市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

2015 年 3 月 26 日(木)発行 No.010
市場調査部レポート
0
マンスリー・アウトルック(2015/4)
米寒波からの反動がなければドル円は軟調展開も
お知らせ:
市場調査部レポート(ウィークリー・アウトルックとマンスリー・アウトルック)は 4 月より金曜日発行となります(初回は 4 月 3 日)。
一週間を振り返り、翌週以降の投資戦略を立てる上で、ご活用ください。
~2015 年 4 月の見通し~
《ファンダメンタルズ》
ドル/円は横ばい、ないし軟調な展開を予想。直近高値の 122 円を目指すのは難しそうです。米国の利上
げ材料が蓄積されるまで、時間がかかりそうです。3 月の経済指標が冴えなければ、ドル円は軟調展開も。
ユーロ/ドルは反発の余地がありそう。1 ユーロ=1.1 ドル台が定着も。原油安やユーロ安によってユーロ圏の
景況感は改善しており、ユーロをサポートしそうです。ギリシャ情勢は少しずつ前進しているようにみえます。
資源国通貨や高金利通貨は対ドルで総じて堅調、対円でマチマチか。ドル安となるならば、その裏返しでそ
れまで軟調だった資源国通貨や高金利通貨は相対的に堅調に推移するかもしれません。
<主要国の動向>
・【米国】 FOMC は利上げに慎重!? 利上げ材料の蓄積を「忍耐強く」待つ必要あり
・【日本】 「展望レポート」でインフレ目標達成の見通しを先送り?
・【ユーロ圏】 原油安やユーロ安を背景に景況感が改善
・【英国】 総選挙を前に政治の不透明感がポンドの重石に
<資源国・新興国の動向>
・【オーストラリア】 1~3 月期の CPI が弱ければ 5 月に利下げ?
・【ニュージーランド】 RBNZ は利上げと利下げ両にらみ姿勢を維持か
・【カナダ】 利下げや一段の原油安があればカナダドルに下落圧力も
・【トルコ】 エルドアン政権はいつまで沈黙を守れるか
・【南アフリカ】 CPI 鈍化も SARB の次の一手は「利上げ」?
《テクニカル・予想レンジ》
・【ドル円 : 117.00 ~ 123.50 円】
下値は 26 週線水準、上値はプラス 1.5σ(シグマ)水準を想定
・【ユーロ円: 124.50 ~ 137.50 円】
下値は先行きのマイナス 2σ水準、上値は先行きの 26 週線水準を想定
・【NZ ドル円:
86.50 ~ 94.50 円】
下値はマイナス 1σ水準、上値はプラス 1.5σ水準を想定
・・・ほか当社取扱全 12 通貨ペアのテクニカルポイントを解説
1
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≪ファンダメンタルズ≫
ドル/円は横ばい、ないし軟調な展開を予想。120 円台が定着し、直近高値の 122 円を目指すのは難し
そうです。FOMC やフィッシャー副議長の講演を受けて、米国の利上げ観測が後退。「(物価が目標に向か
うと)合理的に確信できる」材料が蓄積されるまで、時間がかかるかもしれません。1-2 月の寒波からの反
発が期待される 3 月の経済指標があまり冴えなければ、ドル円は軟調な展開となりそうです。日銀からもドル
高円安をサポートするような材料(追加緩和など)はあまり期待できません。
ユーロ/ドルは反発の余地がありそう。1 ユーロ=1.1 ドル台が定着するかもしれません。原油安やユーロ安
によってユーロ圏の景況感は改善しており、ドル安の裏返しとしてのユーロ高だけでなく、ユーロ圏の材料が
ユーロをサポートするかもしれません。一方で、ギリシャ情勢は少しずつ前進しているようにみえますが、波乱
要因となる可能性は完全には排除できません。
ポンド/円は軟調推移を予想。170 円前後の水準が視野に入るかもしれません。物価の下ブレにより英国
の利上げ観測が大幅に後退。5 月 7 日の総選挙が接近するにつれ、政治の不透明感がポンドの足を引っ
張る可能性がありそうです。
資源国通貨や高金利通貨は対ドルで総じて堅調、対円でマチマチか。ドル安となるならば、その裏返しで
それまで軟調だった資源国通貨や高金利通貨は相対的に堅調に推移するかもしれません。対円では通貨
によってマチマチとなりそうです。原油価格が下落を再開するならばカナダドルは軟調となりそうです。鉄鉱
石価格の下落が続くなかで、豪ドルは軟調が予想されます。一方で、乳製品価格が反発しており、住宅市
場が引き続き過熱気味の NZ ドルは堅調が予想されます。いずれも、中銀の会合があり、利下げの有無が
