『解析学』 後期の講義の概要 2004年度 講義担当:松本茂樹 『解析学』 対象と方法 • 関数(変量)の研究 • 実数の諸様相が齎す関数探求の方法 – 順序構造:不等式による評価と近似 – 位相構造:極限・連続性の常套 – 代数構造:多項式関数、解析性 ===微分積分学の核心=== 変化を瞬間において捉える • 定性的定式化(第4章) • 定理26 微分係数(瞬間 的変化率)がつねに正で ある区間において関数は 単調に増加する。 • Key words:局所と大域、 変化率(差商)、平均値 定理(⇔ロルの定理)、連 続関数の性質(最大・最 小値の定理等) • 定量的定式化(第5章) • 「微積分学の基本定理」 • f(b)-f(a) は導関数f’(x) の(区間[a,b]における) 定積分で表される。 • Key words:積和(リーマ ン和)の極限、面積概念 に相当する「量」としての 積分の定式化 平均値の定理を中心に据えた コーシーの微分学 • 定理25:「微分可能であれば連続である」 連続関数の性質を振り出しにした”歴史街 道(定理の連鎖)”(140ページの下方) • 局所的変化(微分係数=瞬間的変化率) と大域的変化(区間での増減の様子)を結 びつける平均値定理の役割 重要な二つの例 • 定理25(128ページ)の逆は不成立(反例あり) – 微分不可能な連続関数の例 – 到る所微分不可能な連続関数の例 • ワイエルストラスの関数(129ページ)、高木の関数等 • ある点で微分係数が正であったとしても、「その 点の近傍で関数が増加する」とは云えない(13 5ページの問5) – 瞬間的な変化の様子から大域的な変化を導くことの 困難さを示すとともに直感的理解の限界を感じさせる 例ともいえよう。 リーマン積分 • 微分係数は“差商(変化の割合)”の極限 • 導関数(瞬間変化率)から元の関数(変化)を定 量的に復元するには、「“積和”の極限」を定式 化する必要があり、これが(定)積分である。 • 面積概念を既知とすれば、定積分は平面図形 の面積の代数和として定義され「微積分の基本 定理」等が初等的に証明される。 リーマンによる積分論 • リーマンは積分を「積和の極限」として定義した (173ページから174ページ) • • • • – リーマン積分の定義を熟読し、175ページの問1の解 答を考えてよ。 積分可能条件(「ダルブーの定理」経由) 連続関数の積分可能性(定理35) 微積分学の基本定理(定理38) 「積分の性質」(基本定理の証明にも用いられる) が積分の定義に基づいて明らかにされる 教科書『解析入門』第5章 • 面積概念を仮定した定積分(初等微積分) • 「積和の極限」としての(有界関数に対する)リーマン積 分(p.173~174) • 積分可能条件(定理34&定理34’) • 連続関数の積分可能性(定理35) • 積分の性質(p.186 の例2– p.191) • 「微分積分学の基本定理」の証明(p.191-p.196) • 広義積分(第3節) • いろいろな例題(第4節) 後期中間試験について • 日時:2004年12月8日(水) 9:10-10:30 • 場所:141教室(いつもの講義室) • 出題範囲:後期講義の11月24日分まで – 教科書『解析入門』の第4章及び第5章 • 注意:試験は「持込不可」で実施する。 復習のための要点(第4章) • • • • 「重要な二つの例」 微分可能性に関して、問3(127ページ) 微分可能性に関して、問4(128ページ) ロピタルの定理(149ページ) – 定理の内容(仮定と結論)の正確な理解 – 例3、問17(150ページ)、練習問題4の4及び5(16 6ページ) • 凸関数の(不等式による)定義(150ページ) • 不等式の証明に関して、定理32、問19(156 ページ)、練習問題4の11(167ページ) 復習のための要点(第5章) • リーマン積分の定義(173・174ページ) • リーマン積分の定義に基づいて、具体的 な関数が積分可能かどうかを見極める。 – 問1(175ページ)の関数 – 定数関数 – 階段関数 • 不定積分・原始関数(194ページ)の定義と相違 – 問11(198ページ) 不連続関数の不定積分 – 問13(199ページ) • 広義積分(積分区間or被積分関数が非有界で ある場合) – 例3、問14、例6、問16、例7 • シュワルツの不等式(215ページの例9) – 章末の練習問題5の5(220ページ) 今後の講義予定(第6章) • • • • • 12月1日:級数の収束・発散(第1節) 12月8日: === 中間試験 === 12月15日:べき級数(第2節) 12月22日:関数列と一様収束(第3節) 1月12日:級数と一様収束(第4節)
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