1 - 田辺火災鑑定書

セ 2 7 - 1 0 5 - 1 号
中本恵三様
油性鑑定書
株式会社
日本工学鑑定セ:/.タ'=
第1
第2
本事案に関す る情報
事案名
中本恵三様様火 災事案
試料採取者
株式会社日本工学鑑定センター
山根晴夫
鑑定事項
弊社山根が当該の火災現場より採取した試料における可燃性液体成分の検出状況
に関する鑑定。
第3
鑑定対象試料
本事実火災において弊社山根が現場から採取した試料は、試料①∼試料⑤の合計
5検体である。山根が採取した各試料の性状、臭気、全重量、および測定に使用し
た試料重量について表一1にまとめた。
本事案における採取試料の性状、臭気、採取試料量、測定試料里
試料
性状
臭気
採取試料量(g)
測定試料量(g)
①
炭化木片、炭化紙状物
こげ臭
35.4900
1.0966
②
炭化木片
こげ臭
24.1565
1.0105
なお、本事実火災における焼けの状況、出火部の詳細、試料の採取位置の情報な
どに関しては、本事実に係る弊社山根の鑑定書を参照して頂きたい。また、各試料
の分析機関における受領状況と分析状況(株式会社エス・ティー・エスラボ殿:第
5項参照)などについては、本文末尾の写真1∼6に示したので参照して頂きたい
。
第4
鑑定結果
本事案にて弊社山相が採取 した焼残物の分析データを 解析して可燃性液体成分
の存在について検討した。その結果、試料①中にはガソリンに相当する油性成分が
含有されている毛のと判断された。また、半定量分析結果データによれば、その含
有量は7。
4μg/gであった。その結果を表一2にまとめた。
本事実試料の測定データについての判定結果
試料
採取物
測定データの判定
①
炭化木片、炭化紙状物
ガソリンの痕跡と判定
②
炭化木片
不検出
第5
鑑定の詳細
5-1
分析方法
本 事 案 の 分 析 は 、3 = . ー テ ル 抽 出 一 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 ( G C / M S ) を
用いた。その装置・測定条件等は次の通りである。
GC/MS
装置
QPー5050A型(島津製作所製)
カラム
ポリジメチノレシロキサン系
GCオーブン温度
40'C (3. Omin)
気化室温度
300'C
インターフェース温度
280'C
注入モード
スプリットレス
イオン化法
EI
イオン化電圧
70eV
MS測定モード
スキャンモード
分析場所
東京都立川市柏町4-65-30に所在する「株式会社
膜厚0.25μm)
15'C/min
;300'C
エ ス ・ テ イ ー ° エ ス
(0.25 4> >< 30m
ラボ」に依頼した。
その分析報告書は本鑑定書末尾に添付した。なお、分析
に関する問い合わせなどは、上記ラボに直接連絡して頂
いても差し支えない。
(以下調整余白)
2
測定データの解析と判定
5-2
本事案の化学鑑定で使用したガスクロマトグラフ質量分析装置の原理、および測
定データ解析に関する考え方(抜粋)を本文末尾の「分析装置の原理・測定データ
解析」の項に示したので参照して頂きたい。
本事案で弊社山根が採取した試料の分析チャート(クロマトグラム)において、
ガソ3)ンについて着目し解析したものを引用してFig.1に示した。
市販灯油
'lfo
134
'12Jg'
)'
'131 <
'131g
'140
'146'
'190
'165'
00OCD}
市販ガソリン
50e3-
0e311lo
'-125'
'12,o'
'1/5'
・1ゴIs
'14:0'
'1510
帥
'1/0'
5
0
0
0
o
o
o
'nls'
,1虻o・
'14:5'
'19.o
'7g.s'
{1 00)
]
試料②
1iIsl
Fig.1
'120'
'121.6
'f/o
'141, <)
'14:5'
)'
'153 <
'ld.o
本事案試料の分析結果においてガソリンについて着目し解析した
チャート
3
Fig.lの試料①におけるチャートのフェニルアルカン類の検出状況と存在比率か
ら判断すると、ガソリンに相当する油性成分が痕跡程度検出(試料①において赤色
で示したピーク)されている可能性を有すると判断された。
こうした判定結果を一覧にまとめて第4項に示した。
以上
平 成 2 7 年 4 月 1 5 日
鑑定人
4
工学博士