あるJICA在外事務所員の懺悔録 ―ドナー調整会合はかくも難しい・・・― 2002年2月27日 世界銀行 信託基金局(TFS) 山田 浩司 プロローグ ネパール基礎初等教育プロジェクト(BPEP) 第1フェーズ(1993~97年):世銀、DANIDA、 UNICEF、日本 第2フェーズ(1998~2003年):EC、FINNI DA、NORADが参加 「小学校建設計画(第1次~第3次)」(無償) 小学校校舎増設資材の供与 デポセンターから建設サイトまでの運搬と建設は住民参加 シードマネーは世銀貸付金から捻出 本部派遣前オリエンテーション 「ドナーとは普段からお付き合いしておきなさい」 理念先行の「援助協調」唱和 ドナー連携案件に関する事前ブリーフィング 在外事務所(赴任直後) 「あなたには教育セクターを担当してもらいます」 職員のキャリアと現地ニーズのミスマッチ 事務所のファイリング ドナーとの普段からのお付き合い 現地での自己啓発の手段 初めてのドナー会議 「とにかく行けばいいから・・・」 プロジェクトドキュメントは「基本設計調査」の報 告書だけ? 参加者のバックグランドが不明 日本のODAとも関連する調査なのに日本は関 与せず? 世銀/DANIDA/UNICEF合同中間評価 「皆の言っていることがさっぱりわからない・・・」 周囲は教育エキスパートだらけ 議論のための議論からスタート 膨大な文書 SARの「日本:15百万ドル」の根拠は? 「ジャパンファンド」って何? JICA教育専門家 「何かやっているようですね」 カバー範囲は中等教育だけ? C/Pは教育省の1機関 派遣のタイミングはJICAの都合 要望調査 「そんなリソースが日本にあるのか?」 課題認識はあっても、リソースのあてがなけれ ば技術協力の要請は出しづらい 本部のセクターワイドアプローチ総括は、担当 部のキャパシティ次第 ローカルスタッフ 「そんな急に『勉強しろ』と言われても・・・」 「ロジのスペシャリスト」=ローカルスタッフの生 き残り戦術 ドナーの苛立ち 「JICAはいつになったら(無償資金協力に)コミットするの か」 ドナー協調と日本の都合は別問題 スキーム、スケジュールのミスマッチ 現地対応時の出席者の権限 エイドメモワール作成 調査団 「それは調査団の責任範囲外だ」 調査実施と実施時期はJICAの都合 ドナー会議での発言の権限は誰にあるのか 和文報告書作成までの所要日数 大使館 「私は忙しいから、報告だけして」 3人構成の経済協力班→教育セクターはニッチ JICA専門家との繋がり→関心はミクロの世界へ 結局、何をどうすればよかったのか?(1) 1. 2. 3. 4. 他ドナーの援助メカニズムへの理解 現地ニーズに合った人材の配置 現地事務所員をバックアップする体制 メリハリのある国別援助戦略 結局、何をどうすればよかったのか?(2) 5. 6. 7. 現場への権限委譲、スキームの弾力的運用 案件の有無に関係なく、日本のセクター担当者 が誰なのかはっきりさせる あとは本人の努力 エピローグ あれから4年が経過して・・・ 国別事業実施体制 専門家公募制度 個別研修→国別課題別集団研修へのシフト 無償資金協力ソフトコンポーネント PRSP対応(企画調査員、政策助言型専門家) セクター開発調査、セクタープログラム無償 在外主導で使える事業予算(開発福祉支援事業) 分野別ネットワーク 他の援助機関への職員派遣
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