学校事務新生プラン よりよい学校教育の推進をめざして テーマ 「 語ろう 創ろう 新しい学校事務を! 」 はじめに 1 学校事務新生プランとは (1)学校事務新生プランの基本理念(計画の目的) (2)基本的な考え方 2 学校事務新生プラン策定までの背景 (1)課題の背景 3 学校事務新生プランの具体的な進め方 (1)学校事務新生プランの進め方 (2)学校運営への参画を目指して おわりに 新事研「学校事務新生プラン」の図 2003(平成15年).5.14 新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会 はじめに このたび新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会(以下 新事研)では,各運営部の活動を共通 理解し,21世紀にふさわしく,よりよい学校づくりのために貢献できる学校事務の確立に向け,「学 校事務新生プラン」の提案をします。 学校事務新生プランとは,「一 人一人 の学校 事務職員 が,勤 務校で 学校事 務改善を 図るた めの 実践活動を支援する仕組 み」 を示したものであり, 「その仕組みを共に創り 合うこと(∼参画,協働∼ )」 を呼びかけるものです。 新事研では,これまで行ってきた研究研修大会でのアンケートに寄せられた会員の想いを実現したい という願いがありました。また,学校教育をめぐる状況は,国の教育改革に沿った様々な施策や新潟県 の第8次総合教育計画,さらに地方分権改革やそれに基づく市町村合併の進行など急速な社会の変化が 取り囲んでいます。そのような中,新潟県教育委員会から平成14年3月29日付で「市町村立小・中 ・養護学校事務職員の分掌事務について(教義第1916号)」(以下「分掌事務通知」という)の通知 が出されました。これにより私たち新潟県の学校事務職員にとって「職務内容を明確」にする大きな悲 願が達成されたのです。新事研は研究基本要領に基づき第1期研究長期計画を進めてきましたが,これ らの状況を踏まえ,学校現場での対応や実践活動をより強く支援する仕組みづくりが必要ではないかと 考えました。 また,名称については「第2期研究長期計画」ではなく,これまでの活動を踏まえてさらに会員に身 近な新事研活動を展開し,会員を支援していこうという気持ちを込めて「学校事務新生プラン」と改め ました。 学校事務新生プランを策定するに当たって,平成13年9月に,新事研運営部が会員の実践を支援す るためにできることを考えようと,理事会は各運営部から部員を選び,特設班としてプランニング部内 に全体研修企画班を設置しました。この班では,お互いの意見をより多く出し合い,その中から解決の 方向を見いだすワークショップの手法を取り入れたり,会議数を減らすべくメーリングリストを利用し た意見交換を行ったりしながら検討を重ねてきました。また,会員からもプランづくりに参画してもら うために,メーリングリストの様子を新事研のホームページに掲載するとともに,平成13年11月に 第1次案を提案し,それに対し会員の意見を集約し,さらにこのプランをまとめていくという方法を取 ってきました。このような方法はこれからの新事研活動の在り方のひとつを試行したものでもあります。 さらに,昨年の第20回記念研究研修大会では第2次案を提案し,参加した会員から「参画の木」に多 くの意見をいただきました。それらを受けて新事研運営部がどのような具体的な活動を進めていくのか を考え,このたび最終案の提案となりました。 学校事務新生プランにより,会員,支部,新事研運営部が相互に連携し,情報の共有,語り合いによ る共感,他職種間や学校事務職員同士による協働しようとする考えや行動へと結びつくことを願ってい ます。 1 学校事務新生プランと は (1)学校事務新生プランの基本理念(計画の目的) 新事 研は,平 成4年 5月に研究基本要領を作成し学校事務観の共通理解を図り活動を進めてきまし た。学校事務新生プランもまた,この研究基本要領の目的の基に進めていきます。 学校事務新生プランの目 的・・・「よりよい学校教育の推進」 しかしながら学校を取り巻く状況が大きく変化し,今後さらに新たな視点が求められてきています。 そこで学校事務新生プランの推進と同時に,研究基本要領の改訂作業も進めていきます。 (2)基本的な考え方 私たち学校事務職員は,必ずしも恵まれているとは言えない研修制度の中で,多くは一人職場におい て日々実務をこなしながら,自分なりに学び,経験を積み,知識を蓄えてきました。新事研会員の一人 一人は,こうした日常の中で,何かに”気づき ”,解決しなければならないことを一つ一つ改善してき たのではないでしょうか。 日々の仕事を処理している“体験”がまずあって,その処理過程でふとしたことに“気づき ”,やっ てきたことを“振り返り ”,改善の方策を“考え ”,また実践(体験)していくという循環。このような 考え方があることを全体研修企画班では「体験学習法の循環過程 」(西田真哉氏 聖マーガレット生涯 学習研究所長)の中から見出しました。これまでの新事研活動の主たる方法論である「理論を研究して 実践化する手法」は非常に重要なことですが,それだけではなく「実践から生まれる理論化」という方 法論もあるのだと気がついたのです。その双方からのアプローチによって目的を達成しようとしていく ことが,これからの新事研活動をより充実させていくことになるのではないかと考えました。 新たな体験へ 体験( do) やってみる。 概念化(plan ) まとめる。次を考える。 気づき 気づき 指摘(look ) 見てみる。振り返る。 分析(think ) 考えてみる。 気づき ○“気づき”を大切に 日ごろ仕事をしている中で「困ったなぁ」ということや ,「改善しなければならない」と感じること があると思います。このちょっとした“気づき”が,始まりで,とても大切なことなのです。 ○ネットワークを広げて,共感,共有へ そして,この“気づき”を,学校事務職員同士や勤務校の他職種同士で語り合うこと,つまりネット ワークを広げることは,多くの人々と様々な情報を共有することにつながります。さらに,情報の共有 すなわち感じたことをお互いに分かち合うこと,共感することが,改善に向けた強い力になります。 ○ 協働へ ネットワークを広げて語り合い ,情報を共有し ,共感していくこと 。それが ,お互いの経験を活かし , お互いの足りない部分を補い,新たな改善策を生みだしていくことにつながります。さまざまな職種の 人々や同じ職種の人々がお互いに結びつくことで,「困ったなぁ」と感じたこと ,「不都合」なこと,一 人ではなかなか改善できないことを協働で改善する仕組みを作りだしていくことができます。 ○ 共に創る参画へ このような協働の仕組みの中において,一人一人が持てる力,得意な分野の能力を活かして参画する 場面が増えてくることでしょう。お互いの能力を活かし,認め合うことで,一人一人の存在感が確かめ られます。存在感とは「必要とされる意識」であり,それが参画する意欲へとつながっていきます。 全体研修企画班では,協働しながら繰り返し行っていく実践の中に,学校教育を推進する新しい学校 事務を捉えていきたいと考えています。 このような考え方から,全体研修企画班では「よりよい学校教育を推進する」ことにつながる道筋を 次のように考えました。 よりよい学校教育を推進する。 支部活動や新事研各運営部活動における 個人の実践を支える 情報の収集や提供、具体的な研修 新事 研による協 働の仕組 み 〓 実践に必要なもの 勤務校における ・勤務校の解決すべき課題への気づき ・個人の実践が重要 ・ネットワークの充実、具体的な研修の 充実など 学校運営に参画し、特色ある学校づくりを 推進する学校事務を行う。 これまでの研究研修大会や 各種アンケートから多くの 会員が学校運営への参画を 望んでいる 〓 学校での実践活動である。 具体的な研修がしたい 情報の提供がほしい 学校事務職員制度の改善を望む 新事研では,村上・岩船大会,そして六日町大会を通して会員から聞こえてきた,「学校運営に参画した い,研修をしたい」といった強い想いを受け,今,私たちの目の前にあり,私たちを取り巻く現実の中 から未来につながる素材を育んでいった時に実現可能な未来デザインを描いてみました。 このような考え方は,問題解決学の「未来デザイン考程」から学んだことです。 そして,それは次のようなたどたどしい言葉になりました。 「具体的な研修計画とネ ットワークの充実によって,より身近な新事研 活動を展開し やる気を持った一人一人 の実践を通して,学校をよりよくしていこう 。」 