硫 黄 泉 の 主 役 硫 化 水 素 の 多 彩 な 作 用 - Biglobe

泉質からみた 温泉の
効
12 能
一
方
、
血
清
に
は
約
30
∼
50
mg
/
の
よ
う
な
酸
化
還
元
系
な
、 物
ル
型
硫
酸
塩
で
す
。
よ
う
な
中
性
硫
黄
、
あ
る
い
は
エ
ス
テ
遊
離
の
ア
ミ
ノ
酸
、
グ
ル
タ
チ
オ
ン
の
る
こ
と
は
、
放
射
能
性
同
位
元
素
の
S35
に
生
合
成
さ
れ
組
織
の
グ
リ
コ
ー
ス
ア
ミ
ノ
グ
リ
カ
ン
ま
す
。
硫
黄
を
含
む
ペ
プ
タ
イ
ド
う
ち
、
硫
黄
は
0
・
21
%
含
ま
れ
て
い
私
た
ち
の
か
ら
だ
の
全
構
成
成
分
の
3
g
で
す
が
、
成
人
で
約
1
g
の
硫
黄
ま 骨 と
1 す 、 し
日 。 滑 て
の
液 皮
硫
膜 膚 で
黄
な の 、
の
ど 結 エ
総
の 合 ス
代
組 テ
組 織 ル
謝
織 、 型
量
に 血 の
は
存 管 硫
お
在 、 酸
よ
そ
し 軟 塩
と
た
ん
ぱ
く
は
、
グ
ル
タ
チ
オ
ン
て
、
主
に
た
ん
ぱ
く
に
結
び
つ
い
て
い
80
%
は
無
機
性
の
硫
酸
塩
で
、
残
り
は
ま
す
。
尿
中
に
排
出
さ
れ
る
硫
黄
の
が
排
出
さ
れ
、
そ
の
80
%
が
尿
中
に
出
吸
収
さ
れ
た
硫
黄
の
一
部
が
、
結
合
て
い
ま
す
。
と
こ
ろ
で
作
用
す
る
こ
と
が
証
明
さ
れ
黄
は
、
そ
の
後
も
体
内
の
い
ろ
い
ろ
な
し
た
結
果
、
皮
膚
か
ら
吸
収
さ
れ
た
硫
黄
泉
に
1
回
入
浴
す
る
と
、
数
mg
、
最
膚
内
で
行
わ
れ
ま
す
が
、
詳
細
に
検
討
硫か
黄ら
のだ
役の
目中
で
の
︶
。
た
と
え
ば
、
高
濃
度
の
硫
硫
黄
の
主
な
作
用
は
皮
膚
表
面
や
皮
膚
を
通
過
し
ま
す
︵
よ
り
も
、
1
0
0
倍
以
上
も
容
易
に
皮
硫 収 本
酸 さ ︶ 硫
塩 れ の 黄
や 硫 泉
す 黄 中
い S2- の
の 物 は 2
よ 質 、 価
う で 皮 ︵
な す 膚 結
を 合
化 。
硫
合 黄 通 の
物
2- じ 手
状 S て が
2
態 は
、 吸
sulfate
keratin
H 2S
と
し
て
容
易
に
腸
の
硫
黄
が
含
ま
れ
、
そ
の
46
%
は
無
機
質
、
ホ
ル
モ
ン
︵
イ
ン
ス
リ
ン
ド で
標
識
さ
れ
た
ム
コ
ポ
リ
サ
と ッ
い カ
う ラ
物 イ
Dirnagl &
の
硫
酸
塩
で
、
42
%
は
中
性
硫
黄
で
す
。
飲
泉
で
か
ら
だ
に
入
っ
た
硫
化
硫
黄
ヴ
ァ
ソ
プ
レ
ッ
シ
ン
質
の
尿
中
排
出
量
が
増
加
す
る
こ
と
で
Drexel
は
、
硫
化
水
素
の
構
成
分
ど
︶
の
構
成
成
分
、
皮
膚
に
属
す
る
毛
わ
か
り
ま
す
。
mucoitin
や
爪
の
ケ
ラ
チ
ン
硫
黄
泉
に
1
回
入
浴
し
た
場
合
、
浴
glycosaminoglykane
で
も
あ
り
ま
す
。
cystine
