就学適正の確認事項 小学校低学年の<学級崩壊><小1プロブレム>が言わ れて久しいですが、そもそも小学校での生活にふさわしい 力がついての入学なのか?が気になるところです。 就学適正能力とは、どんなことなのか。 ① 身長が110~120㎝、体重が20~22㌔あるか? • 身体の小さい子どもは疲れやすい傾向にあり ます。 • ただし日本の場合は世界の子どもと平均値 が違うので参考にはならない。 ② 歯の生え変わりが始まったか? • 歯の生え変わりは、骨化の始まりを意味し 座って・立って・の過ごす耐性に関係がありま す。 ③靴の紐は結べているか? • これが出来ない時は、手の不器用さや、空間 知覚(上・下・前後などの方向感覚)の未熟さ が考えられます。 ④鉛筆の持ち方は正確か? ⑤一つ一つの運動形態が整っているか? • 這う・登る・つま先で・・かかとで歩く・両足飛 び・・・が正確にできることは、神経組織の成 熟を意味し、読み書きの獲得が困難でないこ とを示しています。 ⑥平衡感覚はよいか? • 平衡感覚の良さは、神経組織の成熟をしめし ます。平衡感覚が良くない場合集中力や振る 舞いの問題を引き起こしやすくなります。 ⑦肩帯や肘関筋そして手損筋を丁寧に動かす ことがどれだけできているか? • これらは字をきれいに書くため基本となるも のです。手押し車をすること、ぶら下がること、 少し大きくなってからは、縫物や編み物、指の 体操でも発達を促すことができる。 ⑧手足をそれぞれ1つだけ、もしくは別々に動 かすことができるか? • これは、片方の手足だけをあげる、手と足で 別々のことをする・・・などで練習できる。 ⑨身体の部分を名づけることができるか? • 本来、自分の体が最も確実なもののはずで す。でもこれが確実でない(名付けられないと 言うことは、しっかりと認識できてないというこ とでもあります)・・ということは、身体を通して 知っていく外界の認識も確実でないことになり ます。 ⑩利き手が確立しているか? • 利き手ない手で文字を書くことは、学習を困 難にします。 ⑪目の動きはコーディネートされているか? • コーディネートされていれば、右に、左に、上 に、下に斜めに目を動かすことができます。 テレビの見すぎや、パソコンでの遊びは、この 形成を困難にします。 ⑫右と左の違いがわかるか上下後ろなどを正 確につかうか? ⑬指定された形を立体的に(積木)平面的に (書いて)表現できるか? ⑭一連のつながった動きを行えるか? • 手をたたいて→前に一歩進んで→しゃがむ。 ビーズをつまんで→糸を通して→糸を引っ張 る→ビーズ通し ⑮指定された方向に動く、動かせることができ るか? • 最初は粗大運動の中で、のちには微細運動 を使って。 ⑯手と目の協働はふさわしいか? • 例えばビーズ通しや的投げで見ることもでき ます。 ⑰背景と前にある物を確実に見分けることが できるか? • 後ろの方にあるものはなに?前にあるの は? ⑱同じ形・色・大きさ・量をみわけられるか? • 同じ形の色や形の積み木でグループをつくる ⑲同じだけではなく<違い>にも気づくか? ⑳似たような音を聞き分けられるか? • 似たような単語をききわけられるか 21 部分と全体にきづくか? • 例えば全体の中から小さな部分を探す 22 バラバラにしてそれをまた組み合わせるか 23 ある感覚器官で受信した情報を、他の感覚器官 で表現することができるか? • 例えばお話を聞いてそれを絵で表現する 24 自分を豊かに表現できるか・他の人や子どもの話 を聞く忍耐があるか・質問できるか? • たくさんの話を聞くこと、詩を覚えること、会話 することで援助できる 25 途中まで聞いたお話の続きを最後まで考える ことができるか? • 聞いたお話を想像し、その流れを理論的に 合うように構成できるかどうか? 26 時間的・社会的な中に自分を位置付けられるか? • 季節を理解しているか?1日・曜日の変化が 分かるか 日常生活や遊びの中でルールを守ってすごせるか? 28 失敗を受け入れられるか? 29 大人に信頼感を持っているか?大人を受け入れ るか? 30 友達と一緒にあそぶか? 小学校就学にふさわしい発達って? 例えば③の靴の紐がむすべる? 1つはこのことから指先の器用さ(微細運動)を知ることが できます。もうひとつは方向感覚・空間認知の発達を見 ることができます。上下左右、向こう側、こっち側、穴を 通す・・・と自分自身が動くのではなく、物を頭の中で描く 通りに動かさなければなりません。 そのためには、頭の中にも空間が描かれており、 知覚できている必要があります。又、微細運動、 空間知覚の発達とともに集中力や注目力も必要で す。靴の紐を結べるようになる過程ではある程度の 練習が必要になりますが、その時に手先に注目し集中 できるかどうかも、ここには関わってきます。 小学校就学にふさわしい発達って? • 例えば④の鉛筆の持ち方は正確かで言えば 保育園を卒園するころには、(大人たちと同じように)鉛筆を 持つことができるようになっているのが普通です。ただし手 の骨は細かな字 を線と線の間に沿って長い間かける程の発達 はしていません。ここでは鉛筆を正確に持て、 自分の意思に合わせて○や線、波線が描ける、 つまり自由画の中でも自分の望むことが表現できることを 意味します。また、たとえ望まなくても 指示されたものを、指示された大きさで書くことは、 小学校に入る時期には必要になってきます。 小学校就学にふさわしい発達って? • 例えば⑫の右と左の違いが分かる?もしくは 下・上・後ろなどを正確につかうか? 方向を考える時に一番のもとになるものは自分自身です。自分が出発点に なり、上下左右の 判断が可能となります。ですからここではまず 身体像が育っているかどうかを考えることができます。前後左右上下など の方向感覚が育っている、正確に理解していると考える時、 それが自分に関してなのか、物と物との関係も含めてなのか、自分と空間 との関係でもそうなのかを見る必要があります。もしそれを理解している のであれば、 それだけの運動をし、それに付属する言葉を日常生活の中で使い、理解し ていることも意味します。運動面の発達のみでなく、知的面 言語面の発達も知ることができます。方向が理解できているということで、 同時に、必要な運動移動の経験があり、空間知覚が発達していることも 考えられます。 小学校での生活は方向感覚・空間知覚能力の年齢相 応な発達なしではとても難しいものとなります • 小学校の建物自体が巨大なものとなります。 その中にいる人は何倍も増えます。その中で 移動することは、空間知覚・方向感覚の育っていない小さな子ども にとっては大きな課題 もしくは困難を意味します。 授業風景を見ても方向に関することでいっぱいです。黒板に書かれ たものをノートに写すことは、垂直の形を平面に移すことで方向感 覚が関わってきます。(右のページの絵の下を見てください) と言われて混乱すれば、その時点で授業が分からなくなります。靴 は椅子の下・帽子は後ろのロッカ筆箱は机の中といった情報を正 確に理解できなければ(先生の話をきちんと聞いていません)と言 われてしまうかもしれません。 小学校の方は入学してくる頃にはこれらが身についていて当然と 思っているのですから。
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