市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

2015 年 4 月 24 日(金)発行 No.011
市場調査部レポート
0
マンスリー・アウトルック(2015/5)
米ドルは上昇基調に回帰するか
~2015 年 5 月の見通し~
《ファンダメンタルズ》
米経済指標が明るさをみせることで、ドルは次第に上昇基調に回帰すると考えていますが、そうならない可
能性にも留意する必要がありそうです。欧州では引き続き「政治」がユーロやポンドの下落要因となりそうで
す。ギリシャのデフォルトの可能性も排除できません。原油価格が堅調に推移するのであれば、資源国通貨
をサポートしそうです。RBA(豪中銀)が利下げすれば豪ドルはいったん下落、その後は鉄鉱石価格に影響を
受けそうです。トルコリラが下げ止まるかは、エルドアン政権の利下げ圧力と TCMB の動向が大きな鍵を握り
そうです。
<主要国の動向>
・【米国】 正念場を迎えつつある!?米景気
・【日本】 日銀は引き続き、2%のインフレ目標達成を「展望」できるか
・【ユーロ圏】 ギリシャのデフォルトは一時的にせよユーロ安要因か
・【英国】 総選挙後も政治の不透明が続けばポンドの重石に?
<資源国・新興国の動向>
・【オーストラリア】 追加利下げが行われれば豪ドル下落も、長続きしない可能性あり
・【ニュージーランド】 4 月 30 日の会合では現状維持の見通し、NZ ドルは堅調な展開を予想
・【カナダ】 原油価格の反発がカナダドルをサポート、追加利下げは「なし」?
・【トルコ】 TCMB(トルコ中銀)は「利上げ」を温存か
・【南アフリカ】 計画停電が景気を下押しでも、SARB は「利上げ」に接近!?
《テクニカル・予想レンジ》
・【ドル円 : 117.0 ~ 122.5 円】
下値はマイナス 1σ(シグマ)、上値はプラス 2σを想定
・【ユーロ円: 121.0 ~ 134.0 円】
下値は先行きのマイナス 2σ、上値はプラス 0.5σを想定
・【トルコリラ円: 41.5 ~
47.0 円】
下値はマイナス 2.5σ、上値はマイナス 0.5σを想定
・・・ほか当社取扱 11 通貨ペアのテクニカルポイントを解説
1
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≪ファンダメンタルズ≫
4 月はドルが軟調でした。ドル円こそ 120 円前後(主に 120 円より下)で小動きでしたが、原油価格の反発
もあって、カナダドルや豪ドル、NZドルなどの資源国通貨の対ドルでの上昇が目立ちました。5 月 7 日に総選
挙を控える英ポンドも堅調でした。ユーロはギリシャ問題が重石となって揉み合いでしたが、対ドルでは 3 月
の安値を下回りませんでした。一方で、トルコリラは対ドルで最安値を更新、中央銀行のリラ防衛策もさほど
効果はありませんでした。
ドル軟調の背景は、米景気が改善の兆しをみせないために、利上げ観測が大きく後退したことです。政策
金利(FF レート)先物に基づけば、市場予想は年内に 1 度利上げが出来るかどうかです(4 月 23 日時点で、
12 月 FOMC での利上げ確率が 53%)。4 月以降の経済指標が明るさをみせることで、次第にドルが上昇基
調に回帰すると考えていますが、そうならない可能性にも留意する必要がありそうです。
欧州では引き続き政治がユーロやポンドの下落要因となりそうです。ギリシャとユーロ圏の交渉は長引く可
能性があり、ギリシャのデフォルト(債務不履行)も現実味を増しています。英国の総選挙の結果、政治の不
透明が続くようであれば、ポンドの重石となりそうです。
米国の原油生産量がピークアウトしつつあり、原油需給に改善の兆しがあります。今後も原油価格が堅調
に推移するのであれば、資源国通貨をサポートしそうです。RBA(豪中銀)が利下げすれば豪ドルはいったん
下落しそうですが、その後は下げ止まりの兆しがみえる鉄鉱石価格次第で堅調に推移するかもしれません。
トルコリラは、対ドルで最安値圏での推移が続いており、TCMB(トルコ中銀)が利上げに踏み切るまで下落
基調が止まらないとの見方が根強くあります。6 月の総選挙を前に、エルドアン政権の利下げ圧力と TCMB
の動向が大きな鍵を握りそうです。
5月の金融政策決定会合スケジュール
日付
5日
11日
20日
22日
27日
中央銀行 国・地域
政策変更の可能性
RBA
豪州
2.25%⇒2.00%へ利下げ
BOE
英国
0.50%⇒0.75%へ利上げ
TCMB
トルコ (リラ防衛のための利上げ)
BOJ
日本
(サプライズ効果は考えていない)
BOC
カナダ 0.75%⇒0.50%へ利下げ
確率
55.2%
0.0%
NA
NA
8.1%
「確率」はOIS(翌日物金利スワップ)に基づく市場予想(4/23時点)
「政策変更の可能性」は筆者の定性判断を含む
出所:Bloombergより作成
2
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<主要国の動向>
【米国】 正念場を迎えつつある!?米景気
ブルームバーグが提供している米景気サプライズ指数は、日々発表される経済指標のうち、予想を上回
るもの(ポジティブ・サプライズ)が増えると上昇し、逆に市場予想を下回るもの(ネガティブ・サプライズ)が増
えると低下します。昨年の初めも寒波の影響が大きかったため、景気サプライズ指数は急低下しましたが、
