第8回講義

2015.06.08
表面物理8
福谷 克之(生産研)
1.表面超周期構造の相転移
2.表面に閉じこめポテンシャルがあるとき
鏡像力表面状態
表面蓄積層の局在電子状態
3.表面ポテンシャル変化に起因する表面準位
タム状態(閉じ込めとホッピングの競合)
4.表面バンドのナローイング
表面内殻準位シフト
傾いた2量体間の相互作用
+
-
-
列内は
互い違い
+
列間も
互い違い
列内: 2層目の変位,電気双極子
相転移近傍のふるまい
低温ではそろっ
た方が安定
高温では
無秩序
F  E  TS
Phys. Rev. B 49, 14774 (1994)
ランダムな場の影響
次元:d
システムの大きさ:L
ランダム磁場:h
スピン間相互作用:J
Phys. Rev. Lett. 53, 1747 (1984);
Phys. Rev. Lett. 59, 1829 (1987);
ランダムな場と次元性
境界のエネルギー
ゼーマンエネルギー
d  2:
JLd 1  hLd 2  0
d  2:
JLd 1  hLd 2  0
Si(001)表面 1次元的構造
 (k )   h   0  21 cos kd

Rn  nd
|h1n>
|h4n>
半導体的


金属的な表面があったら?
電荷密度波(CDW)
1次元自由電子様バンド
波数q=2kFの周期ポテンシャルが加わると
k=kFに
1次元系ではq=2kFで
電子系のエネルギー
応答関数が発散
D=次元
x
q
2k F
Si(111)ーIn
140 K:
LEED
80 K:
フェルミ面
STM
CDW転移
PRL 82, 4898; PRB 89, 12110.
Cu(001)ーIn
・低温で超周期
・電子回折:局所構造は
秩序ー無秩序相転移?
PRB 67, 241401(R).
Cu(001)ーIn
電子状態変化
2 2  2 2 に対応する波数で
ギャップが開く
電子的な
PRB 67, 241401(R).
鏡像力によるポテンシャル
表面
e-
表面からzの位置の電子に
働く力とポテンシャル
0
e2
V ( z)  
4z

0
( z  0)
z
V (z )
( z  0)
鏡像準位
 

 (r )  exp(ik||  r|| ) ( z )
全エネルギー E  E 
とすると
水素原子(角運動量=0)の
動径方向の方程式と等しい
エネルギー固有値:
0
 2 k||
2m
V (z )
2
実際のポテンシャル
V ( z)  
2
e
4( z  z 0 )
0
( zim  z )
 C ( z  zim )
(0  z  zim )
 V0
( z  0)
エネルギー固有値:
エネルギーダイヤグラム
 V0
V (z )
固体の表面では
結合の切断
(相手を失う)
ダングリングボンド
バンドギャップ中の準位
→ 表面準位
ギャップ中に
取り残される
半導体表面:バンドの曲がりと空間電荷層
n型半導体
ED:ドナー準位
バルクと表面
フェルミ面のずれ
E
表面準位
ED
Ec
Ef
Ev
z
空間電荷層による
金属(自由電子密度:大)
半導体(自由電子密度:小)
半導体表面:バンドの曲がりと空間電荷層
ドナー準位→表面準位
電位の変化
 (z )
 ( z)
d 2 ( z )


 0
dz 2
(ポアソン方程式)
イオン化した
ドナー数
電場
d 2 ( z )
eN
 ( z)