そして, 「学校にゆとりが生まれ て,地域の人とのかかわりができる。 このことを通して,より よい教育の推進につないでいこう 。 」 これをイメージしやすいようにすると,次のような姿になります。 「いきいきのびのびと遊んで学べる楽しい学校を作りたい 。」 「子どもを安心して学ばせたいという保護者の願いを大切にしたい。」 「教職員相互の理解と協力でチームワークのよい職場にしたい 。」 「保護者や地域から信頼される学校にしたい 。」 だから、 学校事務職員が、勤務校で自分にできる校務分掌を積極的に分担してみたり、改善すべき課題 を見いだし、解決に向かって実践したりしていくことで、学校にゆとりを生みだし、そこから、 さらに地域との関わりも生みだしていこう。 このことが結果として、これからの学校でのよりよい教育の推進になっていくだろう。 しかし、思っているだけでは変わらないから、小さなことからでも始めてみよう。 一人ではできないけれど、近くの人に相談してみよう。 同じような実践をしている人はいないだろうか? 他の人の実践を聞いてみたい。見てみたい。教えてもらいたい。 わからないことを調べてみよう。積極的に研修を受けてみよう。 研修会の情報がほしい。市町村や支部で研修会を開催してほしい。 そのために、 すでに各支部や会員個人で行っている実践例や資料を集めたり、提供したりできる情報ボックス を設けるといった工夫をし、情報のネットワークづくりをしてみよう。 資料だけでなく会員同士が支援できる人材バンク表を作ってみて、人と人のネットワークづくり を充実させ活用しよう。 研修の内容や計画、研修プログラムを活かして、会員個々の要望に合わせた選択ができるような 研修体制を作り、実践力が身に付き、専門性が高まる研修を受けられるようにしよう。 こういったことをしていくと、 新事研がより身近になり、実践の輪が広がって、一人一人のやる気が増してくる。 実践過程での資料を集めて課題が明らかになっていくと、解決できる手だてを見いだしていける のではないだろうか。 2 学校事務新生プラン策 定までの背景 (1)課題の背景 ア 学校事務新生プランの位置づけ ○ 支部や会員の実践活動を推進する手立ての一つ 新事研では,研究基本要領の目的を達成するために,会員一人一人が学校事務を改善していこうとす る実践活動もまた重要だと考えました。学校事務新生プランは,支部や会員の実践を支援するとともに , 情報を収集したり発信したりすることで,新しい学校の在り方に対応できる学校事務を考えていきたい と思っています。 ところで,ビジョン答申では「研究長期計画」について ,「研究基本要領は学校事務職員共通の到達 目標を示したものです。新事研は,その到達目標に向かって前進していかなければなりません。そのた めには具体的な計画が必要です。その一つがこの研究長期計画です 。」と述べています。第1期研究長 期計画は到達目標に向かうための手立てのひとつですが,学校事務新生プランは,この第 1 期研究長期 計画を補完する手立ての一つです。 ○ 研究基本要領の目的を基にした活動のまとめ 既に述べたように学校事務新生プランを進めていきながら,そこから浮かんできた事実を基に研究基 本要領を見直していきます。このことによって研究基本要領のまとめがなされていくと考えています。 研究 基本 要領 (H 4.5.1 2作 成) 第1 期研 究長 期計 画( H5 .4 .1作成 ) 研 修の 長期 計画 (案 ) ( H9 .5)作 成 社会 の変 化を とら え、 ある べき 姿・研 究の 在り 方の 見直 しを 提言 (ビ ジョ ン答 申 第2 期研 究長 期計 画 H1 2.2.1 7) 改め 学校事務新生プラン 新事 研テ ーマ 「 語ろう 創ろう アクションプログラムは 、 「学校事務新生プラン」の 方策の一つとして先行して 提案され活動(進行)して います 。 新しい学校事務を! 」 (H1 3.12 .7) グランドデザイン イ これまでの経過 ここで学校事務新生プランを理解するために,これまでの新事研活動とどうつながるのか,その経過 を説明します。 ○ 研究基本要領(H4.5.12 ),第1期研究長期計画(H5.5.14),研修の長期計画(案)(H9.5) 新事 研は ,「学 校教 育の 充実 発展に 寄与 する 」こと を目 的と して活 動し ていま す。 