中京大学 磯研究室 研究紹介 ◆ 目次 ◆ 1. sequence-pairを用いた一般構造フロアプランに関する研究 2. トランク方式クロック分配回路のスキュー改善に関する研究 3.分枝限定法によるリソースバインディング手法に関する研究 4. Cooperアルゴリズムを用いた制約論理式の真偽判定手法 5. 遺伝的アルゴリズムを用いたルーティング手法 6. 痕跡と正規手続きデータベースを利用した侵入検知システム 7.バッファオーバーフローの視覚化とプログラム作成支援 8.俯瞰可能迷路における半環によるモデル化と最短経路導出手法 9. 標準電波を用いた時刻同期システムの開発 中京大学磯研究室の研究テーマ VLSI設計 CADアルゴリズム ネットワーク技術 研究紹介1 sequence-pairを用いた 一般構造フロアプランに関する研究(1) LSIの開発 ・・・ 面積をなるべく小さくしたい ⇒配置配線処理の前にフロアプランを行う フロアプランとは ⇒ 矩形領域をある機能を実現する 幾つかの小領域に分割すること a フロアプラン b c d b a c d どんなフロアプランでも定式化できるsequence-pairに注目 研究紹介1 sequence-pairを用いた 一般構造フロアプランに関する研究(2) sequence-pair:モジュールの相対位置関係を 2つの順列によって表したもの 本研究室ではsequence-pairを用い、フロアプラン問題における最適解を 高速に見つけるためのアルゴリズムについて研究している。 研究紹介2 トランク方式クロック分配回路の スキュー改善に関する研究(1) LSIの微細化、大規模化 クロックスキューが問題 スキュー:各ノードへの信号伝播時間の差 トランク方式クロック分配回路:メッシュ状の配線から、短い配線 を介しFFを駆動する方式の回路 特徴 ・スキューが小さい ・消費電力が大きい トランク方式クロック分配回路の回路の例 研究紹介2 トランク方式クロック分配回路の スキュー改善に関する研究(2) :ダミーセル トランクバッファ回路を ダミーセルに置換 駆動力を調整し、 スキュー改善 置換処理 ダミーセル:バッファから出力を取り除 いたもの ダミーセル 研究紹介3 分枝限定法による リソースバインディング手法に関する研究(1) リソースバインディング ・ ディジタル信号処理ハード ウェアのデータパス設計 ・ RTL(Register Transfer Revel) のデータパスを合成するた めのリソースバインディング *2 in 数、レジスタ数) <出力> ・アーキテクチャモデル(RTLの データパス) in MUX *1 *3 out <入力> ・スケジューリングされた DFG(Data-Flow Graph) ・リソース(演算器の種類やその <枝> 変数を表す。 レジスタに割 り当てる。 R1 *2 <マルチプレクサ > ひとつの入力端子 に二つ以上の入力 があったときに使用。 R2 R3 out in *1 *3 out M1 M2 <節点> 演算を表す。 演算器に割り 当てる。 スケジューリングされたDFG アーキテクチャモデル 研究紹介3 分枝限定法による リソースバインディング手法に関する研究(2) 特徴 ・ リソースバインディングは NP困難問題 分枝限定法により、解空間を早く削減で き最適解を現実時間で算出可能。 分枝限定法を適用 <入力> *2 <出力> in 演算器割当て *1 *3 out in *2 in *1 初期 割当て *3 out コストが悪く なる演算or 変数を選択 する MUX レジスタ割当て R1 R2 R3 out 未 割 当 て 演 算 、 データ転送路 変 数 選 択 割当て すべて割り 当てるまで 繰り返す コ ス ト 算 出 リソースバインディング手法のアルゴリズム M1 悪いコストなら 削除する M2 研究紹介4 Cooperアルゴリズムを用いた 制約論理式の真偽判定手法(1) 回路条件を論理式で表し、回路の正当性を検証 Cooperのアルゴリズム =論理式の論理和を求める <回路例> A 1. 0<=A<=9である B 2. 0<=B<=9である 加算器 C <条件> 回路の持つ条件 S 3. A+B=10C+Sとなる C,Sを出力する 研究紹介4 Cooperアルゴリズムを用いた 制約論理式の真偽判定手法(2) <条件> 1. 0<=A<=9である 2. 