イ で
ン あ 硫
る 黄
シ は
ス 、
チ 原
、 ン 子
メ
群
チ
と
オ
し
ニ
ン 、 て
ア
シ ミ
ス ノ
テ 酸
methio-
H 2S
21―みんかつ 2005 199
に
還
元
し
ま
す
。
4
水
に
浸
か
っ
た
皮
膚
の
部
分
は
も
ち
ろ
pep-
か
ら
吸
収
さ
れ
、
腸
粘
膜
で
硫
黄
元
素
働
き
で
還
元
さ
れ
ま
す
。
ん
、
浸
か
ら
な
か
っ
た
部
分
や
頭
髪
か
tide
を
硫
化
水
素
、
ヒ
ア
ル
ロ
ら
も
、
ま
た
入
浴
し
た
数
週
間
後
で
も
glutathion
cysteine
価
と
6
価
の
硫
黄
は
、
直
腸
の
細
菌
の
酸
、
ム
コ
イ
チ
ン
硫
黄
が
増
量
し
て
い
る
こ
と
が
証
明
さ
mucopolysaccharide
に
存
在
し
ま
す
。
人
体
の
全
硫
黄
れ
て
い
ま
す
︵
表
1
︶
。
insulin
︵
お
よ
そ
50
g
︶
の
3
分
の
1
は
コ
ン
2
価
の
活
性
硫
黄
は
、
皮
膚
と
い
う
vasopressin
ン ド
ロ
イ
チ
ン
chondroitin
大
き
な
活
性
器
官
内
で
強
く
反
応
し
、
hyaluron
か
な
り
長
い
間
に
わ
た
っ
て
生
化
学
的
nine
環
境
を
変
化
さ
せ
ま
す
。
硫1
黄回
はの
長入
く浴
残で
るも
S2で
も
起
こ
り
ま
す
。
吸
入
に
よ
っ
て
取
り
入
れ
ら
れ
る
硫
黄
を
単
に
硫
黄
泉
と
し
ま
す
。
い
か
ぎ
り
、
硫
黄
泉
︵
硫
化
水
素
型
︶
硫
黄
泉
の
説
明
で
は
、
特
に
断
ら
な
す
。
温
泉
入
浴
で
の
反
応
は
、
同
様
に
ぐ
に
3
価
の
硫
黄
S3に
酸
化
さ
れ
ま
に
で
き
た
硫
化
水
素
の
硫
黄
S
は
、
す
透硫
過黄
しは
や皮
す膚
いを
こ
の
よ
う
な
皮
膚
を
通
過
す
る
と
き
さ
れ
る
可
能
性
が
あ
り
ま
す
。
大
で
10
mg
く
ら
い
ま
で
の
硫
黄
が
吸
収
■表1 硫黄泉入浴による皮膚への直接作用
1. 硫黄泉の硫化水素 H 2 Sは、皮膚から硫酸SO 4 イオン
より150 倍もすみやかに吸収され、これは浴水中の濃
度、皮膚表面積、pH、血流などによって異なる。
2. 皮膚を通過すると、2価の硫黄 の大部分は酸化され
る。
北
海
道
大
学
名
誉
教
授
、
医
学
博
士
阿
岸
祐
幸
硫
硫
黄
化
泉
水
の
素
主
の役
多
彩
な
作
用
硫
黄
泉
Ⅱ
3. 吸収された硫黄は、速やかに移動性が低下する。
4. 硫黄泉浴後に硫黄は上皮や毛髪に貯留し、2週間後
でも硫黄が証明される。
みんかつ 2005
199―20
泉質からみた 温泉の
効
12 能
70
∼
75
%
が
、
そ
し
て
3
日
後
に
は
80
れ
た
成
績
は
、
実
は
現
時
点
で
な
い
よ
的
に
こ
の
作
用
メ
カ
ニ
ズ
ム
が
検
討
さ
硫
黄
の
体
内
へ
の
入
り
方
の
い
か
ん
る
こ
と
が
わ
か
り
ま
す
。
は
、
軟
骨
と
骨
組
織
に
特
に
多
く
集
ま
す
。
放
射
能
標
識
