
各区のニュースから
「つながろう!」
練馬区
~本年度の定期総会を開催し、活動方針を採択しました~
増加を続ける待機児童を受け入れるために区が進めてきた受け入れ枠の拡大は常態化してしまい、40人
定員のところを45人、50人受け入れ、あるいは指導員3名体制にして60人受け入れしているクラブでは、子
どもたちがストレスの多い環境で過ごしています。そうした無理な多人数受け入れや、2007年度からのより厳
しい入会基準の改定などにもかかわらず、待機は解消に向かうにはほど遠い状況が続いています。一方、昨
年度から区が具体化の検討を開始し、1月から半ば見切り発車的にモデル実施をスタートした「放課後子ども
プラン」も、今年度からさらに実施校を増やし本格的な展開が始まりますが、学校応援団と学童クラブの「連携」
について未解決の問題を抱えたまま走っている状況であり、このなかで学童保育の質をどのように維持してい
くかが課題となっています。また、これに伴って学校外にある学童クラブの学校内移設が計画される一方で、す
でに小学校内にある学童クラブの待機については対策がとられないという、待機解消という点からは矛盾する
ような施策が進められています。
こうした状況のなか、わたしたち練連協はどのようにして、子どもたちの豊かな放課後を守っていけるのか。
そのためには、それぞれの学童クラブが直面している問題を、みんなの問題としてとらえて、一緒に考えていく
ことが何よりも力になるのではないか、と考え、今年度の活動方針に「つながろう!」を掲げました。
(練馬学童保育連絡協議会発行 『練連協ニュース』 2008/7/23 第1号より転載)
-6-
読むと各区が見えてくる
今、23区の学童保育では・・・
第37回都研集会[2008/7/13(日)開催]
『討議資料』から、抜粋版を紹介します。
文 京 区
文京区の育成室の概要をご紹介しますと、
育成室数 ・・・ 25カ所(児童館内16か所,学校内6か所,単独3か所)
定員は40名が基本(基本的に3年生まで)
運営形態 ・・・ 23育成室が公設公営、2育成室が公設民営
入室審査 ・・・ 最初の入室時の審査以降は卒室時まで保育を保障
指 導 員 ・・・ 1育成室に区の正規職員が2名+条件により非常勤職員
保 育 料 ・・・ 月額4,000円が基本、おやつ代は別途徴収
保育時間 ・・・ 午後6時まで(土曜日は午後5時まで)
障 害 児 ・・・ 子ども1名に対し1名の非常勤職員が加配 6年生まで延長可能
2008年4月1日現在で、文京区で学童保育に通う子どもの
人数は1,081名となり、7年連続で過去最高を更新しました。
と同時に待機児童も徐々に増加しており、一時的な緊急措置とし
て数年前に実施された50名受入体制も半ば恒常化しております。
2008年度は50名以上の育成室は5室、本来の40名定員を
オーバーしたのは20室となりました。
台 東 区
【入所状況】
4月1日現在、18クラブに760名の児童が在籍しています。8ヶ所で合計39名の待機児童が出て
います。また、2003年より待機解消の暫定措置としてとられた受け入れ枠の拡大(定員に対して25%
増の受け入れを行うもの、一部では25%以上)も解消されておらず、11ヶ所の学童保育クラブでは、
定員を超えた受け入れを行っています。
【保育時間】
通常は、下校~18時。学校休業日は午前8時半~午後6時(土曜日は午後5時)
。社会福祉事業団委託
の3クラブで午後7時までの延長保育を試行実施継続。その他、株式会社の運営するクラブ1ヶ所では通
常保育として午後7時まで実施。
2008年度小学校内に新たにこどもクラブ(学童保育)が開設、現在1ヶ所クラブを運営している株
式会社に委託され、区内の学童保育クラブは昨年より1施設増え、18となりました。2005年度開設
されたクラブが、学校法人の現地撤退に伴い委託先が変わり、2008年度から社会福祉事業団が運営を
引き継ぐこととなりました。これにより、区の外郭団体である「台東区社会福祉事業団」に13クラブ、
株式会社3社に4クラブ(1 社が2クラブと他はそれぞれ1クラブ)
、学校法人に1クラブ、合計5つの団
体に運営が委託されています。
【今後の課題】
クラブ数や受け入れ人数が増えているにもかかわらず、待機児は依然解消されず、大規模化の問題も解
決していません。障がい児保育(現在は4年生迄で学年延長を含む)の声も上がっており、希望する全て
の子どもたちが入所できるよう、施設の拡充、増設が必要です。
-7-
指導員と保護者のみなさん!
『日本の学童ほいく』を読みましょう!
さびしいお知らせです。東京23区の購読総数は前年度とから横ばい状態というか減少傾向です。すこ
しづつ読み広めが進んでいる区もあります。知恵と工夫と取り組み次第では、まだまだ購読を広める可能
性が大きく残されているわけですよね。引き続きのご愛読とより一層の読み広めをよろしくお願いします。
自分がたのしいと感じたページ開いて、ぜひ近くの方にお勧めしましょう。共感がひろがるといいなぁ。
ほいく誌は1冊 330 円(税込)です。
【2008年10月号の紹介】
特
集
表紙のテーマ:ひみつのうんどう会
仕事・子育て・学童保育
■働く母親の姿をみせて■家族が私の原動力です!■気がつけば
10 回目の夏■心と心のつながりに支えられて■過ぎてみれば一
時の苦労■多くの出会いに育てられて■今日も笑って過ごせるよ
うに■伝えることで保護者を支える■親の働き方と子どもの環境
定例企画
[連載]学童保育の子ども観と生活づくりは大丈夫か 第7回
「少年事件にみる親子関係と幼児性」 村山士郎
・ずいそう・らんこ先生のすこやかクリニック「チック」
・身近に発見 花と虫・出会い集い父母会
・仕事・職場のいま・わたしは指導員・実践ノート・たのしいな・ねっとわーく・協議会だより
◇専 従 後 記
その14◇
企画立案3日前
呼びかけ前日
集合80%以上!
緊急企画!ほいく誌モニター&編集委員 顔合わせ会を行いました!!
2008年度、23区からのほいく誌モニターは、7区
(文京 1・品川 2・板橋 3・練馬 1・葛飾 2・江東 2・江戸川 1)から
合計12名が登録しています。また、ほいく誌編集委員は
(10/3 全国連協総会まで)練馬の父母の方に引き受けていた
だき、年数回の会議等への出席をお願いしています。毎年、
都連協では、購読切り替えに向け1月下旬頃に『ほいく誌
会議』を開催していますが、モニターさんや編集委員の方
と早い時期に顔を合わせることがなかったため、集まる場
を作りたいなぁと思っていました。
都研前に各区から寄せられた参加者名簿をめくっていると…モニターさんのお名前が、何人もいらっ
しゃるではありませんか!?この場を使わずしていつ集まれるか?案内を急きょ作成し、メールやFa
xで呼びかけ、分科会終了後に集まってくれました~!緊急企画にノってくださった皆さんに感謝で
す!出席確認、区名・立場・氏名を自己紹介。集合写真を撮影後、
“夏のうちに「モニター通信」を出
しましょう”
“全国研を終えてから、金曜夜に会いましょう”などを確認して解散となりました。
ほいく誌読者の皆さん、モニター以外の方も、ほいく誌への投稿は自由。読みひろげ&投稿を声かけ
合って、地域での取り組みをすすめていただけたら幸いです。
-8-
東京都連協 専従職員 菅井憲子