注目されます。
「フラジャイル(脆弱な)5」のメンバーであるトルコリラや南アランドは米国の利上げ観測が遠のくほど堅調に
推移するかもしれません。ただし、米国の利上げ観測の変化に対する反応は大きそうです。また、トルコリラ
は総選挙を前に政治的要因が重石となるかもしれません。
4月の政策決定会合スケジュール
日付
7日
8日
9日
15日
15日
22日
29日
30日
30日
中央銀行 国・地域
政策変更の可能性
RBA
豪州
2.25%⇒2.00%へ利下げ
BOJ
日本
(追加緩和は「今は必要ない」)
BOE
英国
0.50%⇒0.75%へ利上げ
BOC
カナダ 0.75%⇒0.50%へ利下げ
ECB
ユーロ圏 (「政策金利は限界まで下がった」)
TCMB
トルコ 7.50%⇒7.25%へ利下げ
FRB
米国
(「4月の利上げは考えにくい」)
RBNZ
NZ
3.50%⇒3.25%へ利下げ
BOJ
日本
(展望レポート)
確率
67.5%
NA
0.0%
21.8%
NA
NA
0.0%
16.9%
NA
「確率」はOIS(翌日物金利スワップ)に基づく市場予想(3/25時点)
「政策変更の可能性」は筆者の定性判断を含む
出所:Bloombergより作成
2
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<主要国の動向>
【米国】 FOMC は利上げに慎重!? 利上げ材料の蓄積を「忍耐強く」待つ必要あり
3 月 18 日の FOMC で、金融政策の先行きを示すフォワード・ガイダンスは「(利上げ開始まで)忍耐強くな
れる」から「(物価が目標に向かうと)合理的に確信できた時(に利上げを開始する)」へと変更されました。
「忍耐強く」は次の 2 回の FOMC で利上げしないという意味だと、イエレン議長は明言していました。それが削
除されたことで、6 月の FOMC での利上げ開始に道を開きました。しかし、FOMC の経済や政策金利の見通
しが下方修正されたことで、FOMC は利上げ開始に慎重であり、「合理的な確信」を持てるまでに時間がかか
るとの見方が強まり、むしろ利上げ観測は後退しました。また、23 日のフィッシャー副議長の講演を受けて、
追加利上げのペースはかなりゆっくりしたものになるとの見方も強まりました。いずれも、ドル安要因でした。
1-2 月の経済指標は、雇用統計を除けば、弱いものが増えました。寒波や西海岸の港湾ストの影響が大
きいとみられ、3 月以降は反発が期待されます。それらによって利上げ観測が再び高まれば、ドルが上昇基
調に転じる可能性はありそうです。ただし、利上げ材料が蓄積されるには時間がかかるかもしれません。3 月
の経済指標があまり冴えなければ、ドルの軟調展開が続きそうです。
4 月に発表される経済指標でとくに注目されるのが、以下の 3 つです。第 1 に、雇用統計(3 日発表)。非
農業部門雇用者数(NFP)や失業率とともに賃金動向も重要です。第 2 に、小売売上高(14 日)。2 月まで
3 か月連続で前月比大幅なマイナスでしたが、3 月に顕著な反発をみせるか。第 3 に、1-3 月期の GDP
(29 日)。アトランタ連銀の短期予測モデルでは、主に 1-2 月の経済指標が投入された現段階でほぼゼロ
成長が予想されており、今後の経済指標によってそれが上方修正されてくるか、要注目でしょう。
ベージュブック(地区連銀経済報告、15 日公表)では、賃金上昇圧力や実際の賃上げの例が前回いくつ
か報告されており、そうした例が一段と増えるかもしれません。
29 日の FOMC では引き続き利上げ開始やその後のペースについて議論されるでしょう。声明文に大きな
変化はなさそうですが、その時点までの経済指標を受けて、景気や労働市場、物価に対してどのような評
価が示されるかは興味深いところです。
米GDP(国内総生産)
(%)
6
4
2
0
1-3月期
予測+0.2%
-2
-4
いずれも 1-3 月期、寒波の影響か?
-6
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
実質ベース、前期比年率。2015年1-3月期はアトランタ連銀予測(3/25時点)
出所:米商務省統計より作成
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【日本】 「展望レポート」でインフレ目標達成の見通しを先送り?
