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ノバルティス ファーマ株式会社
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東京都港区虎ノ門1丁目23番1号
虎ノ門ヒルズ森タワー
http://www.novartis.co.jp/
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年6月5日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年5月31日(現地時間)に発表したものを日本語に翻
訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先され
ます。英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法、
転移性悪性黒色腫の患者さんの生存期間を有意に延長
• ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法は、BRAF V600E/K 遺伝子変異陽性の転
移性悪性黒色腫の患者さんの全生存期間を有意に延長させることが COMBI-d 試験
の最終解析において確認される
• この第 III 相臨床試験における全生存期間中央値は、ダブラフェニブ単剤療法の 18.7
カ月に対し、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法では 25.1 カ月を達成
• 第 I/II 相試験から得られた 3 年間のデータによって、併用療法による全生存期間の長
期にわたる改善が裏付けられる
2015年5月31日、スイス・バーゼル発 ― ノバルティスは、本日、ダブラフェニブとトラ
メチニブの併用療法が、ダブラフェニブ単剤療法と比較して、BRAF V600E/K遺伝子変異
陽性の転移性悪性黒色腫の患者さんの生存期間を有意に延長させることを示す第III相
COMBI-d試験のデータを発表しました。こうした患者さんを対象とした2件の第III相試験
において、BRAF阻害剤/MEK阻害剤の併用療法が統計学的に有意な全生存期間の延長を示
したのは今回が初めてです。これらの試験結果は、シカゴで開催された第51回米国臨床
腫瘍学会(ASCO)年次総会で本日発表されました。
オーストラリア悪性黒色腫研究所(Melanoma Institute Australia)およびシドニー大学の
腫瘍内科医であるジョージナ・ロング医学博士(Georgina Long, B.Sc., Ph.D., M.B.B.S.,
F.R.A.C.P.)は次のように述べています。「今回のCOMBI-d試験の最終解析結果は、ダブ
ラフェニブとトラメチニブの併用療法を受けたBRAF V600E/K遺伝子変異陽性の転移性悪
性黒色腫の患者さんにおいて、ダブラフェニブ単剤療法と比較して統計学的に有意な全生
存期間の改善が認められる、というこれまでの試験結果を裏付けるものです。今回の試験
結果は、転移性悪性黒色腫の治療としてこの併用療法を適用する合理性を示す更なる根拠
となります」
本最終解析はCOMBI-d試験に参加した423例の患者さんを対象としたもので、ダブラフェ
ニブ単剤療法と比較して、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法で統計学的に有意な
全生存期間(OS)の延長が認められました(中央値はそれぞれ18.7カ月、25.1カ月)1。
また、解析の結果によると、併用群では無増悪生存期間(PFS)11.0カ月、全奏効率(ORR)
69%、奏効期間(DOR)の中央値12.9カ月が認められました1。安全性プロファイルは、
ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法でこれまでに確認されたものと一致しており、
また、ダブラフェニブ単剤療法で確認されたものと一致していました。したがって、安全
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性について新たに懸念すべき問題はみられませんでした1。併用群において最も多くみられ
た有害事象(発生率20%以上)は、発熱、疲労、悪心、頭痛、悪寒、下痢、発疹、関節痛、
高血圧、嘔吐、咳、末梢性浮腫でした1。
ノバルティス オンコロジー プレジデントのブルーノ・ストリギニ(Bruno Strigini)は次
のように述べています。「この深刻な皮膚がんを患う人々の生活に前向きな変化をもたら
すことのできる2つの薬剤を得たことにより、新たな疾患領域でも薬剤をご提供できるこ
とを嬉しく思います。COMBI-d試験で得られたこれらのデータから、ダブラフェニブとト
ラメチニブの併用療法が、BRAF V600E/K遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫の患者さん
の生存期間を有意に延長するということが明らかになりました。この疾患の治療法進展の
一端を担っていることを誇りに思います」
COMBI-d試験の結果に加え、第I/II相試験から得られた長期データでは、ダブラフェニブ
とトラメチニブの併用療法を受けたBRAF V600E/K遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫の
患者さんの3年全生存率は38%(95% CI、25~51%)でした。この試験で確認された安
全性は、同併用療法について評価した他の試験で示されたものと一致しています。
ダブラフェニブとトラメチニブを治療薬として使用した試験データで、今学会で発表され
たものには、BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん(CRC)、非小細胞肺がん
(NSCLC)、およびその他希少ながんを対象とした試験の結果が含まれています。
また、COMBI-d試験の結果は「ランセット」誌のオンライン版に5月31日付けで掲載され
