Chapter 12

NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
電気回路講義ノート
Author(s)
辻, 峰男
Citation
Issue Date
2014-04
URL
http://hdl.handle.net/10069/34606
Right
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第 12 章 二端子対網
二端子対(two terminal pair)とは,入力端子対(1,1’)と出力端子対(2,2’)のことである。回路をまと
まったシステムとしてとらえて,入力(input)側と出力(output)側の関係を表す。電力や信号を送
るとき使われる理論である。
○
インピーダンス行列(
I1
Z 行列 impedance matrix)
V1   z11
V    z
 2   21
I2
1
2
V1
V2
1
2

V


Z
I
通常, z12  z21 である。
(注) V1 , I1 , V2 , I 2 の矢印は必ず,
I2
I1
入力側に交流電源,出力側に負荷をつなぐと
図の方向に定義すること。
にたんしついもう
考えよう。二端子対網には電源は含まない。
○
アドミタンス行列(
Y
縦 続行列(
V2
I2
Y  Z 1 (逆行列)である。
じゅうぞく
Z , Y は常に存在するとは限らない。
K 行列,F 行列 cascade matrix)
I1
I2 '
K
V1
I1
 I1   y11 y12  V1 
I    y
 
 2   21 y22  V2 



I
Y
V
通常, y12  y21 である。
I2
I1
○
(Y行列も同様)
Y 行列 )
I1
V1
z12   I1 
z22   I 2 
I2 '  I2
右向きに定義
すること!
V2
V1   A B   V2 
 I   C D   I '
 2 
 1 

K
I2 '
(注) V1 , I1 , V2 , I 2 ' の矢印は必ず,図の方向に定義すること。
A, B, C, D を四端子定数という。通常, AD  BC  1 ( K  1 ) が成立する。
109
Z , Y , K 行列の求め方には2つの方法がある。
①
V1, I1,V2 , I 2 (または I 2 ' )を図のように定義し,回路の式を上記の形に整理する方法。
② I1  0 (開放)
, V1  0 (短絡)など,特殊な場合を考えることにより求める方法。
図の回路のインピーダンス行列を求めてみよう。
I1
1
V1
Z1
Z2
このように書いても, 1,1 と 2, 2 は開放されている
I2
2
Z3
訳ではない。電源があるかも知れないし,負荷があ
V2
るかも知れない。原因はともかくとして,
V1,V2 , I1, I 2 が生じていると仮定して求める。
2
1
図の様に V1 ,V2 , I1, I 2 を必ず矢印の向きに定義する。インピーダンス行列は次式で定義されている。
V1   z11
V    z
 2   21
z12   I1 
z22   I 2 
・・・・・①
方法1.とにかく式を立てて,①の形にする方法。
図より, V1  Z1I1  Z 3 ( I1  I 2 )
V2  Z 2 I 2  Z 3 ( I1  I 2 )
V   Z  Z 3
 1    1
V2   Z 3
Z 3   I1 
Z 2  Z 3   I 2 
 Z1  Z 3
 Z3
インピーダンス行列は, Z  
Z3 
Z 2  Z 3 
方法2.特殊な条件から求める方法
① 式で, I 2  0 の場合を考える。 I 2  0 は, 2, 2 を開放することを意味する。
このとき,図より
Z 2 I 2  0 となるから
V1  ( Z1  Z 3 ) I1 , V2  Z 3 I1
 z11  Z1  Z 3 , z21  Z 3
次に, I1  0 ( 1,1 開放)を考える。図より,
V1  Z 3 I 2
Z 2 の電圧は 0。
, V2  ( Z 2  Z 3 ) I 2
 z12  Z3 , z22  Z 2  Z3
(注) Z 行列を求めるときは, I 2  0 及び, I1  0 の場合を考えればよい。
V1  0 ( 1,1 を短絡)としても, z11I1  z12 I 2  0 だから, z11 と z12 が決められない。
*
抵抗,コイル,コンデンサ,変成器,理想変成器からなる二端子対網は,相反性の条件(相
反定理)を満足し, z12  z21 , y12  y21 , AD  BC  1
110
が成立する。
例題1 図の回路の Y 行列を求めよ。 Y1 , Y2 はアドミタンスである。
1
A
I1
Y2
I2
B
Y1
2
Y2
V2
V1
1
2
Y1
C
I3
V3
(解)
 I1   y11
I   
 2   y21
y12  V1 
 
