特殊相対性理論で観るテニスの謎 NTT東京テニス部 高橋優(たかはしゆう) 皆さんこんにちは、NTT東京テニス部の高橋優(たかはしゆう)です。 今回は皆さんにダブルスのバックハンドリターンについてお教えします。 実は私の苦手なショットでして、それゆえ研究を重ねているので♪ ダブルスにはリターンの場合フォアサイドとバックサイドがありますね。 皆さんはどちらが得意ですか??? 私はフォアサイドを19年やっていますが… 一般にフォアサイドのバックハンドリターンは逆クロスになり難しいと 言われています。なぜでしょう??? 学生時代に学んだ量子力学、特殊相対性理論を用い解説していきます? また基本的な物理の法則とテニスの関係も解説してます。お楽しみに♪ 問題 地球が誕生して今までを1年とします。 地球が1月1日に生まれたとすると 人間が生まれたのはいつでしょう? 答えは最後まで見てくれたら解ります! <サービスの軌道とリターンラケット面の軌道の関係> 先ずは物理的にボールがラケットに当たる確率だけ考えてみましょう。 (衝突運動における統計力学による確率の算出?) ベクトル的にGood! この角度が平行なほど =ラケットに当たる確率が多い =ミスしにくい ベクトル的にBad! 1点で捕らえることになる =ラケットに当たる確率が少ない =ミスしやすい (ディープインパクトにおける地球に飛来する小惑星を核ミサイルで迎撃する事と同じで すね。イヤー感動した。僕は涙が止まりませんでした。でもアルマゲドンもよかったな。) サービスの軌道 ラケット面の軌道 リターンのコース 先ほどのラケット面に当たる確率だけ考えた場合 左コートの方(サービスと同じ方向にリターンする方) がミスしにくい事が解ります。 ベクトル的にGood! ベクトル的にはBad! ベクトル的には共にGood!なのに バックハンドの逆クロスの方が難しいのはなぜでしょう? 今度は振りぬきのし易さに注目してみます。 順クロス 逆クロス ベクトル的にもGood! ベクトル的にはGood! バックハンド逆クロスは インパクトの瞬間から ラケットが体から離れていく =力が入りにくい =難しい (私は苦手です) 逆クロスは難しい! バックハンド順クロスは インパクトの瞬間から しばらくラケットが体の そばをとおる。 (量子力学における回転運動 の支点が体の重心に一致する。 ケプラーの第1法則??) =力が入りやすい =振りぬきやすい (私は得意です) それではどうすれば良いのでしょうか? 体の向きに注目すると打ちやすくなります。 逆クロス HIT 順クロス HIT しっかり踏み込める余裕がある場 合は体の向きを変え踏み込みま す。体の向きを変える事により振りぬ きがし易くなるからです。 また積極的に踏み込み前でボールを 捕らえる事により攻撃的なリターンを 打つ事が出来ます。 相手のセカンドサーブなど威力がない 時にはそのままリターンダッシュを する事も出来ますね。 ①スプリットステップ ②ボール側の足を横に踏み出す (同時に体をひねりテイクバック) ③打ちたい方向に踏み込む ④積極的にHIT! リターンではこの積極性が重要です。 しっかり踏み込める余裕がある場合 は体の向きを変え踏み込みます。 体の向きを変える事により振りぬきが し易くなっています。 これで逆クロスもばっちり! 写真は手出しのボールのため 打点が遅れてます。 ほんとはもっと前で捕らえてください。 それでは相手のサーブに威力があり十分に踏み込む 余裕がない場合はどうすれば良いのでしょうか? 逆クロス HIT 順クロス 相手のサーブが早い時などはオープンスタンスで 対処しましょう。(トッププロは皆そうです) その時は体のひねりに注意します。 体をひねる事でテイクバックは完了です。 後はコンパクトにスイング。 相手のサービスの威力を利用しブロックリターン! ①スプリットステップ ②ボール側の足を横に踏み出す (同時に体をひねりテイクバック) ③コンパクトにブロックリターン! (壁を作り弾性衝突を起こさせれば十分です?) スプリットステップのタイミングは、コンマ何秒の世界で 激変します。サーバーのラケット面からボールが離れる 瞬間に同時に着地していなければなりません。そして 瞬時にコースを判断します。少しでも遅れればアウトです。 (相対性理論によると180km/hのサービスは0.1sに5mの 割合で接近してくる) <立体的に見たサービスの軌道と打点の関係> 実際はテニスは平面運動ではありません。 次は立体的に考えてみましょう。テイクバックの注意です。 ①スピンサーブの場合 ボールは高く弾んできます。 それに合わせ HIT テイクバックも高くしなるべ く体の前で捕らえます。 ベクトル的にGood! ②フラット、スライスサーブの場合 ボールは高く弾んできません。 テイクバックはボールの高さにします。 (相手のサーブの癖を早くつかむ) HIT ベクトル的にGood! HIT ベクトル的にBad! ③スピンサーブの場合にテイクバックを低くしたらどうなるでしょうか? よくコーチのアドバイスに“下から上へ”と聞かれますが、これはサービス の威力が無く打点が十分低い場合に有効です。(下から上へ振ると事実 スピンはかかり易いですが) しかし威力のあるスピンサーブの場合これでは空振りしそうですね。 下から上へ振ることによりスピンをかけるのではなく、インパクトの瞬間 ラケット面がボールをこすればスピンがかかるのです。 (もちろん打点の取り方の上手な方はこれでも良いと思います。) 今までは技術的な観点からリターンを分析してきましたが、テニスは気持ち が非常に重要です。私がリターン時に気をつけている事をお教えします。 ★リターンは劣勢なのが当たり前、形勢を逆転するにはアグレッシブなプレー! ポーチにでまくり相手に自分の存在を焼き付ける! ★相手の意表を突くようなプレーをする事でポイントをもぎ取る! ロブリターン→ポーチ封じ、サーバーのネットへの詰めを遅くさせる スライスドロップリターン→パートナーのボレーヤーに次に決めさせる リターンダッシュ→沈めば形勢逆転 ストレートアタック→ポーチ封じ、私の得意パターン クロスロブ→サーバーの詰めを封じる ★とにかくミスを気にするな!取られて当然、取れてラッキー! 自分のサーブに自信があれば、どこかでブレークすればいいだけ。 力の差がある時には特に問題ありませんが、対等もしくはそれ以上の相手に 勝つにはやはり積極的に仕掛けるのが一番だと思います。 皆さんもこれくらいの気持ちでリターンしてはいかがでしょうか? それでは物理の法則とテニスの関係について少しお話します。 基本的な物理学の法則を思い出してください。 アレルギーのある方は即飛ばしてください! E=1/2MV・V+ MGh → エネルギー保存の法則! (E=全エネルギー、M=質量、V=速度、G=重力加速度、h=高さ) 物質にはエネルギーが存在しそれは不変である(保存される)という原理。 エネルギーには運動エネルギー(式前半)と位置エネルギー (式後半)がある。 下図の状態aは静止しており運動エネルギーは0である。 したがって全体のエネルギーはE= MGHとなる。 逆に状態cは位置エネルギーが0で全体のエネルギーはE=1/2MV・Vである。 h=H V=0 状態a 図:転がる物体の運動 注意)摩擦は無視できるとする。 状態c V=V h=0 なぜこんな基本的な法則を紹介したかというとテニスに関係するエネルギーは この運動エネルギーが重要だからです。運動エネルギーは速さVの2乗に比例し ています。これは少しでも速さが増すとエネルギーは急増するという事です。 簡単に言うと止まったボールを打った場合にスイングスピードが2倍になればボール が受けるエネルギーは4倍になるという事です。チャンスボールなどを打つ時はスイ ングスピードを上げると威力が増しますね。またサービスの威力を増すにも遠 心力を使いスイングスピードを上げています。 ここで少しサービスと遠心力について解説します。 太陽の周りを回る地球を想像してください。 やはりここにもエネルギー保存則は成り立っています。 回転運動の場合はE=MRω・ ωです。(M=地球の質量、R=公転半径、 ω =角速度) ここで半径Rを半分のrにすると速度ω 1の変化はどうなるでしょうか?( 1/2R=r) E=MRω・ ω =Mr ω1 ・ω1 =1/2MRω1 ・ω1となります。 ∴ 2 ω・ ω = ω1 ・ ω1 ∴√2ω= ω1となり角速度が√2倍になった事が解ります。 回転運動では半径を小さくするとスピードが上がるのです。 フィギュアスケートの選手が回転をする場合を考えてください。 始めは腕を伸ばしています。そして腕を縮めた瞬間に回転速度が急にあがりますよね。 サービスでもこの原理を利用しスイングスピードを上げています。 サービスでは遠心力の原理を利用 しスイングスピードを上げています。 HIT R 肩を支点にグルグル回して 打ってもそんなにスピードは r 出ませんね。 途中に支点を肘に移し半 径を小さくする事により 回転速度が上がります。 俗に言う内転を使う! インパクトの瞬間に この運動エネルギーを とき放つ! このようにテニスと物理学の法則は密接に関係していたの です。この他にもいろいろあります。 ★ラケット面とボールの摩擦力による回転運動の謎! (フラット、スピン、スライスはこうして生まれる) ★ボールとコート面の接触時における跳ね返り係数とは? ★流体力学による風向、風速を分析した攻撃パターン。 ★ガットの反発係数、ラケットの反発係数を考慮したインパクト時 のエネルギー伝達の法則!(キルヒホッフの法則) ★統計力学によるWhich の法則 (トスの時ラフとスムースはどっちが多く出る?) ★ダブルフォールト連発時におけるマーフィーの法則! まだまだ分析の価値がありますが そんな事より練習した方が早いので今回はこの辺で 止めておきます。 やっぱりスポーツは体で覚えるものです! 最後までお付き合い頂きありがとうございました。 参考になったでしょうか?うーーん??あんまりかな??? とにかく上手くなるには情熱です。情熱さえあればなんでも出来る! そう思いませんか? それでは今後とも応援よろしくお願いいたします。 感想メールお待ちしております。 忘れてました、最後に問題の答えです。 人間は12月31日大晦日の23時59分59秒にも生まれていません。生ま れてほんの1秒に満たない人類が地球を何十個も壊す事ができ る力を持っているなんて不思議ですね。その1秒の何千分の1が自分 の一生だと思うとうかうかしてられません。さー今日も練習だ! 高橋 優(Yuu Takahashi) NTT東京支店 法人営業本部 システムサービス部門 ECソリューション 〒163-1419 新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティータワ- 27F Phone:03-5358-9863(代表) FAX:03-5365-4241 E-mail:[email protected] http://www.thj.tokyo.east.ntt.co.jp/ssc/ssec/myhp/ytakahas/yuu‘sWorld.htm(社内限定)
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