第4回 応用物理学科セミナー 日時: 7月24日(木) 16:10 – 17:40 場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室 Speaker:渡部昌平氏 Affiliation:東京理科大学理学部第一部応用物理学科助教 Title:Bose-Einstein凝縮体のGreen関数論 ~Nepomnyashchii-Nepomnyashchii恒等式を中心に~ Abstract: Bose-Einstein凝縮体が持つ性質を、Green関数論における近似理論によってい かに再現するかという試みについて、我々の研究成果[1,2]を紹介したい。特に、BEC 相を特徴づける非対角の自己エネルギーが、長波長かつ低エネルギー極限で消失 するという自明ではない恒等式(Nepomnyashchii-Nepomnyashchii恒等式[3,4])を中 心に議論を展開していく予定である。 Bose系のGreen関数論は、Bogoliubovによる凝縮体成分の扱い方を土台にし、 Beliaevによって整備されている。これをもとに、いくつかの恒等式が導かれている。 例えば、Hugenholtz-Pinesの関係式[5]は自己エネルギーと化学ポテンシャルとの関 係を与える。これは、一粒子励起がgaplessになることを意味する。NepomnyashchiiNepomnyashchii恒等式[3,4]は、非対角の自己エネルギーが低エネルギー極限で消 失するという条件を与える。これは、Bogoliubov近似の結果とは異なり、その意味を すぐに捉えることは容易ではない。 本セミナーでは、Bogoliubov近似などのいくつかの近似理論の問題点を列挙する ことから始め、Nepomnyashchii-Nepomnyashchii恒等式の起源、物理的意味を説明 する。その後、Popovの流体力学的理論[6]を説明し、NepomnyashchiiNepomnyashchii恒等式の性質を満足する我々の近似法[2]をお話ししたい。 [1] S.W. and Y. Ohashi, Phys. Rev. A 88, 053633 (2013). [2] S.W. and Y. Ohashi, Phys. Rev. A 90, 013603 (2014). [3] A. A. Nepomnyashchii and Yu. A. Nepomnyashchii, Pis’ma Zh. Eksp. Teor. Fiz. 21, 3 (1975) ,[JETP Lett. 21, 1 (1975)]. [4] Yu. A. Nepomnyashchii and A. A. Nepomnyashchii, Zh. Eksp. Teor. Fiz. 75, 976 (1978) ,[Sov. Phys. JETP 48, 493 (1978)]. [5] N. M. Hugenholtz and D. Pines, Phys. Rev. 116, 489 (1959). [6] V. N. Popov and A. V. Seredniakov, Zh. Eksp. Teor. Fiz. 77, 377 (1979) [Sov. Phys. JETP 50, 193 (1979)]. 世話人:橋爪洋一郎
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