y22  V2 
より,
V2  0 のとき, I1  y11V1 , I 2  y21V1
V1  0 のとき, I1  y12V2 , I 2  y22V2
まず, 2, 2 を短絡し,V2  0 の状態を考える。1,1' 間で見ると Y1 , Y2 の並列回路が直列につながっ
ているから,全体のアドミタンスは (Y1  Y2 ) / 2 となり
I1 
Y1  Y2
V1 より
2
Y Y
y11  1 2
2
1
V1
V 1
 Y2 1  (Y2  Y1 )V1
2
2 2
Y2  Y1
2
(電圧と同方向に定義された電流にはマイナスがつく)
次に, 1, 1 を短絡して V1  0 の状態を考える。
Y1  Y2
V2 より
2
y22 
Y1  Y2
2
V
V 1
また, I1  Y1 2  Y2 2  (Y2  Y1 )V2
2
B
Y1
Y2
2
I2 "
I2
1
キルヒホッフの電流則より
I2 
I2 '
V1
加わるので,節点 B で考えると,
 y21 
I1
Y2
V
また, Y1, Y2 には 1 の電圧が
2
I 2  I 2 ' I 2 "  Y1
V1
2
2
1
 y12  (Y2  Y1 )
2
111
Y1
V1
2
例題2
A B
N の K 行列 K  

C D 
が既知のとき以下の問いに答えよ。
(1) N のインピーダンス行列 Z を K で表せ。
(2) 2, 2 を入力側, 1,1 を出力側と考えた N の K 行列 K ' を求めよ。
(3)(b)図のように, N を接続したとき,全体の回路の K 行列 K  を求めよ。
I1
1
2
V1
V2
1
2
I 2
I2
I1
I2
V1
V2
V2
(a)
(b)
(解)(1)題意より,電流を図のように定義すると
V1  AV2  BI 2 ・・・・①
I1  CV2  DI 2 ・・・・②
②より V2 を求めると, V2  I1 / C  ( D / C ) I 2
①に代入して, V1  A( I1 / C  ( D / C ) I 2 )  BI 2
V   A / C ( AD / C )  B   I1 
 1   
D / C   I 2 
V2   1/ C
I C
(2)②より, I 2   1  V2
故に, Z 
1 A

C 1
K

D
K 1
V B I C
①に代入 V2  1  ( 1  V2 )
D D
A A
V
B
1
1
I1 ) 
( 1
( DV1  BI1 )
V2 
AD  BC
1  BC /( AD) A AD
D
D
I1
1
CB
1

(CV1 
I1 ) 
(CV1  AI1 )
D AD  BC
D
AD  BC
AD  BC  1 であるから
I2  
V2   D B   V1 
 D B

K
'

