問診のポイント

問診のポイント
問診の流れ
① お互いの挨拶/患者の確認
② 主訴
③ 病歴聴取
④ 既往歴/アレルギー/生活歴などの聴取
身体診察へ
順序を守ること / 系統的に行うこと
問診の状況
診察するシチュエーションを考えて!
救急外来
内科の紹介外来
問診で聴取する内容
入院時問診
問診に要する時間
当直帯でのコール
場所や状況に応じて、変化させることが重要
問診の状況
診察するシチュエーションを考えて!
救急外来
数分~10分以内
short
内科の紹介外来
10分~30分以内
full
入院時 問診
10分~30分以内
full
当直帯でのコール
数分~10分以内
short
問診の流れ
① お互いの挨拶/患者の確認
② 主訴
③ 病歴聴取
④ 既往歴/アレルギー/生活歴などの聴取
① お互いの挨拶/患者の確認
•はじめの挨拶が重要
おはようございます。 お待たせしました。
•必ず患者の氏名を確認すること
•自分の所属と氏名を明らかにすること
(例) 救急室:今夜の救急担当の○○です。
病棟:内科研修医の○○です。
※救急で”研修医”を不用意にアピールすると
不機嫌になる患者もいるので注意
※救急担当と言ってもよい
第一印象が、今後の展開の成功の鍵を握っている
② 主訴
• 患者の主訴を正しく聴取する
• 真の受診動機を明らかにすること
• 解釈モデルをはっきりさせる
患者の主訴を正しく聴取する
主訴は問診のキーポイント
普通、患者は一番の症状や不安を持ってくる。
たくさんの主訴・訴えがある場合には、
一番きついは何か、どんな関連があるか考えること
問診票の主訴はいつも正しいわけではない!
診察を待っている間に変わることがある
真の受診動機を明らかにすること
ケース① 主訴:咳
咳がひどくて受診 発熱(+)
→診察で上気道炎と診断。解熱剤処方のみ施行
本当は........
・咳止めが欲しくて受診したのに
・インフルエンザの人と会っていたので検査して
欲しかったのに
真の受診動機を明らかにすること
ケース② 主訴:疲労感
全身倦怠感と食欲不振にて受診
→診察・検査では何も異常はなかった。
→大丈夫ですよ… 家で様子を見て下さい。
本当は........
“リンゲル”“点滴”が欲しかったのに
“水分摂取ができていれば、点滴はしなくても良いですよ”
“点滴よりも、ゆっくり安静で休むことが大事ですよ”
患者の解釈モデルを捉える
解釈モデル
患者さんが自分の今の病状をどのように解釈し、理解し、
そして本人なりに、どういう見通しを思い描いているのか
ということ。
医師と患者の間にはこの点においてしばしば乖離がある。
患者の解釈モデルを捉える
解釈モデルを引き出すための質問
★あなたはどういうことを一番心配していますか?
★自分では何か原因のようなものに思いあたりますか?
★なにかしてほしい検査や治療のことを
考えて来られましたか?
★こういう状態になって、
生活のどういうことが一番変わりましたか?
★こういう状態になって何が一番困りましたか?
③病歴聴取
主訴から、身体システムを意識して系統的に問診する
時系列に沿って
問診のスタイルを身につける
レビューオブシステム(ROS)を行う
主訴から、身体システムを意識して系統的に問診する
主訴
→ある身体の症状
→その症状に関連する身体システム
身体システムに関連する陽性所見/陰性所見
→さらに最も重点的と思えるシステムを意識
→さらにポイントに絞って問診する
話が見えない、あやふやな場合は、
もう一度、はじめに戻って確認すること
主訴から、身体システムを意識して系統的に問診する
主訴:胸痛(押されるような感じ)
→循環器系 or 呼吸器系
→心臓(angina、AMI)、大動脈(解離)、肺(PE)
身体システムに関連する陽性所見/陰性所見
→胸痛の性状 随伴症状 増悪、寛解因子
→さらに詳しい胸痛の話
話が見えない、あやふやな場合
→消化器系や筋骨格系の異常はないか確認
LQQTSFA
症状の特徴をとらえるための
焦点をあてた質問の7項目
L(location) 症状のあるからだの部分
Q(quality) 症状の性状
Q(quantity)症状の程度
T(timing) 発症時期、持続時間、頻度など
S(setting) どのような状況で
F(factor)
症状を軽快または増悪させる因子
A(accompanying symptoms) 随伴症状
時系列に沿って
•患者は最もきつい症状、心配なことを話したい。
•現在の症状がメインで、全体像がわかりにくい。
•発症の状況や時間経過、症状の経過を時系列で考える。
•カルテに整理しやすい利点がある。
大事なのは“ナラティブ”に。
物語を描くかのように、症状の歴史に沿って、
open-ended question 開放型の質問
「開かれた質問」とは、
「どうされましたか」
「今日はどういうことでいらっしゃったのですか」
「どのようなことで来院されたのでしょう」
患者さんが自由に話せるような質問。
特に、初診患者さんに対面して名前を確認した後、
最初の質問は、この形式のものを用いるべきで、
まず数分間黙って話しを聴くことである。
focused question:焦点を当てた質問
「最近、頭痛がして困っているんです」
「どのような頭痛か、
もう少し説明してもらえますか?」
「焦点をあてた質問」とは、
特定のテーマに焦点を絞った質問。
閉じられた質問よりは自由であるが、
開かれた質問よりは自由度の低い質問である。
最も臨床で用いられる頻度が高い。
closed question : 閉鎖型の質問
「まわりに風邪の人はいましたか?」
→「いいえ、いません。」
「左腕は痛みますか?」
→「はい、痛みます。」
「閉じられた質問」とは、患者が「はい」または「いいえ」
で答えるような質問を言う。
パターナリスティクな関係に陥りやすいため、
多用すると危険である。
レビューオブシステム(ROS)を行う
系統的レビュー review of systems(ROS)
ROSは各系統の重要な症状についての質問を
チェックリスト形式で行い、
患者さんの全身状態におけるもののなかで、
現病歴や既往歴の中で見逃されているかもしれない徴候を
各器官、系統別に整理したリストである。
現病歴聴取後に聞き直す。
④ 既往歴/アレルギー/生活歴などの聴取
既往歴
・病歴:診断時点、経過、最近の状況
・受診している病院、入院歴
・投薬内容
アレルギー :薬剤、食物
生活歴
・たばこ
○PPD×○年
・アルコール 泡盛○合、ビール○本/日 機会飲酒
職業
現在の職業は何か→病気を想定して
生活状況 一人暮らし、生活レベル、食事してるかなど
医療面接の目標
1.患者の物語を聞く
2.患者の解釈モデルを捉える
3.患者の希望や考えと
医師のを摺り合わせる
4.両者が納得し、合意に至る