初期デリダの思想 差延・痕跡 問題 • 時間とは何か(ヨーロッパ的時間とそ の他の時間) • 過去─現在─未来と流れる時間は時間の すべてなのか • 「今」というのは疑いえないのか • 「今」の確実性を疑う意味は何か 差延(différance) • 差異(différence)と遅らせる(différer)の合成語 • 「今、自分が自分である、という現在の意識」のな かに「差異」と「遅れ」がはさまっているような感じ • 「今」の意識よりも「けっして現在ではなかった過 去」の痕跡のほうが深い。 • 「声」よりも「文字」 • 自己現前の中に他者が入り込んでいる。 • 生き生きとした現在の中の「死」 「今、自分が自分である、という現在の意識」 のなかに「差異」と「遅れ」がはさまっているよ うな感じ • <今>という瞬間の確実性は本当に疑いえ ないのか。 • 確実な経験のまわりに、さまざまな無意識な 経験がはいりこんでいる。 • これを<現象学>では「地平」という。 「今」の意識よりも「けっして現在で はなかった過去」の痕跡のほうが深 い。 • 「痕跡」(教科書124頁) • 現在・過去・未来という時間には属さない 「無意識の時間」 • 「けっして現在ではなかった過去」がひそ かにはたらいている • 精神分析ではこれを「事後性」という。 「声」よりも「文字」 • ひとりごとをするとき、自己との孤独な対話 が交わされているようにみえる • 文字は、伝達に役立つが、かえってそうし た純粋な意味が失われる。 • とフッサールは考える。 「声」よりも「文字」(2) • そうではない、とデリダは考える。 • ひとりごとの純粋さの中に、「遅れ」が入り 込んでいる • 電話で、自分の声が遅れてもどってくるか んじ • 自分と自分がずれている。 自己現前の中に他者が入り込んで いる。 • 「けっして現在ではなかった過去」が現在 にはいりこんでいる、ということは・・・ • 自己よりも他者が先にあるということ • 他者の「呼びかけ」が先にあるということ。 すでに他者が自己の中になにかを書き込 んでしまっていること。 生き生きとした現在の中の「死」 • 遅れて響く声:「死者の声」 • というよりは、生きながら死んでいる 者の声。 • ポーの分析(教科書131頁) • 「今、わたしは・・・死んでいる」 • このような言葉が「痕跡」の言語であ る。 現象学 • • • • フッサール(1859-1938) ドイツ(オーストリア)の哲学者。 「事象そのものへ!」 意識に現れるそのままを記述することから 始める。 • 「志向性」:「意識とはなにものかについて の意識である」 現象学の応用(1) • 「生きられた身体」の記述(メルロ= ポンティ) • 科学が記述するような客観的な身体以 前の身体。 現象学の応用(2) • 現象学的社会学 • 日常世界において生きられた他者との 関係を記述(シュッツ) • その他、看護学などにも応用(西村ユ ミ) 事後性 • フロイト(1856-1939)の考え方(「ある幼児 期神経症の病歴より」(フロイト著作集9) • オオカミの夢。 • 性的な誘惑(「去勢威嚇」) その意味 • 幼児期に経験したことが、思春期になって 「外傷」として発現。 • 経験が遅れて意識されること、そんなこと はあるのか・・・ • はじめに経験されたとき、現在として意識 されないようなものがある。:けっして現在 ではなかった過去。 • 無意識は別の時間を流れている。 まとめ • 過去─現在─未来という直接的な時間と は異なった時間:遅れてはたらく時間 • 今は純粋なものではなく、他の時間や 他者がはいりこんでいる。
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