よって,
 I   C A  I 
 C A
  1


 2 
A と D を交換した式となる。
出力側は出る方向に定義するのが約束だから,  が必要
* 対称回路では A  D が成り立つ(入出力どちらから見ても同じ回路)。
(3)

V1 
V2 
2 V2 
K
K


I 
I 
I 
 1
 2
 2
2
 A B   A B   A  BC AB  BD



 
C D  C D  CA  CD CB  D2 
従って, K   K  
2
112
でるた
例題3(a)図の △ 形回路と(b)図のY形回路が等価であるための条件を求めよ。
I1
V1
I1
1
I2
Z12
1
2
Z13
Z 23
1
V2
V1
2
1
Z1
Z2
Z3
I2
2
V2
2
(a)
(b)
(注)1’と 2’をまとめて 1 つの点とし,三端子について(a)を(b)に直して計算することが多い。
(解)(a)
,
(b)の Z 行列が等しい条件より求める。
Z 行列の定義より,
V1  z11I1  z12 I 2
V2  z21I1  z22 I 2
まず, 2, 2 を開放し, I 2  0 の場合を考える。
Z (Z  Z23 )
I1  z11I1
(a)図より, V1  13 12
Z12  Z13  Z23
V2 
・・・・①
・・・・②
・・・・③
Z13
I1  Z23  z21I1
Z12  Z13  Z23
・・・・④
(b)図より, V1  ( Z1  Z3 ) I1  z11I1
・・・・⑤
V2  Z3 I1  z21I1
・・・・⑥
次に, 1,1 を開放し I1  0 の場合を考える。
一般に, z12  z21 であるから, z22 だけを求めればよい。
Z (Z  Z13 )
I 2  z22 I 2
(a)図より, V2  23 12
・・・・⑦
Z12  Z13  Z23
(b)図より, V2  ( Z 2  Z3 ) I 2  z22 I 2
・・・・⑧
④と⑥,③と⑤,⑦と⑧を比較して,
Z1 
Z12 Z13
Z12  Z13  Z23
Z2 
Z12 Z23
Z12  Z13  Z23
Z3 
Z13Z23
Z12  Z13  Z23
1
Z
2
1
Z
3
Z
Z
3
2
Z
3
Z
3
3
Y 形にするとR,Lは 1/3,Cは 3 倍になる。
* △形回路とY形回路の変換をY-△変換(star-delta transformation)という。
逆に,
Y13 
Y1Y3
Y2Y3
Y1Y2
, Y23 
, Y12 
Y1  Y2  Y3
Y1  Y2  Y3
Y1  Y2  Y3
Y13  1/ Z13 , Y23  1/ Z23 , Y12  1/ Z12 , Y1  1/ Z1, Y2  1/ Z2 , Y3  1/ Z3
但し,
113
き
ち
例題4 図の回路でインピーダンス行列が既知のとき,2, 2 の端子から見た等価電圧源を求めよ。
I1
I2
2
 Z11
Z
 21
E
Z12 
Z 22 
V2
2
(解) 図のように, I1, I 2 ,V2 を定義すると,
E  z11I1  z12 I 2
・・・・・①
V2  z21I1  z22 I 2
・・・・・②
テブナンの定理を適用する。まず,開放電圧を求めるために上式で I 2  0 とおくと,
E  z11I1 , V2  z21I1
V2 
z21E
 E0
z11
とおく。
次に,2, 2 端子から見たインピーダンスを求める。電源は殺す必要があるから,E は短絡する。
よって,①で E  0 とおけばよい。
従って, 0  z11I1  z12 I 2
 I1  
z12
I2
z11
z z
②に代入して, V2  ( z22  21 12 ) I 2
z11

V2 z11z22  z21z12

 Z0
I2
z11
とおく。
よって,等価電圧源は
2
Z0
E0
2
* 等価電流源はノートンの定理を用いる。 Z0 の求め方は同じ。
短絡電流は I 0 は①,②式で, V2  0 とおいて, I 2 を求めて, I 0   I 2 とする。
2
I0
Z0
2
114
例題5
N のインピーダンス行列が既知のとき,全体の二端子対網のインピーダンス
行列を求めよ。
I 2  I 2
 1
I1
 n
V1
V2
I2
I1
I 2
N
V
V1  V1 1
I 2
V2
I2
(解)図のように,電圧,電流を定義する。
図より,理想変成器に関し,
V1  V1 : V2  n :1
(密結合の条件)
・・・①
nI1  I 2  I 2  0
(励磁電流 0 の条件)
・・・②
V    Z11
 1
V2   Z 21
題意より,
Z12   I1 
 
Z 22   I 2 
と書ける。
・・・③
②を③へ代入して,
V2  Z 21I1  Z 22 (nI1  I 2 )
・・・④
①,③より
V1  nV2  Z11 I1  Z12 ( nI1  I 2 )
V1  nZ 21I1  nZ 22 (nI1  I 2 )  Z11I1  Z12 (nI1  I 2 )
④,⑤より
V1   Z11  n( Z 21  Z12 )  n 2 Z 22
V   
Z 21  nZ 22
 2 
☆
Z12  nZ 22   I1 
 
Z 22
  I2 
諸行列間の関係を以下に示しておく。
 y12  1  A
z  1 y
z
Z   11 12    22
 
 z21 z22  Y  y21 y11  C  1
y
Y   11
 y21
K

D
y12  1  z22  z12  1  D  K 


y22  Z  z21 z11  B 1 A 
 A B  1  z11 Z  1  y22
K 




C D  z21  1 z22  y21  Y
1
y11 
115
・・・⑤
○
二端子対網の伝送的性質
● 入力インピーダンス(input impedance)と出力インピーダンス(output impedance)
電源の
インピーダンス
ZG
I1
1
E
電源
I2
V2
二端子対網
V1
Z L 負荷
2
1
Z out を計算する時は
短絡する。
2
Z out
Z in
V1
I1
入力インピーダンス
Zin 
出力インピーダンス
Zout 
V2
I2
(但し,電源は殺す。
)
● 伝達量 
  log
V1
V
 loge 1
V2
V2

V
j arg( 1 )
V2


j 

減衰量
位相量
[Np ] ネーパ
通常,
  20log10
V1
V2
[rad] ラジアン
げんすいりょう
[dB] デシベル を減 衰 量 として用いる。
大きさが等しく V1  V2 なら   0 [dB] ,  0 なら減衰,  0 なら増幅している。
位相量は,入出力電圧の位相差を表わす。
なお,電子回路や自動制御では,伝達関数
利得(ゲイン) g  20log10
位相
V2
V1
G
V2 出力