 D
2
dz
 0
 0
d ( z )

dz
eN
 ( z )  b  D ( z  d ) 2
2 0
E( z)  
電位
n型の場合
p型の場合
金属-半導体界面:ショットキー障壁
The Schottky-Mott theory
m :
金属の仕事関数
s :
半導体の電子親和力
表面(界面)準位の存在
実際はφmを変えても
φbはあまり変化しない.
++
++
+
Eg
半導体表面:蓄積層と表面局在状態
表面準位 E
ED
Ec
Ef
Ev
z
表面準位の位置が
高い場合
イオン性結晶表面:SrTiO3(001)表面
E
Ti→Ti4+
伝導帯(Ti3d)
空
Ec
O→O2-
Ev
価電子帯(O2p)
充填
Ef
z
*表面の酸素を一部取り去る: 酸素欠損形成
表面のTiがTi+3に変化=伝導体に電子ドープ
SrTiO3(001)表面での酸素欠陥形成
2 .0
2 .0 0
Intensity (arb.u.)
1 .9 5
1 .5
1 .9 0
).
.u
(a
yti 1 .0
s
n
e
t
n
I
1 .8 5
1 .8 0
3 .4
3 .3
3 .2
a n n e a le d
5 . 0 x1 0
16
17
2 . 5 x1 0
17
5 . 0 x1 0
0 .5
18
2 . 5 x1 0
18
4 . 0 x1 0
5 . 0 x1 0
0 .0
4
3
18
2
1
0
-1
B ind ing E n e rgy (eV )
ギャップ内準位
価電子帯上端
K. Takeyasu et al., JPCM 25, 162202 (2013).
酸素欠陥形成
E
Ec
Ef
Ev
z
2D electron gas formation
Cleaved SrTiO3
A.F. Santander-Syro et al., Nature 469, 189 (2011).
表面準位:Tamm state
表面
表面では
が変化
1次元の強束縛モデル
 '

0
1
2
3
0
1
2
3
'



 0
   Cn n
(1)
n
H  Cn n  E  Cm m
n

m
1
(2)
 n
(3)
 Cn 1  Cn  Cn 1  ECn
(3)式を考察
Cn  Cu n
(n  2)
とおくと
u 2  2 Au  1  0
A  1 なら uは実数解を持たない
A  cos 
u  e  i
となり
とおくと
(1)(2)式を考察
( f  2 A)C0 

とおくと
'
C1  0

'
C0  2 AC1  C2  0

 C1  2 AC2  uC2  0
f から A (つまりエネルギー)を決める方程式
f によって |A| ≤1 または |A| >1
ならば 波動関数はバルクに広がった状態
表面局在状態
|A| >1
波動関数は
f (
Ⅰ A >1
u  A  A2  1
'
f  2 A  ( ) 2 ( A  A 2  1 )
 '
)

2

(
Ⅱ A < -1
u  A  A2  1
'
f  2 A  ( ) 2 ( A  A 2  1 )

[A] (
'
) 1

0
' 2
)

2
ー2
エネルギー準位の考察
f >1または f <ー1 のとき |A| >1

[B]    '
のとき |A| >1
[C]
 ' 0
f  2 :  '    2
f  2 :  '    2 
'
2

2
 '
表面準位: Tamm state
Cu(001)
投影バンドギャップ中:
Phys. Rev. B20, 3059
表面バンドのナローイング
表面では
局在準位ができない場合でも
一般に
グリーン関数
G ( z )  ( z  H ) 1
|n>, En :
Hの
(完全系)
i 原子の軌道|i>
i   Ci ( n ) n
と展開
n
Gii ( z )  i G ( z ) i
局所状態密度
i 原子の電子密度
1
ni ( E )   limIm Gii ( E  i )

 0
2


Ci ( n )
  limIm 

  0 
(
E
E
)
i



n

n
2
 Ci ( n )
1
  lim
 0 ( E  E ) 2   2
n 
n
1
モーメント展開
G ( z )  ( z  H ) 1

Gii ( z )  
i Hp i
p 0
z p 1
1次のモーメント
1  i H i  E0i
2次のモーメント
2   i H j j H i
j:nearest
neighbor
 2  ( 1 ) 2
e.g. 面心立方格子
バルク:
表面 :
高次のモーメント
→ 状態密度をより正確に記述
Phys. Rev. B 20, 2280 (1979)
Surface core-level shift