S
を
用
い
た
実
験
で
入
浴
の
す
で
に
20
分
後
に
見
ら
れ
ま
細
胞
内
へ
の
硫
黄
の
取
り
込
み
は
、
応
用
し
て
い
る
と
こ
ろ
も
あ
り
ま
す
。
の
で
は
な
い
か
と
期
待
さ
れ
、
実
際
に
療
法
が
補
充
療
法
と
し
て
効
果
が
あ
る
動
器
の
リ
ウ
マ
チ
性
疾
患
に
、
硫
黄
泉
と
こ
ろ
が
、
純
粋
に
科
学
的
・
定
量
い
た
い
10
%
程
度
で
す
。
す
。
糞
便
中
へ
の
硫
黄
の
排
出
は
、
だ
エ
ス
テ
ル
型
硫
酸
塩
や
中
性
の
硫
黄
で
に
遊
離
硫
酸
塩
と
し
て
出
て
、
ほ
か
は
に
排
出
さ
れ
ま
す
。
そ
の
85
%
は
尿
中
︵
図
1
︶
。
細
胞
内
へ
の
取
り
込
み
こ
れ
ら
か
ら
、
関
節
・
筋
肉
な
ど
運
減
少
が
み
ら
れ
ま
す
。
り
し
だ
い
、
大
部
分
が
速
や
か
に
体
外
す
。
ま
た
、
関
節
症
で
は
軟
骨
の
硫
黄
し
て
い
る
硫
黄
欠
乏
が
よ
く
み
ら
れ
ま
血
液
中
の
硫
黄
は
吸
収
過
程
が
終
わ
グ
ル
タ
チ
オ
ン
な
ど
︶
に
な
り
ま
す
毛
髪
や
爪
の
硫
黄
含
有
量
が
特
に
減
少
だ
け
み
ら
れ
ま
す
。
性
硫
黄
は
、
濃
度
が
比
較
的
低
い
間
に
れ
ま
す
。
エ
ス
テ
ル
型
の
硫
酸
塩
と
中
離
硫
酸
塩
の
ほ
か
硫
化
水
素
S
に
分
か
値
に
な
っ
た
後
、
2
∼
12
時
間
後
に
遊
血
液
中
で
硫
黄
の
量
が
最
初
に
最
高
ア
ミ
ノ
酸
︵
シ
ス
チ
ン
、
メ
チ
オ
ニ
ン
、
ル
で
、
中
性
硫
黄
の
多
く
は
含
硫
黄
︱
リ
サ
ッ
カ
ラ
イ
ド
ス
テ
ル
型
硫
酸
塩
の
多
く
は
、
ム
コ
ポ
離
硫
酸
塩
は
最
低
値
に
な
り
ま
す
。
エ
関
節
リ
ウ
マ
チ
の
患
者
さ
ん
で
は
、
●
関
節
リ
ウ
マ
チ
と
硫
黄
代
謝
と
フ
ェ
ノ
ー
ル
酸
エ
ス
テ
mucopolysaccha-
ま
た
、
弾
性
動
脈
壁
、
目
の
角
膜
や
に
か
か
わ
ら
ず
、
約
50
%
は
す
で
に
4
phenol
キ
ョ
ウ
膜
内
、
皮
膚
、
毛
の
う
、
消
化
時
間
後
に
排
出
さ
れ
、
最
初
の
日
内
に
ride
∼
85
%
が
出
て
し
ま
い
ま
す
。
か硫
ら黄
だ泉
への
の
作
用
化
さ
れ
ま
す
。
体
内
で
は
速
や
か
に
6
価
の
硫
黄
に
酸
ま
す
。
2
価
の
硫
黄
は
、
そ
の
後
、
生
入
り
、
大
部
分
が
無
機
硫
酸
塩
と
な
り
お
よ
そ
1
・
5
mg
の
硫
黄
が
吸
収
さ
れ
素
型
︶
に
全
身
温
浴
を
30
分
間
す
る
と
、
水
素
を
含
ん
で
い
る
硫
黄
泉
︵
硫
化
水
た
と
え
ば
、
1
kg
中
に
50
mg
の
硫
化
エ
ス
テ
ル
型
硫
酸
塩
で
、
同
時
に
、
遊
ク
を
示
し
ま
す
。
こ
れ
は
中
性
硫
黄
と
総
硫
黄
量
の
