豊中市民間保育園保育士研修

乳児保育の基本
テーマ
担当制とは
担当制の必要性
保育者の人数を考えた時、いつも同じ保育者が一人の子どもを観察する
事により、子どもの発達や習慣をより良く知る事ができます。
子どもの状態をより良く知る事ができれば、それにふさわしい働きかけも
できるようになり、子どもの発達を助ける事できます。
保育園では、担当の保育者が子どもにとって安心を提供しているのです。
乳児にとって情緒的な安定はとても大切です。
情緒的に安定している子どもは、行為し、遊びはじめます。行為し遊ぶ子
どもは発達していきます。
子どもにとって担当制とは
母子関係はとても大切であり、後の子どもの社会性の発達に
影響を与えると言われますが、今、子どもにとって母親に全面
依存し人を信頼する経過をたどっている子どもが何人いるで
しょう。
とびこえた心の発達の階段を保育園でとりもどしてあげる必
要な子どもがいることを感じませんか?
流れる日課と担当制
乳児保育園に通う子ども達にとって最も大切なのが流れる
日課です。
なぜかと言うと、流れる日課は、乳児保育園で過ごす子ども
達に安心感や落ち着いた雰囲気を提供します。
毎日の生活が同じように繰り返され、次にどんな行為をし、
自分の順番がいつ回ってくるのかが分かれば、それは子ど
もに安心を提供し、子どもがその場に適応することを助けま
す。
家庭の日課と園の日課
子どもには最初に家庭での日課があります。
いつご飯を食べるのか、いつ寝て、どれくらい寝るのかといった日課です。
保育園に入園することにより、子どもは家庭の日課から保育園の日課に
生活を変えなければなりません。この移行の時期が子どもにとって一番
大変な時期です。保育園と家庭の日課が近いことは子どもにとってとても
良いことです。
家庭と保育園の日課を近づける為にはどうしたらようでしょう。
入園して来る子どもが、決まった時点で面接を行いますが、保育者は保
育園での日課を親に伝え親は家での日課を保育者に伝えます。子ども
が保育園に登園するようになるまで、少しでもお互いの日課が近づいた
ものになるように努力します。
流れる日課とは
一日の中で子ども達はいろいろな行為をします。
流れる日課とは一人の子どもの行為、生活全体がスムーズに流れる、つ
まり不必要に待つ時間がない、行為が中断されない事を意味します。あ
る時間クラスをのぞいてみますと、一人の子どもは寝ているし、もう一人
の子は食事をしているし、他の子達は遊んでいるという光景が見られま
す。
流れる日課はなぜ大切なのでしょうか。
子どもにとってどのような意味があるのでしょうか。
流れる日課の中で生活している子どもは、次に自分がどのような行為を
するのか、どんな活動をするのかが、分かっています。次の出来事が分
かるということは子どもに安心感を提供します。
保育園も家庭に考慮し、家庭も保育園に考慮できれば、新し
い環境に適応するのが少しでも楽になり流れる日課は子ど
もの活動に枠を提供し、そのことによって子どもの健康的な
生活リズムを確立していくことができます。
流れる日課を行うにあたって大切な視点
大切なことは、子ども一人ひとりの必要性、今子どもが何を
要求しているかです。
一人ひとりの子どもの要求を私たちが満たす事ができれば、
私たちは個人的な接し方ができていると言うことができます。
日課が変わるとき
どんな時に日課を変えなければならないでしょう。
例えば季節によっても変化させる必要があります。
夏は外で長く遊べるが冬は室内遊びが多くなり雨の時も子どもの育児の
順番は変わりませんが、活動内容を変えていく必要があります。
担当保育者がお休みの時のときも変わってくる事もあるでしょう。
子どもが成長して自立して行為できる事が増えてくると遊びの時間が長く
なってきます。そのような時も融通をきかせて日課を変化させる必要が出
てきます。
小さな頃から育児の時間をたっぷりとり、子どもが行為を練習したり、大
人から必要な援助を得る事ができていれば、自立して様々な行為ができ
育児にかかる時間が短くなり、遊ぶ時間が、長くなります。
保育者にとっての流れる日課
子どもにとって流れる日課が大切かと言うことを話してきたが、保育者に
とっても流れる日課を行う事は働きやすさを生みだすと思います。なぜか
と言うと、落ち着いて子どもと接する時間をとれますし、接している子ども
に集中する事ができます。
恒常性
流れる日課、担当制の大切な要因に子ども達が年度途中でクラスを変わ
らないと言う事があります。子ども達の発達に合わせて遊具、家具を変え
ながら同じ部屋で同じ担当で日課も、ほぼ常に一定している事を恒常性
といいます。
年齢別の日課の作り方
• 0歳児クラス
0歳児クラスの日課が一番明確な流れる日課です。
目覚めた子どもは保育者に抱き上げられてオムツを交換してもらい食事
を食べさせてもらい、もしくは、ミルクを飲ませてもらいます。
そして遊ぶもしくは眠ります。この流れは絶ち切られることなく、毎日同じ
順番でおこなわれます。毎日スムーズにこの流れが行われれば、子ども
は数週間後には、この流れをすっかり覚え、次にどんな行為をするのか
