確率・統計Ⅱ 第7回 カイ二乗検定(1) 1. 適合度検定 2. 独立性検定 適合度検定とは 例題: 1つのサイコロを120回投げたとこ ろ、1の目が27回出た。このサイコロ は正常か。危険率5%で検定せよ。 まず比率の検定として解いてみる。 帰無仮説 H0 : 母比率 p = 1/6 27 標本比率 x 0.225 120 帰無仮説 H0 : 母比率 p = 1/6 27 標本比率 x 0.225 120 Z xp 0.225 1 / 6 7 6 10 1/ 6 5 / 6 p(1 p) 120 n =1.71… < 1.96 Z = 1.71 < z0.025=1.96 だから (両側検定; 対立仮説 H1 : p ≠ 1/6 ) H0 は棄却できない。 すなわち、正常でないとはいえない。 適合度検定とは 例題: 1つのサイコロを120回投げたとこ ろ、各目の出た回数は次のとおりで あった。このサイコロは正常か。危険 率5%で検定せよ。 1の目 2の目 3の目 4の目 5の目 6の目 27 12 14 28 24 15 計 120 適合度検定とは 母集団 E が k 個のグループ E1, E2, …, Ek から成っているとする: E = E1 + E2 + … + Ek それぞれの比率(確率)は p1, p2, …, pk とする。 大きさ n の標本を抽出したとき、それぞれの グループに属するものの個数が x1, x2, …, xk であったとする。 適合度検定とは グループ 実現度数 期待度数 定理: E1 x1 np 1 E2 x2 np 2 … … ( xi npi ) npi i 1 k Ek xk np k … 計 2 2 は、自由度 k-1 のカイ二乗分布に従う。 n n 適合度検定とは もっと標語的に書くと: (実現度数 期待度数) の和 期待度数 2 2 χ2の値がχ20.05 (自由度k-1のカイ二乗分布の 右側5%点)より大なら、有意水準5%で仮説 (p1, p2, …, pk)を棄却する。 適合度検定とは 例題: 1つのサイコロを120回投げたとこ ろ、各目の出た回数は次のとおりで あった。このサイコロは正常か。危険 率5%で検定せよ。 1の目 2の目 3の目 4の目 5の目 6の目 27 12 14 28 24 15 計 120 適合度検定とは 1の目 2の目 3の目 4の目 5の目 6の目 27 12 14 28 24 15 20 20 20 20 20 20 計 120 120 サイコロを正常と仮定した場合の期待度数 7 (8) (6) 8 4 (5) 20 20 20 20 20 20 2 2 2 2 2 2 2 適合度検定とは 7 (8) (6) 8 4 (5) 20 20 20 20 20 20 2 2 2 2 2 2 254 12.7 20 自由度5のカイ二乗分布の5%点 χ20.05 = 11.07 これより大きいから、仮説は棄却できる。 (サイコロは正常でない) 2 カイ二乗分布のパーセント点 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0.00 0.05 0.22 0.48 0.83 1.24 1.69 2.18 2.70 0.00 0.10 0.35 0.71 1.15 1.64 2.17 2.73 3.33 3.84 5.99 7.81 9.49 11.07 12.59 14.07 15.51 16.92 5.02 7.38 9.35 11.14 12.83 14.45 16.01 17.53 19.02 … 0.025 … χ … 0.050 … χ 2 … 自由度 n χ20.975 χ2 0.950 自由度5のカイ二乗分布 0.18 0.16 0.14 0.12 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 右側5%点 14.0 実現値 適合度検定と比率検定の関係 例題: 1つのサイコロを120回投げたとこ ろ、1の目の出た回数は次のとおりで あった。このサイコロは正常か。危険 率5%で検定せよ。 1の目 他の目 27 93 計 120 適合度検定と比率検定の関係 1の目 他の目 27 93 期待度数 20 計 120 100 120 カイ二乗検定で計算すると 7 (7) 7 6 2.94 20 100 100 2 2 2 2 適合度検定と比率検定の関係 7 (7) 7 6 2.94 20 100 100 2 2 2 2 自由度 1のカイ二乗分布の5%点 χ20.05 = 3.84 これより小さいから、仮説は棄却できない。 (サイコロは正常でないとはいえない) 自由度1のカイ二乗分布 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0.0 2.0 実現値 4.0 右側5%点 6.0 8.0 適合度検定と比率検定の関係 7 6 Z 1.71 < z0.05 = 1.96 10 7 6 2 < (自由度1) χ 2.94 0.05 = 3.84 100 2 2 上の式を2乗すると下の式になっている。 1.962 = 3.84 適合度検定と比率検定の関係 一般に、自由度1の場合の適合度検定 は、比率の検定(大標本の場合の両側 検定)とまったく同じになる。 すなわち、カイ二乗検定(適合度検定) は比率の検定の拡張と考えられ、自由 度が2以上の場合にも使えて便利。 [演習]適合度検定 [1] ある問題について400人にアンケー トをとったところ、賛成222人、反対178 人だった。この問題について世論は 賛成多数といえるか、有意水準5%で 検定せよ。 [演習]適合度検定 [2] 240人に支持政党を尋ねたところ、 自由党90人、共和党85人、公民党65 人であった。これらの政党の支持率に 差があるといってよいか。危険率5% で検定せよ。 [演習]適合度検定 [3] 前回の投票結果では、自由党・共和 党・公民党の支持率は7:8:5であった。 今回100人調査したところ、自由党35 人、共和党30人、公民党35人であっ た。これらの政党の支持率は前回か ら変化したといってよいか。危険率5% で検定せよ。 [演習]適合度検定 [4] 硬貨を投げたところ、続けて8回表が 出た。この硬貨は正常といってよいか。 メニューに戻る メニューへ
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