カ
ー
ブ
は
2
回
目
の
ピ
ー
浴
後
の
約
30
時
間
後
に
は
、
血
液
内
黄
の
い
ろ
い
ろ
な
化
合
物
と
し
て
見
出
り
、
そ
の
後
、
波
状
に
変
化
し
て
、
硫
に
総
硫
黄
濃
度
が
1
つ
の
ピ
ー
ク
を
作
す
。
そ
し
て
浴
後
の
最
初
の
3
時
間
内
せ
ず
に
残
り
ま
す
。
に
な
り
、
し
か
も
か
な
り
長
い
間
減
少
軟
骨
で
は
放
射
能
は
24
時
間
後
に
最
高
管
の
粘
膜
な
ど
で
も
見
出
さ
れ
ま
す
。
吸
収
さ
れ
た
硫
黄
は
ま
ず
血
液
中
に
硫血
黄液
のの
動中
きで
の
単
に
0
・
7
%
で
す
。
塩 水
︱ の
S pH
の に
吸 よ
収 っ
は て
、 変
硫 わ
化 り
水 ま
素 す
︱ 。
S 硫
の 酸
度
、
皮
膚
表
面
積
の
広
さ
、
皮
膚
と
浴
行
し
て
い
る
こ
と
が
証
明
さ
れ
て
い
ま
分
後
に
は
す
で
に
静
脈
血
液
の
中
に
移
浴
水
か
ら
吸
収
さ
れ
た
硫
黄
は
、
15
上
皮
層
と
毛
髪
に
沈
着
し
ま
す
。
れ
て
代
謝
さ
れ
る
の
で
す
︵
図
1
︶
。
さ
ま
ざ
ま
な
生
化
学
反
応
が
繰
り
返
さ
収
過
程
で
な
く
、
吸
収
さ
れ
た
硫
黄
は
硫
化
水
素
の
吸
収
は
、
浴
水
中
の
濃
分
は
、
そ
の
後
に
酸
化
産
物
に
な
り
、
す
な
わ
ち
、
そ
れ
か
ら
は
単
な
る
吸
さ
れ
て
い
ま
す
。
ま
す
。
吸
収
さ
れ
た
硫
化
水
素
の
大
部
さ
れ
ま
す
。
能
で
標
識
し
た
硫
黄
で
の
検
討
で
確
認
硫
黄
の
経
皮
吸
収
に
つ
い
て
は
、
放
射
水
素
に
還
元
さ
れ
、
吸
収
さ
れ
ま
す
。
硫
黄
元
素
は
皮
膚
の
有
機
物
で
硫
化
視
で
き
ま
せ
ん
。
ま
す
。
ま
た
、
吸
入
に
よ
る
作
用
も
無
は
比
較
的
容
易
に
皮
膚
か
ら
吸
収
さ
れ
硫皮
黄膚
はで
血吸
液収
にさ
入れ
るた
硫
黄
泉
に
入
浴
す
る
と
、
硫
化
水
素
■図1 硫黄泉(硫化水素型)を含んだ鉱泥に1回
部分浴(前腕を45℃の浴温で1時間浸ける)を
した後の、血中硫黄の時間的経過
(A)血液中の総硫黄量
6000
5000
4000
3000
2000
1000
n=8
0
0
10
20
30
40
50
(B)総硫黄量に対するエステル型硫酸塩(○)と
遊離硫酸塩(●)の比率変動
60
遊離S
エステル型S
50
40
30
20
10
n=8
0
0
23―みんかつ 2005 199
10
20
30
40
入浴開始からの時間(時)
S(硫黄) (平均値±標準誤差)
みんかつ 2005
50
199―22
泉質からみた 温泉の
効
12 能
こ
の
硫
黄
の
ラ
ン
ゲ
ル
ハ
ン
ス
細
胞
す
る
た
め
で
す
。
ー
ゼ
と
い
う
酵
素
の
活
性
を
強
く
抑
制
免
疫
学
的
な
検
討
で
は
、
硫
黄
泉
入
し
ま
す
が
、
こ
れ
は
、
そ
の
A
T
P
ア
大
き
な
影
響
を
与
え
る
疫
的
に
