LabVIE Wを用い た 生体情報の計測と分析 なぜLabVIEWを用いるのか 1.A/D変換ボードなどのハードウェアを多数サポート LabVIEWは,NationalInstruments製の多数のハードウェアをサポートし,計測環境の構築や,拡張,古い環境 を新しい製品で置き換える,等の作業が非常に簡易であり,なおかつ確実に動作する.計測製品ベンダーとし ての歴史が長く,シェアが広いので,ソフトウェアがこなれており,バグが少ない. 2.豊富なライブラリを備えている あらかじめデータの入出力,通信,計測,制御,分析等の大規模かつ高度なライブラリを備えており,自前で 製作する部分を最小限に抑えられる.特に,生体情報を扱う上で重要な,フィルター関数や,周波数分析関連 のライブラリが便利である. 3.グラフィカルで理解しやすいプログラミング プログラムの作成は,専用言語Gを用いて行われ,従来の文字を使った言語とは異なり,部品配置とワイヤー による結線でほぼすべてのプログラムを行うことができる.プログラムの製作と,ユーザインタフェースの製作が 一体化しているため,短時間で使いやすいソフトウェアを作成する事ができる.また,既存のライブラリは高速に 動作するため,プログラムの実行速度は比較的速い. A/D変換(連続データから離散データへ) コンピュータで生体情報を処理する場合,アナログである生体情報をデジ タルに変換(A/D変換)し処理を行う.A/D変換は ・横方向の細かさ(サンプリングレート) ・縦方向の細かさ(変換精度) の二種類によって決まる.両者ともに,細かければ細かいほどに,データの 再現性は高くなるが,細かくするほどデータ量が増え,処理や保存の点では 多くの手間と時間がかかるようになる.生体情報を処理する場合,一般的に は,1kHz(1秒間に1000個)のサンプリングレート,16bit(65536段階)の変換 精度があれば十分である. A/D変換プログラム データ表示プログラム インピーダンスカーディオグラフィ-によるヘモダイナミクス分析(1) 4電極法により生体に微小高周波電流を流し, 組織のインピーダンス(Z0)および血流によるイン ピーダンス変化分(ΔZ)を計測し,Kubicekらの 理論に基づき心拍出量の算定を行う. SVを求めると,MBPおよび以下の式より 生理心理11巻2号(1993) インピーダンス・プレチスモグラフィー再訪より抜粋 MBP=CO×TPR MBP=SV×HR×TPR CO(心拍出量),TPR(全末梢抵抗)の推定が可能である.心的負荷により,心臓血管系に生じる反応は一様 ではなく,刺激の質や量により影響をうける.また反応の形態には個人差があり,同様の心的負荷であっても, それにより生じるヘモダイナミクスの変化は個人間で異なる. インピーダンスカーディオグラフィ-によるヘモダイナミクス分析(2) 実験内容: 二種類の心的負荷(ストレスフィルム・暗算)を行い,それにより生じるヘモダイナミクスの変化を検討する. 被験者:男子大学院生 刺 激: ストレスフィルム(頭蓋全額部を切開する整形手術のビデオを視聴する) 暗算(1000から13ずつ,連続引き算を行う.) LabVIEWによる処理: ・ECG波形から,R波を検出する. ・ΔZ波形から,一次微分波形dZ/dtを得る. ・ノイズ対策のため,R波を基準にし,dZ/dtを50~100周期分加算平均する. ・加算平均されたECG,dZ/dt波形から,Q点,B点,X点を検出する. ・得られた値をKubicekらの式にあてはめ,SVを得る. ・血圧の波形から最高血圧,最低血圧を一拍ごとに求める. ・R-R間隔(すなわちHR),SV,MBPからTPRを求める. インピーダンスカーディオグラフィ-によるヘモダイナミクス分析(3) ・ECG波形から,R波を検出する. ・ΔZ波形から,一次微分波形dZ/dtを得る. インピーダンスカーディオグラフィ-によるヘモダイナミクス分析(4) ・ノイズ対策のため,R波を基準にし,dZ/dtを50~100周期 分加算平均する. ・加算平均されたECG,dZ/dt波形から,Q点,B点,X点を 検出する. 