平成 26 年度 シブヤ リョウ 渋谷 亮 2002 年 3 月 2002 年 4 月 2005 年 3 月 2005 年 4 月 2008 年 11 月 2010 年 9 月 2013 年 9 月 学 歴 及 び 学 位 大阪大学 人間科学部・人間科学科卒業 大阪大学大学院 人間科学研究科(博士前期課程)人間科学専攻入学 同上修了 修士(人間科学)取得 大阪大学大学院 人間科学研究科(博士後期課程)人間科学専攻入学 大阪大学海外短期留学研究プログラムによりベルリン自由大学 Ch.Wulf 教授のもとへ留学 ~2009 年3月 大阪大学大学院 人間科学研究科(博士後期課程)人間科学専攻単位取得退学 大阪大学大学院 人間科学研究科 博士(人間科学)取得 学 会 及 び 社 会 に お け る 活 動 等 現在所属している学会 教育哲学会、教育思想史学会 現 在 の 職 務 の 状 況 職名 講師(特任) 学部等又は所属部局の名称 芸術学部 教 育 勤務状況 教養演習 C-I、教養演習 C-I、ボランティアワーク 3 年次 教育実習事前事後指導、教育実習 A、教養演習 C-II、 教養演習 C-II、教職入門、道徳教育の研究 ボランティアワーク 2 年次、教育実習 B、教職実践演習 研 究 業 績 研 究 分 野 研 究 内 容 の キ ー ワ ー ド 教育人間学、教育思想史 発達論、精神分析、思想史、母子関係、発達障害 事 項 (教育方法の実践例) 1.発達教育論 (奈良大学) 年 月 日 2012 年度 概 要 本講義では、発達に関する基礎理論を概観するとともに、発達と障が いをめぐる近年の問題にまで踏み込むことを目指した。その際、当事 者の視点と対人関係を重視した「出会いの発達論」をキーワードとし、 従来の発達論(ピアジェ、ヴィゴツッキー、フロイト、精神分析的発 達論)を具体的な事例を交えて紹介しながら、発達論の可能性を探っ た。さらにまた近年盛んに論じられている発達障害や障がい児教育の 問題も、 「出会いの発達論」という観点から扱った。特に発達障害に関 しては、学生の発表も交えながら講義を展開した。 (作成した教科書、教材) 1.『新教育職の研究』田井康雄編、学 2009 年 3 月 担当箇所「児童相談所指導員」(224-237 頁) 術図書出版。 本書は田井康雄氏が中心となって編集した教職科目「教職論」のため のテキストである。担当箇所では児童相談所の歴史、法的位置づけ、 役割、業務、課題などを説明したうえで、現在児童相談所が置かれて いる状況を検討した。その際とりわけ「児童虐待」の問題に着目しな がら、児童相談所の職員たちの家族観とその揺れ動きを示した。 2.『不確実性の時代にむけての教育原 2011 年 4 月 担当箇所「情報技術時代の教育と教育学へ向けて」 (170-194 頁) 論―教育の原理と実践の探求』田井康 本書は田井康雄氏が中心となって編集した教育原理のテキストであ 雄編(学術図書出版) り、現在の教育を実践と哲学の両面から検討した論集である。担当箇 所では、インターネットなどのデジタルメディアが浸透した情報技術 時代に、教育とはどのようなものでありうるかを、思想史的・人間学 的な観点から考察した。具体的には近代以前から現在に至るまで、情 報・知識の伝達がどのように行われてきたのか、それが主体性や共同 性のあり方とどのように関連しているのかを分析した。 -1- 3.道徳教育を考える―多様な声に応 2012 年 10 月 担当個所「西洋における倫理と道徳の思想史」 (19-40 頁) 答するために』岡部美香・谷村千絵編 共著者:○渋谷亮、國崎大恩 (法律文化社) 本書は岡部美香と谷村千絵が中心となって編集した道徳教育のテキス トである。道徳教育に関する理論と実践をめぐる論考からなり、時代 の必要と実用的な必要との双方に答えることを目指した論集である。 担当個所では、共同執筆者の國崎大恩とともに、西洋の倫理と道徳の 歴史を概観した。私は全体の構成を考案し、近代の倫理と道徳(功利 主義、I・カントの倫理学、S・フロイトやF・ニーチェの倫理に関 する議論)について、個人と共同体の関係という観点から論じた。 4.『新・人間と教育を考える――教育 2013 年 3 月 担当個所「不登校とひきこもり」 (27-37 頁) 「近代黎明期の思想家Ⅱ 人間学入門』田井康雄編、学術図書出 ―コメニウスとロックを中心として」 (137-146 頁) 版 本書は田井康雄氏が中心となって編集した教育原理と教育思想史のテ キストである。 「不登校とひきこもり」では、戦後の不登校やひきこも りのあり方の変化を、内と外のねじれという空間的な観点から検討し た。 「近代黎明期の思想家」では、17 世紀を知識のあり方が変革を迎 えた時期として把握し、17 世紀の教育思想の試みをそのような変革と の取り組みとして位置づけていった。 (教育上の能力に関する大学等の評 価) 奈良大学「発達教育論」 京都女子大学「教育原論」 2013 年度 大学が実施した学生による授業アンケートでは、平均的ではあるがお おむね良好な評価を受けている。特に「発達教育論」では、映像や具 体例を交えた講義や専門分野に基づいた理論の提示が、わかりやすさ や興味深さなどの点で評価された。また「教育原論」では教師への意 欲が高まったと評価された。 2004 年 小学校で半年ほどボランティア活動を行った。問題行動が多いとされ る一人の生徒を中心に、学習活動の援助を行うボランティアである。 子どもの発達、対人関係、学習活動に関する自らの研究を念頭に置き ながら援助にあたった。 (教育上の実務経験を有する者につ いての特記事項) 特になし (教育に関するその他事項) (職務上の実務経験を有する者につ いての特記事項) 特になし (その他) 1.小学校でのボランティア活動 2.小学校の特別支援学級におけるボ 2013 年 11 月 小学校の特別支援学級で、ボランティア活動を行っており、現在も継 ランティア活動 ~ 続中である。この活動をフィールドワークとして、特別支援における 教育関係に関する研究を行う予定である。 著書、学術論文等の名称 (著 書) 1.『教育人間学の展開』平野 正久編 著書) (学術論文) 1.『美と教育の関係をめぐる 単著、 発行又は発 共著の 表の年月日 別 発行所、発表雑 誌等又は発表学 会等の名称 概 要 共著 2009 年 1 月 北樹出版 担当箇所「発達の物語、家族の物語」 (53-70 頁) 本書は「教育人間学」の成果を示すために平野正久 氏が中心となって編集した論文集である。担当箇所 では、S・フロイトによる子どもの発達とセクシュ アリティに関する議論を、当時の性科学的言説との 連関において検討する思想史研究を行った。 単著 2005 年 3 月 大阪大学 修士 本論文は、美術教育の歴史における「自然」と「自 -2- 考察―美術教育における子 どもの自然と自由』 (修士論 文) 修士(人間科 論文(人間科学) 由」の関係を論じた思想史研究である。第一部では 学)取得 19・20 世紀転換期における西洋の美術教育の試み を、さらに第二部では戦後から 60 年頃までの日本の 美術教育の展開を分析した。これによって美術教育 の試みが「自由な主体」の解放を目指しながら、そ の根底に主体性なき「寄る辺なき自由」を露呈させ てきたことを明らかにした。 2.「イメージの教育思想史」 単著 2006 年 3 月 『 大 阪 大 学 教 育 本論文では、見る-見られる関係に焦点を当て、「見 学年報』 、 第 11 号、る主体」が近代の技術的・社会的な条件のなかでど 45-56 頁 のように組織されてきたのかを検討した。さらにこ のような「見る主体」の組織化が、近代的教育関係 をいかに方向づけてきたかを分析した。 3.「セクシュアリティと自体 愛-S・フロイトの幼児期セ クシュアリティ論に関する 歴史的考察」 単著 2008 年 3 月 『 大 阪 大 学 教 育 本論文では、フロイトの幼児セクシュアリティ論を、 学年報』 、 第 13 号、思想史的・哲学的な観点から検討した。具体的には 3-16 頁 (1)19・20 世紀転換期における性科学への「発達 論的な枠組」の導入過程を分析した。 (2)さらにフ ロイトの自体愛概念の検討から、フロイトの発達論 の新たな可能性を明らかにした。 4.「フロイトの科学と終わり なき回帰」 単著 2008 年 9 月 『 近 代 教 育 フ ォ 本論文は、教育思想史学会における下司晶氏の報告 ーラム』17 号、 「フロイトからフロイト主義へ/病因論から教育言 83-92 頁 説へ」に対するコメント論文である。本論文では、 下司氏の議論を受けて、精神分析は自然科学か精神 科学かという科学性の問題を検討した。これによっ て自然科学でも、解釈学でもない精神分析の科学性 のあり方を示唆した。 5.「子どもをめぐる科学と技 術の教育思想史―世紀転換 期における都市という磁場 ―」 共著 2011 年 9 月 『 近 代 教 育 フ ォ 共著者:○渋谷亮、藤田雄飛、國崎大恩 ーラム』第 20 号、本論文は、申請者が企画した教育思想史学会のコロ 207-221 頁 キウムの報告論文である。コロキウムでは、近年の 科学論の成果を取り入れ、科学技術の領域と教育の 領域の境界を検討する「科学と技術の教育思想史」 の方法論を提示することを目指した。本論文では、 コロキウム発表を報告するだけでなく、当日の議論 を踏まえた上で、 「科学と技術の教育思想史」の意義 と可能性を検討した。 6.「 〈事後性〉の反発達論的 単著 な発達論:フロイトの〈心的 装置〉と〈事後性〉について」 2013 年 6 月 『 教 育 哲 学 会 』 本論文では、 「精神分析的な時間性とは何か」を考察 107 号 、 115-133 し、これを「事後性の反発達論的な発達論」として 頁 提示することを目指した。 