これ まで, 目的を達成するための理論や具体的な活動への手がかりとして研究基本要領(H4.5.12 ),第1期研究長 期計画(H5.5.14),研修の長期計画(案)(H9.5)などを作成し提示してきました。 ○ 新事研の組織改正(H12.4) 地方分権や教育改革の急激な流れという時代背景の中 ,「全会員の協力による教育改革への対応」を 実現するため,平成8年度から新事研組織の在り方について組織検討委員会を発足させました。 平成10年度には,この答申が出され,平成12年度に組織改正が行われました。 この組織改正で,全会員で創り上げる新しい新事研を目指しました。 1 会員の声が本部の運営や諸事業に反映される。 2 正確な情報が会員に正しく伝わる。 3 会員一人一人にわかりやすい。 ○ ビジョン答申(H12.2.17) 中教審答申などによる教育改革の進展に伴い「これからの学校事務職員のあるべき将来像と急速に変 革する社会にどのように対応すべきかについて,その具体的改善施策を論議」するべくビジョン委員会 が発足され,会員の総意としての答申がなされました。 このビジョン答申では,これからの学校等の捉え方が次のように変わることが指摘され ,「新事研は その目的を再確認し,今後の組織活動の見直しを図らなければなりません 。」と提言しました。 これからの学校 ・・・「子どもたちがいきいきと楽しく学び,地域の風がいきかう」 これからの学校事務 ・・・「説明責任を果たし,地域との連携を推進する」 これからの学校事務職員・・・「的確迅速な判断力と企画調整力をもち積極的に学校運営に参画する 」 ビジョン答申の中では , 「研究基本要領 」の見直しと次なる新しい「研究長期計画 」「 ・ 研修長期計画 」 の策定が挙げられ,新組織となった新事研ではプランニング部が担当することとなりました。 ○ アクションプログラム(H12.12) 新事研は研究基本要領を研究・研修活動の基本とし ,第1期研究長期計画を進めてきました 。しかし , この研究・研修活動のどこにウエイトを置いているのか,どう活動してほしいのかが,支部や会員に伝 わりにくい状況でした。また,これまでの研究研修大会でいただいた声により,会員は実践力が身に付 くことを強く望んでいることがわかりました。そこで,新事研は,ポイントを絞ったわかりやすい活動 を進めることと,支部や会員をバックアップすることが必要だと感じました。 このような活動を進めるにあたっては,上越教育大学の古賀一博教授からいただいた助言などを参考 にし,事務職員は学校を支えるスタッフとして,事務部門の代表であることを認識し,より専門性を高 めていく必要があるとして,次のような基本の三つの柱を設定しました。 ・ 経営感覚を持った学校事務職員 ・ 説明責任の果たせる学校事務職員 ・ 法令に基づいた事務処理のできる学校事務職員 各学校で日常の改善を図る実践的活動を行うことで,学校事務職員一人一人の実践力を向上させ,対 外的にアピールをしていく具体的な手段として,アクションプログラムを設けました。 ○ 新事研テーマの改正(H13.12.7) 「語ろう 創ろう 新しい 学校事務を!」 急激に進む教育改革の時代背景を受けて,それまでのテーマ「求めよう,築こう,開かれた学校事務 を」を見直し,新しい活動テーマを作り出すことが必要になりました。このテーマは,変化を求められ る学校で,よりよい学校づくりに貢献できる学校事務を確立するために,これからの学校事務職員に何 ができるのか,語り合い,創り合っていこうとするものです。 3 具体的な計画 (1)学校事務新生プランの進め方 ○ アクションプログラムと共に進めます。 学校事務新生プランは,研究基本要領に沿った活動のための実践的な活動を推進するものです。すで に先行しているアクションプログラムはこのことを進める手立てとなります。情報統括部の調査による と多くの支部で取り組みを開始しており,学校事務新生プランは,このアクションプログラムと共に進 めていくことになります。 ○ 新事研運営部の具体的な支援活動 全体研修企画班では,新事研運営部が行う具体的な支援策の例を次のように話し合ってきました。 具体的な研修計画を作る。 ネットワークを広げる。 会員以外,他機関ともネットワークづくりを図る。活動をPRする。 わかりやすい表現で計画を作り,会員に伝える。 学校事務の標準化を図る。 