結果1 IBI msec SV ml 1200 1150 120 1100 110 Flow ml/100g/min 20 1050 18 100 16 1000 950 90 900 80 14 12 10 850 8 70 6 800 4 60 750 2 700 0 50 安静 暗算 安静 映像 安静 暗算 安静 映像 安静 暗算 CO 映像 TPR l/min mmHg 安静 dyne-seconds/cm-5 7 1400 140 6.5 120 1350 6 100 5.5 1300 80 5 60 4.5 40 4 SBP DBP 20 1250 1200 3.5 MBP 3 0 1 安静 暗算 安静 映像 2 安静 3 4 暗算 5 6 安静 7 8 映像 1150 安静 暗算 安静 映像 結果2 msec IBI 1200 SV ml 150 1100 140 35 130 30 1050 Flow ml/100g/min 1150 120 1000 25 110 950 20 100 900 850 90 15 80 10 70 5 800 750 60 700 安静 映像 安静 mmHg 0 50 暗算 安静 映像 安静 映像 安静 暗算 TPR CO l/min 安静 暗算 dyne-seconds/cm-5 900 140 9 800 120 8 700 100 600 7 80 500 6 400 60 5 40 300 SBP DBP 20 200 4 MBP 0 100 3 安静 映像 安静 暗算 0 安静 映像 安静 暗算 安静 映像 安静 暗算 計測にあたっての第一段階 new_env すべてが入っている フォルダ acquit 計測プログラムが入っているフォルダ ②“acquit+.vi”を開き,自分の フォルダを選択. readit 読み出しプログラムが入っているフォルダ user1 data ①“new_env”→“data”→自分用 の新しいフォルダを作る user2 データが入っているフォルダ user3 user4 ユーザごとにフォルダを分けて管理する ③メニューバーの設定を開いて, 自分の計測環境を設定する. [channel 1 to 16] [MIKE/PCI-6034E] 入力設定を行うチャンネルを1~8もしくは9~16で切り替える.コネクタ ボックスのチャンネル数に一致(注:offlineでは,0~15になっている) マシンの名前/AD変換ボードの型版・・・これが映っていないということは, 認識されていないということ. 有効(ON)・無効(OFF)スイッ チ・・・ONにすると、このチャン ネルからの入力が有効になる. [scan order] [offset] 微調整用. 一部のノート用カード型AD変 換ボードでは、この設定を reverseにする必要がある. [range] 1V=1と出力させるときに “1.00” とする. “normal” ・・・デスクトップ型PC 1→8chの順に読み出す. メモ欄・・・設定についての各自のメモをするところ. “reverse” ・・・ノート型PCのとき (ノートの場合,8→1の順で読 み出す形式のものがあるため, 逆にしておく.) 例えば血圧の場合,校正波は 1V=100mmHgであるから, 5V=500とするため “500.00” と する. [input Range ] [accuracy ] [sampling rate (Hz) ] 入力電圧の幅の設定.1Vもしくは5Vの 選択が可能。すなわち,±32.768で読み 込む範囲の設定. 使用しているAD変換ボード の変換精度を指定する. 何Hzでトレンドを保存する かの設定であり,読み出し 用ファイル (read+ it) に対す る設定である.ここを100に すると, read+ itでも100でし か読めない. “±5” ・・・5V= 32.768 / -5V= -32.768 “±1” ・・・1V= 32.768 / -1V= -32.768 ↓ 血圧計の出力が,100mmHg=1Vのため, ±5に設定しておく! [設定後] 1. 【 acquit+.vi → 設定→入力設定】 “16bit” ・・・通常はコレ.1個 の計測値=16bit “12bit” ・・・古いPCは12bit しか対応できないものもあ る.そういう場合はこっち. ※ZCG解析用 (専用プラグ ラムファイル“offline”) に, これとは別に常に1kHzで保 存がされている.→SVを算 出するのが目的の場合は, あまり気にしなくてよい. [計測中にデータを・・・] [plug list] 全てのデータをディスクに セーブしながら実行するの で動作速度が遅くなるが, 計測終了時のデータ退避 時間がなくなるという利点が ある.マシンパワーに余裕 があり、長時間の計測を行 う場合はONにするとよいか も. 各指標の計測値算出のためのプラ グを選択.ダブルクリックでチェック をつけると,そのプラグが使用可能 となる. 例えば,ECGからHRを計算する場 合,“HR_plug”を選択する.このプ ラグはまた,IBIも算出できる. HR→HR,IBI [IPアドレス・・・] BP→SBP,DBP,MBP,HRなど 一秒間に10回の頻度で、 ネットワーク上の別のマシ ンに計測中の情報を転送可 能.。