11 開発と援助 11.0 はじめに 11.1 初期の開発経済学と援助論 11.2 改良主義の開発と援助の思想 11.3 新古典派アプローチを超えて 1 11.0 開発援助の定義 • 政府開発援助(Official Dev Assistance) ①政府ないし政府機関,②経済開発や福祉の向上を目的, ③グラント・エレメント25%以上 ♪贈与(無償資金協力,技術協力,国際機関への出資・拠 出)と貸与 ♪プロジェクト援助,ノン・プロジェクト(国際収支・財政支援・ 債務救済・構造調整etc) • その他の公的資金の流れ(OOF) • 民間資金の流れ(PF) • 非営利団体(NPO)による贈与 2 11.1a 初期の開発経済学と援助論 開発援助のはじまり←途上国の独立 • 前史:植民地経営論 • マーシャル・プランによる西欧の復興:資本不足の 克服 • 途上国の輸入代替工業化 • 途上国第1次産品の所得交易条件の悪化 • 1964UNCTAD プレビッシュ「援助よりも貿易を」 • ツーギャップ・アプローチ:①貯蓄・投資,②外貨 →インフラ部門(運輸,電力,灌漑,通信など)へのプロジェクト 援助 3 11.2b 初期の開発経済学と援助論 バウアーによる開発援助批判 • 先進国は援助なしに発展した.発展の諸条 件(適性・モティベーション・制度)がなければ 援助はムダ. • 内生資金と外国からの資金との相違 • 援助は被援助国の民間でなく政府を強化 • 援助は政府間補助金.貧しい人々に届かない • 西欧諸国に敵対し,圧制国に向けられている • 援助は南北間の対立の源泉 4 11.2 改良主義の開発と援助の思想 政府の役割を大幅に認める • 1960s:国連開発の10年 トリクル・ダウン仮説(経 済成長→恩恵は庶民にも滴り落ちる) • 1960年代後半:ベーシック・ヒューマン・ニーズ (雇用・貧困・所得分配に注目し,生活必需品・教育・ 保健・医療など基本的サービス重視) • 1970s:新国際経済秩序(NIEO) 資源の恒久主権 • 1980s:新古典派アプローチ,新自由主義・市場重 視 ①サッチャー政権,レーガン政権の登場 ②アジアNIEsの成功経験 ? 5 11.3a 新古典派アプローチ IMF・世界銀行の構造調整プログラム① • 1970年代石油危機 1974IMF拡大信用供与 制度 貸付にともなうコンディショナリティ初めから • 1980世銀SAL 構造調整貸付 • 途上国の債務累積問題 財政赤字・インフレ・国際収支赤字 →IMF経済安定化政策 財政・金融引締め,為替切 り下げ,貿易自由化 IMF1986構造調整融資 1987拡大構造調整融資 6 11.3a 新古典派アプローチ IMF・世界銀行の構造調整プログラム② 構造調整政策の中身 • 財政規律:歳出削減と歳入増加 • 価格政策:農産物価格自由化,公共料金引 き上げ • 貿易・投資の自由化と為替切り下げ • 所有権改革:国営企業の民営化 • 行政改革 規制緩和・撤廃とガバナンス • ワシントン・コンセンサス 1989LA会議 7 11.3b 新古典派アプローチを超えて 新しい開発援助思想① • UNICEF 1987人間の顔をした調整 • ブレイディ(米財務長官)債務削減構想1989 (一時的な)流動性危機ではなく構造的な支払い不能危機 銀行債務を証券債務に転換し,途上国の証券市場育成 ・1990UNDP『人間開発報告』刊行開始,WB『世界開発報告』 貧困をテーマに ・HIPC重債務貧困国対策1996 貧困削減戦略ペーパー ・包括的開発フレームワーク CDF1999 Comprehensive Dev Framework 途上国の主体性 8 11.3b 新古典派アプローチを超えて 新しい開発援助思想②国連ミレニアム開発目標 • 国連ミレニアム開発目標 MDGs 「2015年までに・・・」 – – – – – – – – 2000 189加盟国代表 ①極度の貧困(1日1ドル未満)および飢餓の撲滅:1990年の半数に ②普遍的初等教育の達成 ③男女平等および女性の地位強化:教育における男女格差解消 ④乳幼児死亡率:5歳未満児死亡率を90年の3分の1に ⑤妊産婦の健康の改善:90年の4分の1に ⑥HIV/AIDS,マラリア,その他疾病との闘い:2015年に反転させる ⑦環境の持続可能性確保,安全な飲料水 スラム改善 ⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの推進(政府開発援 助,途上国輸出品の市場アクセス,OECD農業補助金,債務の持続 可能性,医薬品,情報・通信) 9
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