JICAの平和構築支援 平成16年10月27 企画・調整部平和構築支援室 戸田 隆夫 ■JICAの平和構築支援の考え方 平和構築の考え方と枠組み 開発援助と平和構築(7つの重点分野) 紛争予防配慮 PNA (Peacebuilding Needs and Impact Assessment)概要 新たな課題と取り組み 平和構築の考え方の変遷 ■「平和への課題(An Agenda for Peace)」92年 国連 →紛争前勃発前から紛争終了後を含めた包括的な 紛争解決のための枠組みを提示 ■「カナダ平和構築イニシアティブ」96年 カナダ →「平和構築」のプロセスを紛争予防、紛争解 決、紛争後の復興に分けて説明 ■DAC「紛争、平和と開発協力ガイドライン」97年 →予防外交、軍事行動、経済制裁などの方策に 加えて、開発援助も紛争予防と平和構築におい て役割を果たすべきと説明 日本政府の取り組み • ODAの役割 – 1992年の「ODA大綱」 – 1999年の「政府開発援助に関する中期計画」 – 2000年の「紛争予防のためのG8宮崎イニシアティ ブ」、「紛争と開発に関する日本からの行動-アク ション・フロム・ジャパン」、「ジャパン・プラッ トフォーム」 – 2003年の「新ODA大綱」 • 外交的な取り組み – カンボジア、東ティモール、アフガニスタン、スリ ランカ等 • PKOへの協力 – 8つのPKOと3つの人道的な国際救援活動、5つの選挙 活動に協力 平和構築支援の枠組み 軍事的枠組 政治的枠組 多国籍軍 国連PKO 予防外交 平和構築支援 軍縮・武器規制 開発援助 和解 社会的弱者支援 ガバナンス 人道緊急支援 治安回復 社会基盤整備 経済復興支援 平和構築支援のプロセス 停戦 紛争 緊張 軍事的枠組み 政治的枠組み 多国籍軍 国連PKO 予防外交 調停・和平交渉 開発援助 開発支援 復旧 復興支援 開発支援 紛争予防配慮 平和構築支援のサイクル 紛 争 勃 発 予防外交 開発 和平交渉 平和維持 復興支援 紛争予防 人道支援 開発援助と平和構築 ■近年の紛争の特徴 – 開発途上国における国内紛争の増加 – 市民の犠牲者の増加 – 紛争の要因の多様化・複雑化 構造要因 引き金要因 継続要因 紛争の要因の例 富の偏在/貧富の格 差 参加機会の不平等 多民族社会等の社会 構成 対立の歴史 急激な経済の悪化 武器の流入 近隣諸国の介入 メディアによる煽動 民族間の憎悪 戦争経済の発生 小型武器の拡散 平和構築支援の内容 ◆ 和解(難民/国内避難民帰還促進) ◆ ガバナンス支援(民主化、法整備、行政 支援) ◆ 治安回復(除隊兵士支援、警察支援) ◆ 社会基盤整備(住宅、保健医療施設、 電気・水等のライフライン等) ◆ 経済復興支援(経済インフラ整備等) ◆ 社会的弱者支援(障害者、女性等支援) ◆ 人道緊急支援(周辺国・地域支援等) 紛争予防配慮の視点 平和構築支援事業の例(1) 和解 帰還民支援(アフガニスタン、2002-、技プ ロ・委託型タイプB) 難民・国内避難民再定住支援(スリランカ、 2004-、技プロ・委託型タイプB ) ガバナンス支援 選挙支援(インドネシア、1999・2004、専門家 派遣) 法制度整備支援(カンボジア、1997-、重要政 策中枢支援) 平和構築支援事業の例(2) 治安回復 除隊兵士支援(カンボジア、1999-、専門家 派遣、企画調査) 再定住地域農村開発計画(モザンビーク、 2000-02、開発調査) 社会基盤整備 対人地雷対策(カンボジア、1999-、専門 家派遣、無償資金協力) 緊急復興支援調査(アフガニスタン、200203、開発調査) 平和構築支援事業の例(2) 経済復興支援 市場経済化セミナー(タジキスタン、2001、 国別特設研修) 社会的弱者支援 CBR: Community Based Rehabilitation支援 (ボスニア・ヘルツェゴビナ、2003-、CIDA との連携・無償資金協力、専門家派遣) 人道緊急支援 Quick Impact Projects (東チモール、200001、UNHCRとの連携) 開発援助における紛争予防配慮 ◆ 開発援助が紛争の原因あるいは促進要因 とならないように配慮(負の影響) ◆ 紛争の原因/促進要因を積極的に取り除 くために、より効果的な開発援助のあり 方を追求(正の影響) 紛争予防配慮の事例 (民族対立の場合) ◆ 負の影響の回避 特定の民族に偏った援助 インフラ建設支援時の地域・民族分布 除隊兵士社会復帰時の住民との軋轢 ◆ 正の影響の促進 民族和解を促進する援助 異なる民族間での共同作業の促進・機会の 提供、平和教育の推進 PNAとは(1) =Peacebuilding Needs and Impact Assessment (平和構築ニーズアセスメント手法) ◆紛争の要因や再発要因、復興時特有のニーズに 包括的に対応し、 ◆事業の計画・実施・モニタリング・評価におい て、「紛争(の再発)を予防し、平和を促進す る視点=紛争予防配慮」を反映する手法 プロジェクトレベ ル ⑥ ⑥ ス 対 テ 象 ー 地 ク 域 ホ で ル の 支 ダ 現 援 ー 状 メ 分 把 ニ 析 ュ 握 ー PNAとは(2) 国レベル ① 背 景 ・ 現 状 分 析 ② 紛 争 分 析 ③ 支 援 策 一 覧 抽 出 ④ ス ク リ ー ニ ン グ 紛争 予防 配慮 ⑤ 平 和 構 築 支 援 プ ロ グ ラ ム 実施計 支援 国別事業 メニュー 実施計画 要望調査 案件採択 画策定 紛 争 予 防 配 慮 案件実施 JICAの新たな平和構築支援(1) ◆ 独法化における位置づけ 独立行政法人国際協力機構法第三条の目 的に、「復興」という文言が追記 (旧事業団)「、、、これらの地域の経 済及び社会の発展に寄与し」 (新機構法)「、、、これらの地域の経 済及び社会の発展又は復興に寄与し」 復興への支援は新生JICAの目的 JICAの新たな平和構築支援(2) ◆ 課題 <事業> なるべく早い段階からの支援の開始 開発に係る協力経験の活用 支援メニューの強化・拡充 <体制> 専門的人材の育成/確保(JICA内外) 安全管理(安全確認、対策、補償) JICAの新たな平和構築支援(3) ◆ 取り組み <事業> 平和構築支援の課題別指針の作成 PNAの活用と改善 国別事業実施計画/協力プログラム への反映 JICAの新たな平和構築支援(4) ◆ 取り組み <体制> 平和構築支援専門部署の設置 人材育成プランの実施 (職員研修、専門区分、専門家養成 研修、データベース整備) 安全管理体制強化 (対策マニュアル、職員研修、補償 制度)
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