特集 水素エネルギーシステム Vo1 .21,No.1,1996 嫌気性菌によるスターチからの水素エネルギ一生産 Hydrogen production from starch i n batch cultureof Clc ヌ stridiumbeijerinckistrain AM21B 田口文章、長谷川勝重 F u m i a k iT a g u c h ia n dK a t s u s h i g eH a s e g a w a 北里大学衛生学部微生物学教室 神奈川県相模原市北里 1 -15-1 1 . はじめに 過去 2 0万年間に生存した累積総人口の 1%程度の存在でしかない先進工業国に 0 3 0 年という短期間に地球規模での極めて深刻 現在生活している人間が、ここ 2 な環境汚染と環境破壊、並びに貴重な天然資源の枯渇問題を引き起こして来た。 先進工業国の現在の経済的繁栄は、化石燃料の大量消費によって支えられている o 石炭を唯一の例外として、その化石燃料や原子力発電に用いウラン等は数十年後 には枯渇する。一方太陽光、風力、地熱などの無尽蔵な未利用エネルギーでは現 在の経済活動は賄えないと言われている。従って、先進工業国では有限のエネル ギーを賢く使うことが、 2 1世紀の全人類の生存のために要求さる。 小さな生命体である微生物を用いて再生可能な未利用植物性廃棄物を活用する ことが出来れば、資源である廃棄物を貴重な化石燃料を用いて焼却する必要が無 く、その上そこから得られるエネルギーを上手に利用することにより、有限で貴 重なエネルギー源の節約にも貢献できる o そこで、クリーンなエネルギー源としての水素を天然廃棄物から回収するシス テムとしての「水素エネルギ一回収型廃棄物処理技術 jの確立を考えた。この目的 を達成するためには、水素発酵の中心的役割を担う、実装置に適応できる新しい 水素生成菌を作出する必要がある。そこで、我々は新規な水素生成菌の探索を数 年前から展開して来た。その結果、グルコースなどの 6炭糖、キシロースなどの 5炭糖並びにスターチ、キシランなどの多糖を効率よく水素に変換できる菌株を 分離し得た Z-8)。またその水素を水素燃料電池を用いて電気に変換することがで きた(未発表)。本稿では、食品製造工場などから大量に排出される産業廃棄物の l o s t 代表例としてのスターチとシロアリから分離した嫌気性グラム陽性梓菌の C J l2 1 B 株を用いて、水素を生成させる培養条件を検討した r i d i u mb e i j e r i n c k i iA 成績を以下に紹介する z,h S } o 2 . 糖からの水素産生 将来天然廃棄物を資源として活用し水素を生成させるためには、グルコースを 代表とするヘキソースに限らずぺントースを含む色々な糖を水素に変換できる菌 の確立が望まれる o そこで、グルコースやスターチなどの色々な糖を基質として A J l2 1 B 株の水素発酵能を検討した。 0 .3%糖添加 py培地(ぺプトン、酵母エキス、塩 .0 0 0m lにA I 2 1 B 菌を接種して、 3 60 Cで撹持培養し水素の生 類よりなる培地幻)1 -16- 水素エネルギ システム Vo1 .2 , 1 No. , l 1996 特集 成量を測定した。 表 1に記した糖は全て水素発酵の基質として利用され、培養開始 2 3時間後よ り水素ガスの発生が観察され、 4 6時間後に水素生成のピーク ( E m a xと表記)があ " " 8時間後に水素生成反応はほぼ終了した。水素生成量 ( m l / L )は、スターチ り 、 7 ではやや少く、スクロースとラクトースで一番多く、その他の糖ではほぼ近似で m l / g )は、セロビオースが一番高くスター あった。菌体収量当たりの水素生成量 ( E m a x,m l / h )はセロピオー チが一番低くかった。 1時間当たりの最大水素発生量 ( I 2 1 B 菌株はヘキ スが一番多くアラビノースが一番少なかった。以上の結果は、 A ソースやぺントースからも水素を生成する潜在能力がある事を示した。