4 月は日銀の金融政策決定会合が 7-8 日と 30 日の 2 回開催され、30 日の会合では「経済・物価情勢
の展望(展望レポート)」が公表されます。昨年 10 月の展望レポートで、「(消費者物価の前年比は)2015
年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」としていましたが、今年 1 月の中間評価では「原
油価格の大幅下落の影響から、2015 年度にかけて下振れると予想される。2016 年度については概ね不
変である」と、慎重なトーンになりました。
4 月の展望レポートで、消費者物価前年比の 2%達成を 2016 年度以降に後ズレさせる可能性がありそう
です。そうであれば、黒田日銀総裁が「必要なら躊躇せず調整を行う」と繰り返している以上、追加緩和策
の発表がセットになるかもしれません。
追加緩和の可能性は 4 月より 10 月の方が高いと考えていますが、「サプライズ」を好む黒田日銀が 4 月
に決断する可能性も無視できません。
【ユーロ圏】 原油安やユーロ安を背景に景況感が改善
ドイツの 3 月の IFO 企業景況感指数は前月を上回り、昨年 10 月を底に 5 か月連続での上昇となりました。
10 月以降の原油安やユーロ安を背景に、企業景況感の改善が続いているようです。ユーロ圏の PMI 製造
業指数も昨年 11 月から 4 か月連続で上昇しています。
ユーロは、米国の利上げ観測の後退や低調な経済指標などを背景としたドル安の裏返しで、足もとで堅調
に推移しています。ユーロ圏の景況改善が続くようなら、ユーロ圏自身の材料もユーロをサポートするかもし
れません。
ドイツIFO企業景況感指数
(2005=100)
130
現状
総合
120
期待
110
100
90
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所:Bloombergより作成
ギリシャは、ユーロ圏から 3 月 30 日までに改革の具体策を提示するように求められおり、これに合意した
模様です。ギリシャ政府は、資金不足によって公的積立金の一部を取り崩して支払いに充てているとされて
います。改革の具体策が認められれば、銀行システム支援金の 12 億ユーロが支払われることになり、ギリ
シャ政府は急場をしのぐことができそうです。
もっとも、ギリシャ支援は 6 月末まで延長されましたが、4 月末までに改革の具体策を実行に移すことが求
められており、波乱が起こる可能性はまだまだ否定できません。
4
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【英国】 総選挙を前に政治の不透明感がポンドの重石に
キャメロン首相は、5 月 7 日の総選挙で与党保守党が勝利した場合に、EU(欧州連合)からの離脱の是非
を問う国民投票を 2017 年までに実施すると公約しています。最新の世論調査によれば、与党の保守党と
最大野党の労働党が支持率 30%強で拮抗しています。
労働党が勝利した場合、企業や投資家にとって不利な政策を進めるとみられ、ポンド安要因となりそうで
す。保守党が勝利した場合、国民投票の実施はまだ先のことであり、また EU から離脱する可能性は低いと
みられます。それでも、EU 離脱の可能性が意識されるだけでも、ポンドの重石になるかもしれません。EU か
らの即時離脱を主張する独立党が支持を伸ばしているのも気になります。
また、どの政党も過半数の議席を獲得できなければ、連立が模索されることになります。連立工作が上手
くいかなければ、再選挙の可能性もあり、政治の不透明感が強まるかもしれません。
総選挙がどう転んでも、政治不安が払拭されない限り、「総選挙」はポンド安要因になる可能性がありそう
です。
<資源国・新興国の動向>
【オーストラリア】 1~3 月期の CPI が弱ければ 5 月に利下げ?
7 日の RBA(豪中銀)理事会では、追加利下げが決定される可能性は排除できません。ただし、RBA は 3
月の理事会で、さらに経済指標を入手した方が良いとの判断から利下げを見送った経緯があります。22 日
に豪州の 1~3 月期 CPI(消費者物価指数)が発表されることから、それを待つ意味で RBA は 7 日に政策
金利を据え置く見通しです。
豪州の CPI は、昨年 1~3 月期の前年比+2.9%をピークに鈍化しており、10~12 月期は+1.7%と、RBA
のインフレ目標+2~3%を下回りました。
豪州のインフレ率
出所:Bloomberg
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10~12 月期の鈍化の主因は原油安です。原油価格は 1 バレル=40 ドル台後半と依然低水準にとどま
っており、22 日の 1~3 月期 CPI では一段の鈍化が示される可能性があります。
ただ、RBA は 2 月 6 日に発表した四半期金融政策報告で、CPI は 2015 年 6 月に+1.25%まで鈍化す
るものの、12 月時点で+2~3%の目標内に戻ると予想しています。また、RBA が CPI とともに重視する基調
インフレ率は 6 月時点でも+2~3%の目標内に収まるとの見通しが示されています。
RBA のインフレ率見通し
出所:RBA