新事研活動を円滑に運営する。 効果的な研修計画を作る。 実践力が身につく 各市町村単位や支部が企画し実施する自主研修計画を立てるための 手順や方法を示す。 ことができる。 研修マニュアル 研修プログラム 研修会を開催する 学校事 務職員の 各支部研修情報の活用 など 専門性が 高まる。 ネットワークを広げる。 一人配置であることをお互いに助け合う人と人とのネットワークづくり 多くの情報を収集し提供することにより,学校事務職員のゆとりを生み 一人配置で抱える 出す。 不安や悩みを解決する。 オンラインネットワークによる人材バンク,情報box,覚え書き ゆとりを生み出す。 研修講師人材バンク表 各支部研修情報の収集と提供 など 会員以外,他機関ともネットワークづくりを図る。 学校事 務職員への 活動をPRをする。 理解が深まる。 新潟県教育庁義務教育課との学校事務検討会や 学校事務職員制度改善 校長会,教頭会などとの懇談会開催 への道筋をつける。 学校事務職員以外の職種に情報誌などを作成しPRする など わかりやすい表現で計画を作り,会員に伝える。 学校運営への参画を 進めることができる。 学校事務新生プランで進めた実践情報や新事研運営部が収集した 情報などから新たな学校事務を捉える。 学校運営に学校事務機能を活かす具体的な方策をわかりやすく会員に 学校 事務職員 が学校 事務機能を高めるこ とでよりよい教育に 伝える。 リーフレット作り 貢献 すること が明ら など かになる。 学校事務の標準化を図る。 このたび新潟県教育委員会から通知された「分掌事務通知」の 学校事務職員の職務 定着を図るための具体的な方策を考え実施する。 が確立し、各学校の 「学校運営組織図」の策定提案 学校事務機能が高ま 「学校管理規則」改正モデル案作成 など る。 新事研活動を円滑に運営する。 各運営部の連携を図る 連絡調整を行う 予算の有効な立案,執行を行う など 信頼される新事研 組織活動を推進する。 (2)学校運営への参画を目指して 私たち学校事務職員の悲願である「分掌事務通知」が出されたことを契機に会員や支部が,この目標 に向かって自主的に活動し,実践を行っていくと第1期研究長期計画の到達目標が達成されていくと考 えられます。 現行の研究基本要領に沿った手立てである第1期研究長期計画を補完するものである学校事務新生プ ランにおいても,この到達目標は変わりません。実践を通して,目標に向かいましょう。 目指す目標・・・ 実践を通して ・学校事務組織の確立を 図る。 ・学校事務機能の確立を 図ると共に,各校に応じた特色ある学校事 務機能を推進する。 ・新事研会員全体の社会 的地位の向上を図る。 ・組織的な自主研修の確 立を図る。 ・学校事務観を確立し, 共通理解を図る。 ○ 学校事務組織の確立を図る。 学校事務職員が分掌事務通知にある職務に精通し,全てに携われることが最善です。しかし,ほとん どが一人配置であり全てに携わることは簡単ではない現状でもあります。そこで ,他職種と協働したり , 他校の学校事務職員と協働したりすることで学校事務組織を確立させ,職務に精通する学校事務職員と して,的確迅速な判断力を持った事務処理を行っていくことが大切になると考えます。 実践の中から,職務に精通するための研修や,他職種との協働の方策はどうしたのかという実践例を 収集することが必要です。例えば職務に精通するために自校の事例を蓄積するとか,他職種との協働の ために自校の学校運営マニュアルを作成したことなどの実践例です。学校単独の事例だけでなく,近隣 校との連携や共同実施地区の実践例からも見いだしていくことが必要です。このような取り組みから, 一定レベルの安定した学校事務機能がどの学校においても提供されていくことになると考えます。 ○ 学校事務機能の確立を図ると共に,各校に応じた特色ある学校事務機能を推進する。 学校事務組織が確立し,学校事務職員がその職務を活かし,学校事務機能が最大限に発揮されること により,教育活動を進めるに当たって適切で十分な予算措置,判断に必要な情報提供などの様々な機能 を発揮することができます。一定レベルの安定した学校事務機能に加えて,特色ある学校づくりを進め るために欠かすことのできない業務を各校に応じて担っていくことが,大切になると考えます。 