V1 入力
[dB]
V
G  arg( 2 ) [rad]
V1
ぞうふく
を考える。つまり,減衰じゃなくて増幅の立場から見る。
116
を定義して,
● 反復パラメータ(反復インピーダンス(iterative impedance) Z K1, Z K 2 ,反復伝達量  K )
1
I1
2
Z K 1 V1
I2
1
二端子対網
ZK2
Z K1
V2
2
1
1
2
Z K2
2
2, 2 を入力側と考えると
同様に Z K 2 が定義できる。
負荷として Z K1 をつないだ時,たまたま
入力インピーダンスも Z K1 になった。
その Z K1 を反復インピーダンスという。
Z K1 は二端子対網によって違う。
Z K1 を負荷としてつなぐとき, V1  Z K1I1 , V2  Z K1 I 2 であり,
はんぷく
V
I
このとき,  K  log 1  log 1 を反復伝達量(iterative transfer constant)という。
V2
I2
 k  20 log10 V1 / V2
:反復減衰量,
 k  arg(V1 V2 ) :反復位相量
反復とは繰り返すことである。第 1 章の問題4(b)で求めた抵抗が反復インピーダンスである。
すなわち,上記の二端子対網を右に無限個つなげば,どの接続点から右を見ても同じインピーダ
ンスになるはずであり,これが反復インピーダンス Z K1 になる。分布定数回路の特性インピーダ
ンスも反復インピーダンスの一種と考えられる。
(問題) 図のように二つの二端子対網 N1,N2 があり,左から見た反復インピーダンスがどちらも
Z K1 で,反復伝達量がそれぞれ  K ',  K " であるとき,N1,N2 全体の反復インピーダン
スと反復伝達量を求めよ。
1
V1
1
(解)
3
2
K '
K "
V2
Z K1
N1
V3
Z K1
N2
2
Z K1
3'
端子 3,3' に Z K1 を接続すると,2, 2 より右を見たインピーダンスは,定義より Z K1 である。
よって,定義より 1,1' より右を見たインピーダンスも Z K1 となる。よって端子 3,3' に Z K1 を接続
すると,1,1' より右を見たインピーダンスが Z K1 となっているから,N1,N2 全体の反復インピー
ダンスは Z K1 である。
N1,N2 全体の反復伝達量を  K とすると
 K  log
V1
V V
V
V
 log 1 2  log 1  log 2   K '  K "
V3
V2 V3
V2
V3
となる。
117
例題6 図の回路において以下の問に答えよ。
1 I1
ZG
2
V2
V1
E
I2
ZL
2
1
(1) N のインピーダンス行列 Z を既知とするとき,入,出力インピーダンスを求めよ。
(2) N の K 行列を既知とするとき,入,出力インピーダンスを求めよ。
(解)(1)図のように V1, I1,V2 , I 2 をとると題意より,次式が成立する( z11 ~ z22 は既知)。
V1  z11I1  z12 I 2
V2  z21I1  z22 I 2
図より, Z L  V2 / I 2
・・・・①
・・・・②
・・・・③
②,③で, V2 を消去し, I 2 を求めて①に代入すると入力インピーダンス Zin は,
Zin 
V1
z z
 z11  12 21
I1
Z L  z22
・・・・④
出力インピーダンス Zout については,電源 E を短絡し, 2, 2 より見ることになるから,
V2  V1 ,V1  V2 , I 2  I1 , I1  I 2 と書くと,②,①より
V1  z22 I1  z21I 2
・・・・②’
V2  z12 I1  z11I 2
・・・・①’
従って④式で, Z L  ZG , z11  z22 , z12  z21 , z21  z12 , z22  z11
と置き換えればよい。故に,
Z out  z22 
z21 z12
ZG  z11
・・・・⑤
(2)四端子定数を A, B, C , D とすると,
V2
B
V1 AV2  BI 2
AZ L  B
I2


Z in  
V
I1 CV2  DI 2 C 2  D CZ L  D
I2
A
・・・・⑥
出力側から見た K 行列は, A と D を交換するだけでよいから,(ただし, K  1 のとき)
⑥式の Z L  Z G として
Z out 
DZG  B
CZG  A
・・・・⑦
118
例題 7
A B
N の K 行列 K  
 が既知のとき,以下の問に答えよ。
C D 
I1
I2
Z K1
V1
V2
Z K1
(1)反復インピーダンス Z K 1 を求めよ。 N が対称回路のときはどうなるか。
K
(2)反復伝達量を  K とするとき,e
を求めよ。N が対称回路のとき cosh  k はどうなるか。
(解)
(1)反復インピーダンスの定義から,負荷のインピーダンスが Z K 1 のとき,入力インピ
ーダンスも Z K 1 となるから,
V2
B
V1 AV2  BI 2
AZ K 1  B
I2