2 月中旬に底打ちし、4 月の中旬にはほぼゼロ近辺まで回復しました。ところが、今年は年初にマイナスにな
った同指数が 4 月中旬になってようやく下げ止まり感が出てきましたが、まだ底打ちが確認できたわけではあ
りません。
4 月 29 日発表の 1-3 月期GDPは、市場予想が前期比年率+1.0%と、前期(同+2.2%)から大きく減速
する見通しです。ただ、アトランタ連銀の短期予測モデルによると、4 月 16 日時点の予測は前期比年率
+0.1%となっており(24 日に最新予測が公表されます)、市場予想は高すぎるかもしれません。1-3 月期の
GDP が市場予想を大きく下回るようなら、利上げ観測の一段の後退によりドルに下落圧力が加わりそうで
す。
5 月 1 日のISM製造業景況指数や 8 日の雇用統計をはじめ、4 月の経済指標は明るいものが増え始め、
改めてFRBの利上げのタイミングを探る状況が訪れると考えています。ただ、ドル高や原油安が景気の重石
になり続けているのであれば、景気が明確には立ち直りをみせず、ドルの軟調が続く可能性も否定できませ
ん。正念場を迎えつつある米景気を一段と注視する必要がありそうです。
米景気サプライズ指数
0.8
ポジティブ・サプライズ
↑
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
↓
ネガティブ・サプライズ
-1.0
2012
2013
2014
2015
「景気サプライズ指数」は、市場予想を上回る(ポジティブ・サプライズの)経済指標が増
えると上昇し、下回る(ネガティブ・サプライズの)経済指標が増えると低下する
出所:Bloombergより作成
【日本】 日銀は引き続き、2%のインフレ目標達成を「展望」できるか
2 月の消費者物価は、食料とエネルギーを除く「コアコア」が前年比+2.0%と、日銀の物価目標と同じでし
た(3 月分は 5 月 1 日発表)。もっとも、日銀によれば、2014 年 4 月の消費税率引き上げの影響が+1.7%
分あるので、それを除けば+0.3%にとどまったことになります。5 月 29 日に発表される 4 月の消費者物価は
「前年比」の比較対象が既に消費税率が上がっていた 2014 年 4 月なので、消費税率引き上げの影響はほ
ぼなくなります。つまり、発表されるヘッドラインの数字自体が 0%台前半になる公算が大です。そうであって
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も、日銀は 2%のインフレ目標達成に自信を示し続けることができるでしょうか。
「経済と物価情勢の展望(展望レポート)」が公表される 4 月 30 日の金融政策決定会合ではないとしても、
7 月の「展望レポート」中間評価、あるいは 10 月の新しい「展望レポート」に向けて追加緩和期待が高まり、
円安材料となる可能性がありそうです。
日本の消費者物価上昇率
(前年比%)
3.0
2.0
日銀の目標:2.0%
1.0
0.0
-1.0
コアコア
同上、消費税増税の効果を除く
-2.0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
「コアコア」は食品とエネルギーを除く
2014年4月の消費税増税(5⇒8%)の効果は+1.7%
出所:Bloomberg、日銀資料より作成
【ユーロ圏】 ギリシャのデフォルトは一時的にせよユーロ安要因か
ギリシャとユーロ圏の交渉が延々と続いています(本稿執筆は 4 月 24 日ユーロ圏財務相会合の前であり、
会合で何らかの合意に至る可能性はあります)。これまで幾つかの期限が設定されましたが、いずれも確固
たるものではありませんでした。ギリシャ政府が資金繰りの苦しいなかでも、公的積立金や地方政府の資金
を流用しているからであり、ギリシャの民間銀行がギリシャ国債を担保に ECB から緊急流動性支援を受けて
ギリシャ政府を側面支援しているからです。
ただし、ギリシャ政府がいつデフォルト(債務不履行)しても不思議ではありません。一部の支払いを遅延さ
せたり、債権者との間で債務再編に合意したりしても、デフォルトと認定される場合があるからです。関係者
から「ギリシャはデフォルトするかもしれないが、それは必ずしもユーロ離脱を意味しない」との発信があるのも、
換言すればユーロ離脱の可能性はまだ非常に低いが、デフォルトはあり得るということかもしれません。
一方で、ギリシャの改革案が承認され、支援金の残り 72 億ドルが支払われるとしても、それで問題解決と
はなりません。6 月一杯で現行の支援策が終了した後、7 月と 8 月には ECB が保有するギリシャ国債約 70
億ドルが償還を迎えることになっており、ギリシャが改めて資金不足に陥る可能性があります。新たな支援策
が必要になるかもしれません。ギリシャ問題は引き続き金融市場の潜在的リスクとなりそうです。
他方、ユーロ圏景気は回復基調を強めています。原油安、ユーロ安、ECB の QE(量的緩和)を背景とした
株高や金利低下が景気を刺激しているためでしょう。この点は、ギリシャ問題が解決へ向かえば、ユーロが
反発を強める可能性を示唆しています。
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【英国】 総選挙後も政治の不透明が続けばポンドの重石に?
