電気回路学講義資料

電気回路学
Electric Circuits
コンピュータサイエンスコース、
ナノサイエンスコース4セメ開講
二端子対網の伝送的性質
山田 博仁
二端子対網の伝送的性質
 1
Z G  
 YG



I2
I1
z11 z12
EZin
Z in 
V1
z21 z22
V1
:入力インピーダンス
I1
終端インピーダンス
-I2
 1 
ZoutZ L   
 YL 
V2
Z out 
ZL: 負荷インピーダンス
ZG: 電源の内部インピーダンス
V2
: 出力インピーダンス
I2
入力インピーダンス: Zinを求める
1. Zパラメータによる表現
V1  z11 I1  z12 I 2
V2  z21I1  z22 I 2
第2式と第3式より、 I 2 
V2  Z L I 2
より、 Z in 
 z21
I1
z22  Z L

z z 
第1式に代入して、 V1   z11  12 21  I1
z 22  Z L 

よって、 Z in 
V1
を求める
I1
V1
z z
 z11  12 21
I1
z22  Z L
入力インピーダンス(アドミタンス)
I2
I1
-I2
yA11 yB12
Yin
Z
V1
V2
yC21 yD22
 1 
Z L   
 YL 
Yin: 入力アドミタンス
Z
入力インピーダンス
2. Yパラメータによる表現
I1  y11V1  y12V2
I 2  y21V1  y22V2
第2式と第3式より、 V2 
第1式に代入して、
 I 2  YLV2
より、 Yin 
 y21
V1
y22  YL

y y 
I1   y11  12 21 V1
y22  YL 

よって、
Yin 
3. Fパラメータによる表現
V1  AV2  BI2
I1  CV2  DI2
V2
B
V1 AV2  BI2
AZ L  B
 I2
Z in  


I1 CV2  DI 2 C V2  D CZ L  D
 I2
A
V2  Z L I 2 より、
I1
を求める
V1
I1
y y
 y11  12 21
V1
y22  YL
 1
Z G  
 YG



出力インピーダンス(アドミタンス)
ZG 
I2
I1
zyA11 zyB
12
12
V1
zyC21 zyD22
22
1. Zパラメータによる表現
V
z z
Z out  2  z22  12 21
I2
z11  Z G
V2
1
V
 1
YG
I1
Yout
Z
出力インピーダンス
out: 出力アドミタンス
2. Yパラメータによる表現
I
y y
Yout  2  y22  12 21
V2
y11  YG
3. Fパラメータによる表現
V1   A B   V2 
上記の回路に対して、
 I   C D   I 
 2 
 1 
V   D
入出力を逆にした回路に対して、  2   
 I 2  C
V
D 1 B
V
DV1  BI1
 I1


よって、 Z out  2 
V
I 2 CV1  AI1 C 1  A
 I1
さらに、
B   V1 
A  I1 
DZG  B
CZ G  A
V1  ZG I1
演習問題
演習問題(10.1)
伝達インピーダンスZT(=V2/I1)をZパラメーターで表せ
V1  z11 I1  z12 I 2
V2  z21I1  z22 I 2
第2式に第3式を代入して、 V2  z21 I1 
V2  Z L I 2
z22
V2
ZL
V2
を求める
I1
V
z Z
ZT  2  21 L
I1 z22  Z L
より、 ZT 
よって、
演習問題(10.2)
下記の無限回路の入力インピーダンスZinを求める
100W
Zin
300W
100W
R0
R0
300W
200W
200W
従って、
300W
200W
200W
200W
200W
300W R0
200W
200W
R0 
300(400 R0 )
300 (400 R0 )
R0  200[W]
Zin  400[W]
伝送量
入出力端子を備える二端子対回路における入力電圧V1と出力電圧V2の比V1/V2 、
或いは入力電流 I1と出力電流 I2の比 I1/I2を考える。
I1
I2
V1
 v  log
V1
,
V2
i  log
I1
I2
V2
などを伝送量と呼ぶ
一般に、V1, V2, I1, I2は複素数であるので、伝送量も複素数となる
例えば、   loge
V1
V
 j arg 1    j
V2
V2
と書ける
実部 α を減衰量、虚部 β を位相量といい、その単位にはそれぞれネーパ(Np)および
ラジアン(rad)を用いる
伝送量の対数表示
対数(デシベル)表示
電圧、電流の比
20 log10
V1
V2
[dB]
電界、磁界の比
20 log 10
I1
I2
[dB ]
20log10
E1
E2
[dB]
20 log10
H1
H2
電力(パワー)の比
10 log 10
P1
P2
絶対レベル
[dB ]
何故なら
P1
V I
 1 1
P2 V2 I 2
(600Ωの負荷を基準とした絶対値)
V0  0.775[V]
P0  1 [mW]
P  1 [mW]  0 [dBm]
I 0  1.29 [mA]
P  100[mW]  20 [dBm]
0.775 [V] = 0 [dBv]
1 [V] = 0 [dBV]
1 [mV] = 0 [dBm]
覚えておくと便利
電力比で10倍=10dB (電圧比、電流比なら20dB)
電力比で2倍=約3dB (電圧比、電流比なら約6dB)
電力比で5倍=約7dB (電圧比、電流比なら約14dB)
1mW=0dBm
[dB]
動作減衰量
ZG  RG  jX G
E
ZG
I2
整合回路
Z L  RL  jX L
Z L V2
二端子対網の入力インピーダンスが Z G なら、 Pmax  E
に送られる最大電力
2
( 4 RG ) が電源から二端子網
負荷ZLで消費される電力を一般に P  I 2 RL とすると
2
動作減衰量
Pmax
P
V
I
 20 log10 2 max  20 log10 2 max
V2
I2
 B  10log10
V2 max
[dB]
最大電圧、電流
I 2 max
電源の固有電力に比べ、どの程度の電力が負荷に伝えられているのかを示す量
電気回路の分類
非線形回路
(重ね合わせの理が成り立たない)
R,L(M),CがVやIの関数
R(I), L(I), C(V)など
受動回路
(パッシブ)
線形回路
(重ね合わせの理が成り立つ)
能動回路
(アクティブ)
電力の増幅が起こり得る
NIC
11章
Tr,真空管等
による回路
相反回路
(z12=z21,
y12=y21,
AD-BC=1)
負性抵抗
(R<0)
従属電源
(p.235)
NIV
非相反回路
ジャイレータ、
アイソレータ
など 11章
R,L(M),C回路
(R, L, C≧0)
NIC: 負性インピーダンス変換器 (p.238)
NIV: 負性インピーダンス反転器 (p.239)
出席レポート問題
I1
二端子対
回路
z
Z   11
 z21
z12 
z22 
y
Y   11
 y21
V2
y12 
y22 
 1 
Z L   
 YL 
A B
F

C D 
1. 上に示す回路において、伝達インピーダンスZT(=V2/I1)をYパラメーターで表せ
2. 上に示す回路において、伝達インピーダンスZT(=V2/I1)をFパラメーターで表せ
※ 次回の講義(11/26)前までに私のメールボックスに投函か、講義に持参のこと
演習問題
ZG
1. 右の回路におけるE2 / Eを求めよ。
E
2. Zパラメータの値が右のような二端子対回
路に電圧源EとインピーダンスZGが接続さ
れた回路に対する等価電圧源を求めよ。
ZG
E
A
B
C
D
z11
z12
z21
z22
ZL E2