具体的にはフロイトの「心 的装置」と「事後性」の概念を検討した。さらにこ れをJ・ラカンの議論と対比することで、ラカンに 還元されないフロイトの可能性を示した。 7.「フロイトの子ども論―子 単著 ど も の科 学と 思想 の歴 史」 (博士論文) 2013 年 9 月 大阪大学 博士 本論文は平成 25 年 5 月に提出した博士論文である。 博士(人間科 論文(人間科学) これまでの研究成果を、精神分析の科学性とフロイ 学)取得 トの子ども論を明らかにする試みとしてまとめた。 第一部では、催眠術との関係で精神分析の成立過程 を検討した。第二部ではフロイトの発達論を、当時 の科学的試みとの関連で分析した。 第三部では、「幼 児期のイメージ」という観点から、フロイト、ユン グ、ベンヤミンなどの議論を考察した。 翻 訳 1.ブルース・フィンク『後期 ラカン入門』 (監修)村上靖 彦、 (翻訳)小倉卓也、塩飽 耕規、渋谷亮 共訳 2013 年 9 月 人文書院 -3- 本書は、フランスの精神分析家ジャック・ラカンに ついて書かれた解説書であり、英語の原著から翻訳 を行った。著者フィンクは難解なラカンを明快に、 だが単純化することなく解説することで知られてい る。本書で彼は、これまでそれほど論じられなかっ た中期から後期にかけてのラカンに着目し、これを 網羅的に、 しかし独自の見解を交えてまとめている。 (発表) 1.「見る-見られる関係に関 する教育学的考察」 単著 2006 年 10 月 教育哲学会 本発表は、 「監視するまなざし」を主題として、近代 49 回大会(於:東 における見る-見られる関係の様態を検討する教育 京大学) 哲学研究である。M・フーコーとS・フロイトの議論 を参照しながら、視線のネットワークの内面化によ って生じる自己形成、主体形成のあり方を論じた。 2.「エディプス論再考」 単著 2008 年 10 月 教育哲学会 本発表は、エディプス・コンプレックス論の検討を 51 回大会(於:慶 通して、フロイトの母子関係論の射程を明らかにす 應義塾大学) る思想史的・哲学的試みである。具体的には、G・ バタイユやG・W・F・ヘーゲルの家族論を踏まえ た上で、エディプス・コンプレックス論の内に近代 的家族関係を超えた母子関係論の可能性があること を示した。 3.「科学、技術、教育をめぐ る旅」 単著 2010 年 9 月 教 育 思 想 史 学 会 本発表は、申請者が企画した教育思想史学会でのコ 第 20 回大会(於:ロキウム『子どもをめぐる科学と技術の教育思想史 日本大学) ―世紀転換期における都市という磁場―』の報告で ある。本コロキウムは、近年の科学技術論アクター ネットワーク理論を教育思想史に導入し、 「科学と 技術の教育思想史」を提示するために企画された。 本発表では、企画者として意図・背景を説明した上 で、 「科学と技術の教育思想史」の方法論を提示し た。 コロキウム共同発表者:○渋谷亮(企画・報告) 、藤 田雄飛、国崎大恩、山名淳(指定討論) 、山内紀幸(司 会) 4.「精神分析的な幼年期の誕 単著 生―催眠術・ネットワーク・ 時間性」 2010 年 9 月 教 育 思 想 史 学 会 本発表もまた教育思想史学会での上記コロキウムで 第 20 回大会(於:の報告である。本発表では、実際にどのような教育 日本大学) 思想史研究が可能かを示すために、精神分析が成立 する過程、および幼年期が科学のうちに組み込まれ ていく過程を検討した。 コロキウム共同発表者:○渋谷亮(企画・報告) 、藤 田雄飛、国崎大恩、山名淳(指定討論) 、山内紀幸(司 会) 5.「世紀転換期における幼年 期をめぐって―S・フロイト の発達論と記憶論を中心と して」 単著 2010 年 10 月 教育哲学 本発表は、フロイトの発達論を「記憶」と「事後性」 会 第 53 回 大 会 という観点から検討する教育哲学的研究である。具 (於:中央大学・ 体的には、フロイトの発達論が事後的に作用する「事 多摩キャンパス) 後性の時間」に基づいており、それゆえに新たな射 程を有していることが示された。 6.「精神分析とマイナー科学 ‐問いと問題の科学史のた めに」 単著 2011 年 5 月 と き め き セ ミ ナ 本発表は、大阪大学のときめきセミナー『問いとネ ー第 15 回(於: ットワーク:科学的実践のマイナー性はいかに記述 大阪大学) されうるか』での報告である。本セミナーは、近年 の科学論を、G・ドゥルーズらの「マイナー性」お よび「問題と問い」に関する議論を参照し発展させ ることを目指したものである。 担当発表では、歴史・思想史の観点から「科学的実 践のマイナー性」をいかに記述できるかを示すため に、精神分析の成立過程を「問い」と「実験システ ム」という観点から検討した。 セミナー共同発表者:近藤和敬、久保明教、○渋谷 亮 -4-
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