ヨーロッパの経済危機に ついて 柏嶋 美由紀 ヨーロッパ危機とは ギリシャの財政悪化をきっかけとして、欧州 全体に連鎖する金融危機。 ソブリン危機とは、国家の信用リスクが悪化 することであり、国債や政府機関債が債務不 履行(デフォルト)に陥る可能性を指す。 ギリシャ もともと、 財政収支(毎年のフロー)の赤字幅が大きく、 その累積としての政府の債務残高もGDPの100%を 上回る 経常赤字国で海外からの資金に依存している という点が問題視されてきた 2009年10月の政権交代後、 前政権が財政赤字を「粉飾」していたこと が発覚、 急速に財政不安が高まった。 ヨーロッパ諸国の長期金利 その結果、 ギリシャ国債は市場の信認を失い、 10年物国債の金利は20%近くに跳ね上がっている。 なぜギリシャの破綻が、 世界の金融市場を動揺させたのか 投資家が一斉にリスク回避的な行動を取る (具体的には資金を国債など安全な資産へ 移動する)ことで、 「相対的にリスクの高い金融市場から資金 が枯渇し価格暴落の連鎖が拡大していく可 能性」が示唆されるからである。 PIGS諸国に対する各国銀行債 権金額と分布 信用不安がPIIGS等の財政状況の悪い国に波及する しこれらの国債が暴落すると、欧州の銀行間の信用 リスクや流動性リスクに発展していく可能性があ る。 ユーロ安 ギリシャ、その他ユーロ圏の財 務懸念国の信用不安の連鎖に より、単一通貨ユーロは下落。 ⇒ユーロの信認は低下 ユーロ圏内における経常収支の不均衡拡大や金 融機関経営のハイリスク化という構図は、市 場統合や単一通貨ユーロの導入という固有の 要因と深く関わっている。 問題解決には域内諸国による 協調的な取り組みや制度の見直し が不可欠 ギリシャ救済の動き IMFによる緊急融資枠の創設 EUは国際通貨基金(IMF)と共同で支援、 IMFの融資条件に基づく、緊縮財政計画の実 行を監視する体制を構築 「金融安定化メカニズム」というセーフティー ネットの構築 ECBによる支援 追加利下げと銀行の資金繰り支援強化 ユーロ圏各国の国債買い入れ IMFによる緊縮財政計画の問題 点 2011年の財政赤字がGDP比で8・5% に達すると発表、7.6%の赤字削減目標を達成 できず。 景気の悪循環が懸念され、 財政赤字は減りにくい。 ECBによる支援の問題点 ECBの国債買い入れ残高 2010年5月 ECBはアイルランド、ポ ルトガル、ギリシャの周 辺3カ国の国債750億 ユーロ弱 2011年8月以降 スペイン、イタリアにまで 拡大して1329 億ユーロ を追加で買い入れ あくまで国債買い入れは時限的な措置 損失は加盟国負担であり、巨額の損失が発生 した場合、中央銀行としての信用を失う恐れ がある。 論点:欧州金融危機への 今後の対応策
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