より呉体 的には、ヘキソースの単糖(グルコース、ガラクトース)、 2 糖(スクロース、ラク トース、セロビオース)および多糖(スターチ)、更にペントース(アラビノース、 キシロース)をも水素に変換できた。この中で、特に意味があると考えらること は 、 A I 2 1 B 菌がアラビノースやキシロースなどのペントース、およびセロビオー スやスターチなどを水素発酵の基質として使えることは、将来セルロースやへミ I 2 1 B 菌単独で水素に変換できる可能性 セルロースからなる天然植物性廃棄物を A を示唆することである。 A I 2 1 B 菌が水素発酵の基質として利用できなかった物質 ) (セルロース、マン は、現在までに検討した限りでは、アピセル(セルロース)、 c ナン、プルラン等の多糖であった。 表1 . AM21B株による糖からの水素産生 基質 消 費 基 質 当 た 水 素 薗 体 収 量 当 消 費 基 質 当 Emax り の 菌 体 収 量 生 成 量 た り の 水 素 た り の 水 素 ml/h ml/l 生 成 量 ml/& 生成量刑 1& m&l& 313 1140 1210 381 ガラクトース 267 1100 1380 367 グルコース 3;2 303 1060 1160 フルクトース 38; 247 1160 1560 アラピース 38; 270 1430 1160 キシロース 313 426 1280 1360 スクロース 167 1150 2280 383 セロビオース 297 1360 401 1210 ラクトース 2;3 1080 273 スターチ 820 000mlからの水素生成量と菌体収量。 0.3%糖添加 py培地 1, Emax'ま単位時間当たりの最大水素発生量を示す。 316 380 30; 270 310 360 403 36; 316 3 . スターチからの水素生成に及ぼす培養温度の影響 次に、 1~ スターチ添加 py培地1. 0 0 0m lにA I 2 1 B 菌を接種培養し、培養温度 ( 3 10C , 3 6C と4 1C )と水素生成量並びに議体収量との関係を検討した。比較対照として グルコースを用いた。結果の概略を表 2にまとめて示した。 スターチを基質とした場合(カッコ内にグルコースの数値を記載)、培養開始 2 0 0 0 時間後から水素ガスが発生し、培養温度が 4 1 C、 3 6 Cと3 1 Cでは 5 ( 5 )時間後、 3 6 ( 5 )時間後と 8 ( 7 )時間後の願で E m a x [ 4 0 1 ( 4 0 1 ), 3 4 9 ( 3 4 9 )と2 5 1 ( 2 6 7 ) m l l叫が観察 ( 7 )時間後、 9 ( 1 0 )時間後と 1 1 ( 1 0 )時間後の願で水素発生はほぼ終了(単位 され、 9 0 0 -17 水素エネルギ システム Vo1 .2 , 1 No., l 1996 特集 時間当たり 1 0 0m l以下)し、総水素生成量は 3 60C ( 3 10C )が最大で 1 8 3 2 ( 2 3 3 4 ) m lで O O m l当たりの 4 10 C、 3 60 Cと3 10 Cでの菌体収量 ( m g / L )は、各 あった。一方、1.O 々8 8 0 ( 6 6 0 )、 1 3 9 0 ( 1 1 5 0 )と1 4 8 0 ( 1 2 6 0 )となり、菌体収量当たりの最大水素発生量 E m a x, m l / g c e l l s . hは4 5 5 ( 6 0 7 )、 2 5 1 ( 3 0 5 )と1 7 0 ( 2 1 1 )で 、 4 10C 培養が最大値を示 した。 これらの結果から次のような結論を導き出せる o スターチとグルコースからの 水素産生量、菌体収量と培養温度との関係は多少異なる。 A I 2 1 B 菌は、培養温度 60Cのときが一番早く増殖し、 4 10C での増殖は芳しくなく、 3 10C では増殖はす が3 るが非常に遅かった。