日々の実践から,例えば予算要求時点での職員への関わり,又は児童生徒や地域への関わりはどうだ ったのか,予算編成や執行の時点での関わり,教育活動を進めるに当たっての情報提供などの実践例を 収集していくことが大きな力になります。それらの中から,学校事務機能を推進する在り方を探ること ができるのではないでしょうか。 ○ 実践を通して,新事研会員全体の社会的地位の向上を図る。 実践しようとするとき,勤務校の教職員と共に進めたり,市町村単位で学校事務改善を図ろうとした りするとき,教育委員会職員や校長会などの関係機関と連絡を密に取りながら進めていくことが大切で す。このような関わりを積極的に推進し,一つ一つ課題を改善していく事実の中から,教職員や市町村 教育委員会の職員に学校事務分野に専門的な知識や技能を持った学校事務職員が重要な役割を果たすの だという意識が生まれてくると考えます。 また,PTAなどを通して保護者や地域への関わりを持つことで,学校事務職員の仕事や役割が社会 に認知されると考えます。一人一人の小さな実践の積み重ねが,新事研会員全体の社会的地位向上を図 っていくことと思われます。 どのような実践をして,どのように他職種と連携してきたのか,その成果として,教職員や教育委員 会の意識が変化し,理解が深まったなどの事実をお互いに紹介することで,気づきが生まれ,次の実践 へ向けた手立てとなるのではないでしょうか。 ○ 組織的な自主研修の確立を図る。 「分掌事務通知」を活かし学校事務機能を推進するために,職務に精通することが必要になります。 そしてより専門的な知識や技能が求められることから,それらを習得する機会が必要となります。 新潟県教育委員会や市町村教育委員会による制度研修は欠くことができません。今後,実践を基にど のような資質が学校事務職員に身につけば,どのような学校運営上の効果があがるのかを実証していく 中で,制度研修の大切さを県教委や市教委と共有・共感し,その拡充を求めていきたいと考えます。 しかし ,それだけでなく支部や市町村単位で企画し運営する自主研修こそが ,私たちの日常において , まさに必要とされるタイムリーな研修となりえると考えます。 すでに実践した研修企画情報を収集しそのノウハウを提供したり,各支部の活動計画を収集し,会員 に提供したり,人材バンクを設けたりなど様々な方法が考えられるのではないでしょうか。 ○ 学校事務観を確立し,共通理解を図る。 学校事務新生プランでは実践を重視しています。一つの実践から次々と新たな気づきが生まれ,振り 返りながらさらに次の実践へ続いていくと想定しています。成功事例だけでなく失敗事例も含めた様々 な実践例が積み重なり,あたかもスパイラル(螺旋)構造となって学校運営への関わりが深まっていく と考えています。このような日常の小さな成功や失敗を繰り返すことによって会員一人一人の充実感や 達成感が生まれてくるのではないかとも考えています。学校運営に学校事務機能をどう活かすのか,他 職種と共に話し合い,考えを述べ合い,実践をしていくことが,よりよい学校教育の推進につながって いくのだという当たり前のことに気づくだけかもしれません。 研究基本要領では,学校事務の役割を「学習しやすい環境づくり,教材教具の整備,資料や情報の提 供など教育の諸条件を整備する」と述べています。実践から気づいたことを研究基本要領と合わせて考 えること,支部や市町村での活動の場面で話し合うことで,さらに見方や考え方を確認することになり ます。支部活動などを通したりして,語り合う場面を設定することが重要です。 おわりに ∼ キーワードは「参画と協働」 ∼ 新事研は平成12年度に新組織となり , 「みんなで創る新事研」を 目指して活動を始めました。 ビジョン答申では ,「学校運営への参画」が掲げられました。 そこで「参画」をキーワードとして,参画するとはどういうことか,参画する意識・資質はどう育く まれていくのだろうかということを考えてきました。そうした中で,新事研というみんなの組織をどう していきたいのか,一人一人の会員がどう関わっていくのかということを改めて一人一人が問い直して いくこと,新事研の活動に参画しようとすることが,各校においての「参画」を意識する糸口の一つに なるのではないかと考えました。 