統計力学I演習第1回問題

統計力学 I 演習 第1回
佐宗
[1-1] ことわざに,
「 覆水盆に返らず」という。盆の上のコップが倒れて水が床に落ち
る過程は明らかに逆向きには起きず,不可逆過程である。
つぎに,盆の上の球も,盆を傾ければ自然に落下する。自然に起こる過程だから,逆
過程は不自然であり,したがって球が落ちる過程は不可逆である。これは正しいか ?
[1-2] n モルの理想気体( 1 モルあたりの定積比熱を Cv とする)を温度 T ,体積 V か
ら,体積 V に膨張させる。
(1) 自由断熱膨張させるとき,エントロピー S の変化を求め,熱力学第 2 法則に関
B
dQ
がど うなるか調べよ。
する不等式 S(B) − S(A) ≥
A Te
(2) 等温可逆的に膨張させるとき,エントロピー S の変化を求め,上の不等式がど
うなるか調べよ。
[1-3] 比熱 C(T ) を温度 T の関数として測定したら,関数 C(T ) = (∆/T )/(e∆/kB T + 1)
で fit できた。エントロピー S(T ) を求め,C(T ) とともに概形を図に描け。
[1-4] (a) 積分公式
∞
−∞
2
e−αx dx =
π
,
α
∞
−∞
2
xe−αx dx = 0,
∞
−∞
2
x2 e−αx dx =
1
2α
π
α
を示せ。
(b) これらを用いて,
2
x =
∞
2 −αx2
dx
−∞ x e
∞
2
−αx dx
−∞ e
1
=
,
2α
∞
2
x2e−αx /2 dx
1
=
2
−αx /2 dx
α
−∞ e
∞
x = −∞
2
を示せ。
[1-5] Stirling の公式の簡易形 n! nn e−n を,関数 log x を積分することにより求め
よ。
(できるだけ近似がよくなるよう,積分範囲に注意せよ。)
[1-6] より精度の高い Stirling の公式 n! n! =
√
2πnnn e−n を,積分表示
∞
o
xn e−x dx
と鞍点法を用いて求めよ。
[1-7] Stirling の公式 log N! N log N − N + 12 log(2πN) を用い,次の PN (n) の対数
を計算することにより
PN (n) ≡
N!
N
1
1
1
2
e− 2 (m/σ)
√
n!(N − n)!
2πσ
2
(1)
となることを示せ。
(ただしn = N/2 + m とおいて,log PN (n) を m の 2 次までテー
ラー展開せよ。また,σ = N/4 とおけ。)
[1-8] p = q = 1/2 とし て,N = 10, 50, 100 に対し ,次の 2 項分布 PN (n) を計算し ,
図示せよ。
(パソコン等でプログラムを組んで,作図せよ。Excel でもよい。)
PN (n) =
N!
pn q N −n
n!(N − n)!
[1-9] Gauss 分布
1
2
2
F (x) = √
e−(x−x0 ) /2σ0
2πσ0
に対し,
∞
−∞
F (x)dx = 1,
x =
∞
−∞
xF (x)dx = x0 ,
2
σ =
∞
−∞
(x − x)2 F (x)dx = σ02
を示せ。
[1-10] x ≥ 0 の半直線上に,ランダムに点を打つ。単位の長さ中に,平均して 1/λ 個
の点があるように打つものとする。区間 [0, x] の中に,点が 1 個もない確率が P0 (x) =
(ヒント:P0 (x+dx) と P0 (x) の関係を考えよ。また,P0 (0) =
e−x/λ となることを示せ。
1 とせよ。)
[1-11] 前問と同じ状況で,[0, x] には点がなく,[x, x + dx] にはじめて 1 個だけ点があ
る確率が f(x)dx = e−x/λ dx/λ となることを示せ。これを利用し,[0, x] に 1 個だけ点
がある確率が P1 (x) = (x/λ)e−x/λ となることを示せ。
[1-12] 前問と同じ状況で,[0, x] に n 個の点がある確率が Poisson 分布
n
Pn (x) =
となることを示せ。
1 x
n! λ
e−x/λ