頚椎 instrumentation 手術

頚椎 instrumentation 手術
腫瘍・外傷・変性などに起因する頚椎不安定性に対し、頚椎 instrumentation を用いた固定術を適応するこ
とが多くあります。頚椎instrumentation手術は、強力な初期固定性により、患者さんのADL早期拡大や神経症
状改善などに非常に有用である一方、不適切な設置による神経血管損傷などの特異的な合併症を生じる可能性が
あります。そこで当科では、頚椎instrumentation手術の安全性向上のための研究や、新たな頚椎
instrumentation手術法の開発に取り組んでいます。
(1)CTを用いたHigh-riding vertebral arteryの検討
第2頚椎(軸椎)椎弓根スクリュー法は強固な固定性を有し、比較的頻用されるが、一方で軸椎の骨
内外での椎骨動脈走行異常は珍しくないことが知られており、スクリュー刺入に伴う椎骨動脈損傷には
注意が必要です。とくに軸椎骨内で椎骨動脈が内上方に変位するものは “high-riding vertebral artery
(HRVA)” と呼ばれスクリュー刺入不能の原因となります。しかし軸椎椎弓根スクリュー刺入における
HRVAの定義は曖昧です。そこで当科では造影CT画像から軸椎椎弓根スクリュー刺入部の再構築画像を
作成し、あらたにHRVAの正確な定義付けを試みています。
(2)新たな頚椎内固定スクリュー刺入法の開発
頚椎内固定スクリュー刺入法には椎弓根スクリュー・外側塊スクリュー・経椎間関節スクリュー・椎
弓内スクリューなどの方法があり、いずれも長所・短所があります。術式や患者さんごとの頚椎の形
状・神経血管の位置関係等によりこれらの方法を使い分けます。当科では、比較的刺入が容易で固定性
も良い新たな頚椎内固定スクリュー法の開発に、基礎(屍体頚椎を用いた検討)・臨床(CT画像によ
る解析)の両面から着手しています。