4 月 9 日の MPC(金融政策委員会)で、BOE(英中銀)は現状維持を決定しました。22 日に公表された議
事録によれば、全委員が決定に賛成し、また「次の一手は利上げ」という点でも意見の一致をみました。先
進国中銀のなかで、BOE が米 FRB に次いで利上げに近いだろうとの点は、ポンドの支援材料になりそうで
す。
一方で、5 月 7 日投開票の総選挙はポンドの重石になるかもしれません。総選挙は、単独で過半数の議
席を獲得する政党がない、いわゆる「ハング・パーラメント」となる可能性が高そうです。また、各種世論調査
によると、与党保守党と最大野党労働党の支持率は 30%台半ばで拮抗しており、「ハング・パーラメント」と
なった場合に、いずれが連立工作で主導権を握るのかは現時点では判然としません。保守党が連立を組
んでいた自由民主党が支持を落とし、一方で EU 離脱を公約している独立党が支持を伸ばしている点も、事
態を複雑にしています。選挙後も、政権が確定するまでに数日から数週間かかる可能性もあり、その場合
は政治の不透明が続くことでポンドに下落圧力が加わる局面もあるかもしれません。
<資源国・新興国の動向>
【オーストラリア】 追加利下げが行われれば豪ドル下落も、長続きしない可能性あり
4 月 22 日に発表された豪州の 1-3 月期 CPI(消費者物価指数)は前年比+1.3%と、10-12 月期の
+1.7%から鈍化し、RBA(豪中銀)のインフレ目標の下限である+2%を一段と下回りました。一方、RBA が
CPI とともに重視する基調インフレ率は前年比+2.35%と、10-12 月期の+2.30%から上昇率が高まりまし
た。
豪州のインフレ率
出所:Bloomberg
RBA は 4 月 7 日の理事会で、2 月の利下げの効果を見極めるため、“インフレ”などの指標を確認する必
要があるとの判断から政策金利を 2.25%に据え置いたことが議事録で明らかになりました。
RBA は 5 月 5 日に理事会を開催しますが、「一段と鈍化した CPI、鉄鉱石価格の低迷」と「基調インフレ
率の上昇、住宅市場への懸念」の狭間で、追加利下げに踏み切るかどうか難しい判断に迫られそうです。
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下のグラフは、1997 年以降の RBA の政策金利変更(利上げと利下げ)を月別にまとめたものです。
月別のRBAの政策金利変更回数(1997 年以降)
※赤はRBA四半期金融政策発表月の回数
※1 月は通常、理事会の開催なし
出所:ロイター
RBA は 1997 年以降、合計 48 回政策金利を変更していますが、そのうち 2・5・8・11 の 4 か月が計 25
回で約 52%を占めており、その他の月よりも政策変更の確率が高くなっています。2・5・8・11 月に政策変
更が行われることが多い理由として、この月に RBA の四半期金融政策報告が公表されることや、前月に CPI
が発表されることが挙げられます。12 月も 7 回政策変更が行われていますが、RBAは通常、1 月に理事会
を開催しません。理事会の間隔があくことが影響しているとみられます。
一方、6 月と 7 月はそれぞれ 2 回と 1 回しか政策変更は行われておらず、この 2 か月は政策変更の確
率が低い月と言えそうです。
以上を踏まえると、5 月 5 日の理事会で、政策金利の据え置きと利下げのどちらの結果になっても、その
後、政策金利は 6・7 月と据え置かれる可能性が高いと言えるかもしれません。
5 月 5 日の理事会で政策金利が据え置かれれば、豪ドルは堅調に推移しそうです。追加利下げが決定
された場合、豪ドルは下落するでしょう。ただ、5 月の利下げは市場にある程度織り込まれていると考えられ
ます。また、上記のように過去の RBA の政策変更月を踏まえると、政策金利は 6・7 月と据え置かれる可能
性があります。RBA の利下げを受けた豪ドル下落は長続きしないかもしれません。
【ニュージーランド】 4 月 30 日の会合では現状維持の見通し、NZ ドルは堅調な展開を予想
4 月 20 日に発表された NZ の 1-3 月期 CPI(消費者物価指数)は前年比+0.1%と、10-12 月期の+0.8%
から鈍化。RBNZ(NZ 中銀)のインフレ目標の下限である+1%を大きく下回りました。
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NZ の CPI 上昇率(前年比)
出所:Bloomberg
