有機ハロゲンモニタリングによる 焼却炉制御の支援について 川本克也(国環研)、 浅田正三(日本品質保証機構)、 藤吉秀昭(日本環境衛生センター) 宮田治男(三機工業) ○渡辺信久(大阪工業大学) 渡部剛(電源開発) 鈴木 悟(日鉄技術情報センタ-) 第16回 環境化学討論会2007 Jun 20-22 北九州, 講演論文集 46ー47 1 本研究の背景 廃棄物燃焼などの熱化学的プロセス 生成ダイオキシン類の制御 <== モニタリング 指標物質 ダイオキシン類前駆体物質 「総有機ハロゲン」 定常状態でのダイオキシン類との相関はすでに認めら れている。 焼却炉の立ち上げ・立ち下げ ダイオキシン類の生成量が相対的に多い この部分を制御する必要<==モニタリング特性の把握 2 要旨 実験ー連続定量ー 排ガス中ダイオキシン類 有機ハロゲン化合物(OHCモニター(電源開発)での計測) 結果 OHCとのトレンドが一致 ダイオキシン類のメモリー効果を明確に確認 一部の試料で中低揮発性有機臭素(MLVOBr)を計測 「ダイオキシン類との相関」を主張するより、むしろ、アラ ームモニター的な意義が大きい。 3 実験方法 都市ごみ焼却施設の排ガス 処理装置ラインのバグフィル タ-とガス洗浄塔の間で採取 前日の夜より余熱開始 当日ごみの投入を開始し、 AM12時頃に炉上部温度約 700oC、AM14~15時に 990oCに到達 14時頃から2時間ずつ4回、 さらに翌日AM10時から4時 間を1回、計5回のダイオキ シン類を測定 4 測定結果: データ 5 ダイオキシン類とOHCのトレンド ダイオキシン類の速やかな低減をOHCは敏感にキ ャッチ 6 高塩素化ダイオキシン類ほど濃度の低減が遅い Cl8ダイオキシン: い ったん濃度が上昇 Cl7ダイオキシン: 最初 の間は濃度低下が鈍い Cl5、Cl4ダイオキシン : 速やかに濃度低下 OHCは速やかに濃度が低 下したが、ある一定の レベルに収束 <== 継続的供給か 7 ダイオキシン、フランで同様の傾向 8 メモリー効果のイメージ図 揮発性小さいものは、温度の上昇にあわせて脱着量が増え、 その後、減少する。 揮発性が大きいものは、速やかに脱着が終了。 観察量 = 継続的供給量+内壁等からの脱着量 9 メモリー効果に関する近年の報告との比較 Nordsieck H(2003、2004): スタートアップ時にメ モリー効果が影響した。 Weber R(2005):ダイオキシン類の生成メカニズム から考えて、surrogateは有意義だが、メモリー効 果があるから、surrogateによるダイオキシンモニ タリングには困難性が伴う。 今回のデータは、これらの説を証明するもの 10 生成メカニズムとsurrogateの位置づけ 11 リスクコミュニケーションツールとしての有用 性 常にsurrogateとダイオキシン類との比が一定であ るとは限らない。 しかし、ダイオキシン類より応答の速い「不完全 燃焼・de novo」アラームのほうが、ダイオキシン 類そのものを調べるより、速く、安心側であるは ず。 頻度を一定以上に保つことで、根強い「ダイオキ シン類の年一回の測定」への不安に応えることが できる。 12 排ガス中の有機臭素 一部の試料で有機臭素化合物を同時に測定 (バリヤー放電Heプラズマ原子発光分析法) 中揮発性有機臭素MVOBr(Carbotrap B): 1.7および 2.6μgBr/Nm3 低揮発性有機臭素LVOBr(Carbotrap C): 0.92および 1.27μgBr/Nm3 Clに比べて1/20~1/10程度の量 起源 ごみ燃焼時の有機臭素化合物の不完全分解 炉内であらたに生成したもの 13 謝辞 本発表は2006年度NEDO「ダイオキシン類の化学 的簡易代替モニタリングに関する調査」における 成果の一部であります。 14
© Copyright 2024 ExpyDoc