しかし、菌体収量は培養温度が低い方が大きかった。一方、 水素の発生は、培養温度が高い方が早く開始し、単位時間当たりの E m a xも多かっ た 。 E m a x ( m l / h )が大きい条件は、水素発酵の反応が速いことを意味する。従って、 菌体量を一定に保つことが出来れば、将来廃棄物を効率よく水素に変換する際に 4 10 Cでの水素発酵が非常に有利な条件と考えられる。 表2 . 水素生成に及ぼす培養温度の影響 総水素 温度生成量 Emax H基 質 ml !h (H) ml/g・ h 爵 体 収 量 当 消 費 基 質 当 基 質 1mol 消費量菌体収量たりの水素たりの水素からの水素 g/l mg/l (mg/g ) 生成量 mUg 生成量 mllg 生成 mol数 m l スターチ添加 3 10C 1700 2 5 1 8 1 7 0 1 1 8.6 1480 ( 1 7 2 ) 1150 1 9 7 360C 1832 349 6 2 5 1 9 8.5 1390 ( 1 6 4 ) 1317 215 4 10C 1617 4 0 1 455 9 7.3 880 (121) 1837 222 2 1 1 1 0 7.9 1260 ( 1 6 0 ) 1852 296 2.4 グルコース添加 3 10C 2334 0 267 7 36 C 2249 349 305 1 0 7 .5 1150 ( 1 5 3 ) 1955 300 2.4 4 IOC 1969 4 0 1 607 7 5 . 2 660 (127) 1299 2 5 1 2.0 基質 108を含む py培地 1.000mlを各温度で撹持培養し、発生水素量は毎時間測定し、総水素産生 量、基質消費量、菌体収量は 24時間後に測定した。 Hは水素発生量が妥 100ml/hになるまでの培養 /goh は菌体収量当たりの Emax、 ( H)は Emaxを示した時間。薗体収量は、 mg/培養液 L(リ 時間、 ml ットル}と mg/消費基質 g(グラム)を示す。 4 . スターチからの水素生成に及ぼす培養液 pHの影響 表 2に示したように、スターチを 1 0 g / Lに加えた py培地で A I 2 1 B 菌を 3 10C 、3 60C と4 10Cの温度で培養すると、培養開始ト8 時間後に最大水素発生があり、その数 時間後にはスターチが残存しているにも拘わらず、水素ガスの産生は観察されな くなる。培養終了後の培養液のpHは 、 5 .0よりも多少低くなっていた(成績は記載 せず)。この水素ガス発生の急激な中断は、培養液pHの極端な低下による当該菌 が当該菌の増殖と水 の増殖抑制による可能性が考えられる o そこで、培養液の pH 素生成にあたえる影響を調べた。 スターチまたはグルコースを 1 0 g / L 'こ添加した py培地1.0 0 0m lに当該菌を接種 0施 NaOHを用いて pHコントローラーで培地の pH し、その後 pHを未調整のものと、 1 を5 . 0 .6 . 0および 7 . 0に調整して、 3 60 Cで撹持培養を開始した。経時的な水素生 成についてスターチの結果を図 1に、比較対照のグルコースの結果を図 2に示し 1Eム 口 0 水素エネルギーシステム Vo1 .2 , 1 No. , l 1996 特集 mmw {草創舗M m 幽閉 M育 抑制抑制四 1 . 0 12345678910 3 4 5 6] ' 繍.時間 ( h ) M 跡間 ( h ) o 。 。 ・ ・ " : pH未剥鐙.一・一;p H 5 . 0 .一・一;p H 6 . 0 .一企ー; " ' 0 . . . :pH未捌霊.一・-;pH5.0.-・一;pH6.0.-....ー : p H 7 . p H 7 . スターチ 1 0 gを添加した py繕地 1 . < 削 dでの単 t : L 時間当た ηの水 *生成.を示す. ∞ グルコース 1 0 gを添加した py猪地 1 . O l l l lこAMZIBI Wを篠福 Hに緒符し 36tで 1 0 時間続慢しだ。 し.