が分かるようになります。それは子どもに安心感を生み出します。
• 0歳児クラスの日課の順番を決めるにあたっての要点は、食事の時間と、
どのような睡眠欲求があるか、育児にどれだけの時間がかかるかにより、
それ以外の時間が遊び時間となります。
遊びよりも育児の方が大切だという事ではありませんが育児に関しては
まだまだ自立していませんので、大人の援助を必要としています。
0歳児は一人遊びの段階ですから、一人遊びにふさわしい環境を作り遊
具、例えば布、入れたり出したりできる容器、小物、はって登れるような台
、等をそろえて、一人で遊べるようにしてあげれば、子どもを見守るのは
担当の保育者でなくてもかまいません。でも育児は子ども自身がまだ出
来ない事を一対一で行うので、担当の保育者が行います。
• 1歳児クラス
1歳児クラスではこのような完璧な流れを作り出す事は難しく
なってきます。
なぜかというと、子どもは自分で移動ができるようになってき
ますし、自分でいろいろな行為をしたいと思うでもまだ上手
にできない、そんな発達段階にあります。
• 2才児クラス
2才児クラスでは、もう子どもが自分で行為することが可能
になります。保育者は育児を見守ることで子どもが全て行為
しますが、個人差もあり、まだ大人の援助の必要な子どもも
います。言葉で助ける事も多く、励ましてあげましょう。
このクラスの後半には、食事もエプロンがなくても服を汚さな
いで食べることもできます。
いろいろな行為ができることで大人の模倣を好んでするし、
言葉も沢山でてくるようになるので保育者の言葉がとても大
切になります。良いモデルと保育者は心がけましょう。
食事方法の変化
長維持クラスでは、歩き始める前の子どもは保育者が抱っ
こして、スプーンで食べさせていきます。子どもと顔を見合わ
せ、コミニュケーションを取りながら食べさせます。
コップももちろん保育者が持って飲ませますが、子どもが自
分で手を添えたいと思うようであればそれを受け入れていき
ます。
スプーンに関心を持っているようであれば、子どもの手に渡
して見る事も可能です。それはスプーンを使って食べなさい
と言う意味ではなく、スプーンがどんな物か、子どもが体験
できるようにという目的です。
一人で椅子に座れるようになるのは、歩き始め、背中をのば
して座れるようになった時です。
つまり自分でイスから立って動くことができるようになること
を意味します。そのような発達段階にあれば、子どもは、一
人でイスに座り机をはさんで、その正面に保育者が座って
ツースプーンの状態で食事が進められるようになる。
保育者がしてはいけないこと
子どもの手を持ってスプーンを持ち直したり、手を持って食
べさせたりはしない。
一対一である程度上手に食べれるようになったら、子ども二
人に保育者、つまり2対1の状態で食事をするようになりま
す。4対1で食事のできる子ども達には、保育者の援助はほ
とんど必要ありません。
2歳になるまでに保育者が段階を追って必要な援助をし、練
習の為の時間を十分に提供していれば、2歳になる頃には、
子ども達はとても自立しているはずです。
着替えなどに関しても、それまでに十分援助していれば、こ
どもが2歳になるころには、保育者はほとんど見ているだけ
でよいような、自立の段階に進んでいるはずです。
自立して食べれば、保育者の援助がほとんど必要なくなって
くると、食事の時間も短くなってきます。そうすると、遊びの
時間が長くなってくるので、日課を変える必要がでてきます。
順番を間違えた子どもには
保育者が食事の準備をはじめると、自分の順番ではないのに
食事場所に来る子どもがいます。
そんな時、あなたの順番じゃないから、(向こうに行っていて
ね)と言う必要はありません。そうではなく、(あなたの順番
じゃあないのよ、おなか空いたねー)とか(あなたの番じゃあ
ないのよ、もう少し遊んでいてくれるかしら)とか(順番じゃあ
ないから、そこに座って待ってる?)と言うことができます。
子どもにマイナスの伝え方をしないようにします。
2歳の子どもであれば、(ここに来てくれたのら、お皿並べる
の手伝ってくれるかしら)とか(テーブルクロスひけるから?)
と保育者の活動に誘うこともできます。
流れる日課の目的
一番大切な事は子どもに安心感を提供することです。
育児の時間をしっかり取るということは、子どもと保育者の一対一の時間
があるいうことです。そこで安心感を提供すると同時に、一対一でたくさん
言葉がけする事により、言葉の発達、もしくは自己認識を促す事ができま
す。
丁寧に育児行為に働きかけることで、微細運動、身体の動きの発達にも働
きかけることで、質の高い育児時間を作り出す事が可能になります。
もし日課ができていず、子どもにとって不必要な時間、何をしたら良いのか
分からないような時間があれば、クラスに秩序がなくなります。
子どもも何をして良いのかわからないので、落ち着きがなくなります。落ち
着きがなくなという事は緊張も生まれます。
自分で遊び、意欲もなく、良い習慣として身に付く事が不可能になります。