紛争の根本的解決と国連 ~平和構築の視点から~ 総合政策学部3年 小南のり子 冷戦後世界と国連の限界 冷戦後の紛争:小勢力間の地域紛争 国連は地域紛争に対処しきれなくなっている 理由 国連設立理念と現実世界とのズレ 武力行使発生~停止 のみを偏重 紛争プロセスと包括的アプローチ 紛争プロセス [ガリ提案(92年)] 予防外交 平和創造 平和維持 平和構築 従来のアプローチは、平和創造と平和維持の部 分のみを重視。 このプロセス全体を視野に入れた解決ア プローチが必要 アンゴラでの失敗 第二世代のPKO:選挙実施を一区切りとした活動 1975年、内戦勃発 国連アンゴラ検証団(UNAVEM) 1992年、選挙実施 → 政権発足 敗北側の反政府勢力、闘争再開 = 紛争再発 選挙の実施は根本的解決ではない。 (紛争要因を取り除く必要性) より長期的視野に立った、選挙後の平和構 築が重要 ー国際的な認識が高まる 平和構築 紛争の要因は多様 (民族、宗教、経済…) その中でも、経済要因は重要 生活に直接影響 (紛争地の約8割は途上国) 根本的な紛争解決 = 社会の構造的紛争要因 (力の不均衡、経済格差など)を取り除くこと 経済発展、そのための援助の必要性 [開発援助] 経済発展の基盤としての政治的安定の必要 性 [グッドガバナンス] 2つは相互補完的 平和構築の在り方 経済的側面から のアプローチ 政治的側面から のアプローチ 開発援助 グッドガバナンス 平和構築 紛争の根本的解決 平和構築の政治的側面 (グッドガバナンス) ガバナンスとは? (UNDPの定義) 「全てのレベルにおける国の事情を管理するための 経済権力、政治権力、行政権力の行使」 であり、 「市民や集団が利益を主張し、法的権利を行使し、 任務を全うし、相違を調停するような、メカニズム、 プロセス、機構」を含む。 これらが良好な状態=グッドガバナンス グッドガバナンス (具体例) 武装解除 ← 紛争再発の危険(アンゴラの例) 選挙実施← 政権に対する正当性の付与、 国民の政治参加意識啓発 行政・立法・司法機構・の復興(ソフト面・ハード面) ←権力の分有 軍部・警察機構の整備 ← 国民の安全確保、 人権擁護 社会的安定=経済発展への基盤 平和構築の経済的側面 (開発援助) 平和構築の観点から見た開発援助の目的: 「経済、社会、環境、政治的条件を向上させ ることにより、紛争の構造的要因を取り除く こと」 (ドイツの政策) ~具体例~ 緊急・復興・コンティニュアム(緊急と復興の ギャップ)援助 「人間の安全保障」の概念を軸にした援助 (UNDPの「人間の安全保障の指標」を使 用) 東ティモールの試み 「国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)」 国連が平和構築を実施する初の例 <広範 な任務> 人道援助、緊急復興 行政・立法・司法 人材育成(capacity-building) マスメディア、NGOの育成 など 今後の紛争解決のモデルケースとなり得る 結論 紛争の根本的解決には、長期的視野に立っ た包括的アプローチが必要 国連の限界が指摘されている。しかし、国連 という規模の大きなアクターだからこそ、紛争 プロセスを見据えた包括的なアプローチが可 能 東ティモールのケースは、国連の 新たな可能性を示し得る
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