恋の微分積分 ロドリゲス出版 !1 禁断の手法 • さまざまな限界をやぶって、人は愛の地平を 築きあげてきた • ときに後退しつつ、のろいにかかりながら、 すこしでもましなほうこうにいけるよう、人は ななめ前を向いてはなしをすすめていく。 !2 どのようなことにつかわ れているのか? • 微分法は速度や加速度の計算、曲線の接線の 傾きの計算、最適化問題の計算などに使われ ている。 • 積分法は、面積、体積、曲線の長さ、重心、 仕事、圧力などの計算につかわれている。 !3 微分積分すると、何が起 こるのか? • たとえば • 移動した距離を時間で微分すると速度が得られる • 速度を時間で微分すると加速度が得られる • 逆に、加速度を時間で積分すると速度が • 速度を時間で積分すると移動距離が得られる。 • 互いに互いの演算を補う関係なのがわかる !4 自動車のスピードメーター に例えてみる • スピードメーターが今の速度を割り出すのに使っ ているのが距離と時間の微分 • 時速40キロで三十分走った場合の距離を求めるの が速度と時間の積分 • メーターのあがり具合をメモしておき、速度の変 化から加速度を割り出すのが速度と時間の微分 !5 微分する、とはどういう ことか? • 微分とはある関数のある時点の微分係数(変 化率)differential coefficientをもとめることを いう !6 微分係数を知り導関数を 知る •導関数derivativeとは関数のある時点での任意の 微分係数(変化率)を知ることができる関数で ある •微分においてはこの微分係数(変化率)と導関 数(変化率がわかる関数)の導き出しが重要と なる !7 積分する(integrate)、とは どういうことか? • 積分(integral)とはある関数の原始関数primitive を求めることをいう • 原始関数とは、ある関数を導関数とみたとき、 その導関数がみちびきだす関数のことをいう • つまり !8 微分(きみ)と積分(ぼく) は逆演算の関係にある • 逆演算はたしざんとひきざんの関係と同じ • 微分によってもとめられた導関数は、積分に よってもとの関数にもどるし、積分によって 原始関数になった関数は、微分によってもと の関数にもどる !9 きみはぼくの逆演算 • 微分と積分の関係性については、近代まで知 られていなかった • もともとは関係の無いとおもっていた計算上 の手続きに関連をもたせることができるよう になり、計算が楽になった(特に積分) !10 愛のリテラシー 係数 !11 係数coefficientの大切 • 係数とはここではものごとの対応関係をあら わすたいせつな数字である !12 係数は数字だ • 係数はものの対応関係をあらわすため具体的 な数字のかたちをとる !13 係数の大事 • 数式にとって係数は、ネジや骨子、かすがい のように、ものごとの関係をあらわすのに不 可欠な数字となる !14 係数と定数 • 場合によっては、係数と定数の意味は限りな く近くなり、似た役割を担う場面も多い !15 係数は、力だ • 係数、定数は、物理では物事の力をあらわす 大切な数字なんだ。 • そうして、力学にはさまざまな比例係数、定 数がある。力学にはさまざまな比例係数、定 数がある。 !16 さまざまな係数、定数 •摩擦係数、万有引力定数、反発係数など、あら かじめ決められた数がたくさん •係数や定数といった具体的な数値が、物理学な どの学問の要となってささえている !17 多項式と係数、と変数 • 式を項からなる多項式とかんがえる。このと き文字で表される不確定な項についた数字の 部分を係数と呼ぶ。逆に不確定な項部分を変 数と呼ぶ • 係数は確定しているので、不確定な項どうしの 対応関係をあわらしているとかんがえられる !18 比例と係数 • ある数字に対応した別の数字の動きを比例と 呼ぶ。対応を数字であらわすときもその数字 を係数とよぶ。 • 比例をグラフで表した場合、比例係数がグラ フの傾きをあらわす !19 関数も変数と係数からな る • 関数も変数と係数からなる式である。 • 導関数も、変数と係数からなる式である。 !20 極限での愛 微分積分に至るある道のり !21 • 微分積分は、 • 曲線の下の面積、量を求める方法 • 動きを瞬間的に捉える方法 • を考えてきた先人の成果の上に成り立っている。 • それは、極限を考える歴史でもある。 !22 まっすぐな定規を用いて、 円を真四角に変えよ • 円積問題(えんせきもんだい)とは「与えら れた長さの半径を持つ円に対し、その円と同 じ面積の正方形を作図することができるか」 という古代から伝わる話題である。 !23 円積問題、古代人の方法( méthode des anciens) • アンティポンは、円の周りに多角形を内接さ せ、それから外接させ、最後に多角形の面積 を計算することで、円周率の値の上限と下限 を求めた。 !24 ソクラテスの思い出 • アンティポンは円に或る多角形,おそらく正 3 角形か正方形を内 接させる.そして弧の 2 等分によって,辺数が 2 倍の多角形,つ ま り正 6 角形か正 8 角形を得る.このように続けていくと,その 各 辺が次第に小さくなるため,究極的には円周と一致する一つの 多 角形が得られるだろう,と彼は信じていたのである. • そうなれ ば,どんな多角形に対しても,それと面積の等しい正方形 は作図 できるし,一方、得られた多角形は円に等しいとみなされ るのだ から,円もまた正方化されると,彼は結論したわけである. (クセノポン:ソクラテスの思い出) !25 とりつくし法 • 取り尽くし法(英: method of exhaustion、羅: methodus exaustionibus)は、与えられた図形 の面積や体積を求める手法の1つで、その図形 に内接する一連の多角形を描き、それらの面 積を元の図形に収斂させる方法である。この 方法はアンティポンが起源だが、彼がどこま で明確に理解していたのかは不明である。 !26 とりつくし法 •取り尽くし法には一般に背理法の一種を必要とする。 これは、ある領域の面積を第2の領域の面積と比較 することによって求めることに相当し、それを「取 り尽くす」ことで真の面積に恣意的(わざと)に近づ けていく。 •取り尽くし法は微分積分の先駆けと言える。 !27 背理法:ひとつになれ ない •ある判断を否定し、それと矛盾をなす判断を真 とすれば、それから不条理な結論が導き出され ることを明らかにすることによって、原判断が 真であることを示す証明法。帰 (きびゅう) 法。間接還元法。間接証明。→直接証明 !28 ぼく(アキレス)ときみ (亀) • あるときアキレスと亀が徒競走をした。亀は 足が遅いので、アキレスよりもいくらか進んだ 地点から出発した。 !29 ぼく(アキレス)ときみ (亀) • スタート後、アキレスが亀の出発地点に達し た時には、亀はアキレスが達するまでの時間 分だけ先に進んでいる。 • アキレスが今度は次の亀のいた場所に達した ときには、亀はまたその時間分だけ先へ進ん でいる。 !30 ぼく(アキレス)はきみ (亀)に追いつけない • 結果、いつまでたってもアキレスは亀に追い つけない。 • リクツではそうなのか?でも、現実は違うだ ろう?そうでないとしたら、なぜか? !31 パラドックスとの 戦い •古代ギリシアの哲学者ゼノンは、アキレスと亀 の話にあるようなパラドックスの例を示してい る。 •微分積分、特に極限と無限級数を使えば、それ らのパラドックスを解決することができる。 !32 ゼノンの誤りは「無限に加算しつづけた 数は無限である」と解釈した点にある • アキレスと亀の問題は『計算をいくらでも続 けられる』ことから『いつまでたっても追い つけない』という結論を導いている箇所に飛 躍があった • 実際は、無限に数字を加算した場合でも、答 えが有限である場合はあることが近世以降に 明らかとなった。 !33 微分積分が生まれ、愛 はうまれる ニュートン、ライプニッツ !34 ニュートンとライプニッ ツふたりはライバル • デカルトから始まる近代的な数学、代数と変 数、関数の整備によって、数学は近代的な表 現を手に入れた。 • その次世代の数学体系をうけて、微分積分の 近代化を現代に橋渡したのがニュートンとラ イプニッツである !35 ニュートン、 • ニュートンは、積の微分法則、連鎖律、高階 微分の記法、テイラー級数、解析関数といっ た近未来の概念を独特の記法で導入し、それ らを数理物理学の問題を解くのに使った。 !36 ライプニッツ、 •ライプニッツはライプニッツ則と連鎖律を規定 した。また、微分の記号としてdxおよびdy を,積分の記号として∫を用い、次の世代へと 橋渡しをした。 !37 ニュートンとライプニッツ ふたりはともだち • ふたりの共通点 • 微分と積分の法則の理解(互いに逆演算の関係 であること • 二次および高次の導関数(導関数の導関数の導 関数のもとめかた、その法則、とか) • 多項式級数の近似(多項式展開) !38 アルゴリズム(計算法)の時 代 • それでは、あとに残されたものは、これらの事実を ひとつの体系に統合することだけだったのだろう か。いや統合のためには、なによりも決定的なこ と、この無限小解析の総体を認識し把握するため のアルゴリズム(計算法)が必要であった。 (森毅、 すうがくのれきしより) • ニュートンとライプニッツがもたらした時代、それ はアルゴリズム(計算法)の時代でもあった !39 • ニュートン・ラフソン法 • オイラー法 • ラグランジュ補間 • ガウスの消去法 • ホーナー法 • 多くの計算法が、目的や用途に応じて分類、細分化していく。 !40 恋のアルゴリズム 微積方程式から解析学へ !41 数値解析と科学の時代 • アルゴリズム(計算法)の整備は、数値解析の時 代を呼んだ。 • 解析学とともに物理方程式(微分方程式)も進歩 していく。 • コンピュータの発展もあり、数値解析は前進 を続ける。 !42 微分方程式 • 物理学の基礎方程式は微分方程式である ニュートンの運動方程式 マクスウェルの方程式 ナヴィエ・ストークス方程式 アインシュタイン方程式 シュレディンガー方程式 ハイゼンベルクの運動方程式 クライン-ゴルドン方程式 ディラック方程式 !43 方程式と解(こたえ) • これまで私たちは、多項式(係数と項)→関 数(係数と変数)→方程式(関数と解)とそ の論を拡大してきた。 • 方程式は、ある事柄についての答えを定める !44 方程式と解(こたえ) • ひとたび方程式と名がつけば、それは解と関 係がある • 微分方程式も同じで、どんなに複雑になろう と、方程式が持つ性質を、微分方程式も持つ !45 方程式と解(こたえ) • 方程式のもっとも典型的なかたちは未知数と よばれる項をふくんだ等式である。 • 様々な式が等式によって結ばれて行く • 式が結ばれ、条件を狭めることで方程式は解 をもつ !46 バビロニアと方程式 • 古代バビロニア人は、今日一次方程式や二次 方程式、不定一次方程式を使って解くような 問題を計算するための公式を開発した。 • 同時代(紀元前1千年紀)のエジプトやギリシ アや中国では、そのような問題は幾何学的に 解かれていた。。 !47 デカルトと方程式 • 1637年のルネ・デカルトの『幾何学 (La Géométrie)』は解析幾何学の先駆けであり、 近代的な代数的記法を導入したものである。 !48 ニュートンと方程式 • 数値解析の分野において、ニュートン法(ニュートンほ う、Newton's method)またはニュートン・ラフソン法 (Newton-Raphson method)とは、方程式系を数値計 算によって解くための反復法による求根アルゴリズム の1つである。対象とする方程式系に対する条件は、領 域における微分可能性と2次微分に関する符号だけであ り、線型性などは特に要求しない。収束の速さも2次収 束なので古くから数値計算で使用されていた。 !49 求根(Root-finding)アルゴ リズム • 求根アルゴリズムは、与えられた関数fについて、f(x) = 0を満た す値xを得るための数値解法、もしくはアルゴリズムである。 • f(x) − g(x) = 0の求根は、方程式 f(x) = g(x)を解くことと同値で ある。ここで、xを方程式の未知数と呼ぶ。逆に、任意の方程式 は標準形f(x) = 0を取りうるので、方程式の求解は関数の求根と 同値である。 • 数値的な求根アルゴリズムでは反復法を用いて、根となる極限 (いわゆる極値)に収束する(と期待される)数列を生成する。 !50 方程式とアルゴリズム(計算 法) • アルゴリズム(計算法)は方程式をわかりやすい 形に置き換えて、解をもとめやすくする。答 えは近似値であることが多い • 近似値をもとめるため、変換、線形性や連続 性などの性質をみきわめ、最小の努力で、最 大限もつともらしい答えを紡いでいく !51 数値解析と近似 • 数値解析は、コンピュータの発明以前から多く の国々で行われていた。 • 線型補間は2000年以上前から行われている。 • ニュートン法、ラグランジュ補間、ガウスの消 去法、オイラー法などの名称からも分かるよう に、歴史上の偉大な数学者の多くは数値解析に 夢中だった。 !52 数値解析と近似 • 計算を手で行うため、方程式と数表を掲載し た分厚い書籍が生み出された。