インフレ圧力の低下は、利下げの理由となりますが、RBNZ は 3 月 12 日の声明で、1-3 月期の CPI はゼ
ロ%近辺になるとの見通しを示しています。今回の CPI の結果は、RBNZ の見通し通りと言えることから、
RBNZ は 4 月 30 日の政策会合で政策金利を 3.50%に据え置き、声明では「中立(利上げと利下げの両睨
み)」との金融政策スタンスが改めて示されるとみられます。「NZ ドルの評価」が声明における焦点の 1 つと
なりそうですが、貿易加重ベースの NZ ドルをみると、依然高止まりしています。前回 1 月の「貿易加重ベー
スでは、NZ ドルは依然として正当化できないほど高く、持続不可能」との評価が維持されるとみられますが、
もし見方に変化があった場合、NZ ドルは大きく反応する可能性もありますので、注意が必要です。
NZ ドル貿易加重指数
出所:RBNZ
4 月 30 日の会合で政策金利が据え置かれ、声明の内容も 1 月とあまり変化がなければ、先進国の中で相
対的に金利水準の高い NZ ドルは選好されやすいとみられ、NZ ドル/円は堅調に推移しそうです。
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【カナダ】 原油価格の反発がカナダドルをサポート、追加利下げは「なし」?
BOC(カナダ中銀)は今年 1 月 21 日にサプライズで利下げを実施、当時ポロズ総裁は、「原油安により、イ
ンフレ見通しや金融市場の下方リスクが増大しており、そうしたリスクに対する保険である」とコメントしました。
同総裁は 4 月 21 日の講演で、「あの『保険』は適切な分量であった」と語り、追加利下げが検討対象でない
ことを示唆しました。一方で、自身の予想の最大のリスクは「米国景気の上振れ」だとして、カナダ景気が米
景気にけん引されるシナリオにも言及しました。
原油価格は 3 月中旬以降にジリジリと上昇しています。今後も原油価格の堅調が続き、また米景気が立ち
直りをみせるのであれば、BOC の「次の一手」は利上げとなり、カナダドルの(とくに対円での)サポート材料と
なりそうです。
(ドル・カナダドル)
カナダドルと原油価格
(ドル/バレル)
1.30
40
カナダドル:左目盛
原油価格:右逆目盛
1.20
↑
カナダドル安
原油安
60
1.10
80
1.00
100
0.90
120
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所:Bloombergより作成
【トルコ】 TCMB(トルコ中銀)は「利上げ」を温存か
4 月 22 日の会合で、TCMB(トルコ中銀)はリラ防衛策を打ち出しました。ただ、それらはマイナーな措置で、
前週に TCMB が予告した内容を超えるものではなかったので、発表を受けてリラは下落しました。市場では、
TCMB が政策金利を引き上げない限り、リラ安に歯止めがかからないとの見方が根強くあります。
リラは対ドルで 4 月 23 日に 2.734 リラの最安値をつけました。これは TCMB がリラ防衛のために大幅な利
上げに踏み切った昨年 1 月の 2.39 リラより 10%以上割安な水準です。ただし、インフレ率の格差を考慮し
たリラの実質実効レートは昨年 1 月より高い水準にあり、それが同水準に低下するまでは利上げをしないとの
見方もあります。リラの実質実効レートが昨年 1 月と同水準になるのは、対ドルに換算すると 3 リラ程度です。
(次ページ図参照)
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(2003年=100)
トルコリラの実質実効レート
140
130
↑
トルコリラ高
120
110
100
90
リラ防衛のための利上げ
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
80
「実質実効レート」は対多通貨で、インフレ率格差を考慮したうえで貿易ウェイト
で加重平均したもの。いわば通貨の「実力」。直近データは今年3月時点
出所:TCMB(トルコ中央銀行)データより作成
リラ安の背景は、6 月の総選挙の不透明感、エルドアン政権からの利下げ圧力、FRB の利上げ観測などで
す。それらの要因は今後も残るとみられ、強まる可能性もあります。TCMB はそうした状況に備えて、利上げ
を温存しているのかもしれません。リラ相場および TCMB の動向には引き続き注意が必要でしょう。
【南アフリカ】 計画停電が景気を下押しでも、SARB は「利上げ」に接近!?
