統計基礎(第9回) 推定と検定 早稲田大学大学院商学研究科 2015年6月10日 大塚忠義 1 講義資料 http://tyotsuka.cocolog-nifty.com/blog/ から各自事前にダウンロードしてください 2 Agenda 第9回 推計と検定 • 点推定 • 区間推定 • 検定 3 点推定(1) 母平均、母分散をさだめること 母集団から抽出した標本をもとに、母集団 の分布の母数を定める ピンポイントで母数を定める(当然に一定 の誤差を許容する) 母集団の分布関数がわかっても母数がわ からないと使えない ⇔未知の母数を標本から定める 4 点推定(2) 母平均: 推定量:ˆ 母分散: ˆ ( X 1 , X 2 , , X n ) 2 2 ˆ 推定量: 2 ˆ ( X1, X 2 , , Xn) 母数と推定量ˆの間には誤差が存在する 5 点推定(3) 最尤推定量:得られた標本値が現れる確 率が最も高い母数を推定値とする 不偏推定量:推定値の平均が母数と等しく なる推定量 一致推定量:標本数を多くしたときに推定 値が母数と等しくなる推定量 6 点推定(4) 標本平均は不偏推定量かつ一致推定量 1 X ( X1 X 2 X 3 X n ) n E( X ) lim X n 7 点推定(5) 標本分散は不偏推定量かつ一致推定量 n 1 2 2 s (Xi X ) n 1 i 1 n 1 2 (Xi X ) n i 1 は一致推定量だが不偏推定量でない 8 区間推定 母数が含まれる確率を保証する区間を定 める 誤差を許容して範囲で定める P( L U ) 1 L U :信頼区間 L: 下側信頼限界 U: 上側信頼限界 1-α:信頼係数 99%、95% 9 仮説検定(1) 母集団について仮定された命題を標本に 基づいて検証すること 仮説のもとで期待される結果と標本を観測 した結果の違いが、偶然によって起きたも のなのか、そもそも仮説が正しくないのか を評価する:統計的判断の論理学 (仮説のもとで期待される結果)-(標本を 観測した結果)<誤差?? 10 仮説検定(2) 統計的仮説、仮説に対する有意性の検定 仮説:コインに歪みがない :コインの表が出る確率は0.5が有意であ るといえるか? 100回コインを投げてみる :仮説が正しければ、50回が表 実際にやってみたら41回表が出た 9=50-41は誤差の範囲といえるか? 11 仮説検定(3) 仮説検定は、統計的仮説のもとで、標本結 果が生まれる確率を算出し、その結果に 対する有意性の存在を判定する 「差が9もあったら誤差と言えない」と判断 できるのであれば、「差が9」とは誤差以外 の要因が存在する。つまり、 「差が9」には 意味がある:「有意」である B(100,1/ 2) P( X 41) 4.43% 12 仮説検定(4) 表の数が41回以下となる確率は、4.43% この確率は誤差の範囲か有意か これを判断するためにはあらかじめ基準を 作っておかなければならない この基準を有意水準(α)という 10、5、1%。。。たいてい 5または1% 有意水準5%としたら、それより低い4.43% の発生確率である 表の数41回以下は稀! つまり、有意! 13 仮説検定(5) 仮説:コインの表が出る確率は0.5 100回コインを投げてみる 実際にやってみたら41回表が出た この仮説のもとで、表が41回以下の確率 は4.43%であるので、有意水準(α) 5%で 仮説と観測値の間には、誤差とはいえない 差異が有意に存在する 従って、仮説は「棄却」される 仮説検定により、仮説「確率0.5」は誤って いると判断される 14 帰無仮説と対立仮説(1) 仮説検定の結果に基づき主張する内容は 極めて「謙虚」である 結果で仮説が有意でないとき 仮説が正しいとは言わない:仮説は棄却で きない⇒間違っているとはいえない 結果で仮説が有意のとき 仮説は「棄却」される:この場合は積極的 に仮説は正しくないという 15 帰無仮説と対立仮説(2) 帰無仮説( H 0 ):もともと建てた仮説 対立仮説( H1 ):帰無仮説に対立する仮説 例えば H1 H 0 帰無仮説は否定されることを前提に立てる ことが多い・・・無に帰す仮説 帰無仮説が「棄却」される:対立仮説が「採 択」される 帰無仮説が採択されるとは絶対に言わな い 16 帰無仮説と対立仮説(3) 背理法 帰無仮説のもとで、期待する結果が生じな かったことを根拠に帰無仮説を棄却、否定 する 帰無仮説が棄却されなかったこと ≠帰無仮説が採択、支持される ≠帰無仮説が「真」であることを証明する 単に観測結果と帰無仮説の間に矛盾が生 じなかっただけのこと 17 帰無仮説と対立仮説(4) 実際の検定では、否定したい方を帰無仮 説にすることが多い 例:新しい風邪薬の効果を調べる A:風邪をひいた100人が新しい薬を服用 B:風邪をひいた100人が従来の薬を服用 風邪は治った日数の平均 A , B 帰無仮説( H 0 ): A B 対立仮説( H1 ): A Bまたは A<B 18 帰無仮説と対立仮説(5) H 0 を棄却しない H 0 を棄却する が正しい ① ③ が誤り ② ④ ①④は正しい ③:第1種の過誤:生産者のリスク 仮説が正しいのに棄却してしまう 規格に合格した良品を不合格にする ②:第2種の過誤:消費者のリスク 仮説が正しくないのに棄却しない 規格に合格しないはずの不良品を合格にする 19 棄却域 P(採択域)+P(棄却域)=1 予測される値(確率変数)が正規分布に従うと 仮定できると数値の算出が容易になる 20 帰無仮説と対立仮説(6) 帰無仮説( H 0 ): 対立仮説( H1 ): H1 H 0 両側検定 対立仮説( ) H1>H 0またはH1<H 0 片側検定 例:XXの効果、 A , B 21 母平均の検定(1) 正規分布を活用する検定 :標本の数が100以上 例:東京のラーメンの価格は500円より高 い? 帰無仮説 H 0 : μ=500 対立仮説 H1 : μ>500 有意水準 5%で片側検定を行う 電話帳でランダムに200件のラーメン屋に 電話をかけ価格を調査した 22 母平均の検定(2) その結果:標本平均520円、 標本標準偏差160円 500 母平均 unknown 母分散 200 標本数 520 標本平均 160 標本標準偏差 標本数が100を超えているので 標本標準偏差を代用する Z値 p値 1-p値 1.77 0.961 0.039 NORMS.DIST(1.77) 帰無仮説は棄却される。従って、 東京の ラーメンは500円より高い 23 Question? お疲れ様でした 24
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