アレルギー・アナフィラキシー 山形大学輸血部 田嶋克史 アレルギー・アナフィラキシー様反応 【定義】 •IgE抗体を介して血液製剤中の血漿蛋白が抗原となり細 胞内化学伝達物質が遊離して生じる即時型反応(蕁麻疹、 皮膚掻痒感)、呼吸困難、血圧低下などの全身症状を伴う 場合を特にアナフィラキシーと呼ぶ •IgE抗体を介さないで、直接血漿蛋白が細胞内化学伝達 物質を遊離させ同様の症状を誘導する場合をアナフィラキ シー様反応と呼ぶ アレルギー・アナフィラキシー反応 輸血後数分から30分で発症 全身違和感~不快感、掻痒感、蕁麻疹~紅斑、 顔面~口唇の血管性浮腫、呼吸器系・循環器系症状 抗原 IgE 好塩基球、肥満細胞 ヒスタミ ンなど 免疫複合体 抗血漿タンパク抗体 (IgA、補体成分、ハ プトグロビンなど) アナフィラトキシン (C3a, C5a) カリクレイン・ブラディキ ニン系の活性化 抗原 アレルギー・ アナフィラキ シー反応 【原因】 ① 原因は基本的には不明なことが大多数 ② 仮説、一部の症例で明らかなもの • 患者血漿中の抗血漿蛋白抗体によるもの: 先天性IgA欠損症、抗ペニシリン抗体など • アレルゲン、アナフィラキシー誘導物質を含有する血 液製剤の輸血など いづれにしろ血液製剤中の血漿成分に関連してる 【検査】 • 特異的な検査なし、輸血前に発生を予知できない、 よっ て血液製剤中の血漿蛋白はロット毎に異なるので 輸血 毎に充分な観察が必要となる 血漿蛋白欠損症症例でのアナフィラキシー反応 妊娠・輸血 抗IgA抗体 IgA欠損症 輸血・血液製剤輸注 アナフィラキシー反応 予防法:洗浄血液製剤、当該蛋白欠損ドナーからの献血 【発生頻度】 •軽症は3〜8%前後(輸血の副作用で最も頻度が高い、 重症20,000〜50,000に1回 •血液製剤では原因から明らかな様に、血漿蛋白が多く 含まれている血小板製剤が最も頻度が高い 【症状】 •機序から明らかな様に輸血開始30分以内の早期に出現 するので、輸血早期の観察が重要、アレルギー、アナフィ ラキシー症状、多種多様 【治療、対処】 • 症状、必要度によるが、輸血速度を遅くする、抗ヒスタ ミン薬、副腎皮質ホルモン、場合により輸血中止、等 【予防】 • 症例により各論的対処、副作用の既往歴があれば抗ヒ スタミン薬、副腎皮質ホルモンの前投与が有効な場合あ り • 現在、最も有効な方法は製剤中の血漿蛋白を除去す る こと(洗浄)である
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