(様式11) 論文審査の要旨(課程博士) 生物システム応用科学府長 殿 学位申請者 審査委員 主査 荻野 賢司 ㊞ 副査 中田 宗隆 ㊞ 副査 Wuled Lenggoro ㊞ 副査 富永 洋一 ㊞ 副査 赤井 伸行 ㊞ 物質機能システム学 専修 平成23年度入学 学籍番号 11701102 氏名 TAHERZADEH HOSSEIN 申 請 学 位 博士(工学) Morphology control of microspheres based on polymer blends containing block 論 文 題 目 copolymers (ブロック共重合体を含んだポリマーブレンドからなる高分子微粒子の形態制御) 論文審査要旨(2,000 字程度 or 500words) 本論文は、光学的、電気的な新たな機能付与を指向し、高分子微粒子の形態制御に関する研究を行い、形 態制御に関する新たな手法を提案している。 1章では、ポリマーブレンド、高分子微粒子の基礎的背景を論じ、また、高分子半導体であるポリトリア リールアミン及びその微粒子に関しての研究を紹介し、本論文の目的、概略について述べている。 2章では、ポリスチレン(PSt)、ポリメタクリ酸メチル(PMMA)やそれらのブレンド物からなる微粒子を溶 媒蒸発法で作成し、その形態を検討している。いずれも真球状でスムースな粒子が得られたが、ブレンド物 に PSt と PMMA からなるブロック共重合体(PSt-b-PMMA)を添加すると、コアシェル状の微粒子が、Janus 型の形態へと変化した。ブロック共重合体の添加により、PSt リッチなドメインと PMMA リッチなドメイン の媒体であるポリビニルアルコール水溶液との界面エネルギーの差が少なくなったことが原因としている。 上記で得られた微粒子をシード(種)として St 及び MMA のシード重合を行った。PSt/PMMA ブレンド粒子 をシードとした場合、MMA をシードの 200 wt%重合することで、突起をもった粒子が生じた。これは PSt リッチ相で起こった重合及び相分離の影響が表面に及んだとしている。同一の粒子を用いて St を重合すると 雪だるま状の粒子が得られた。一方、PSt/PSt-b-PMMA/PMMA の3成分ブレンド粒子をシードとして用いて St を重合すると PMMA リッチなドメインの表面に突起が生じた。PMMA リッチ相での重合により相分離が 誘起されたことが原因としている。 3章ではポリブチルトリフェニルアミン(PBTPA)と PMMA からなる粒子を検討している。PBTPA は正孔 輸送性を有し、高誘電率、高屈折率を示す高分子である。微粒子化には2章と同様に溶媒蒸発法を用いてい る。PBTPA の微粒子化には分子量依存性があり、低分子量体の場合のみ真球上の微粒子を与えた。PBTPA と PMMA の2成分ブレンドでは、低分子量 PBTPA では Janus 型、高分子量体ではダンベル状の形態の微粒 子を与えた。また、PBTPA と PMMA からなるブロック共重合体(PBTPA-b-PMMA)を加えた3成分系ブレン ド粒子では、PMMA リッチ相をコアとして、PBTPA リッチ相をシェルとするコア-シェル型の微粒子を与え た。 4章では、微粒子の集合状態を制御するため、テンプレートとして PSt とポリアクリル酸(PAA)からなるブ ロック共重合体から作製した多孔性フィルムを用い、微粒子とのハイブリッドフィルムを作製した。乾燥状 態の多孔性フィルムでは、分散重合により合成した PSt 微粒子、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DM)で 化学修飾した微粒子ともに細孔内に取り込むことができなかった。カルボキシル基の膜内部への侵入により 濡れ性の欠如したためと考えている。乾燥テンプレートをメタノールに浸漬したところ、微粒子の取り込み が起こり、DM で修飾した粒子が数多く取り込まれることがわかった。テンプレートの作製条件を変更し、 開口径を変化させて同様の実験を行ったところ、細孔に取り込まれる粒子の数が開口径に依存し、開口径が 大きくなると複数の微粒子が取り込まれることがわかった。 5章では本論文の要約及び総括を述べている。 本論文は、ポリマー微粒子の機能化に向けた形態制御に対して新しい方法論を提案しており工学的、工業 的に寄与するものであり博士(工学)の学位論文としての十分な価値があると認めた。
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