統計力学1演義 No. 14
7/17/14
[演習問題]
担当:大橋 琢磨 TA: 比嘉 亮太
[採点対象外]
1. 2 個の粒子があり,これらの粒子が 3 つエネルギー準位 ϵn = nϵ (n = 0, 1, 2) を占め
ることのできる系を考える.ここで,ϵ は正の定数である.
(a) 以下の場合に対して,取り得る全ての状態とそのエネルギーを書き下せ.
i. それぞれの粒子を区別することはできず,2 つ以上の粒子が 1 つのエネル
ギー準位を占めることのできない場合
ii. それぞれの粒子を区別することはできないが,1 つのエネルギー準位を粒
子がいくつでも占めることのできる場合
iii. それぞれの粒子を区別することができ,1 つのエネルギー準位を粒子がい
くつでも占めることのできる場合
ここで,i. の統計性を持つ粒子をフェルミ粒子,ii. をボーズ粒子と呼び,iii. は
古典的粒子である.
(b) 上のそれぞれの場合に対して,分配関数を計算せよ.
2. 量子力学的自由粒子について考える.i 番目の状態に対するエネルギーを ϵi とし,i
∑
番目のエネルギー準位を占める粒子数を ni とすると,全粒子数は N = i ni ,全エ
∑
ネルギーは E = i ϵi ni と書ける.
(a) 粒子がフェルミ統計に従う場合,大分配関数が
]
∏[
ZG =
1 + e−β(ϵi −µ)
i
となることを示せ.また,状態 i にある粒子数 ni の期待値が
[
]−1
ni = e−β(ϵi −µ) + 1
となることを示せ.ここで,µ は化学ポテンシャル,β = 1/kB T である.
(b) 粒子がボーズ統計に従う場合,大分配関数が
ZG =
]−1
∏[
1 − e−β(ϵi −µ)
i
となることを示せ.また,状態 i にある粒子数 ni の期待値が
[
]−1
ni = e−β(ϵi −µ) − 1
となることを示せ.
3. 自由なフェルミ粒子が N 個あり,状態密度 D(ε) が,
{
1 ∑
D
D(ε) =
δ(ϵ − ϵi ) =
N
0
i
(ε ≥ 0)
.
(ε < 0)
で与えられている.
(a) 絶対零度における化学ポテンシャルを求めよ.
(b) kB T ≪ µ の低温の場合,この系は (フェルミ) 縮退していると呼ぶ.フェルミ
縮退するための条件を N , D, T を用いて書き直し,その物理的意味について議
論せよ.
(c) 系がフェルミ縮退している場合において,エネルギーの期待値を求め,比熱が
温度に比例することを示せ.
演義の homepage:
http://wwwacty.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~ohashi/teaching/ssm1/index.html