1~3 月期 CPI の鈍化が緩やかとなり、基調インフレ率も+2%を割り込まなければ、RBA はしばらく様子
見(政策金利据え置き)を続ける可能性があります。一方で CPI が RBA の見通し以下まで鈍化する、あるい
は基調インフレ率が+2%を下回った場合、RBA は 5 月 5 日の理事会で追加利下げに踏み切る可能性があ
ります。そして、豪ドルには下押し圧力がかかりそうです。
【ニュージーランド】 RBNZ は利上げと利下げ両にらみ姿勢を維持か
RBNZ(NZ 中銀)は 3 月 12 日、政策金利を 3.50%に据え置くことを決定しました。今後の政策金利につ
いては、声明で「上昇あるいは低下になるかは今後の経済データ次第」と改めて表明、“次の一手は利上げ
と利下げ、どちらもあり得る”ことが示されました。
次回会合は 4 月 30 日に行われます。その際のカギとなりそうなのが、20 日に発表される NZ の 1~3 月
CPI(消費者物価指数)です。CPI は昨年 10~12 月期に前年比+0.8%となり、RBNZ のインフレ目標+1~
3%の下限を下回りました。
1~3 月期の CPI が一段と鈍化した場合、RBNZ の利下げ観測が再燃し、NZ ドルはいったん下落しそうで
す。
ただ、RBNZ は、今年 1~3 月期に前年比ゼロ%近辺まで一段と低下し、年内にわたり低水準にとどまるも
のの、中期的(具体的には 2017 年)にはインフレ目標(+1~3%)中央値の 2%に戻るとの見通しが示して
います。CPI が 10~12 月期の+0.8%から一段と低下したとしても、ゼロ%を大幅に下回らなければ、RBNZ
がただちに利下げに踏み切る可能性は低いとみられます。
RBNZ は 30 日の会合で、政策金利を据え置き、声明で政策スタンスは引き続き利上げと利下げの両に
らみであることが示される可能性が高いでしょう。そうなれば、利下げ観測は後退し、NZ ドルは上昇する展
開が予想されます。
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NZ の CPI 上昇率(前年比)
RBNZ の予想
(イメージ)
*赤枠は RBNZ のインフレ目標
出所:Bloomberg
【カナダ】 利下げや一段の原油安があればカナダドルに下落圧力も
米 FOMC が利上げ開始に慎重な姿勢をみせていることは、カナダドルにとってプラスでしょう。ただし、4 月
15 日の BOC(カナダ中銀)の会合に向けて、利下げ観測が強まるようであれば、カナダドルは軟調に推移す
るかもしれません。今年に入って、原油価格は比較的落ち着いて推移してきました。3 月中旬に WTI 先物価
格が一時 42 ドルをつけた後、足もとではやや反発しています。原油価格が再び下げるようであれば、その点
からもカナダドルに下落圧力が加わりそうです。
原油安を受けて、米国で稼働中のリグ(石油や天然ガスの掘削プラットフォーム)は今年に入って急減して
います。ところが、米国の原油生産量は増加を続けており、第二次石油ショック後のピークである 80 年代半
ばの水準を超えてきました。生産コストが安く、効率の高いリグでの生産に集中しているのかもしれません。
原油安が、設備投資の縮小や新規開発の中止を通じて、生産量の縮小をもたらし、それが原油高への
反転につながるには、まだ時間がかかるかもしれません。
2500
米国内の稼働リグ数
(基)
2000
1500
1000
500
0
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
「リグ」=原油&天然ガスの掘削・生産プラットフォーム
出所:Bloombergより作成
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1000
米国内の原油生産量
(万バレル/日)
900
800
700
600
500
400
300
83
88
93
98
2003
2008
2013
出所:Bloombergより作成
【トルコ】 エルドアン政権はいつまで沈黙を守れるか
3 月 17 日、TCMB(トルコ中銀)は政策金利を 7.50%で据え置きました。TCMB の声明では、「グローバル
な市場の不安定と、食料価格の上昇により、慎重な金融政策が必要だった」ことが、「据え置き」の背景で
す。また、先行きに関して「インフレ見通しの顕著な改善がみられるまで、慎重な金融政策を維持する」との
ことでした。
3 月 11 日、エルドアン大統領はバシュチュ TCMB 総裁らと会談して、トルコ経済や物価、金融政策、為替
相場などについて説明を受けました。これを契機に、エルドアン政権からは表立った利下げ要求は控えられ
ています。そのことがトルコリラの安定に少なからず寄与しているようです。
ただ、6 月 7 日の総選挙で獲得議席数を増やして憲法改正を目論むエルドアン大統領にとって、景気テコ
入れは重要な課題です。エルドアン政権から再び利下げ要求が強まるのか、それとも沈黙が守られるのか、
注目されるところです。また、クルド労働党(PKK)との和平プロセスが頓挫の危機にあること、与党(AKP)内
で不協和音が高まっていることなどは、トルコリラの下押し要因となる可能性がありそうです。
【南アフリカ】 CPI 鈍化も SARB の次の一手は「利上げ」?