0<=B<=9である 3. A+B=10C+Sとなる <論理式> ∀A ∀ B ∃ C ∃ S [(0<=A and A <=9 and 0<=B and B <=9) ⊃(A+B=10C+S and 0<=S and S <=9)] C,Sを出力する 真偽判定 本研究室では、論理式をより高 速に真偽判定するためのデータ 構造の設計を行っている。 検証可能 研究紹介5 遺伝的アルゴリズムを用いた ルーティング手法(1) 近年のインターネットの普及 ネットワークにかかる負荷が増大 遺伝的アルゴリズムを利用して 高品質なルーティングを行う (代替経路を探索する) 障害、アクセス過 多等により、ネット ワークが混雑 研究紹介5 遺伝的アルゴリズムを用いた ルーティング手法(2) D B 遺伝的アルゴリズム A E F 生物の進化まねたアルゴリズム C ネットワークモデル 問題を遺伝子として表現 ネットワークモデルを木構造で表現 その節点を遺伝子として扱う B A E 高速ルーティングのための 木構造の簡単化 C D E D E F D F F F F ツリー構造 F F 研究紹介6 痕跡と正規手続きデータベースを利用 した侵入検知システム(1) 特徴 『正規の行為』を記述したデータベースを利用 →未知の攻撃でも検出可能 侵入に伴う特徴的なイベント(痕跡)のみ監視する →解析に伴う負荷を最小限にとどめられる 統計的手法ではない →誤検出、不検出を最小限にとどめられる 問題点 『正規の行為』を登録する作業が煩雑 改良前のフロー図 ログやシステ ムコール トレース “痕跡”データ ベースと照合 一致 正規手続き データベー スと照合 不一致 発報 研究紹介6 痕跡と正規手続きデータベースを利用 した侵入検知システム(2) 煩雑な正規手続きデータベースの作成・更新の効率化 改良点 ① システムコールの呼び出しを判断し、ある行為に 伴う一連の挙動を自動的に体系化して抜き出す ② データベースへ登録できる形に整形し、自動登録 改良後のフロー図 ログやシステ ムコール トレース “痕跡”データ ベースと照合 一致 正規手続き データベー スと照合 不一致 データベース 更新システム 管理者 発報 研究紹介7 バッファオーバーフローの視覚化と プログラム作成支援(1) ネットワーク環境が整備 課題:セキュリティの確保 調査 Exploitに バッファ オーバフ ローが用い られる 例:スタックスマッシング攻撃 文字配列を利用した バッファオーバフロー攻撃 セキュリティホール発見 侵入 セキュリティホール利用 Root権限奪取 破壊 スタックスマッシング攻撃 研究紹介7 バッファオーバーフローの視覚化と プログラム作成支援(2) 本研究室では、バッファ オーバフローの状態を視覚 的に訴えメモリ構造のシミュ レーションを行うことでC言 語学習者を対象とした脆弱 性のないプログラミングの作 成支援を目指している。 イメージ図 研究紹介8 俯瞰可能迷路における半環による モデル化と最短経路導出手法(1) 俯瞰 = 全体を見渡すこと 俯瞰可能な迷路 = 定式化可能 俯瞰不可能な迷路 俯瞰可能迷路の構造を行列式で表現 俯瞰可能迷路 1 2 3 定式化 行列式 E 1 d 0 E l 1 r 0 u 1 研究紹介8 俯瞰可能迷路における半環による モデル化と最短経路導出手法(2) 半環という代数系の特徴を用いた行列式の積 d dr 1 d 0 1 d 0 1 dl E2 l 1 r l 1 r l ld 1 ru r 0 u 1 0 u 1 ul u ur 1 En1,M (≠0) が最短経路を示す d dr 1 dl E2 l ld 1 ru r ul u ur 1 r 1 d 2 3 • 深さ優先探索と比較して、次の特徴がある 1. 迷路の探索回数 ・・・ 深さ優先探索: O(M2)、 本手法: O(M) 2. 各分岐点で選択すべき進行方向も得られる 研究紹介9 標準電波を用いた 時刻同期システムの開発 (1) 複数の計算機がネットワークを 介して協調動作 互いに正確な時刻情報を保持し同期 していることが必要. 時刻を高精度で保持するため,NTP等いくつかの時刻同期手法 が考案,正確な時刻をもつ「時刻サーバ」と接続する必要がある. ネットワークのゆらぎで同期困難 研究紹介9 標準電波を用いた 時刻同期システムの開発 (2) 通信総合研究所が発射する標準電 波の利用し、日本中どこでも手軽に正 確な時刻を取得可能。 本研究室では,“標準電波”を用いた ネットワーク時刻同期システムを開発, 精度測定を行っている.
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