Z K1  
I1 CV2  DI 2 C V2  D CZ K 1  D
I2
A
 CZ K 12  ( A  D) Z K 1  B  0
Z K1 
1 
( A  D)  ( A  D) 2  4 BC 


2C 
(根号は Z K 1 の実部が正になるように選ぶ。)
N が対称回路のとき, A  D であるから,
Z K1 
B
C
(2)定義より,  K  log
V1
V2
一方, V1  AV2  BI 2  AV2 

V1
B
 A
V2
Z K1
,
BV2
Z K1
e K  A 
B
Z K1
N が対称回路のとき,
1
1
1
cosh  K  (e K  e  K )  ( A  BC 
) A
2
2
A  BC
* これらの式は,第 17 章の分布定数回路で利用する。
119
例題 8 図の回路で,反復インピーダンス Z K  100 ,反復減衰量  [dB] であるように, R1 , R2
を定めよ。
2
1
R1
R1
R2
1
2
( 解 ) Z K  100 で あ る か ら , 2, 2 に
I2
I1
100 を接続すると,入力抵抗も 100 とな
る。従って,
100  R1 
R1
( R1  100) R2
R1  100  R2
R2
V1
・・・①
R1
V2
100
100
題意より,
  20 log10
V1
100  I1
I
 20 log10
 20 log10 1
100  I 2
V2
I2
・・・・②
図より,
I2 
R2
I1
100  R1  R2

I1 100  R1  R2

I2
R2
・・・・③
②,③より,

10 20

100  R1  R2
R2
④を①に代入する。
・・・・④
100  R1  ( R1  100)10


 R1 
20
100(1  10
1  10
④より,
R2 
100  R1

10 20
1



20 )

20
200


(10 20
 1)(10


20
 1)
* 図のように無限につないだときの入力インピーダンスが反復インピーダンスである。
1
ZK
R1
R1
R2
R1
R1
R2
1
120
例題 9 図の回路につき以下の問に答えよ。
(1) K 行列を求めよ。
(2)反復インピーダンスを求めよ。
C
1
2
L
K3
K2
K1
L
1
K1 K 2 K 3
2
(解)(1)3つの部分に分けて考える。
 1
A B 
C D    1


 j L
0 
 1
1 
 0
1  1
jC   1

1   j L
0

1

1


0
 1
 1
jC  

 1



1
1
1



 j L 1   2 LC   j L


1
1


 1   2 LC
jC 


1
1 
 1
 j L (2   2 LC ) 1   2 LC 


(2)
ZK 
j L
B

C
jC (2 
1
)
 LC
2

 2 L2
L

2
2 LC  1
2 2 LC  1
☆ K 行列を求めるため,基本回路の K はすぐ出せ!
I1
V1 , I1 を V2 , I 2 で表す。
I1
I2
2
1
I2
2
1
Z
V1
Z
1
V1  V2
V
I1  I 2  2
Z
V2
V1
2
1
1
V1  
I    1
 1
Z
0
 V2 
 
1  I2 

V1  V2  Z I 2
I1  I 2
121
V2
2
V1  1 Z  V2 
 I   0 1   I 
 2
 1 
問題 1. N のインピーダンス行列が既知であるとき,全体の 2 端子対網のインピーダンス行列
を求めよ。
N
z1
 z11
z
 21
(答)
z12 
z22 
N
 z11
z
 21
z2
z  z
Z   11 1
 z21

 z2 
z12
z22
1: n

z12 
z22 

 z11
(答) Z  
 n z21
n z12 

n 2 z22 
問題 2.図の回路の K 行列を求めよ。
M

L1

(答)
L2


K



L1
M
1
j M
j ( L1 L2  M 2 ) 

M

L2


M

問題 3.図の二端子対網において,インピーダンス行列を求めよ。
z1
z3
z2
z4
(答)直接 I1  0 , I 2  0 を用いる方法, Y   変換して求める方法などを利用する。
 z2 ( z1  z3 )
 z  z  z  z4
1
2
3
Z 
 z2 z3
 z  z  z  z4
 1 2 3
z2 z3

 z4 
z1  z2  z3

z3 ( z1  z2 )

 z4 
z1  z2  z3

122