3 月 18 日に発表された南アフリカの 2 月 CPI(消費者物価指数)は前年比+3.9%と、1 月の+4.4%から
鈍化し、2011 年 2 月以来 4 年ぶりの低い伸びとなりました。CPI は昨年 5 月と 6 月時点では前年比+6.6%
と、SARB(南アフリカ中銀)のインフレ目標+3~6%を上回っていました。それが一転して目標の下限に近づ
いています。
ただ、エコノミストは SARB が利下げを行うとは見ていないようです。ブルームバーグが 3 月 20 日時点で
調査した 15 人のエコノミストのうち、半数以上(9 人)が年末までの利上げを予想しました。6 人が政策金利
の「据え置き」を予想、利下げ予想は 0 人でした。
RBA(豪中銀)など資源国の中央銀行の次の一手は「利下げ」との見方があるなかで、SARB は年内にも
「利上げ」をする可能性があるとみられています。こうした金融政策見通しの違いは、南アランドの下支え要
因となりそうです。
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南アフリカの CPI(前年比)と SARB の政策金利
*赤枠は SARB のインフレ目標
出所:Bloomberg
(チーフアナリスト 西田明弘)
(アナリスト 八代和也)
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来週の主要経済指標・イベント
3月30日 21:30 【米】PCEコアデフレーター 前年比(2月)
当社予想
1.2%
市場予想
-
前回値
1.3%
FRBが重要視するPCEコアデフレータは1月まで上昇率が鈍化傾向だった。少なくとも上
向きに転じなければ、利上げ観測は高まらないとみられる
3月31日 23:00 【米】消費者信頼感指数(3月)
98.0
96.5
96.4
株高、原油安は信頼感の押し上げ要因。ドル高も輸入品価格の低下を通じて、消費者に
はプラスか
4月1日
8:50 【日】日銀短観 大企業製造業業況判断
【日】日銀短観 大企業製造業見通し
13
12
14
16
12
9
原油安や円安を背景とした景況感の改善にもやや頭打ち感が出そう。企業の想定ドル
円レートにも注目
23:00 【米】ISM製造業景況指数(3月)
54.5
52.8
52.9
2014年の平均は55.7(レンジ51.8~58.1)。寒波の影響があったとみられる1-2月から上
昇が期待される
4月3日
16:00 【トルコ】消費者物価上昇率(3月)前年比
7.80%
-
7.55%
食料品の価格上昇やトルコリラ安が物価押し上げに寄与か。インフレ率が鈍化するよう
なら、エルドアン政権から利下げ圧力も?
21:30 【米】非農業部門雇用者数変化(3月)
【米】失業率(3月)
25.0万人
5.6%
25.3万人
5.5%
29.5万人
5.5%
12-2月の平均(28.8万人)からペースダウンだが、20万人を超えていれば雇用はOK。失
業率の低下が続くなか、伸び悩む時間当り賃金が加速するかに注目
市場予想はBloomberg、3月26日10:00現在。発表日時は日本時間。
2015年9月までの金融政策の市場予想
政策金利%
利下げ
現状維持
利上げ
米国
0-0.25
0%
65%
35%
英国
0.50
29%
71%
0%
NZ
3.50
48%
52%
0%
カナダ
0.75
73%
27%
0%
ユーロ圏
0.05
65%
35%
0%
豪州
2.25
93%
7%
0%
OIS(翌日物金利スワップ)を用いた確率。3月25日時点
出所:Bloombergより作成
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【2015 年 4 月の通貨ペア別予想レンジ】
通貨ペア
ドル円
コメント
ユーロ円
コメント
ユーロドル
コメント
豪ドル円
コメント
豪ドルドル
コメント
NZドル円
コメント
NZドルドル
コメント
カナダドル円
コメント
ポンド円
コメント
香港ドル円
コメント
南アランド円
コメント
トルコリラ円
コメント
予想レンジ
117.00 ~ 123.50
下値は26週線水準、上値はプラス1.5σ(シグマ)水準を想定
124.50 ~ 137.50
下値は先行きのマイナス2σ水準、上値は先行きの26週線水準を想定
1.0000 ~ 1.1750
下値はパリティ水準、上値は先行きの26週線水準を想定
89.50 ~ 97.50
下値はマイナス2σ水準、上値はプラス0.5σ水準を想定
0.7400 ~ 0.8220
下値は先行きのマイナス2σ水準、上値は26週線水準を想定
86.50 ~ 94.50
下値はマイナス1σ水準、上値はプラス1.5σ水準を想定
0.7170 ~ 0.7880
下値は3月11日安値、上値は1月15日高値を想定
90.50 ~ 98.50
下値は21日線かい離率マイナス5.3%水準、上値は21日線水準を想定
174.20 ~ 185.40
下値はマイナス1.5σ水準、上値はプラス1σ水準を想定
15.08 ~ 15.91
米ドルと香港ドルの倍率を7.76として計算
9.55 ~ 10.45
下値はマイナス2σ、上値はプラス1σ水準を想定
44.50 ~ 48.50
下値は先行きのマイナス2σ水準、上値はマイナス0.5σ水準を想定
(2015/3/25時点)
(シニアアナリスト 山岸 永幸)
※このレンジ予想はテクニカル指標を基に客観的に判断しており、相場の行方を決定付けるものではございません。
最終的な投資判断はご自身の意思決断によりお取引頂きますようにお願いいたします。
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《テクニカル》
1.ドル円 (予想レンジ: 117.00 ~ 123.50 円)
[ドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ドル円週足のボリンジャーバンド(周期 26 週)で、週足はプラス 1σ(シグマ)を挟んだ上下動が続いており、
足もと、やや同線を下放れる動きを見せ始めています。26 週線が上向きであり、方向感は上向きと捉えら