競
合
す
る
細
胞
の
機
能
を
阻
害
●
硫
黄
泉
は
皮
膚
免
疫
反
応
に
し
、
そ
の
透
過
性
が
低
下
し
ま
す
。
あ
る
細
胞
で
す
。
硫
化
水
素
来
し
、
抗
原
提
示
に
生
理
学
︱ 的
S 意
は 義
免 が
胞
で
、
骨
髄
性
マ
ク
ロ
フ
ァ
ー
ジ
に
由
下
す
る
こ
と
で
結
合
組
織
の
粘
度
が
増
わ
れ
る
樹
枝
状
に
枝
を
出
し
て
い
る
細
た
ヒ
ア
ル
ウ
ロ
ニ
ダ
ー
ゼ
活
性
値
が
低
こ
の
細
胞
は
、
上
皮
星
状
細
胞
と
い
こ
の
リ
ウ
マ
チ
患
者
で
高
ま
っ
て
い
か
っ
て
い
ま
す
。
正
常
化
し
ま
す
。
す
る
現
象
︶
を
変
化
さ
せ
る
こ
と
が
わ
時
に
上
昇
し
て
い
た
銅
の
血
清
濃
度
が
遊
走
因
子
︱
の
濃
度
に
応
じ
て
移
動
り
約
30
%
低
下
し
ま
す
。
そ
の
際
、
同
胞
・
食
細
胞
が
媒
質
中
の
化
学
物
質
︱
活
性
は
療
養
前
値
よ
球
・
マ
ク
ロ
フ
ァ
ー
ジ
な
ど
の
遊
離
細
者
の
血
清
中
の
ヒ
ア
ル
ウ
ロ
ニ
ダ
ー
ゼ
疫
学
や
血
液
学
の
分
野
で
顆
粒
球
や
単
硫
黄
泉
浴
療
法
後
に
、
リ
ウ
マ
チ
患
タ
キ
シ
ス
︵
遊
走
能
免
関
係
し
ま
す
。
在
す
る
ラ
ン
ゲ
ル
ハ
ン
ス
細
胞
の
キ
モ
(%)
40
(A)
80
(B)
30
60
20
40
10
20
0
0
1
5
10
20
30
50
100
H2S
硫黄泉(硫化水素型)に入浴した場合の、皮膚上皮
ランゲルハンス細胞の酵素活性と、浴水中硫化水素
H 2S濃度との関係。濃度が高いほど酵素活性が強く
抑制される。
25―みんかつ 2005 199
1h
3h
5h
1d
2d
4d
6d
入浴後の時間 h(時間)d(日)
の
代
謝
調
節
に
イ
チ
ン
硫
酸
塩
の
代
謝
に
硫
黄
が
強
く
■図2 硫黄泉と皮膚上皮ランゲルハンス細胞活性 (%)
100
し
か
し
、
こ
れ
ら
の
効
果
が
硫
黄
欠
mesenchymal tissue
機
能
を
抑
制
す
る
反
応
は
、
1
回
の
硫
細
胞
の
活
動
を
濃
度
依
浴
で
、
上
皮
の
ラ
ン
ゲ
ル
ハ
ン
ス
:
黄
泉
入
浴
後
、
1
週
間
以
上
は
続
き
ま
存
性
に
抑
制
す
る
こ
と
が
明
ら
か
に
な
chemotaxis
す
︵
図
2
︶
。
り
ま
し
た
。
hyaluronidase
教
授
ら
の
精
力
的
な
研
究
で
、
ミ
ュ
ン
ヘ
ン
大
学
の
プ
ラ
ッ
ツ
ェ
ル
Langerhans
た
と
え
ば
、
硫
化
水
素
が
40
mg
/
Pratzel
硫
化
水
素
の
硫
黄
は
、
皮
膚
上
皮
に
存
8d
硫黄泉(硫化水素型、50mg H2S/ )に入浴した後の、
ランゲルハンス細胞活性抑制効果の時間的変動。入
浴後4日目までは強く抑制され、8日後でも約40%
の抑制がみられる。
と
い
う
成
績
が
あ
り
ま
す
。
ム
の
一
つ
と
し
て
、
特
に
間
葉
組
織
系
合
組
織
の
基
材
物
