~健康で元気で働くための インフルエンザの基礎知識と対策~ 東北労災病院勤労者予防医療センター インフルエンザとはどんな病気? インフルエンザって かぜとは違うの? 違います. かぜとインフルエンザは 原因となるウィルスが異なる 別の病気です. かぜのひどくなったものが インフルエンザではありません. インフルエンザとかぜの違い 【インフルエンザ】日本では例年 12月~3月に流行 症 高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、 状 せき、のどの痛み、鼻水など 【かぜ】1年中だらだらと 流行する のどの痛み、鼻水、鼻づまり、 くしゃみ、せき、発熱(高齢者では 高熱でないこともある) 発 症 急激 比較的ゆっくり 症 状 の 部 位 強い倦怠感など 全身症状 鼻、のどなど局所的 新型インフルエンザの登場! 2009年4月、メキシコにおいて 豚インフルエンザ由来の H1N1型新型インフルエンザが発生しました 新型インフルエンザって何? 鳥インフルエンザ 豚インフルエンザ 本来は鳥から鳥へ感染 本来は豚から豚へ感染 いったん人に感染し、ついには 人から人へと次々に容易に感染するように変化 新型インフルエンザ 新型インフルエンザは、 鳥インフルエンザが変異して起こる インフルエンザウイルス(A型、B型、C型) 大流行を起こす もともとは 鳥インフルエンザ 細かく144種類 (亜型)に分類 数十年に一度の頻度で 人から人へも感染するようになる 新型インフルエンザには、 ほとんどの人が免疫を持っていません! いっぺんに拡がる可能性があります! 新型インフルエンザウイルスの出現メカニズム 感染 感 染 ( さ 人の 新型インフルエンザ ウイルスの出現 ら に 変 異 し て ) 豚と人のウイルスが豚の中で混じる場合 感染 毎年流行する人インフルエンザ 感染 感染 感染 鶏インフルエンザ ウイルス (養鶏場など) 鶏と人のウイルスが人の中で混じる場合 鶏のウイルスが人の中で変わる場合 感染 鴨インフルエンザ ウイルス(水鳥など) これまでにも繰り返しあった「新型インフルエンザ」 1918年 スペインかぜ (H1N1型) 世界での被害 世界人口:18億人 感染発症者:5億~10億人 死者:4000万~8000万人 日本での被害 日本の人口:5500万人 感染発症者:2300万人 死者:38万~45万人 1957年 アジアかぜ (H2N2型) 1968年 香港かぜ (H3N2型) 2009年 今回の新型 インフルエンザ (豚H1N1型由来) 日本の人口:1億2700万人 感染者数:把握できず 死者:14人 警戒レベル:フェーズ6(WHO) 2009.8.21:流行入り宣言 世界人口:68億人 感染者数:20万人以上 死者:3000人以上 国内で初の感染者確認 2009年5月 国内で最初の感染者が確認されました (成田空港検疫:米国より帰国した男性) インフルエンザ迅速検査、PCR検査 国内で初の死亡例確認 2009年8月15日 国内で初の死亡例が確認されました 沖縄県在住の57歳男性 既往:心筋梗塞 慢性腎不全により透析治療中 今回の新型インフルエンザの特徴は? 1.感染経路は飛沫感染、接触感染. 感染力は強いが多くの感染者は軽症のまま回復. 抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザ)の治療が有効. ⇒季節性インフルエンザと似ている点が多い 2.季節性では高齢者が重篤化して死亡する例が多い. 新型では持病(糖尿病、喘息など)を有するもの、乳幼児や 妊婦を中心に重篤化し、死亡例あり. 3.潜伏期間は1日から7日 我が国の患者累計の年齢分布 資料:厚生労働省新型インフルエンザ対策本部調べ 我が国の入院患者数の年齢分布 資料:厚生労働省新型インフルエンザ対策本部調べ 新型インフルエンザ対策の目的 1.国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ 感染拡大を防ぐ. 2.基礎疾患を有する者等を守る. できるだけ、かからないコツ! ”かからない”ための予防法 *人ごみへの不必要な外出を避ける *人ごみではマスク着用 *頻繁な手洗い *うがい *咳エチケット *健康な体づくり(十分な栄養と睡眠) 常に体の調子を整えておくことが大切! マスクの選び方・つけ方 【プリーツ型】 マスクのゴムを耳にかけたあと 金属部分を鼻筋にあて鼻~頬の 形にフィットさせる.ひだの部分をのばし あごまで覆う.鼻のわきや頬から 空気がもれないように密着させる. 【立体型】 マスクのゴムを耳にかけ、顔に 密着する位置でつける. *不織布製のものを、1日1枚使い捨てで使用する *使用中やはずす時は表面に触らないように *捨てる時は蓋のついたゴミ箱やビニール袋に入れる 手洗いをしっかり! 咳エチケットに加え、 周囲への感染予防では手洗いも大切! *石鹸を使って15秒以上かけて洗いましょう. *指先や指の間は汚れが残りやすいので 意識して洗いましょう. *洗った後は、清潔なタオルやペーパータオル などで十分に拭き取りましょう. 正しい手洗いの方法 流水で手指を ぬらす 石鹸液を手に とる 親指をもう片方の 手で包んでこする 指先でもう片方の 手のひらをこする 手のひらどうしを こすり合わせ 良く泡立てる 手の甲をもう片方 の手のひらで こする 必要時は爪ブラシ を使って指先を 洗う 両手首まで 丁寧にこする 両手の指の間を こする 流水でよくすすぐ うがいもしっかり! 