2002/12/8 (sun) 政策フォーラム環境分科会 RDFを利用した ごみ処理の評価分析 宇都宮大学国際学部中村祐司ゼミ 板倉 世典 岩佐 真樹 1 問題意識 2 大量生産→大量消費→焼却処理 化石燃料等、環境資源の枯渇 製造・焼却における二酸化炭素の排出 ダイオキシン等の有害物質の発生 埋立地のひっ迫化 循環型社会の構築⇒リサイクル 1)マテリアルリサイクル=ごみを原材料として利用 2)サーマルリサイクル=ごみをエネルギーとして利用 問題提起 3 事例:栃木県/宇都宮市 大規模なRDF化計画→ 住民の根強い反対→白紙撤回 RDFによるごみ処理政策を 批判的に検証 ごみ処理政策としてRDFは果たして有効か? RDFの概要 4 ごみ固形化燃料 Refuse Derived Fuel 「ごみから引き出された燃料」 ごみを乾燥させ固めて燃料にする技術 あらゆるごみを固めて燃やす技術 工程:不燃物除去→粉砕→乾燥→石灰添加 形状:褐色のクレヨン状 平均発熱量:4,000~5,000kcal (通常のごみ:1,000~3,000kcal) RDFの利点 5 均質性(安定燃焼性) 安定した燃焼が得られる 発電燃料利用 ごみのサーマルリサイクル 安全性 ダイオキシン・二酸化炭素の排出を抑制 貯蔵性・減容性 長期保存が可能/運搬に適している RDFの問題点 6 利用上の問題 従来の焼却炉で焼却不可 水分除去に多くの化石燃料を必要とする コストに見合わない 安全性への疑問 一定量のダイオキシン発生は避けられない 循環型社会・ごみ減量化社会に不適 ごみ排出減量意識の低下を招く 廃プラスチックの混入を前提とする 法律上の位置付け 廃棄物としての定義が曖昧 ごみ処理政策の現状 7 日本のごみ処理政策の中心⇒焼却処理 減量化・無臭化・無害化 直接焼却率:78.1% 焼却施設:1,717ヵ所(全世界の施設の約7割) ごみ焼却施設の処理能力 ごみ焼却量300t以上/日=大規模施設 300t未満=中小規模施設 ダイオキシンの排出と抑制 8 ダイオキシン⇒「環境ホルモン」 日本の総排出量…80~90%がごみ焼却場から排出 焼却炉内での生成 有機物×塩素←金属を触媒=ダイオキシン発生 300℃付近で最も多く発生 ダイオキシンの耐熱性 850℃以上で燃焼→大部分が分解 ⇒850~900℃以上での24時間連続燃焼 中小規模施設…8~16時間稼動 ごみの一定量確保が困難 最新技術導入の資金難 ごみ処理広域化とRDF 9 ごみ処理の広域化 ごみの一定量確保 複数自治体単位での大規模施設建設 建設費・維持管理費の軽減 広範囲・大規模な広域化の限界 ごみの輸送・収集コスト←人口過疎地・離島 衛生上の問題←生ごみの長距離輸送 ⇒ごみのRDF化 ごみ処理広域化の問題点 10 ごみ減量意識の衰退 自治域内処理の原則が不徹底 周囲の環境への影響を軽視 サーマルリサイクルをマテリアルリサイクルより優先 輸送コスト 毎日大量の運搬が必要 施設立地の困難性 他地区からのごみ搬送に市民が反対 「RDFによるごみ処理」の補完 11 RDF 広域化に最適 他地域から引き受けるほどのメリットはない 有機物の発生源…生ごみ(有機廃棄物) 塩素の発生源…プラスチック(塩化ビニル等) ⇒生ごみ・廃プラスチックの焼却を避ける 生ごみ→堆肥化 汎用プラスチック→生分解性プラスチック 生ごみの堆肥化 12 堆肥(コンポスト)化 有機廃棄物(生ごみ・糞尿等)→有機肥料(堆肥) 利点 ダイオキシン・二酸化炭素の排出抑制 住民のごみ意識向上 問題点 徹底した分別が必要 堆肥の需要難 広域化・都市部に不向き 生分解性プラスチック 13 生分解性プラスチック 自然界の微生物により分解されるプラスチック 分解後=水+無機物(炭酸ガス等) 利点 分解性 焼却時の酸素消費量・二酸化炭素排出量が少ない 問題点 製造コスト・商品価格が高価 汎用プラの代替として普及を推進 ごみ処理広域化への反論 14 ごみ処理広域化の否定 ごみの自地域内処理原則 ごみ排出のリスク負担 ごみに対する意識改革 有機廃棄物→生ごみの堆肥化 徹底した生ごみの分別 再資源化された堆肥の報償的還元 堆肥利用先の確保 廃プラ→生分解性プラスチック 製造コスト・商品価格の低下 「固形化廃棄物」 15 RDF原料-(生ごみ+廃プラスチック) 高カロリーの廃プラスチック…高い熱量源 ⇒将来的なRDFの燃料価値喪失 「固形化廃棄物」 利点:貯蔵性、減容性、均質性 ごみをRDF(仮)化→貯蔵→専焼期間中に集中連続燃 焼 燃焼カロリーの低下/継続燃焼が不可能 ⇒サーマルリサイクル利用切り捨て 政策提言 (1) 16 本政策の基本理念 ごみの自地域内処理の原則の徹底 恩恵・コスト・リスクの全てを自治域内で負担 自地域:約7~10万人規模 各地域にひとつRDF化施設を建設 ごみをRDFとして貯蔵→専焼期間中の焼却 RDFのサーマルリサイクル切り捨て 燃料利用の際はリスクも含め要説明 「固形化廃棄物」概念の導入 「固形化廃棄物処理法」などの法整備 政策提言 (2) 17 マテリアルリサイクル推進 中地域化で大規模処理に対応 自地域内で下処理 生ごみの堆肥化推進 余剰分は土壌に還元(堆肥バンク設置) 大型都市におけるRDF製造停止 都市内のみでマテリアルリサイクル 堆肥化の当面見送り 生分解性プラスチック導入推進 コストダウン・商品化を促す法整備 2002/12/8 (sun) 18 政策フォーラム環境分科会 RDFを利用した ごみ処理の評価分析 了 ご清聴ありがとう御座居ました。
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