例えば、関数 の小数点以下16桁まで計算された数表を使っ て、与えられた方程式にその値を代入し、関 数の正確な近似値を得ることができた。 !53 数値解析と近似 • この分野での正統的な業績として、 Abramowitz と Stegun が編集したNISTの書籍 などを挙げることができる。これは1000ペー ジを超えるもので、典型的な方程式や関数の数 表を多数集めている。 • 今は計算はコンピュータがあるため、アルゴリ ズム(計算法)だけが人間の手元に残っている !54 常微分方程式と偏微分方 程式 !55 多変数関数の世界 • 一対一の対応に対し、多変数関数では複数の 変数に対して値がひとつ決まる • 複数の変数によって、ひとつの値が定められ る。 !56 偏微分方程式 多変数関数の微分 • 複数の変数を扱う場合に、微分方程式は. 偏微 分方程式と呼ばれ、ラウンドディーがつかわ れる !57 多重積分 多変数関数の積分 !58 変数分離と積分 • 変数分離(へんすうぶんり、separation of variables) は、常微分方程式や偏微分方程式を解くための手法。 方程式を変形することにより、2つあるいはそれ以上 の変数が式の右辺・左辺に分かれるようにすること。 • 両辺の積分を実行すれば、微分方程式の解が求まる。 変数分離は実際のところ、導関数 dy /dx を分数とみ なして分母を払うのと同じことである。そうすること によって解くのがもっと簡単になる。 !59 微分方程式の解法 • 置換積分法の公式 • そのほかの解法としては斉次方程式の解を利 用して解く定数変化法やグリーン関数を用い た解法、差分方程式を用いた解法、ラプラス 変換や逆ラプラス変換を用いた解法など様々 な解法が知られている。 !60 ラプラス変換 • ラプラス変換によりある種の微分・積分は積 などの代数的な演算に置き換わるため、制御 工学などにおいて時間の(とくに超越的な) 関数を別の(おもに代数的な)関数に変換す ることにより、計算の見通しをたてるための 便法として用いられる。 !61 三つの運動方程式 • 古典力学の運動方程式には、3つの表現形式があります。 • ニュートン、ラグランジュ、ハミルトン。 • ニュートンのものが一番の基本で、最もシンプルです。 • 後の2つは解析力学と呼ばれる分野に登場します。 • !62 超越関数 • 超越関数(ちょうえつかんすう、英: Transcendental Function)とは、係数が多項 式であるような多項式で表せない関数である。 より正確に言えば、1変数の関数が超越的であ るのは、その変数について代数的独立性があ る場合である。 !63 グリーン関数による解法 • グリーン関数 (Green's function) とは、微分方 程式や偏微分方程式の解法の一つであるグリー ン関数法に現れる関数である。 !64 数値解析と解 • 微分方程式の多くは、実際のところ殆どのものが解を 求めるのが困難であり、よく知られている関数の組合 せでは記述できないものが多い。 • 従って、解析的な解法に加えて、計算機を利用した数 値計算による解の探索が重要視される。常微分方程式 にはオイラー法やルンゲ=クッタ法、偏微分方程式に は有限要素法などを利用し、近似値をもとめる。 !65 ルンゲクッタ法による 近似 • ルンゲ=クッタ法(Runge-Kutta method)と は、数値解析において常微分方程式の近似解 を求める一連の方法である。 !66 オイラー法による近似 オイラー法(ーほう)(Euler's Method) とは、1 階常微分方程式の数値解法の一つ。 !67 離散化(discretization) と近似 • 微分方程式を数値的に解くには、有限長のデー タでなければならず、定義域が連続であっても、 有限個の点を選んで値を計算する。 • 連続問題を近似的に離散問題に変換して解く、 この変換過程を「離散化(discretization)」 という !68 連続(アナログ)から離散(デジ タル)へ • 極限が整備されつつ、さまざまな近似手法が 確立されていく • 無限連続したある事象を、有限個にしてとり だし、離散化する !69 多項式展開と近似 • 数学において、多項式の展開(てんかい、expand) とは、複数の多項式の積をひとつの多項式で表すこ とをいう。これは、因数分解と逆の操作である。 • 展開は分配法則を用いて機械的に行うことができ る。この法則は、冪級数に対するものに自然に拡張 される。 • 多くの場合多項式展開によって計算は単純になる。 !70 テイラー展開による近 似 テイラー展開(テイラーてんかい: Taylor expansion)とは、無限回微分可能な関数 f(x) から、テイラー級数(テイラーきゅう すう、Taylor series)と呼ばれる、負冪の 項を持たない冪級数を得ることを言う。 多項式展開で近似化することで、計算が 単純になる。 !71 偏微分方程式を解く • 偏微分方程式を解くには、まず方程式を離散化 し、有限次元の部分空間で計算を行う。 • そのような計算手法として、有限要素法、差分 法、特に工学分野で使われる有限体積法などを 挙げることができる。 • これらの手法によって、問題を代数方程式の求 根に還元することができる。 !72 有限差分法による近似 • 関数のいくつかの点における値の差を用いて、そ の関数の微分係数(変化率)を近似することを差 分近似という • このことを“ 微分係数を差分商で置き換える ”と 表 現する.またこの近似法を有限差分法(finite difference method)とよぶ !73 FEM(有限要素法)による近 似 • 有限要素法(ゆうげんようそほう、英語: Finite Element Method、FEM)は数値解析手 法の一つ。解析的に解くことが難しい微分方 程式の近似解を数値的に得る方法の一つであ る。方程式が定義された領域を小領域(要素) に分割し、各小領域における方程式を補間関 数で近似する。 !74 有限体積法による近似 • 1960年代にLos Alamos研究所において開発された。この方 法は、有限差分法と有限要素法の両方の特徴を合わせ持つ 手法と言える。 • 解析領域をセル(cell)と呼ばれる小領域に分割し、セルの 格子点を中心とする領域であるコントロールボリューム (control volume)あるいは検査領域を定義する。そして、 有限要素法と同様にその離散化には重み付き残差法を適用 する。ただし有限体積法では、コントロールボリュームご とに、重み関数を1として重み付き残差式を離散化する。 !75 なまえのきまり • たいがい • 「法」「変換」とつけば数値解析アルゴリズム • 「係数」「定数」とつけば物理係数 • 「展開」とつけば多項式展開アルゴリズム • 「方程式」とつけば微分方程式 !76 直接解法と反復解法 • 直接解法は、問題の解を有限個のステップで計算する。 • 反復解法は、ある初期予測値から開始して、反復的に計算を行って徐々 に解に収束させていく。数値線型代数の大規模な問題には、反復解法が 一般に必要とされる。 !77 線形性と行列 • 微分方程式が線型である場合は線型代数学の 範疇で解を探すことができる !78 線形性とはなにか? !79 線形性による答えのも とめかたのちがい • 線型方程式を解く手法については研究が進んでいる。標準的な直接解法としては何らかの 行列分解を使うものがあり、ガウスの消去法、LU分解、対称行列やエルミート行列に関す るコレスキー分解、非正方行列に関するQR分解がある。反復解法としては、ヤコビ法、ガ ウス=ザイデル法、SOR法、共役勾配法があり、大規模な方程式系でよく使われる。 • 非線型方程式には求根アルゴリズムが用いられる(根とは、関数がゼロとなる変数の値を 意味する)。関数が可微分で導関数が分かっている場合には、ニュートン法が利用される ことが多い。他にも線型化などの手法がある。 !80 解の存在をたしかめる • 特別な情况がない場合、 常微分方程式の解は一意 的であることがしられている。。 ただし、上の例 でも見た通り、一般に 常微分方程式はある点での 解の値とそのまわりの点での解の値を 関係づける 方程式なので、まず最初の一点の値を与えること を しないと、解が構成できないことが分かる。 よって、解を厳密な意味で一意的に定めるにはそ の解に対する 初期値も定める必要がある。 !81 リプシッツ(Lipschitz)連続 • 微分方程式の理論では、リプシッツ連続はピ カール-リンデレフの定理の中心となる条件で あり、初期値問題に対して解の存在と一意性 を保証する。 !82 極限とはなんだ !83 イプシロン-デルタ論法 誤と差の論法 • ε-δ 論法とは、解析学において、無限小や無 限大を用いず、有限な大きさの実数を値にと る変数 ε(誤) や δ(差) などを用いて極限を扱 う方法である。 !84 数値解析からシミュレー ションの時代へ !85 不気味の谷 • ロボット工学者の森政弘・東京工業大学名誉教授が 1970年に提唱した。森政弘は、人間のロボットに対 する感情的反応について、ロボットがその外観や動 作において、より人間らしく作られるようになるに つれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時 点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外 観や動作と見分けがつかなくなると再びより強い好 感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるように なると考えた。 !86 !87 • 極限をもとめたり近似値をもとめたりしながら • ひとはある真理に近づこうとした • 誤差や精度といったものが、十分に理にかなうあたり になったころ • 数学の近代化は終わり、科学の時代がきた • 数式と自由に恋をし、愛でることのできる時代がきた • この文章はそのいりぐちにあり、ひとが、めいめい自 由に恋愛することの後押しをする !88 おわり !89 この文書について • これは数学や計算方法の入門書ではない • その前段で、訳語やターミノロジーの整理をすこし行 い • 計算方式そのものが表現の歴史を持つ(表出史)とか んがえたときに • 編める文章はどんなものか、ありていの情報をよせあ つめて作られた、いわば一つの恋のうたである !90 !91 番外編というか順番未 定 学校の微分積分 !92 学校の微分 • ある関数の平均変化率から極限をさぐり微分 係数(極限下の変化率)を割り出す、割り出 した微分係数から導関数をつくりある関数の ある地点での変化率を知る !93 学校の積分 !94 学校の微分方程式 !95 コンピュータの微分 • コンピュータ上の計算は離散化と近似が前提 であり、誤差を常に意識する必要がある !96 逆二乗の法則 • 最初に発見された逆2乗の法則は、ヨハネス・ ケプラーが発見した、光の減衰の法則である。 ケプラーは「光の強さが光源からの距離の2乗 に反比例する」ことを証明した。 • ここでは、逆二乗という比例係数が登場する !97 逆二乗の法則 • エドモンド・ハレーが1684年の夏にケンブ リッジ大学を訪問したのだが、そこで「惑星 が距離の二乗に反比例する力で太陽に引き寄 せられると仮定した場合、惑星が描く曲線は どのようなものであろうか?」とニュートン に質問した。この質問に対してニュートンは 「楕円だろう」と即答した。 !98 放射能と逆二乗 •距離を倍数で考えてみる •「距離の逆2乗に比例する」という意味は、例えば「距離が2倍になれば線量は 2^2で4分の1、距離が3倍になれば3^2で9分の1、4倍になれば16分の 1・・・」になるということです。 •つまり、50cmが60cmになった場合、距離は60/50=1.2倍になったというこ とですから、線量は1.2^2=1.44分の1になるということになります。 •距離が何倍になったかを考え、その数字を2乗したもので割れば答えが出ま す。 !99 連鎖律 チェインルールと 結合法則 • 微分法において連鎖律(れんさりつ、英: chain rule)とは、複数の関数が合成された合 成関数を微分するとき、その導関数がそれぞ れの導関数の積で与えられるという関係式の こと。積分法においては、置換積分に対応す る !100 カヴァリエリ(Cavalieri) の原理 • 2つの平面図形を、平行な直線で切ったとき の切り口の長さがいつも等しければ、2つの 図形の面積は等しい。 !101 数学的基盤 リテラシー、インフラ •微積分の定式化の研究により、カヴァリエーリの微 分と、有限差分法が組み合わされるようになる。 •この統合を行ったのがジョン・ウォリス、アイザッ ク・バロー、ジェームズ・グレゴリーであり、1675 年ごろ微分積分学の基本定理の第2定理を証明した。 !102 微分積分の第二定理 微分と積分の逆演算の関係性 • 微分して積分すると、高々定数の差を除いて もとの関数が現われること !103 ニュートン • ニュートンは微分積分の手法を使い、天体の 軌道、回転流体の表面の形、地球の偏平率、 サイクロイド曲線上をすべる錘の動きなど、様々 な問題について『自然哲学の数学的諸原理』 の中で論じた。 !104
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