帰宅したら・・・ *グチュグチュうがいを2回 *ガラガラうがい10秒を2~3回 いきなりガラガラうがいをしてしまうと ウイルスや口の中の雑菌を のどの奥に押し込んでしまうため おすすめできません! 咳エチケットとは? 1.周囲の人からなるべく離れる. ⇒咳やくしゃみのしぶき(飛沫)は約2メートルも飛ぶ 2.咳やくしゃみをするときは、他の人から顔をそらせ、 ティッシュなどで口と鼻を覆う. ⇒他の人にしぶきをかけない.使ったティッシュはすぐゴミ箱へ 3.咳やくしゃみを抑えた手を洗う. ⇒手は石鹸で丁寧に 4.マスクの着用を. ⇒咳やくしゃみが出ている間は着用する.使用後のマスクはゴミ箱へ かかっても、うつさないコツ! “かかったかな”のサイン *潜伏期間は1~7日間 *症状は急激な発熱 *悪寒、頭痛、筋肉痛、咳やのどの痛みなど 症状は季節性インフルエンザと似ている *若い人に多くの感染が確認されています. *かぜはのどの痛みや鼻水で始まり、 その後に徐々に熱があがるという違いがあります. もし、かかってしまったら? 原則、自宅で様子をみる! 症状が落ち着かず 医療機関を受診する場合は・・・ 以前は 発熱外来のみ すべての一般 医療機関の外来 迅速キットでA型陽性の場合、 軽症なら抗ウイルス薬処方し自宅療養. PCR検査は原則として行わない. 自宅療養を行う際の留意点 周囲への感染を防ぐことが大切です! 患者であるあなたは・・・ *咳エチケット *こまめな手洗い *家族と別室 *薬は指示通り、最後まで *こまめな水分補給 *十分な睡眠 自宅療養する期間はどれくらい? 熱がさがってから2日目まで または 発熱や咳、のどの痛みなど 症状が始まった日から数えて7日目まで もともと健康なのによくならない場合は? 次のような症状をみとめるときは、 すぐに医療機関を受診して! 大人の場合・・・ *呼吸困難または息切れがある *胸の痛みが続いている *嘔吐や下痢が続いている *3日以上、発熱が続いている *症状が長引いて悪化してきた 医療機関を受診する場合① 発熱患者の診療をしている医療機関が どこにあるかわからない方は・・・ 保健所などに設置されている 発熱相談センターに電話をかけ、 どの医療機関に行けばよいか相談を! 医療機関を受診する場合② 発熱患者を診療する近隣の医療機関を 知っている方は・・・ 診療する医療機関に電話して、 受診時間などを聞いて! 事前の電話連絡なしで直接行かない! 医療機関を受診する場合③ 慢性疾患などがあって かかりつけの医師がいる方は・・・ かかりつけの医師に電話をして、 受診時間などを聞いて! 事前の連絡なしで直接行かない! 医療機関を受診する場合④ 妊娠している方は・・・ かかりつけの産科医師に電話をして、 受診する医療機関の紹介を受けて! 医療機関を受診する場合⑤ 呼吸が苦しい、意識がもうろうとしているなど 症状が重い方は・・・ なるべく早く入院設備のある医療機関を受診! 必要なら救急車(119)を呼びますが、 必ずインフルエンザの症状があることを伝えて! 重症化しやすい病気などがある方 重症化しやすい方とは ●妊婦や幼児、高齢者など ●以下の持病があり、 医師により重症化のリスクが 高いと判断される方 *慢性呼吸器疾患 *慢性心臓病 *糖尿病などの代謝性疾患 *腎機能障害 *ステロイド内服などによる免疫機能不全 重症化しやすい方が感染したら? *早期から治療薬を使用 *重症化のおそれがあれば、 入院して治療を行う場合も 看護する同居者はどうしたらいいの? *接するときにはマスクを着用 *看護をした後など、こまめに手洗いを *使用した食器類や衣類は、通常の洗濯・洗浄及び乾燥で消毒 同居されている方で、喘息や糖尿病などの持病が 【ない】 発症を予防するお薬を 内服する必要なし. できるだけ外出を自粛. 1週間程度して 発症しなければ大丈夫. 【ある】 医師の判断により 発症を予防するお薬が処方される 場合あり.できるだけ外出を自粛。 1週間程度して 発症しなければ大丈夫. 感染を予防するワクチンの供給体制は? *国内のワクチンメーカー4社が製造にあたっている が市場投入は10月下旬以降になる見通し *約5400万人分のワクチンが必要(厚労省) 4社が12月末までに製造できるのは 約1700万人分、来年2月まででも3000万人分 *不足分は海外からの輸入も検討 ワクチン接種の優先順位案 (H.21.9.8現在) 【優先対象者】 ①医療従事者 ②妊婦 持病がある人 ③1歳~就学前の小児 ④1歳未満の小児の両親 【接種が望ましい対象者】 ⑤小中高校生 高齢者(65歳以上) 100万人 100万人 900万人 600万人 200万人 1400万人 2100万人 ワクチンを接種するにあたって 接種開始時期・・10月下旬ごろ 接種医療機関・・指定医療機関(来月には決定予定) 予約制 接種回数・・・・・・1ヶ月半のうちに2回 接種費用・・・・・・6000~8000円程度で自己負担 低所得者には補助あり *インフルエンザワクチンの効果は100%ではない *稀ではあるが重篤な副作用もおこりうる 最後に・・・ 新型インフルエンザ対策には「知識のワクチン」を! 予防や対策について正しい知識を持つことが あなた自身や家族を守ることにつながります
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