南アフリカは電力不足が日常化して、頻繁に計画停電を行っており、景気の下押し要因となっています。
その一方で、ランド安、原油価格の反発、食用価格の上昇や電力料金引き上げなどによって、インフレ圧力
は強まりそうです。
3 月 26 日の会合で政策金利の「据え置き」を決定した後、SARB(南アフリカ中銀)のクガニャゴ総裁は、
「前回は金利正常化(=利上げ)のサイクルにおける小休止を議論したが、もはやその余裕はない」と語り、
利上げが近づいている可能性を示唆しました。また、4 月 19 日には、ミネレ副総裁が、「今年初めは金利
正常化において小休止が可能だったが、インフレ見通しの悪化によって柔軟性を失いつつある」と同様の発
言をしています。
今年前半中に利上げを予想する声はあまり聞かれませんが、今年後半に利上げが実施されれば、南ア
ランドの支援材料になりそうです。
(チーフアナリスト 西田明弘)
(アナリスト 八代和也)
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来週の主要経済指標・イベント
4月29日 21:30 【米】GDP速報値 前期比年率(1-3月期)
当社予想
0.1%
市場予想
1.0%
前回値
2.2%
アトランタ連銀の短期予測モデルでは、1-3月期のGDP予測は前期比年率+0.1%にとど
まる(4月16日時点)。市場予想を大きく下回れば、ドル安要因になりそう
4月30日
【日米】安倍首相、米上下両院合同会議で演説(28日に日米首脳会談)
3:00 【米】FOMC金利誘導目標発表
0-0.25%
0-0.25%
0-0.25%
3月に声明文を「忍耐強く」から「合理的に自信が持てる時」へ修正。4月の利上げ開始は
ありそうもないと宣言された。今回は珍しく「無風」か。ただし、景気や物価の判断には要
注目。ドル高の悪影響への言及があれば、ドル安要因か
6:00 【NZ】RBNZ政策金利発表
3.50%
3.50%
3.50%
4/23にRBNZ総裁補佐が「現時点で利上げは検討していない」と発言。利上げ観測の後
退によりNZドルは下落。そのため政策決定が「現状維持」なら織り込み済みか
【日】日銀金融政策発表
「経済と物価情勢の展望(展望レポート)」公表。2016年以降の物価見通しが下方修正さ
れるかどうか。4/23に黒田総裁が「サプライズ効果を考えていない」と語ったことで、追加
緩和の可能性は大きく後退
21:30 【米】PCEコアデフレーター 前年比(3月)
1.5%
1.4%
1.4%
もう一つの消費者物価であるCPIのコアは3月に1.8%と、2月の1.7%から小幅加速した
が、PCEも同様に加速するか
5月1日
23:00 【米】ISM製造業景況指数(4月)
54.0
52.0
51.5
昨年は寒波の悪影響で1月に51.8に低下した後、2月以降は54-56水準まで反発した。今
年、同水準に戻らなければ、ドル高の悪影響が大きいと判断できそう(ドル安要因)
市場予想はBloomberg、4月24日10:00現在。発表日時は日本時間。
2015年10月までの金融政策の市場予想
政策金利%
利下げ
現状維持
利上げ
米国
0-0.25
0%
65%
35%
英国
0.50
17%
70%
13%
NZ
3.50
53%
47%
0%
カナダ
0.75
46%
54%
0%
ユーロ圏
0.05
68%
31%
1%
豪州
2.25
84%
16%
0%
OIS(翌日物金利スワップ)を用いた確率。4月23日時点
出所:Bloombergより作成
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【2015 年 5 月の通貨ペア別予想レンジ】
通貨ペア
ドル円
コメント
ユーロ円
コメント
ユーロドル
コメント
豪ドル円
コメント
豪ドルドル
コメント
NZドル円
コメント
NZドルドル
コメント
カナダドル円
コメント
ポンド円
コメント
南アランド円
コメント
トルコリラ円
コメント
予想レンジ
117.0 ~ 122.5
下値はマイナス1σ(シグマ)、上値はプラス2σを想定
121.0 ~ 134.0
下値は先行きのマイナス2σ、上値はプラス0.5σを想定
1.00 ~ 1.12
下値はマイナス2σをやや下回る水準、上値はマイナス0.5σを想定
88.5 ~ 97.0
下値はマイナス2σ、上値は1月20日高値を想定
0.74 ~ 0.80
下値はマイナス2σ、上値は26週線を想定
88.5 ~ 94.0
下値はマイナス1σ、上値はプラス1.5σを想定
0.73 ~ 0.79
下値はマイナス2σ、上値はプラス1.5σを想定
94.0 ~ 100.5
下値はマイナス1σ、上値はプラス1.5σを想定
174.0 ~ 185.0
下値はマイナス2σ、上値はプラス1σを想定
9.6 ~ 10.2
下値はマイナス2σ、上値は26週線を想定
41.5 ~ 47.0
下値はマイナス2.5σ、上値はマイナス0.5σを想定
(2015/4/23時点)
(シニアアナリスト 山岸 永幸)
※このレンジ予想はテクニカル指標を基に客観的に判断しており、相場の行方を決定付けるものではございません。
最終的な投資判断はご自身の意思決断によりお取引頂きますようにお願いいたします。
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《テクニカル》
1.ドル円 (予想レンジ: 117.0 ~ 122.5 円)
[ドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ドル円週足のボリンジャーバンド(周期 26 週)で、週足は 26 週線とプラス 1σ(シグマ)の間の狭いレンジで