れますが、上昇ピッチは緩慢といえそうです。
・各線の間隔がさらに狭まる = ボラティリティ(変動率)が低下する傾向が一層顕著となっています。
雇用統計や FOMC など、米経済イベントの結果次第では再びプラス 1σを超え、プラス 2σを目指すかも
しれませんが、指標の上振れが起きないと、こう着感の強い「レンジ相場」が続くかもしれません。
・下値節目としては、26 週線(3/25 時点 117.00 円)、または 2 月 6 日安値 117.04 円、などが挙げられま
す。
・一方、上値節目としては、プラス 1.5σ(同、123.41 円)、または 21 日線かい離率プラス 2.5%(平常時に
おけるプラスかい離率の上限)で 123.35 円、などが算出されます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のドル円の予想レンジを、117.00 ~ 123.50 円としました。
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2.ユーロ円 (予想レンジ: 124.50 ~ 137.50 円)
[ユーロ円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ユーロ円週足のボリンジャーバンドで、週足は一時マイナス 2σを下回る場面がみられましたが、その後は
マイナス 1σに近づく水準まで回復しました。
・1 月下旬にもマイナス 2σ割れが反発タイミングとなる場面があり、その後マイナス 1σを上回る水準まで
上昇が続いたことから、今回も同様の展開を辿る可能性が考えられるでしょう。
・一方、26 週線以下の各線は右下がりが続いており、依然として上値抵抗が強いとみられます。
マイナス 1σをやや上回る場合には、右下がりで推移する 26 週線が当面の上値メドと目されそうです。
・下値節目としては、マイナス 2σ(3/25 時点 125.88 円)が今後 1 ヵ月で 1.2 円ほど下落すると推測される
分を差し引いた 124.68 円、または、2013 年 6 月安値 124.98 円、などが挙げられます。
・上値節目としては、26 週線(同、138.55 円) が今後 1 ヵ月で 1.2 円ほど下落すると推測される分を差し
引いた 137.35 円、または 1 月 18 日の週の高値 137.59 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のユーロ円の予想レンジを、124.50 ~ 137.50 円としました。
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3.豪ドル円 (予想レンジ: 89.50 ~ 97.50 円)
[豪ドル円一目均衡表] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+3σ
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
-3σ
・豪ドル円のボリンジャーバンドで、週足はマイナス 1σを上回り、26 週線に近づきつつあります。
・米早期利上げ観測の後退で「ドル独り勝ち」に反転の兆しがみられることに加え、原油価格が回復傾向に
あり、資源国通貨の代表格と位置付けられる豪ドルが見直された側面もあるでしょう。
・ただ、26 週線以下の各線が右下がりで、戻りは限定的となる可能性も否定できません。ドルの一段安や、
原油価格上昇の継続など、さまざまな条件が揃えば 26 週線を超える場面もあるかもしれませんが、依然
として豪の利下げ観測も残り、上値の重さが払しょくされない可能性も考えられるでしょう。
・下値節目としては、2 月 3 日安値の 89.39 円、またはマイナス 2σ(3/25 時点 89.59 円)、などが挙げら
れます。
・上値節目としては、プラス 0.5σ(同、97.53 円)、または年初来高値(1/2 高値)の 98.09 円、などが挙げら
れます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の豪ドル円の予想レンジを、89.50 ~ 97.50 円としました。
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4.NZ ドル円 (予想レンジ: 86.50 ~ 94.50 円)
[NZ ドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・NZ ドル円週足のボリンジャーバンドで、週足は 26 週線を上回り、プラス 1σに近づいています。
豪ドル同様に、ドルの軟調、原油価格上昇が寄与したほか、大都市圏の住宅価格上昇をうけて RBNZ(NZ
中銀)が利下げに消極的な姿勢をみせていることも、NZ ドル買いに繋がりました。
・同じオセアニア圏にある豪ドル円と比べて NZ ドル円の水準(値位置)は高く、ドルやユーロが動きづらいなか
逃避的な NZ ドル買いが続くかもしれません。前回のリバウンド局面(今年 2 月いっぱい)では、4 週連続高と
なっており、今回もそれに似た推移となる可能性も考えられるでしょう。
・下値節目としては、マイナス 1σ(3/25 時点 86.64 円)、または週足一目均衡表の先行スパン上限で
86.30 円(4 月初旬時点)、などが挙げられます。
・上値節目としては、プラス 1.5σ(同、94.15 円)、または 21 日線かい離率プラス 5.3%(2014 年以降の最
大かい離率)で 94.63 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の NZ ドル円の予想レンジを、86.50 ~ 94.50 円としました。
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5.カナダドル円 (予想レンジ: 90.50 ~ 98.50 円)
[カナダドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・カナダドル円週足のボリンジャーバンドで、週足は右下がりで推移するマイナス 1σに沿って下値を切り下げ
る形となりました。
一時 50 ドル台半ばまで上昇した WTI 原油先物が 3 月中旬には 40 ドル台前半まで下落、産油国通貨で
あるカナダドルの重石となりました。
・WTI 原油先物は、3 月 25 日時点で 50 ドル近くまで戻し、回復感もみられます。原油価格が一層回復す
れば、カナダドル買いの支援材料となりそうです。一方、「シェール潰し」のために、OPEC は生産枠削減を
行わないとのスタンスを変えておらず、原油価格の急回復は望みづらいとみられます。
・カナダドル円は、しばらくマイナス 1σ近辺での狭いレンジでの推移が続くかもしれません。
・下値節目としては、マイナス 2σ(3/25 時点 90.80 円)、または 21 日線かい離率マイナス 5.3%(2015 年
以降の最大マイナスかい離率)で 90.49 円、などが挙げられます。
・上値節目としては、26 週線(同、98.54 円)、または、昨年 12 月 8 日高値から今年 1 月 30 日安値の下
げ幅の「半値戻し」で 99.12 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のカナダドル円の予想レンジを、90.50 ~ 98.50 円としました。
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6.ポンド円 (予想レンジ: 174.20 ~ 185.40 円)
[ポンド円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ポンド円週足のボリンジャーバンドで、週足は 26 週線を下回り、マイナス 1σに近づきました。ただ、同線を
割り込むことなく、下値の堅さも感じられます。
・QE(量的緩和)を開始したユーロの大幅な下落に影響されたこと、原油安、足もとの経済指標の下振れが
ポンド安に繋がったとみられます。
ただ、引き続き、先進国中では米国に次いで、利上げ時期が早いと推測される国と目されている点からは、
利上げ観測が再燃する可能性は考えられそうです。
・週足ボリンジャーバンドで、各線が横ばいに入り、ややこう着感が高まっています。大幅な上昇は望みづら
いものの、下値の堅さが続くかもしれません。
・下値節目としては、週足一目均衡表の先行スパン上限(4 月初旬時点)で 174.33 円、またはマイナス 1.5
σ(3/25 時点)の 174.12 円、などが挙げられます。
・上値節目としては、プラス 1σ(同、185.42 円)、または 2 月 26 日高値 184.99 円をやや上回る水準、な
どが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のポンド円の予想レンジを、174.20 ~ 185.40 円としました。
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7.南アランド円 (予想レンジ: 9.55 ~ 10.45 円)
[南アランド円ボリンジャーバンド] (週足、2014/9/21~2015/3/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・南アランド円週足のボリンジャーバンドで、週足は一時マイナス 1σを割り込み、マイナス 2σに近づきまし
たが、足もとは 26 週線に近づく水準まで上昇。底堅い推移が続いています。
・他の資源国・新興国通貨同様に、原油価格の推移や、ドルの値動きに左右される側面が大きいとみられ
ます。
原油価格が一段と回復すれば、南アランド円は 26 週線を超え、プラス 1σを目指す可能性があると推測
されます。2 月下旬水準の 10 円台半ばに近づくかもしれません。
・一方、原油価格が再び軟調となったり、「米ドル独り勝ち」が復活したりする場合には、マイナス 2σ水準へ
押し戻される可能性も想定されます。
・下値節目としては、マイナス 2σ(3/25 時点 9.58 円)、または週足一目均衡表の先行スパン下限 9.54 円、
などが挙げられます。
・上値節目としては、ボリンジャーバンドのプラス 1σ(同 10.47 円)、または 2 月 26 日高値 10.41 円、など
が挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の南アランド円の予想レンジを、9.55 ~ 10.45 円としました。
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8.トルコリラ円 (予想レンジ: 44.50 ~ 48.50 円)
[トルコリラ円ボリンジャーバンド] (週足、2014/8/17~2015/2/25、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・トルコリラ/円の週足ボリンジャーバンドでは、週足は一時マイナス 2σに近づきましたが、トルコ中銀が利下
げを見送ったことから、マイナス 1σ近くまで値を戻しました。
・利下げ見送りでトルコ中銀の中立性が保たれたことが評価され、トルコリラは買い戻されました。しかしエル
ドアン大統領による「利下げ圧力」は依然強いとみられ、再びトルコリラが軟調に転じる可能性は少なくない
と推測されます。
6 月 7 日の総選挙を控え、直前には政府与党が「票集め」のための景気刺激策の一環として、トルコ中銀
に対して利下げ圧力を再び高める可能性も考えられます。トルコリラ円が下振れする可能性に十分に注意
する必要がありそうです。
・下値節目としては、マイナス 2σ(3/25 時点 44.85 円)が今後 1 ヵ月で 0.24 円ほど下落すると推測される
分を差し引いた 44.61 円、または、3 月 5 日安値から 24 日高値の値幅の「倍返し」で 44.17 円、などが
挙げられます。
・上値節目としては、日足一目均衡表の先行スパン下限で 48.77 円(同)、またはマイナス 0.5σ(同、48.38
