間接変換型FPDを用いた散乱線含有率計測による照射野特性の検討

間接変換型FPDを用いた散乱線含
有率計測による照射野特性の検討
1)済生会川口総合病院
放射線技術科
2)駒澤大学大学院
医療健康科学研究科
3)首都大学東京大学院
人間健康科学研究科
○ 森一也1) 菊地優貴2) 瀬尾光広1)
土田拓治1,3) 富田博信1)
公益社団法人日本放射線技術学会
第61回関東部会研究発表大会
COI開示
筆頭演者氏名森一也
所属施設名埼玉県済生会川口総合病院放射線技術科
本演題に関連して，開示すべきCOIはありません．
背景
• 一般撮影領域における散乱線発生の主要因．
⇒被写体厚及び照射野サイズ．
• 照射野形状の違いが，散乱線発生にどの程度
寄与しているのか，理解しておく必要がある．
目的①
正方形照射野と矩形照射野における散
乱線含有率の変化を求め，撮影部位に
適した照射野形状の選択の有用性につ
いて検討を行ったので報告する．
目的②
鉛ディスク法で得られた照射野特性を
基に，頸椎撮影を想定し視覚評価によ
る検討を行った．
使用機器
• X線検出器；カセッテ型FPD（間接変換方式；GOS）
CXDI-60G（Canon）
• X線高電圧発生装置；KXO-80G（TOSHIBA）
• 線量計；RAMTEC1500B 96035B 15 cc（東洋メディック）
• 画像解析ソフト；image J
• PMMA；40 cm × 35 cm（1 cm 厚）
• 鉛ディスク；5 × 5,4 × 4,3 × 3,2 × 2,1 × 1 cm2（各5 mm厚）
• 視覚評価用自作ファントム
方法① ～散乱線含有率測定～
•
散乱線計測法鉛ディスク法
•
焦点－検出器面距離 150 cm
•
管電圧 50～90 kV
•
管電流 250 mA
•
照射時間 0.05 s
•
PMMA厚 5～15 cm
•
鉛ディスク 1×1～5×5 cm2
•
照射野サイズ 25～150 cm2
（矩形照射野は短軸を5 cmで固定）
Pb Disc
PMMA
FPD
結果～PMMA 5cm～
y=0.053x+29.45
y=0.052x+27.49
y=0.053x+25.35
90kV
70kV
50kV
90kV
y=0.124x+27.62
y=0.124x+25.81
y=0.127x+23.5
70kV
50kV
結果～PMMA 10cm～
y=0.078x+35.87
y=0.077x+33.94
y=0.077x+31.84
70kV
50kV
90kV
90kV
y=0.175x+33.25
y=0.173x+31.3
y=0.177x+28.97
70kV
50kV
結果～PMMA 15cm～
y=0.074x+42.56
y=0.073x+40.62
y=0.073x+38.5
50kV
70kV
90kV
y=0.191x+41.02
y=0.189x+39.24
y=0.189x+37.11
90kV
70kV
50kV
小括
• 矩形照射野を用いることにより散乱線の低
減効果が期待できる．
• 照射野1辺のサイズが16 cm以上で散乱線
含有率の上昇が緩やかとなった．
⇒散乱線含有量は照射野面積でなく，照射野
の各辺の長さに依存していると考える．
方法② ～視覚評価～
•
診療放射線技師8名による5段階視覚評価
•
3群 non-parametric test (Kruskal-Wallis test)
•
2群 non-parametric test (Mann-Whitney U test)
•
Post-hoc test
(Mann-Whitney U test，Bonfferoni correction)
※ 視覚評価に用いた自作ファントム画像
方法② ～視覚評価（撮影条件）～
• 焦点－検出器面距離 150 cm
• 焦点サイズ
0.6 mm
• 管電流 250 mA
• 照射時間
0.05 s
• PMMA厚 10 cm
管電圧
Grid
①物理DATA取得条件
70ｋV
－
照射野サイズ（cm2）
10×25，16×16，16×22
②臨床に基づく条件
80ｋV
＋
16×16，16×22
Grid(+) : Grid比 6:1 ，Grid密度 40 cm-1
結果～物理DATA取得条件～
P<0.01
＊
＊
N.S.
N.S. ：Not Significant
＊：P＜0.05
結果～臨床に基づく条件～
N.S.
N.S. ：Not Significant
＊：P＜0.05
考察～物理DATA取得条件～
• 物理測定の結果同様，同一の照射野サイズ
であっても，形状の違いにより診断能に影響
を及ぼす可能性を有する．
• 1辺16 cm以上の照射野であれば，照射野拡
大による画質劣化の影響は小さいと考える．
考察～臨床に基づく条件～
• 臨床に基づく撮影条件においても， 1辺16 cm
以上の照射野であれば，照射野拡大による画
質劣化の影響は小さいと考える．
⇒照射野の拡大では，情報量と被ばく線量
のTrade-offを考慮し，照射野サイズ及び
形状の選択を行うことが重要．
結語
照射野形状の変更及び照射野縮小によ
る散乱線量及び被ばく線量低減と，情報
量低下の双方を考慮し，適切な照射野の
選択を行うことで有用性の高い画像提供
が可能になると考える．

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