思考・進化・文化 日本人の思考力

思考・進化・文化
日本人の思考力
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松山 亮太
日本人は思考力が劣る?
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私たち日本人は…
→学力は高いが思考力は低い
原因は?
 日本の受験システム
 ゆとり教育
 心の教育etc…
問題解決としての思考1
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問題解決とは…
現時点での不満な状態(初期状態)
変換(オペレータ)
ex.給料の高い会社に就職
満足ができる状態(目標状態)
ex.金持ちになる
問題解決としての思考2
単純な目標は達成が容易
しかし
実際はそんなに容易ではない
ex.ハノイの塔
⇒莫大な数の可能性
意識的な思考の限界
手段-目的分析1
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日常に出会う問題の殆どは悪定義問題
⇒膨大な選択肢をどうやって解決するか
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プロダクションルール
「もしX(状態)ならば、Y(オペレータ)を行う」
ex.「もし雨降りなら、傘をさす」
⇒膨大な選択肢に対処不可,未経験の問題は解決できない
手段-目的分析2
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手段-目的分析

2段階で行われる
1. 目標状態に最も近づくオペレータ(手段)を用いる
ex.山登り法
2. 「遠回り」が必要な場合、下位目標を設定する
ex.宣教師と人食い人種問題
→下位目標を達成できなければ更に下位目標を設定する
一見、遠ざかっているが目標状態に近付いている
ヒューリスティックス
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過去に解決(失敗)した問題から解決法を導く
⇒より簡単な解法で負担を軽減する
「高校受験と同じ勉強法で大学受験に挑む」
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代表性ヒューリスティック

コインを3回投げてすべて表だった。次は表が
出る?それとも裏が出る?
→正解はどちらも同じ確率
but
多くの人が裏が出る方を選ぶ。
⇒裏の方がランダムで出やすいと思っている
リンダ問題
ルミさんは、女子大で臨床心理学を専攻していました。在学中は児童相談所での
実習にも参加し、学友にも「悩みを持っている子供と関わるような仕事がしたい」と
よく語っていました。卒業10年後の現在、ルミさんはどうなっているか。最も高いも
のから順に並べてください。
(a) アルバイトでカウンセリングをしている。
(b) 主婦になっている。
(c) 主婦だが、アルバイトでカウンセリングも行っている。
(d) 精神科医になっている。
(a)や(b)よりも(c)の方が確率が高いと考える。
→実際、(c)は(a)かつ(b)なので(c)の方が低い。
論理的ではないのに正解と勘違いしてしまう
欲求・目標の無意識性
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西洋と東洋の意識の違い
西洋・・・自我>無意識
 東洋・・・自我=無意識
⇒上位目標の意識化の弱さ

受験システム
ex.日本の経済・産業発達
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無意識的なヒューリスティック的思考
無意識性と文化―個人主義と集団主義
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西洋=個人主義文化(個人の目標が優先)
東洋=集団主義文化(集団の目標が優先)
→集団の調和を重んじる
 個人より「他人にどう思われるか」を重要視
 意識的思考を抑制する傾向
→「なぜ」が集団の調和を乱す
 「ことばよりも心」を重視したコミュニケーション
ex.阿吽の呼吸
意識的思考が形成される条件
1.
役割・階層が組織化された集団内での地位
の上昇がある社会
→カミンズの優位階層説
「群れの中で上位の階層に属する・群れの調和を維持する
という2つの欲求のジレンマ」
2.
知識を多く獲得することが適応的である環境
→四季ごとに必要な知識の違い
3.
絶えず異文化と接し続ける環境
→思考のルーティン化を防ぐ
「なぜ」という意識的思考の促進
日本文化の自然的・歴史的背景
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異文化との接触が活発でなかった
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
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大きな環境変化が無い
他民族との闘争や征服・被征服が少ない
氷河期以降の安定した自然環境
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四季が安定して繰り返すので因果関係を知る必要がない
but
12000年で日本人の思考特性を生み出す遺伝子変化は起こ
りにくい⇒適応・淘汰の問題?
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西洋人が意識的に行う思考を無意識に行って
いる?
参考文献
山 祐嗣. (2003). 『思考・進化・文化~日本人
の思考力~』