「誰かがやっている 」,「新事研に何かをやらされる 」,「新事研が自分に何かをしてくれる」のではな く,一人一人が自分のこととして新事研活動に主体的に関わり合おうとすること,会員同士が自分から コミュニケーションを取っていこうとすること,一人一人が自分のできることで少しずつ力を寄せてい こうとすること,つまり新事研という組織に参画しようという気持ちの醸成が,そのまま各校に参画し ようとする気持ちの醸成につながる ,「研修」の機会となるのではないでしょうか。 同時に,会員が参画の喜びや参画の充実感を味わえるような場の設定が,新事研として必要なのでは ないかと考えました 。「意見を言える場が無い 」「意見を言っても変わらない」・・・そういうことを少し ずつでも解決していきたい。そこで ,みんなで研修をして,みんなで勤務校を改善する実践を行い合い, その成果の情報を提供しあい,自分たち一人一人のこととして新事研を創り上げていくことが,「全会 員で充分に共通理解を図る機会」の拡充につながるものであり,参画する動機づけにつながるものでは ないかと考えました。 こういうことを念頭に,会員個々の声に耳を傾け,会員一人一人が参画して計画を創っていく,自分 たちの新事研とするために,この学校事務新生プランも,会員と共に創っていこうと提案しました。 今,学校事務職員をめぐる状況は大変厳しくなっています。国の地方分権推進会議が出した平成14 年6月の中間報告においても,直ちに検討すべき課題として ,「学校事務職員については,地域や学校 の実情に応じた配置が可能となる方向で,義務標準法等を通じた国による関与を見直す」と提言がなさ れています。市町村合併に向けた動きも佳境に入り,地方の総合行政の中で教育行政の在り方も問い直 されています。 村上・岩船大会,六日町大会では,学校事務職員以外の様々な方々からお話をお聞きしてきました。 私たち自身「これまでのままでいい」というわけにはいかなくなっていることを充分に意識しなければ なりません 。山積する教育の問題を ,学校現場で勤務をする職業人として ,社会を構成する大人として , 一歩でも,半歩でも,気持ちだけでも一人一人が自主的・自律的に改善を図ろうと,今ある状況をより よく変えようと努力していかなければなりません。 学校事務新生プランのキーワードは ,「参画と協働」です。 一人一人が,今できることを考え,実践し,学校をよりよくしていく実績を創っていきましょう。 一人ではできなくてもみんなでやればできる協働の姿を創り出しましょう。 学校事務検討会(仮称) 新潟県教育委員会、 新潟県小・中校長会など関係団体 渉外部 総務部 理事会 【信頼される新事研活動】 ・新事研を運営する。 ・運営部間の連携を図る。 ・支部間の連携を図る。 【学校事務職員同士の情報共有(収集と発信): 主に県外との連携(全事研)】 ・全事研新潟支部事務局として、全事研からの情報提供や 他県の活動状況、研究会情報を発信 ・関係機関との懇談会開催や情報誌によるPR ・関係機関に会員の声を届ける。 【学校事務及び学校事務職員制度の課題解決に向けた 外部との連携】 ・支部、運営部の要望により関係機関や全事研などとの連 絡 調整 他機関との働 ・関係機関、その他外部への情報発信 きかけを連携 情報統括部 【学校事務職員同士の情報共有(収集と発信): 情報の収集と 発信を連携 主に県内会員相互Web など】 ・新事研Webサイトの充実 サイトマップの作成により新事研活動をタイムリーに発信 一方的な情報提供ではなく、支部間交流、会員の実践や 声を掲載するという双方向での交流の場としての活用 (支部サイト、情報box、覚え書き、人材バンクなど) ・オンラインネットワーク Eメールでの情報伝達内容の充実 各種調査での利用 e-office ・情報研修の充実 セミナーの実施など 【研修】 ・ソフトの活用及び促進 ・HPを利用した学校事務処理内容を 作 成、セキュリティ、LAN、電子決済 【研究】 ・インターネット等規程 ・IT推進に伴う新しい学校事務の考察 (ペーパーレス化を含む) 新しい学校事務、学校事務職員 像を見いだしていく。 学校事務の手引き 作成委員会 新事研全体に、考え方や情報を 発信していく役割を担っている。 各校、各支部での改善の 事実を明らかにする。 