指.液の pHをそれぞれの p それぞれの時制における 11時間当たりのJf<.,,+:~,~J.tを測定しずロ ν 卜した. 図1.スターチからの水素生成。 図2 . グルコースからの水素生成。 表 3.水素生成におよぽす培養液 pHの影響 --AI ahLQ 山 一 パ札札一に 引 nhLM表 M ω一A一す 当素九一 質水川一 基の量け幻引刊日 η WMHM 一 22222221 一 費り成一 消た生一一" 一 費U一札札札 川口目的同ね ωηηω 一 ω 当素九一一し 量水川一 一 聾 05559677 ω 泊一培 収の量一初初犯刊引引 11111233 体り成一 一 持 菌た生一一撹 一一で 当 体 l一 一 c JJJAJJJJ U 質菌 U ω 基 の U ω M η 日 ω 口M 一 口 1111 費り量一 一レ 川 u 一 1 消た収 一 4一 一一整 質 量 l一 日 刊 切 れ 万 引 旬 刊 一 調 基消一一凶 ι ω" 菌収﹂しししししし 体量 υ 一 ωωη -}一一伽を m w間 とH 引 m一 ( 一 ( ( ( { { ( { ( 一 九 時 E一 川 一 0 0 3 0 加 0 0 5 0 一地た 一 則 一 加 初 日 幻 引 添 日 ω 幻約一培し 一添ス一円示 素 量 i一 チ 0 5 5 5 一 0 0 0 0 一加を 一一的刊 コ日 払日一添似 水成 ル 2 2 2 1 一質伽 グ 櫨 J J J 一湯川 W567356771H 未来( 総 生 Eタ 1 1 2 1 値ス趨 JJJ 州 P都 た。培養 2 4時間後の菌体収量、基質消費量、水素生成量、 Emaxなどは、表 3に まとめて示した。 スターチ添加培養からの水素生成の結果(カッコ内にグルコースの数値を記載) について説明する。図 1( 2 )に示しであるように、経時的な水素産生は、培養開 始2 時間頃から認められ培養液の p Hによってト 9 (ト 7 )時間後に単位時間当たりの 最大水素発生量 E m a xが観察された。水素の総生成量は、 p H 5 . 0から p H 7 .0までは p H 未調整よりは多かったが顕著な差はなかった(グルコース添加培養では、 p H 5 . 0の H 7 .0 の培養が p H 未調整のときよりも低値を示した ) 0 ときが最大値を示したが、 p E m a xは 、 p H 6 .0 ( 6 .0 )で培養 7 ( 7 )時間後が最大で次に p H 7 . 0 C 7 . 0 )の培養 9 ( 6 )時間後 444 Qd 特集 水素エネルギ システム Vo1 .2 , 1 No.1, 1996 で 、 p H 未調整の培養が最小値であった。スターチ添加培養系からの菌体収量は、 全体的に比較対照のグルコース添加培養系からよりは有意に多く、 p H 5 .0と6 . 0 H 7 .0 ( 7 .0 )が一番少なかった。しかし、スターチは、培養液 ( 5 . 0 )が一番多く、 p のp Hに関係無く 2 4時間培養後でも 9グラム弱しか消費されなかった。従って、ス Hとには、顕著な相関関係は認めら ターチ消費量当たりの水素生成量と培養液の p れず、全て 1 0児程度の差の範囲内にあった(グルコース添加培養系では、 p H 5 .0 の H 7 .0 の培養が最小値を示した)。以上の結果は、培養時間 ときが最大値を示し、 p Hを に無関係に総水素産生量および Emaxを多くするにはスターチ添加培養液の p 6 . 0 'こコントロールする条件がよい事を示唆している o しかし、グルコースと比 較してスターチを基質とした場合は、全ての数値が一般に低値であった。特に、 l 12 1 B 菌は、消費基質当たりの菌体収量がグルコー スターチを添加した培養での A スと比較して有意に高値を示した。従って、その結果、菌体収量当たりの水素生 成量は低値となった。 5 . アミラーゼ産生と培養条件の影響 1 見スターチ添加培地 i こA I l2 1 B 菌を接種 し3 60C で7 時間撹持培養後の培養液を粗 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 7 . 