推移しています。26 週線は緩やかな右上がりが続いていますが、プラス 1σやプラス 2σは低下しており、
上値抵抗線の重さが意識される展開となっています。
・各線の間隔が狭まる = ボラティリティ(変動率)が低下する傾向が一層顕著となっており、ドル円相場は
「レンジ相場」に移行したと捉えられます。26 週線以下の各線が右上がりで、下値サポートは強いものの、
仮にプラス 2σまで上値が伸びたとしても、同線は急速に低下しており、上値の伸びは限定されそうです。
ここもとの米経済指標の下振れもあり、こう着感の強い推移が続くかもしれません。
・下値節目としては、マイナス 1σ(4/23 時点 116.77 円)、または週足一目均衡表の基準線(同 117.29
円)、などが挙げられます。
・一方、上値節目としては、プラス 2σ(同、122.65 円)、または 21 日線かい離率プラス 2.5%(平常時にお
けるプラスかい離率の上限)で 122.64 円、などが算出されます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のドル円の予想レンジを、117.0 ~ 122.5 円としました。
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2.ユーロ円 (予想レンジ: 121.0 ~ 134.0 円)
[ユーロ円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ユーロ円週足のボリンジャーバンドで、週足は右下がりで推移するマイナス 1σとマイナス 2σの間で推移。
ただ、マイナス 1σに近い水準で保ち合っており、足もとは比較的底堅い動きとなっています。
・ドル円と逆に、各線の間隔が拡がる = ボラティリティ(変動率)が高まる傾向がみられ、ユーロ円相場は
「トレンドを作り易い形」とみられます。今のところは、マイナス 1σとマイナス 2σに挟まれた、緩やかな下落
トレンドの途中と解釈され、上限のマイナス 1σに近い水準にあることからは、今後は下押し圧力が高まり
易いタイミングといえそうです。ギリシャ問題が悪化すると、マイナス 2σに近づく場面もありそうです。
・一方、もしもマイナス 1σを上回れば、マイナス 0.5σ(マイナス 1σと 26 週線の中間値)程度までの上昇は
ありそうです。ただ、2 月高値の 136.68 円を超えることは難しいと推測されます。
・下値節目としては、マイナス 2σ(4/23 時点 122.64 円)が今後 1 ヵ月で 1.65 円ほど下落すると推測され
る分を差し引いた 120.99 円、または 21 日線かい離率マイナス 5.9%(2015 年の最大マイナスかい離率)
で 121.23 円、などが挙げられます。
・上値節目としては、マイナス 0.5σ(同 133.64 円)、または 2014 年 10 月安値の 134.13 円、などが挙げ
られます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のユーロ円の予想レンジを、121.0 ~ 134.0 円としました。
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3.豪ドル円 (予想レンジ: 88.5 ~ 97.0 円)
[豪ドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・豪ドル円の週足ボリンジャーバンドで、週足は足もと、マイナス 1σをやや上回りつつあります。
・26 週線以下の各線は右下がりが続いていますが、下げピッチは比較的少なく、下げ圧力はさほど強くない
ようです。22 日に発表された豪 CPI が市場予想を上回り、利下げ観測が後退したこともあり、上値は 26 週
線をやや超える水準まで伸びる可能性も想定されます。
・一方、豪州経済と関連の深い中国の景気減速懸念や、鉄鉱石など資源価格の低迷から、下振れの可能
性にも引き続き留意する必要があります。ただ、上述のような豪経済指標の好転などから、今年 2 月安値
89.39 円を大きく下回る可能性は、やや遠のいたかもしれません。
・下値節目としては、マイナス 2σ(4/23 時点 88.57 円)、または 2014 年 2 月安値 88.25 円、などが挙げ
られます。
・上値節目としては、週足一目均衡表の先行スパン上限(5 月中旬時点、97.28 円)、または 1 月 20 日の
高値 97.33 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の豪ドル円の予想レンジを、88.5 ~ 97.0 円としました。
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4.NZ ドル円 (予想レンジ: 88.5 ~ 94.0 円)
[NZ ドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・NZ ドル円週足のボリンジャーバンドで、週足は 2 月中旬以降、緩やかに右上がりで推移する 26 週線に支
えられるような上昇が続いています。NZ 都市部での地価上昇から RBNZ(NZ 中銀)の利下げ観測が後退し、
NZ ドルの上昇に繋がりました。
・26 週線の上昇はしばらく続くと推測され、NZ ドル円は下値切り上げのパターンが続くとみられます。ただ、
各線の間隔が狭まっており、足もと続く「トレンド」が「レンジ」に変わる可能性を示唆しています。もしもプラス
1σを超えられない推移が続くと、「レンジ相場色」が強まり、上値の重さが意識されそうです。
・一方、プラス 1σを超えれば、プラス 1.5σ前後まで上値が伸び、2014 年 12 月以来の高値を記録できる