質
で
あ
る
コ
ン
ド
ロ
液
中
の
グ
ル
タ
チ
オ
ン
量
が
増
加
し
た
に
良
い
効
果
を
与
え
る
作
用
メ
カ
ニ
ズ
こ
れ
に
関
連
し
て
、
関
節
軟
骨
と
結
硫
黄
泉
入
浴
と
飲
泉
と
の
両
方
で
、
血
リ
ウ
マ
チ
で
み
ら
れ
る
硫
黄
代
謝
障
害
ま
と
め
た
も
の
で
す
。
に
減
少
し
、
ち
っ
素
代
謝
と
の
関
連
で
、
硫
黄
泉
に
よ
る
温
泉
療
法
が
、
慢
性
組
織
、
筋
や
造
血
組
織
な
ど
の
こ
と
を
療
法
の
経
過
中
に
硫
黄
の
排
出
が
著
明
た
と
え
ば
、
リ
ウ
マ
チ
患
者
で
長
期
報
告
さ
れ
て
い
ま
す
。
体
内
バ
ラ
ン
ス
が
改
善
さ
れ
た
こ
と
が
の
入
浴
や
飲
泉
療
法
で
硫
黄
の
代
謝
や
う
で
す
。
た
だ
し
、
経
験
的
に
硫
黄
泉
■表2 硫黄泉浴による2次的作用
1. 毛細血管が強く拡張し、バソモーションvasomotion
(微小血管が自動的に収縮拡張するリズム性運動)が
促進するため、浴水に浸かった皮膚が紅潮する。
2. 皮膚の冷受容体が麻痺し、温受容体が刺激され、結
果として温感が得られる。
3. 20∼30mgの硫黄で、痛覚受容体の活動性が低下する。
4. 血圧降下作用がある。
作
用
メ
カ
ニ
ズ
ム
︵
表
2
・
3
︶
派
生
す
る
軟
骨
や
骨
な
ど
の
生
体
支
持
●
硫
黄
泉
療
法
の
か
で
は
あ
り
ま
せ
ん
。
が
増
加
し
た
た
め
か
ど
う
か
は
、
明
ら
乏
で
、
そ
の
調
整
作
用
と
し
て
生
合
成
5. 皮膚の酵素反応に影響を与えたり、誘導する。
6. 抗菌作用、抗寄生虫作用がある。
7. 角質層融解作用。
8. 皮膚上皮のランゲルハンス細胞の遊走能に影響を与
える。
9. 関節軟骨の硫黄S の構成要素となる。
10.抗アレルギー作用がある。
を
満
た
す
結
合
組
織
と
か
、
そ
れ
か
ら
組
織
や
器
官
を
作
る
実
質
細
胞
の
隙
間
間
葉
組
織
と
は
、
胎
生
時
代
か
ら
の
化
す
る
と
い
う
説
が
あ
り
ま
す
。
強
く
影
響
を
与
え
、
生
体
機
能
を
正
常
11.免疫系に影響を与える。
■表3 従来から認められてきた
硫黄泉浴による生物学的効果(Hillebrandによる)
1. 間葉性反応を調整する。
2.ヒアルウロニダーゼ活性を抑制する。
3.血漿ヒスタミン値を下げる。
4.アデニール酸のような循環系に効く物質を遊離する。
5.病的に上昇した皮膚のグルコース値を下げる。
6.免疫反応に影響を与える。
みんかつ 2005
199―24
泉質からみた 温泉の
効
12 能
■図4 皮膚血流量は炭酸ガス(CO2)と
硫化水素(H2S)の濃度によって
変化する(レーザードップラー法で測定、Schnizel)
(電位)
1.4
1.2
0.8
0.6
CO2
0.4
32℃
0
22℃
CO2
10
20
30
40
50
0
800
1,600
2,400
3,200
4,000
痺
を
起
こ
し
、
青
酸
中
毒
の
場
合
の
よ
1
5
0
mg
/
の
濃
度
で
は
、
呼
吸
麻
分
も
吸
う
と