0 8 . 0 アミラーゼとして用いて、アミラーゼ活 % % 性の最適反応条件を検討した。アミラー 1 凶 0 0 ~ ゼ活性の測定値を比活性値に換算した結 8 0果を図 3に示した。成績は記載してない . . 周 . u 6 0 I 2 1 B 菌のアミラーゼはスターチの が 、 A ω“ 添加によって誘導される誘導酵素であっ 4 0: た。産生されたアミラーゼは、反応液の :2 0 p H が4 .6 から 5 . 4の間で高く p H 5 .0 が最大 B 00Cから 6 00Cで 値を示した。反応温度は 5 0 高く 5 5Cで最大値を示した。従って、以 2 0 3 0 4 0 S O 6 0 7 0 RllctioD t ep . t 後の実験でアミラーゼ活性を測定するた めの最適条件は、反応液の p Hは 5 .0 で反 図3 . 反応条件とアミラーゼ活性。 応温度は 4 00Cであることが判明した。 そこで、国スターチ添加培地でのアミ H 未調整 ラーゼ産生と水素生成との関係を調べる実験を実施した(表 4)。最初に p の培養での培養温度とアミラーゼ産生との関係を検討した。アミラーゼ活性は、 3 60Cと4 10Cでの培養では培養開始 4時間後、 3 10Cでは 6 時間後より検出された。 アミラーゼ活性値と総水素生成量は 3 60Cで最大 ( 1 3 5単位と 1 9 5 0m l )となった。し 10Cの培養で水素生成の Emaxは最大債を示 かし、アミラーゼ産生が最低であった 4 した。 次に、 3 60C 'こ培養温度を保ち培養液の p Hを変えて培養し、培養液 p Hの影響を検 0 討した。培養液 p Hに関係無く、 3 6C で培養するとアミラーゼ活性は培養開始 4時 間後より検出されるようになった。しかし、産生されたアミラーゼの活性値は、 Hによって有意に異なった。アミラーゼの産生は、 p H 6 . 0のときが最大 培養液の p で 、 p H 1 .0 が最低であった。最大活性値と菌体収量当たりの活性値は、 p H 6 .0とp H 7 . 0では 3 . 8倍と 2 .1 倍もの違いが認められた。総水素生成量は、 p H 5 .0 ( 2 0 7 7 m l )と ReactioD p H ﹄︻ 剖 4F 圃 酔 - d歯 制咽- 命 , - 4唱 a u • ω = - . . 。 嗣 ・ -20- 水素エネルギーシステム Vo1 .21, No.1, 1996 特集 p H 6 .O C 2 1 5 0 m l )に維持した場合が多く、 E m a xはp H 7 . 0 C 3 0 9 m l / h )とp H 6 . 0 C 3 7 4 m l / h ) の場合が高かった。 以上の結果は、スターチ添加培地 i こA J l2 1 B 菌を接種して水素を最大に産生させ るには、培養温度を 3 60C 'こ培養液の p Hを 6 . 0に維持することを示唆する。この培 養条件は、アミラーゼの産生にも最適であった。 表 4. 培 養 条 件 と ア ミ ラ ー ゼ の 産 生 最大アミ総水素 E max 菌 体 基 質 アミラーゼ活性 ( u n i t s ) 培養 培 条件 養 6 ラ ー ゼ 活 生 成 量 ml /h 収 量 消 費 量 間 時 1 2 2 4 O NT O NT 8 4 . 2 9 9 . 6 2 . 3 1 3 5 . 0 43.9 pH未 調 整 o 50.2106.9138.6150.5167.1137.3 。55.4 119.5 234.1 349.6 362.7 367.5 。46b..l6 1358..16 312051..9 34996..11 40820..17 405.5 1 6 7 .1 pH 5 . 0 3 67 .5 405.5 1 0 5 .う 2 4 8 1 0 。 27.5 51.4 76.0 1 5 . 5 8 3 . 11 3 3 . 