かもしれません。
・下値節目としては、マイナス 1σ(4/23 時点 88.39 円)、または日足一目均衡表の先行スパン上限で
88.84 円(同)、などが挙げられます。
・上値節目としては、プラス 1.5σ(同、93.73 円)、または 2014 年 12 月 29 日高値 93.99 円、などが挙げ
られます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の NZ ドル円の予想レンジを、88.5 ~ 94.0 円としました。
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5.カナダドル円 (予想レンジ: 94.0 ~ 100.5 円)
[カナダドル円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・カナダドル円週足のボリンジャーバンドで、週足はマイナス 1σ近辺での低迷を余儀なくされてきましたが、
WTI 原油先物価格が 50 ドルを超えてきたことから、産油国通貨であるカナダドルも反発。足もとは 26 週
線に近づいてきました。
・今のところ、各線はほとんど横ばいで推移しており、足もとのカナダドル円の上昇もリバウンドの域内と割り切
ることも出来そうです。ただ、原油価格の回復が続けば、世界有数の産油国である同国経済への恩恵は
大きく、昨年 12 月から今年 1 月にかけての大幅な下落局面での下げ幅を、相当分取り戻すことが出来る
でしょう。100 円大台の回復が視野に入る場面もありそうです。
・下値節目としては、マイナス 1σ(4/23 時点 94.67 円)、または 3 月 31 日安値 93.70 円、などが挙げら
れます。
・上値節目としては、プラス 1.5σ(同、100.50 円)、または、2014 年 12 月 8 日高値から今年 1 月 30 日
安値の下げ幅の「61.8%戻し」で 100.86 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のカナダドル円の予想レンジを、94.0 ~ 100.5 円としました。
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6.ポンド円 (予想レンジ: 174.0 ~ 185.0 円)
[ポンド円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・ポンド円週足のボリンジャーバンドで、週足はマイナス 1σを割り込む場面もみられましたが、足もとは同線
を上回り、底堅さが感じられます。
・英総選挙を巡る不透明感がポンド円の上値を抑える要因となっていますが、直近の調査では与党が優勢
と伝わるなど、不透明感はやや後退しています。また、結果がどうあれ、選挙後は不透明要因が一つ減る
ことになり、ポンド円の上値の重さはやや払しょくされそうです。
・22 日に発表された BOE(英中銀)議事録で「次の政策金利の変更は引き上げ」で全委員が合意したことが
分かったこともポンドの下支えとなり、ポンド円は上値を探る推移になるかもしれません。
・下値節目としては、週足一目均衡表の先行スパン上限(4/23 時点)で 174.33 円、またはマイナス 2σ
(同)の 174.21 円、などが挙げられます。
・上値節目としては、プラス 1σ(同、185.19 円)、または 2 月 26 日高値 184.99 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のポンド円の予想レンジを、174.0 ~ 185.0 円としました。
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7.南アランド円 (予想レンジ: 9.6 ~ 10.2 円)
[南アランド円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
・南アランド円週足のボリンジャーバンドでマイナス 1σを挟んだ推移に終始しました。大規模な計画停電の
影響が南アランド売りの材料となりました。
・ボリンジャーバンドの各線の間隔は、足もとわずかに拡がっていますが、今のところはほぼ横ばいです。レン
ジ相場の下限にあたる、3 月 16 日安値 9.68 円を下回らない限りは、レンジでの推移が続くとみられます。
・ただ、同水準を下回る場合はマイナス 2σをやや割り込む可能性も考えられますので、下振れへの警戒は
怠りなく持ちたいところです。
・下値節目としては、マイナス 2σ(4/23 時点 9.68 円)、または 3 月 16 日安値 9.68 円、などが挙げられま
す。
・上値節目としては、26 週線(同、10.20 円)、または週足一目均衡表の基準線で 10.23 円(同)、などが挙
げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月の南アランド円の予想レンジを、9.6 ~ 10.2 円としました。
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8.トルコリラ円 (予想レンジ: 41.5 ~ 47.0 円)
[トルコリラ円ボリンジャーバンド] (週足、2014/10/5~2015/4/23、出所:FX Chart Square)
+3σ
+2σ
+1σ
26 週線
-1σ
-2σ
-3σ
・トルコリラ円の週足ボリンジャーバンドでは、右下がりで推移するマイナス 1σに上値を抑えられる形となり、
一時はマイナス 2σを割り込む場面もみられました。