ています。
COMBI-d試験について
COMBI-d試験は切除不能(ステージIIIC)または転移性(ステージIV)のBRAF V600E/K
遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫の患者さんを対象に、BRAF阻害剤ダブラフェニブと
MEK阻害剤トラメチニブの併用療法をダブラフェニブ単剤療法およびプラセボと比較す
る無作為化、二重盲検、第III相ピボタル試験(NCT01584648)です。オーストラリア、
欧州、北米および南米の治験実施医療機関で423例の患者さんが無作為化されました。主
要評価項目は治験医の評価によるPFSで、副次的評価項目にはOS、ORR、DoR、安全性な
どが含まれています。治療群間でクロスオーバーは行われませんでした。
OSについての最終解析では、ダブラフェニブ単剤療法と比較してダブラフェニブとトラメ
チニブの併用療法で統計学的に有意なOSの延長の達成が認められました(中央値はそれぞ
れ18.7カ月、25.1カ月でハザード比[HR] 0.71 [95% CI、0.55~0.92]、p=0.011)。また、
併用療法では単剤療法と比較して、疾患の増悪または死亡のリスクに33%の減少が見られ
ました(併用群211例におけるPFS中央値11.0カ月、単剤群212例におけるPFS中央値8.8カ
月、HR 0.67 [95% CI、0.53~0.84]、p<0.001)。ORRは単剤療法で53%であったのに対
し、併用療法では69%を達成し[差=15%(95% CI、6.0~24.5%)、p=0.001]、DoR中央
値は単剤療法に反応を示した113例で10.6カ月であったのに対し[95% CI、9.1~13.8]、併
用療法に反応を示した144例では12.9カ月でした[95% CI、9.4~19.5]。
安全性プロファイルは、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法でこれまでに確認され
たものと一致しており、また、ダブラフェニブ単剤療法で確認されたものとも一致してい
ます。したがって、安全性について新たに懸念すべき問題はみられませんでした。併用群
において最も多く観察された有害事象(発生率20%以上)は、発熱、疲労、悪心、頭痛、
悪寒、下痢、発疹、関節痛、高血圧、嘔吐、咳、末梢性浮腫でした1。用量調節を必要とす
る有害事象の発現率、また、発熱の発現率(57%対33%)とその重症度(グレード3、7%
(n=15)対2%(n=4))は併用群でダブラフェニブ単剤群に比べて高く、ケラトアカント
ーマを含む皮膚有棘細胞がん(cuSCC)の発現率は併用群(3%(n=6))で単剤群(10%
(n=22))よりも低いことが示されました。有害事象のために投与を中止した患者さんは
併用群で11% (n=24)、単剤群では7%(n=14)でした。
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米国では、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法がFDAから迅速承認を取得する条件
として、市販後調査におけるCOMBI-d試験の実施が義務付けられていました。
ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法について
切除不能または転移性のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性の悪性黒色腫の患者さんに対する
ダブラフェニブとトラメチニブの併用での使用は、米国、オーストラリア、チリおよびカ
ナダにおいて承認されています。日本では、2015年4月27日に、BRAFV600遺伝子変異を
有する悪性黒色腫の治療薬として。ダブラフェニブおよびトラメチニブの承認申請を行い
ました。
2015年、ノバルティスはグラクソ・スミスクライン社の権利を継承する形で、全世界におい
てトラメチニブを開発、製造、販売する独占的な権利を日本たばこ産業株式会社(JT)より
取得しました。JTは日本におけるコ・プロモーションの権利を保有しています。
「Tafinlar」および「Mekinist」はノバルティスAGまたはその関連会社の登録商標です。
承認されている適応症以外では、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法の安全性およ
び有効性のプロファイルは確立されていません。
ダブラフェニブとトラメチニブの併用における安全性に関する重要な情報
ダブラフェニブとトラメチニブの併用投与により、以下のような重篤な有害事象が起きる
可能性があります。
ダブラフェニブ単独投与、またはトラメチニブとの併用投与により、新たながん(皮膚が
ん、およびその他のがん)が発現する可能性があります。新たな病変、既存の皮膚病変の
変化、その他の悪性腫瘍の徴候と症状が認められた患者さんはすぐに医師に報告してくだ
さい。
BRAF変異を有さずRAS変異を有する患者さんに対しては、BRAF阻害剤により細胞増殖が
促進されるリスクがあるため、ダブラフェニブをトラメチニブと併用投与する前には
BRAF野生型メラノーマについて検査を行う必要があります。
トラメチニブとの併用下でダブラフェニブの投与を受けている患者さんでは、出血の発現
頻度および重症度が高くなることがあり、死に至る可能性もあります。患者さんは、頭痛、
めまい、脱力感、咳に血や血の塊がまじる、血またはコーヒー残渣様の吐物の嘔吐、赤ま
たは黒いタール状の便、その他なんらかの異常な出血の徴候が認められた場合は、すぐに
医師に報告し適切な処置を受けてください。
ダブラフェニブはトラメチニブとの併用投与により、腕や脚に血栓を生じることがあり、
これらが肺に運ばれ死に至る可能性もあります。患者さんは、胸痛、突然の息切れまたは
呼吸困難、腫れを伴うまたは伴わない脚の痛み、腕や脚の腫れまたは冷感や蒼白を感じた
場合はすぐに医師に報告し、適切な処置を受けてください。
ダブラフェニブはトラメチニブとの併用投与により、心不全などの心臓障害を引き起こす