バイオフィードバック などの用途に使用. PEP→PEP,HR,IBI Dummy→null(1-8) PV→Height,NPV,HR(top/bottom) Resp→Rate,Inspt,height,delay [計測後に・・・] セーブの有無の確認ダイアログについて. [label] 計測モニタに表示する際の,各チャンネル の名前を入力する.右側のボックスで波形 の色を指定. [devices] [min & max] 入力設定したチャンネルと, 出力設定の前画面で選択し たプラグの中から,計測モ ニタで表示するものを決定. 指標の最小値と最大値を入 力.0を中心にするため,± の異なる同じ値を入力する. [ch] 右側のスライドバーを移動さ せ,必要な数だけ表示する. [function] “devices”でプラグを選択し た際に,モニタに表示する 指標を選択する.左側の● をクリックして適当なものを 選ぶ. 2. 【acquit+.vi →設定 →環境設定/出力設定】 [memo] 設定についてのメモ. モニタの表示範囲 計測データの保存 先が表示される. LabVIEWを起動した 際に選択したフォル ダが表示されるはず. [HR,BP・・・] “出力設定”の設定が表示 される.計測値が実測値 と同じかどうか確認. ここに全ての測定指標が表示される. 計測時間の表示. 3. 【acquit+.viの表示モニタ】 [記録開始] [終了] [event] クリックで計測開始. 計測終了. イベントマーカーの挿入. プラグを導出してい るチャンネル 表示モニタのサイズ 変更など. PEPのプラグのチャン ネルは,必ず,ECGと ZCGを選択する. 赤がECG 白がZCG →右図の黄色がdZ/dt [HR_plug] [PEP_plug] [BP_plug] 4. 【acquit+.vi→アプリケー ション→プラグインを表示】 PEP算出の際の,B点が検出しづら い時に操作.オンラインでの確認用. [実行] [offlineの表示モニタ] 分析対象ファ イルが表示 “offset”・・・分析対象データの 始発ポイント “length”・・・分析時間の長さ “length”が バーとして表 示. ECG & ZCG (dZ/dt) ,BPなどの各波形 フォルダ“offline”→ 実行(再生マーク)→ 目的のフォルダを選 択してOK. [ファイル情報] SBP & DBP IBI,SBP,DBP,MBP,BFについ て,“length”で設定した時間 分の平均が表示. “add”をクリックすると,結果 が図示される. “clear”しない限り,結果が追 加される. “save”で保存. インピーダンスカーディオグラ フィについては,値を求めて から保存する. 5. 【offline.vi】 [threshold] ECGがきちんと表示されな いときに,値を変える. [datadir] [lowpass] ここに表示されたパスに データファイルが保存され ている. デジタルフィルター をかけるため,チェッ クを入れておく. 6. 【offline.vi】 B点,X点 マニュアル 操作可能. B点 X点 ここにSV が表示. LabVIEWによる処理: ・ECG波形から,R波を検出する. ・⊿Z波形から,一次微分波形dZ/dtを得る. ・ノイズ対策のため,R波を基準にし,dZ/dtを50~100周期分加算平均する. ・加算平均されたECG,dZ/dt波形から,Q点,B点,X点を検出する. ・得られた値をKubicekらの式にあてはめ,SVを得る. ・血圧の波形から最高血圧,最低血圧を一拍ごとに求める. ・R-R間隔(すなわちHR),SV,MBPからTPRを求める. (Kubicekの推定式) SV≒rho・(L/Z0)2・LVET・dZ/dt(max) rho (ohm・cm )・・・135 (ohm・cm) を常に用いる.定数. L (cm)・・・背側と腹側の平均.25cm以上必要.巻尺で測定. Z0 (ohm)・・・インピーダンスアンプのデジタル数値. 【offline.vi】 ※インピーダンスアンプの “sensitivity” は,0.2に設定(固定). [direction] “up”・・・BP↑を防ためのHR↓ “down”・・・BP↓を防ためのHR↑ [brs] 計算結果 検出されたシーケンスの結果 ※シーケンスの数が,1ブロックあたり10以上ないとデータとして使えなそう・・・ 【offline.vi→オプション→BRS算出】 【readit+.vi】
© Copyright 2024 ExpyDoc