・トルコ中銀は 22 日、3 つの政策金利を全て据え置き、リラ防衛のために商業銀行への外貨貸出金利(外
貨デポ金利)を引き下げ、リラ建て預金準備金の金利を引き上げました。トルコリラ円は一旦下げ止まった
ものの、これからも「リラ防衛のための利上げ」と「景気刺激のための利下げ」という相反する方向感を内包
することになり、トルコリラ軟調が続く公算は大きいと推測されます。
6 月 7 日の総選挙を巡る不透明感もあり、下振れの可能性には十分に注意する必要がありそうです。
・下値節目としては、マイナス 2.5σ(4/23 時点 41.9 円)、または 2012 年 5 月安値 41.42 円、などが挙げ
られます。
・上値節目としては、マイナス 0.5σ(同、47.66 円)、または 3 月 24 日高値 47.13 円、などが挙げられます。
・これらの計算値から、向こう 1 ヵ月のトルコリラ円の予想レンジを、41.5 ~ 47.0 円としました。
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(その他の通貨)
9.ユーロドル (予想レンジ: 1.00 ~ 1.12 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2σ(4/23 時点 1.0195 ドル)を 2%程度下回る水準で
0.997 ドル、または 21 日線かい離率マイナス 5.7%(2015 年の最大マイナスかい離率)で 1.018 ドル。
・上値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 0.5σ(同 1.122 ドル)、または日足一目均衡表の先行ス
パン上限(4/23 時点)で 1.118 ドル。
10.豪ドルドル (予想レンジ: 0.74 ~ 0.80 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2σ(4/23 時点 0.7323 ドル)、または 4 月 2 日の安値
0.7530 ドル。
・上値の節目は、26 週線 (同 0.8049 ドル)、または週足一目均衡表の基準線(5/25 時点)で 0.8035 ドル
前後。
11.NZ ドルドル (予想レンジ: 0.73 ~ 0.79 ドル)
・下値の節目は、週足ボリンジャーバンドのマイナス 2σ(4/23 時点 0.7266 ドル)、または 3 月 18 日の安値
0.7276 ドル。
・上値の節目は、週足ボリンジャーバンドのプラス 1.5σ(同 0.7895 ドル)、または 1 月 15 日の高値 0.7886
ドル。
(シニアアナリスト 山岸 永幸)
※このレンジ予想はテクニカル指標を基に客観的に判断しており、相場の行方を決定付けるものではございません。
最終的な投資判断はご自身の意思決断によりお取引頂きますようにお願いいたします。
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<執筆者>
西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフアナリスト
1984 年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを
経て、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテ
ジストとして高い評価を得る。2012 年 9 月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市
場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2J の WEB サイトで「市場調査部レポート」、
「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑
誌など様々なメディアに出演し、活躍中。
山岸 永幸(やまぎし ながゆき)
市場調査部 シニアアナリスト
1986 年、ユニバーサル証券(現、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券)入社後、株式ス
トラテジスト、アナリスト、チャーチスト、先物トレーダーなど株式業務全般に携わる。
1987 年に出向先の大和証券で「一目均衡表」に出会って以降、28 年間にわたり、均
衡表と実践的な活用法を探究。2012 年春マネースクウェア・ジャパンに入社。セミナ
ー講師として多数の顧客にノウハウを伝えるとともに、多数のレポートを配信。また、
様々なメディアに出演し、活躍中。
八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 アナリスト
2001 年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レ
ポートの執筆など FX 業務に携わる。2011 年 12 月、マネースクウェア・ジャパンに入
社。市場調査部に所属し、豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした
「オセアニア・レポート」を執筆している。FX に携わり 11 年。
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株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)
金融商品取引業
関東財務局長(金商)第 2797 号
(加入協会) 一般社団法人金融先物取引業協会
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