、
死
ん
で
し
ま
い
ま
す
。
て
、
ド
イ
ツ
で
は
硫
黄
泉
浴
の
適
応
症
ツ
の
温
泉
学
者
た
ち
は
主
張
し
て
い
質
的
な
変
化
を
起
こ
さ
な
い
と
、
ド
イ
と
異
な
り
、
全
身
の
循
環
動
態
に
は
本
流
増
加
は
、
二
酸
化
炭
素
泉
浴
の
場
合
硫
黄
泉
入
浴
で
み
ら
れ
る
皮
膚
の
血
で
観
察
し
て
い
ま
す
。
そ
の
際
、
血
管
ら
れ
ま
す
。
部
の
拡
張
と
延
長
が
あ
り
、
さ
ら
に
予
管
顕
微
鏡
で
観
察
す
る
と
、
小
動
脈
脚
り れ 膜 25 ぐ 15
硫 ま る を mg に mg ヒ
化 す と 刺 / 呼 / ト
水 。 、 激
が
吸
素
吐 し の 機 の 、
濃
き 、 濃 能 空 硫
度
気 比 度 が 気 化
75
や 較 で 興 を 水
mg
頭 的 、 奮 吸 素
/
痛 長 結 し 入 濃
や い 膜 ま す 度
不 間 や す る が
を
穏 さ 気 。 と お
15
に ら 道 20 、 よ
∼
な さ 粘 ∼ す そ
30
備
毛
細
血
管
が
強
く
広
が
る
現
象
が
み
死
を
招
く
●
高
濃
度
の
硫
化
水
素
の
吸
入
は
を
、
エ
ル
ド
ゥ
ル
で
、
強
い
血
管
拡
張
作
用
が
あ
る
こ
と
硫
化
水
素
は
末
梢
の
微
小
循
環
領
域
的
に
収
縮
・
拡
張
運
動
す
る
現
象
の
こ
に
6
∼
20
回
の
周
期
の
リ
ズ
ム
で
自
律
ン
と
は
、
末
梢
の
微
小
血
管
が
1
分
間
す 管 硫
。 拡 化
張 水
作 素
用 型
が 硫
失 黄
泉
わ が
れ も
て つ
し 強
ま 力
い な
ま 血
酸
化
し
て
し
ま
い
ま
す
。
し
た
が
っ
て
、
水
素
は
ほ
と
ん
ど
完
全
に
硫
酸
塩
ー
・
ド
ッ
プ
ラ
ー
ら
が
レ
ー
法 ザ
皮
膚
の
充
血
で
起
こ
る
紅
潮
を
毛
細
と
を
い
い
ま
す
。
血
管
拡
張
作
用
が
強
い
●
硫
黄
泉
︵
硫
化
水
素
型
︶
は
増
加
が
み
ら
れ
ま
す
。
バ
ソ
モ
ー
シ
ョ
の
振
幅
が
増
加
し
、
血
流
量
の
の 酸
塩 素
素 に
触
を れ
加 た
え り
た 、
り あ
す る
る い
と は
、 殺
硫 菌
に 化 剤
浴
温
で
も
、
濃
度
が
6
∼
10
mg
/
わ
ち
、
不
感
温
度
や
そ
れ
よ
り
低
め
で の
化
学
的
刺
激
作
用
が
あ
り
ま
す
。
す
な
︶
が
起
こ
り
ま
す
皮
膚
の
紅
潮
︵
硫
黄
泉
浴
紅
斑
が
知
ら
れ
て
い
ま
す
。
硫
黄
泉
入
浴
の
ン が は
、 、 、
ア 局
セ 所
チ 的
ー に
ル 産
コ 生
、 リ 、
ペ ン 遊
プ 、 離
ト ヒ さ
ン ス れ
な タ ま
ど ミ す
充
血
を
起
こ
す
血
管
作
動
性
物
質
が
低
下
し
ま
す
。
こ
れ
は
ガ
ス
状
の
硫
て
感
受
さ
れ
、
紅
潮
と
と
も
に
温
感
を
化
水
素
の
作
用
で
も
起
こ
り
ま
す
。
H-substance
う
に
即
死
し
ま
す
。
︵
次
号
に
続