可能性があります。投与開始前および投与中は患者さんの心機能検査を行う必要がありま
す。患者さんは、動悸、息切れ、足首や足の腫れ、意識朦朧などの心臓障害の症状と徴候
が一つでも認められた場合は、すぐに医師に報告してください。
ダブラフェニブ単独投与、またはトラメチニブとの併用投与により、失明に至ることもあ
る重篤な眼障害が起きる可能性があります。患者さんは、視力低下、失明またはその他視
覚の変化、色の付いた点が見える、ハロー(物体の周りにぼやけた輪郭が見える)、眼痛、
眼の腫れや赤みなどの眼障害の症状が認められた場合は、すぐに医師に報告してください。
患者さんは、息切れや咳などの肺や呼吸器に関する新たな症状が認められた場合、または
症状が悪化した場合は医師に報告してください。
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ダブラフェニブ単独投与、またはトラメチニブとの併用投与により、発熱が起きる可能性
があり、重篤化する場合もあります。発熱の発現頻度や重症度はダブラフェニブをトラメ
チニブと併用投与した場合により高くなる可能性があります。発熱は、悪寒または悪寒戦
慄、過度な体液喪失(脱水)、低血圧、めまい、腎障害を伴う場合があります。ダブラフ
ェニブ投与中に38.5oC(101.3oF)を超える発熱が認められた患者さんは、すぐに医師に報
告してください。
ダブラフェニブ単独投与、またはトラメチニブとの併用投与による副作用として発疹が多
く観察され、また、その他の皮膚反応が起こる可能性もあります。これらの発疹やその他
の皮膚反応は重症化することがあり、病院での治療が必要となる場合があります。患者さ
んは、辛いまたは継続する皮疹、ざ瘡、手や足の赤み、腫れ、剥け、または圧痛、皮膚の
赤みなどのいずれかの症状が認められた場合は、すぐに医師に報告してください。
ダブラフェニブ単独投与、またはトラメチニブとの併用投与を受けている患者さんでは、
高血糖や糖尿病の悪化が起こる場合があります。糖尿病の患者さんでは、医師は投与期間
中に血糖値を注意深く観察する必要があり、また、患者さんの糖尿病治療薬を変更する必
要が生じる場合があります。患者さんは、のどの渇きや頻尿、多尿といった重度の高血糖
の症状が一つでも認められた場合は、すぐに医師に報告してください。
G6PD欠乏症の患者さんでは、ダブラフェニブ投与により正常な赤血球の急速な破壊が起
こる可能性があります。これにより体内に正常な赤血球が不足し、溶血性貧血と呼ばれる
貧血が引き起こされる場合があります。患者さんは、黄色い皮膚(黄疸)、虚弱またはめ
まい、息切れといった貧血や赤血球破壊の症状と徴候が一つでも認められた場合は、すぐ
に医師に報告してください。
ダブラフェニブおよびトラメチニブは、いずれも胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ダブラフェニブによりホルモン避妊薬の効力が失われる場合があります。
ダブラフェニブとトラメチニブの併用投与により最も多く認められた副作用は発熱、
悪心、
疲労、発疹、悪寒、下痢、頭痛、嘔吐、高血圧、関節痛、末梢性浮腫、咳です。発熱の発
現頻度と重症度はトラメチニブをダブラフェニブとの併用下で投与した場合に高くなりま
す。
辛い副作用が起きたり、副作用が継続する場合は医師に報告してください。ダブラフェニ
ブとトラメチニブの併用投与により、上記以外の副作用が起きる可能性もあります。詳細
については医師や薬剤師にお問い合わせください。
ダブラフェニブとトラメチニブの併用投与は、厳密に処方に従って行ってください。医師
の指導なしに用量を変更したり、服用を中断したりしないでください。トラメチニブは1
日1回(朝または夕方、ダブラフェニブと同じ時間に)のみ服用し、ダブラフェニブは約
12時間間隔で服用してください。ダブラフェニブおよびトラメチニブは食事の1時間以上
前または食後2時間以降に服用してください。ダブラフェニブを服用し忘れた場合、6時間
以内に次の投与スケジュールがくる場合は、飲み忘れた分を服用しないでください。ダブ
ラフェニブカプセルは開けたり、潰したり、かみ砕いたりしないでください。トラメチニ
ブを服用し忘れた場合、12時間以内に次の投与スケジュールがくる場合は、飲み忘れた分
を服用しないでください。
ダブラフェニブおよびトラメチニブの処方情報は全文をご参照ください。
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免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2014 年の売上高は 580
億米ドル、研究開発費は 99 億米ドル(減損・償却費用を除くと 96 億米ドル)でした。ス
イス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約 120,000 人の社員を擁しており、世界
150 カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com/
参考資料
1.
Long, G. Overall survival in COMBI-d, a randomized, double-blinded, Phase III study comparing the
combination of dabrafenib and trametinib with dabrafenib and placebo as first-line therapy in patients (pts)
with unresectable or metastatic BRAF V600E/K mutation-positive cutaneous melanoma. Abstract #111603.
2015 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting, Chicago, IL, USA.
以上
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