小型密閉式スピーカーの製作 2015 年 5 月 23 日 今井 明 1.製作の動機 小口径(8cm)フルレンジにてスケールの大きい音を出すことにチャレンジしました。 2.設計の目標 1)低音の増強について 長岡鉄男が命名の PST(Passive Servo Technology)回路(バッフルステップ補正)を活用 して、中域~高域にかけてレベルを減衰させ、相対的に低域を増強させること。 2)付帯音の低減について スピーカーからの耳障な付帯音を低減させるために、吸音材を十分に使用すること。 3)スピーカーBOX について 密閉型で移動が容易なサイズ(4.5L)とすること。 3.使用ユニットおよび事前準備 1)ユニット:PARC DCU-FO81PP(8cm フルレンジ) 2)エージングの実施 ①アンプ出力:41Hz:2W 、130 時間投入 、停止後 26 時間放置 (エージング前のデータを取得後、エッジとダンパーにポリメイトを塗布しました) ②結果 ・Fo の経時変化 ・Fo は約 20Hz 低下しましたが仕様値 103.4Hz ま で下がりませんでした(左図)。 ・Qts(機械的共振と電気的共振のトータル)、 Qes,Qms については仕様値より低下しました。 ※データ数:N=20 の平均値 ・インピーダンスの変化 黒:エージング前 赤:エージング 130 時間後 4.PST 回路について ・コイルのインダクタンスと並列接続抵抗の値を決めるに当たり、別途システムの音に 近づける様に聴感を頼り調整した結果最終的に以下の様になりました。 4.1mH アンプ 15Ω スピーカー 5.周波数特性(Nearfield) ・SP とマイク距離 10cm の周波数特性を測定しました。黒ラインが最終 F 特性になります。 赤:PST 回路無し 黒:PST 回路あり 6.吸音材の使用状況 BOX 容量は 4・5L とし、全体にフェルトを詰め込んでいます。 ・BOX に耳を接した時の音漏れは少なくなりました。 ・スピーカーコーンを通過する反射音が少なくなり、澄んだ音に なりました。 7.まとめ ・PST 回路は、中高音域レベルを減衰させ、相対的に低域を増強させますがイコライザーの様 に出ない低音を増強するものではない事を再認識しました。 ・200Hz より右肩下がりの F 特性が音にスケール感を与えている様に思います。 以上
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