く
︶
な
く
な
る
に
高
血
圧
症
は
あ
り
ま
せ
ん
。
が
拡
張
し
始
め
る
最
小
有
効
濃
度
は
、
motion
硫
黄
泉
の
硫
化
水
素
は
、
空
気
中
の
●
塩
素
を
加
え
る
と
効
果
が
vaso-
0
素 お
よ
そ
︵ 4
お ∼
よ 10
そ mg
4 /
0
0 で
mg 、
/ 二
酸
︶ 化
よ 炭
Erdl
H2S
0.2
り
も
数
十
倍
は
強
力
で
す
︵
図
4
︶
。
Laser-Doppler
そ
し
て
、
バ
ソ
モ
ー
シ
ョ
ン
CO2
1.0
Schwefelerythem
H2S
の
ほ
か
、
冷
・
痛
・
痒
な
ど
の
感
受
性
強
く
感
じ
さ
せ
ま
す
。
温
感
の
高
ま
り
硫
黄
泉
浴
で
は
、
特
徴
的
な
局
所
的
温
度
感
覚
が
変
わ
る
●
皮
膚
が
紅
潮
し
、
作硫
用黄
泉
の
循
環
系
へ
の
が
あ
る
よ
う
で
す
。
用
す
る
化
学
物
質
の
種
類
に
よ
っ
て
差
痛
み
や
痒
み
な
ど
の
皮
膚
感
覚
が
誤
っ
す 増 後
硫 。 加 に
黄
す 、
泉
る 末
入
こ 梢
浴
と 血
で
も 中
は
の
観 ア
、
察 デ
ピ
さ ニ
リ
れ ー
ピ
て ル
リ
い 酸
し
た
ま が
炭
素
泉
の
場
合
で
は
、
血
管
運
動
に
作
て
起
こ
り
ま
す
が
、
硫
黄
泉
と
二
酸
化
皮
膚
で
の
局
所
的
な
化
学
反
応
に
よ
っ
温
泉
浴
で
の
皮
膚
充
血
の
現
象
は
、
鮮
明
で
は
あ
り
ま
せ
ん
。
る
と
い
う
わ
け
で
す
。
り
、
抗
ア
レ
ル
ギ
ー
効
果
が
期
待
さ
れ
は
炎
症
反
応
を
直
接
的
に
抑
制
し
た
で
す
が
、
二
酸
化
炭
素
泉
の
場
合
ほ
ど
性
紅
潮
に
よ
る
境
界
線
は
比
較
的
明
確
比
べ
て
、
浴
水
位
付
近
に
で
き
る
充
血
に
よ
り
、
皮
膚
を
通
じ
て
入
っ
た
硫
黄
同
温
度
の
常
水
で
の
入
浴
の
場
合
に
こ
の
抑
制
反
応
と
抗
活
性
酸
素
作
用
は
さ
ら
に
強
く
な
り
ま
す
。
役
割
を
示
す
こ
と
に
な
り
ま
す
。
細
胞
性
免
疫
応
答
の
調
節
に
決
定
的
な
胞
の
活
性
が
お
よ
そ
50
%
抑
制
さ
れ
、
回
入
浴
す
る
と
、
ラ
ン
ゲ
ル
ハ
ン
ス
細
機
械
的
な
皮
膚
刺
激
が
あ
れ
ば
、
紅
潮
の
温
度
や
、
衣
服
に
よ
る
圧
迫
な
ど
の
か
ら
数
時
間
に
な
り
ま
す
。
少
し
高
め
︵
図
こ 3
の
。
時 ︶
間
は
個
別
に
異
な
り
、
数
分
の
濃
度
で
含
ま
れ
て
い
る
硫
黄
泉
に
1
■図3 硫黄泉(硫化水素型)入浴によって皮膚紅斑が
出始める硫化水素H
2Sの濃度と浴水温との関係
℃
39
38
37
紅斑
36
35
34
33
32
0
1
2
3
4
5
硫黄
6
7
8
9
10mg
たとえば、浴水温が37℃のときでは、浴水中の硫化水素H2S濃
度が3mg/ で紅斑が出始める。
27―みんかつ 2005 199
みんかつ 2005
199―26