91 3 5 . 0 。8.1 43.9 41.7 39.3 性 u nits ml /l 8 / 1 g pH 未 調 整 3 10C 3 60C 4 10C NT 8 4 . 2 1 5 7 2 3 0 0 1 . 5 5 NT 1 9 5 0 3 6 0 1 . 3 9 NT 1 3 6 2 3 9 5 0.95 NT 培養温度 3 60C pH 6 . 0 pH 7 . 0 o む う O 1 8 7 0 2 0 7 7 2 1 5 0 1 9 1 5 .4 1 3 4 5 1 336 1 . 5 3 3 7 4 J.う 5 3 9 0 1 . 0 9 8 . 6 2 8 . 7 8 8 .1Q 8 . 8 7 1 %ス タ ー チ 添 加 py培 地 1 , 0 0 0 m lを撹持培養した c 6 . 現在までの問題点 J l2 1 B 菌による水素生成 以上スターチと対照基質としてのグルコースを中心に A について述べてきた。 C l o s t r i d i u m 属の細菌種は、一般に多種類の糖を利用でき、 殆どの種が水素を生成する、そのうえ極めて強い分泌能を有する特徴がある l } O A M :2 1 B 菌は、 C l o s t r i d i u m属の細菌種であるがその嫌気度はあまり強くなく、その 増殖速度は通常の大腸菌と差ほど変わらない。従って、取り扱いが容易な細菌で ある。そのうえ、ぺントースを含む広範囲な糖を基質として水素を産生すること ができる 5) 。スターチを基質として水素を生成する細菌は、未だ報告がなく、 J l2 1 B 菌株が最初であろう o 文献的には A しかし、表 4に示したように、アミラーゼ活性が 4 0 0単位も検出される p H 6 .0 の 0 5単位しか検出されない p H 7 .0 の培養でも、スターチの消費量は約 9 0施 培養系と 1 と有意な違いがなかった。我々が実験に供したスターチは、溶性デンプン(和光 0犯が a1 ,4 結合 純薬)である。性状は不明ではあるが、この溶性デンプンは、約 9 で残りの約 1 0 %が α, 16 結合と仮定すると、次のようなことが考えられる。 A J l2 1 B 菌は α, 14 結合を完全に消化するアミラーゼは産生する、しかし、 α, 16 結合、 即ちブランチオリゴ糖を消化する酵素をあまり産生しないか、またはその活性が 弱い可能性が考えられる o そのために、アミラーゼの産生や総合水素生成量に関 係なく、ほぼ向じ量のスターチが残存した可能性を示唆しているものと考えられ る 。 J l2 1 B 菌株は、キシロースか 成績は記載しなかったが、シ口アリから分離した A らの水素生成はグルコースからよりも多く、更にキシラン、デキストランなどか 2 1 特集 水素エネルギーシステム Vo1 .2 , 1 No.l,1996 らも水素を産生するので(未発表)、当該菌を用いて将来廃棄物処理による水素回 収が可能かとも期待した。しかし、ヘミセルロースとしてのキシランは分解して 」 ム 水素に変換可能であるが(未発表)、セルロースを分解できない。別に述べたよう にスターチも完全には消化できない。ここに当該菌の限界があるように思われる o 我々としては、少なくともセルラーゼとヒドロゲナーゼを産生する新しい水素生 成菌の探索を継続している o シロアリは新規な微生物の宝庫のようであるので、 慎重に検索すれば必ず望の菌候補が得られると考えている o 7 . 謝辞 本研究の一部は、紋日本科学財団、紋日本ワックスマン財団と紋セコム科学技 術振興財団からの研究奨励金、および文部省科学研究費補助金により行われた。 8 . 参考文献 1 )Sneath,P.H.A.,Mair,Nふ ,Sharpe,E.: clostridium. pp. 1 14 -1-1 207, I n "Be rgey's Manual of SystematicBa cteriology". 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