円)、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のトルコリラ円の予想レンジを、44.50 ~ 48.50 円としました。
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(その他の通貨)
9.ユーロドル (予想レンジ: 1.0000 ~ 1.1750 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2.5σが今後 1 ヵ月で 0.015 ドルほど低下すると推測さ
れる分を差し引いた 1.0007 ドル(3/25 時点)、またはパリティ(ユーロ = ドル)水準。
・上値の節目は、26 週線(3/25 時点 1.1856 ドル)が今後 1 ヵ月で 0.015 ドルほど低下すると推測される分
を差し引いた 1.1706 ドル、または昨年 12 月 16 日高値から今年 3 月 13 日安値までの下げ幅の 61.8%
戻しで 1.1760 ドル。
10.豪ドルドル (予想レンジ: 0.7400 ~ 0.8220 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2σ(2/20 時点 0.7543 ドル)が今後 1 ヵ月で 0.016 ド
ルほど低下すると推測される分を差し引いた 0.7383 ドル、または 21 日線かい離率マイナス 5.4%水準で
0.7382 ドル(同)。
・上値の節目は、26 週線 (同 0.8463 ドル)が、今後 1 ヵ月で 0.024 ドルほど低下すると推測される分を差し
引いた 0.8223 ドル、または日足一目均衡表の先行スパン上限で 0.8220 ドル前後(3 月初旬時点)。
11.NZ ドルドル (予想レンジ: 0.7170 ~ 0.7880 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2σ(2/20 時点 0.7284 ドル)が、今後 1 ヵ月で 0.0136
ドルほど低下すると推測される分を差し引いた 0.7148 ドル、または 2 月 3 日の安値 0.7176 ドル。
・上値の節目は、26 週線 の 0.7795 ドル(同)、または日足一目均衡表の先行スパン上限で 0.7789 ドル
(同)。
12.香港ドル円 (予想レンジ: 15.08 ~ 15.91 円)
・香港ドルはドルペッグのため、ドル円と香港ドルの倍率を 7.76 倍(3/25 時点)として計算。
・下値の節目は、15.08 円、上値の節目は、15.91 円。
(シニアアナリスト 山岸 永幸)
※このレンジ予想はテクニカル指標を基に客観的に判断しており、相場の行方を決定付けるものではございません。
最終的な投資判断はご自身の意思決断によりお取引頂きますようにお願いいたします。
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<執筆者>
西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフアナリスト
1984 年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを
経て、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテ
ジストとして高い評価を得る。2012 年 9 月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市
場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2J の WEB サイトで「市場調査部レポート」、
「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑
誌など様々なメディアに出演し、活躍中。
山岸 永幸(やまぎし ながゆき)
市場調査部 シニアアナリスト
1986 年、ユニバーサル証券(現、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券)入社後、株式ス
トラテジスト、アナリスト、チャーチスト、先物トレーダーなど株式業務全般に携わる。
1987 年に出向先の大和証券で「一目均衡表」に出会って以降、28 年間にわたり、均
衡表と実践的な活用法を探究。2012 年春マネースクウェア・ジャパンに入社。セミナ
ー講師として多数の顧客にノウハウを伝えるとともに、多数のレポートを配信。また、
様々なメディアに出演し、活躍中。
八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 アナリスト
2001 年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レ
ポートの執筆など FX 業務に携わる。2011 年 12 月、マネースクウェア・ジャパンに入
社。市場調査部に所属し、豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした
「オセアニア・レポート」を執筆している。FX に携わり 11 年。
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す。
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0120-455-512 (9:00~22:00 土日を除く)
株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)
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関東財務局長(金商)第 2797 号
(加入協会) 一般社団法人金融先物取引業協会
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