実践による課題発見、解決 実践力が身につく研修 実践情報の収集、共有 標準化推進部 プランニング部 【学校事務職員同士による情報の共有の仕組みを検討】 【学校事務、学校事務職員制度の未来を検討】 ・共同実施の研究、検討 情報収集とパターン図の作成、情報交換会による共同 実施実践校への支援、共同実施の実践情報を発信 ・運営部評価 運営部の活動評価を検討 ・新事研活動の基本方向案の検討 研究基本要領の改訂 【学校事務職員同士の情報共有(収集と発信): 主に学校事務の標準化のための情報発信】 ・新事研たより「標準化推進部コーナー」の担当 個人、市町村、支部が蓄積している情報の収集と提供 学校事務の手引き作成委員会との連携 【分掌事務通知の定着】 研究研修企画部 ・具体的事例の提示 【学校事務職員同士の情報共有(収集と発信): ・評価項目の提示 主に県内会員相互(研修)】 ・事務部経営案作成のすすめ 【学校事務職員の資質向上】 ・実態調査の継続 【支部、郡市町村の研修支援】 ・他機関などへの働きかけの提案 【学校管理規則(案)の提案】 実践力が身に ・研修プログラムの見直し ・他県などからの資料を収集、理論の研修 つく研修の在 ・研修マニュアルの見直し り方を連携 ・分掌事務通知、職指定との関連を検討 ・研修会の内容充実 ・処務規程の検討 新採用、臨時職員研修会 ・職指定の推進 講座研修会 【学校運営組織図(案)の提案】 アクションプログラムに沿った研究研修大会での年層別 ・学校運営組織図の検討、提案 学校事務の手引き 研修会 ・校務分掌規程の検討 作成委員会 研究研修大会分科会 ・協働の具体例の検討、提案 ・大会運営マニュアルの発行 【学校事務処理の標準化】 ・研修の長期計画(案)の見直し ・情報管理とOA化の推進(e-officeの提案) (H15に第1次案を提案) ・情報統括部との連携 ・新事研主催研修会、研究研修大会運営に関する調査と 分析 情報研修の充実支援のための連携 よりよい学校教育の推進 新事研テーマ 「語ろう 創ろう 新しい学校事務を!」 学校事務組織の確立 社会的地位の向上 学校事務の標準化 ・分掌事務通知 ・学校運営組織表 ・学校管理規則・職指定 ・処務規程 ・マニュアル化 など 特色ある学校づくりを 推進する学校事務 誠意 創意 熱意 総意 学校事務観の 確立と共通理解 組織的自主研修の確立 2003.5.14 新潟県公立小・中・養護学校事務職員研究会 新たなる実践へ 新たな気づき 外部との連携 ・学校事務懇談会 ・他団体との懇談会 ・学校事務職員以外へのPR 広報誌 など 学校への環流 支 部 市町村 実践(改善) ネットワークの充実 ョ ア 向学 ク 上校各 シ さ 事学 せ務校 ン る職で プ 具員は ロ 体一実 グ 的人践 ラ な 一的 ム手人活 が段の動 あ と実を り し 践行 ま て力い す を 。 情報の収集、提供、サポート体制、 実践情報の共有 研究団体を場に した実践の交流 (ネットワーク、 研修) アクションプログラム 就学保障に関すること 〔H18∼H19〕 情報に関すること 〔H16∼H17〕 財務に関すること 〔H13∼H15〕 具体的な研修 任命権者による制度研修、支部、 市町村単位の自主研修、自己研修 など 学校(現場) における課題 、 一つの気づきから様々な形の実践が始まる。 一つの実践からは、次々と新たな気づきが 生まれ、振り返りながら次の実践へと続く。 実践が重なり改善へと循環することで、 学校運営への参画が深まっていく。 私たちが描く未来像(未来デザイン) 具体的な研修計画とネットワークの充実によって、より身近な新事研活動を展開し、 やる気を持った一人一人の実践を通して、学校をよりよくしていこう。 そして ゆとりが生まれて、地域の人と関わりができる。 このことを通して、よりよい学校教育の推進につないでいこう。 未来のタネ 学校事務職員の思い 「学校運営に参画したい」「もっと研修がしたい」 「やる気はあるけどどのようにしたらいいのだろう?」 「もっといろいろな情報がほしい、資料がほしい」 など 未来のタネ 現在起こっている事実(未来のタネ) から、実現可能な将来を未来像(未 来デザイン)として描き出しました。 勤務校における課題 (勤務校において、解決しなければならない課題) 学校事務職員の制度的な課題 (学校事務職員が学校運営に参画できるために解決 しなければならない課題)
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