安定化手法のユークリッド互除法と スツルムのアルゴリズムへの適用 東邦大学理学部情報科学科卒業研究発表 5508034 菊池裕也 白柳研究室 1.研究の背景と目的 白柳らは代数的アルゴリズムを近似計算したときに 起こる不安定性に対し安定化手法を提案。 安定化手法に関する研究は数多く行われているが数 式処理システムMaple14で行われた例はない。 Maple14で安定化手法を使えるようにする。 ユークリッド互除法とスツルムのアルゴリズムに適用さ せ結果を考察する。 2 2.安定化手法、ユークリッド互除法 安定化手法 (1)入力多項式に対し、係数の区間化 (2)アルゴリズムの構造は変えず、命令に従い区間演算 (3)YES,NO判定の際、区間に0が含まれる場合0とみなす (ゼロ書き換え) 任意の2つの式に対し、最大公約式を求める 3 3.ユークリッド互除法の適用結果 実験 64 147 16 98 [ 𝑥 − 1, 𝑥 − 1] 343 49 出力結果 厳密計算 4 49 −1 + 𝑥 7 近似計算 −0.004515235604 1.15550013610−7 −1.000000000 + 0.5714285714𝑥 49 −1.000000000 + 0.5714285716𝑥 49 安定化計算 CPU 精度桁 0 0 0 0 0 0.016 2 7 8 10 2 0.5294117647,0.6250000000 𝑥 49 + [−1, −1] 0.5670731707,0.5766871166 𝑥 49 0.016 3 + [−1, −1] 0.5713848227,0.5714810731 𝑥 49 0.016 5 + [−1, −1] 0.5714285711,0.571428520 𝑥 49 0.078 10 + [−1, −1] 4 4.スツルムの定理 重根を持たない実数係数の代数方程式の、任意に与えられ た閉区間における根の個数を計算できる定理。 [例] 閉区間 −1,2 𝑓 𝑥 = 𝑥 3 − 4𝑥 2 + 3𝑥 answer=2 5 𝑓0 𝑥 = 𝑓 𝑥 , 𝑓1 𝑥 = 𝑓 , (𝑥) 𝑓𝑘−1 𝑥 を𝑓𝑘 (𝑥)で割った余りを−𝑓𝑘+1 (𝑥)とする 𝑓𝑟−1 (𝑥)は𝑓𝑟 (𝑥)で割り切れる(𝑓𝑟 (𝑥) ≠ 0) 𝑓0 𝑥 , 𝑓1 𝑥 , 𝑓2 𝑥 , … … … , 𝑓𝑟 (𝑥)をスツルム列という。 スツルム列に対し、閉区間[a.b]のaとbを代入 𝑓0 𝑎 , 𝑓1 𝑎 , … , 𝑓𝑟 𝑎 に対し、符号の変わった数をV(a)とする 𝑓0 𝑏 , 𝑓1 𝑏 , … , 𝑓𝑟 𝑏 に対し、符号の変わった数をV(b)とする 𝑉 𝑎 − 𝑉 𝑏 = 𝑎𝑛𝑠𝑤𝑒𝑟 6 [例]𝑓 𝑥 = 𝑥 3 − 4𝑥 2 + 3𝑥 区間[−1,2] 𝑓0 𝑥 = 𝑥 3 − 4𝑥 2 + 3𝑥 𝑓0 −1 = −8 𝑓1 −1 = 14 26 𝑓2 −1 = − 9 81 𝑓3 −1 = 49 𝑓1 𝑥 = 𝑓0 ′ 𝑥 = 3𝑥 2 − 8𝑥 + 3 14 4 𝑓2 𝑥 = − 𝑓0 𝑥 ÷ 𝑓1 𝑥 = 𝑥− 9 3 81 𝑓3 𝑥 = − 𝑓1 𝑥 ÷ 𝑓2 𝑥 = 49 𝑥 = −1 𝒇𝟎 − 𝒇𝟏 + 𝒇𝟐 − 𝒇𝟑 + 𝑽(𝒙) 3 𝑥=2 − − − + 1 𝑓0 2 = −2 𝑓1 2 = −1 16 𝑓2 2 = − 9 81 𝑓3 2 = 49 𝑎𝑛𝑠𝑤𝑒𝑟 = 𝑉 −1 − 𝑉 2 = 2 7 5.スツルムの定理の安定化手法適用結果 19 3 388 2 𝑞= − 𝑥 + 𝑥 + 20𝑥 − 100 7 3 𝑠𝑢𝑡𝑢𝑟𝑢𝑚𝑢 q, −5,5 4 −10𝑥 4 q2 = −10𝑥 4 − 2.7143𝑥 3 + 129.3333𝑥 2 + 20𝑥 − 100 −5,5) 𝑠𝑢𝑡𝑢𝑟𝑢𝑚𝑢(𝑞2, 4 q3 = −10, −10 𝑥 4 + −2.7144, −2.7142 𝑥 3 + 129.333299,129.333301 𝑥 2 + 20,20 𝑥 + −100, −100 𝑘𝑢𝑘𝑎𝑛𝑠𝑢𝑡𝑢𝑟𝑢𝑚𝑢(𝑞3, −5,5) 4 8 6.まとめと考察 ・Maple14で区間演算のプログラムを構築した。 ・安定化手法をユークリッド互除法、スツルムの定理 へ適用させた。 ・ユークリッド互除法では、低い精度桁で安定化手法 の適用で利点が見られた。また、精度桁を上げること により真の値に近づく計算結果を得られた。 ・スツルムの定理では、近似計算でも可能になってし まい、安定化手法の優位性は見られなかった。 近似計算では不可能になるデータをより多く集め、安 定化手法の優位性を高めることが今後の研究課題と なる。
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